箱根駅伝2020が終わって時間がたちましたね。
今年も、区間ごとの定点間分析を行っていきます。
まず、ハイペースの幕開けとなった1区からになります。
ページコンテンツ
まずは出走ランナー詳細です。次回からは、リレー順番になります。
強豪校はほとんど1区重視でしたね。2年連続区間賞の東洋西山、東海鬼塚選手は3度目1区、駒大は大聖主将、そして当日変更で青学は吉田圭・國學藤木選手、帝京も小野寺選手を投入してきました。
他にも日体大は池田選手、創価大米満選手、早大中谷選手あたりは完全に主力でした。全体的には東国大あたりを除いて、1区重視していたチームがいい結果に結びついていることが多かったような気がします。
参考:83回佐藤(東海)43分12秒
なお、この記事独特。上から通過順ですが、左横の順位は定点間の順番になります。ここは1区なので通過順そのまま。
スタート直後の左折、一番最初に曲がった選手が区間賞を獲得するというジンクスはいまだ根強い。東洋西山、青学吉田、東海鬼塚選手が我先にと曲がっていった半面、創価米満選手が非常にゆったりと最後尾でスタートを切ったのもまた話題に。それぞれの想いを持ってのスタートだ。
最初の1㎞は2年連続1区区間賞中の東洋西山選手が引っ張り1㎞2分45秒と速いペース。ただ、そこで下がって、やや縦長だった集団が横長に。牽制が始まりかけた。
これを嫌ったのが早大中谷選手。独走もできる選手だが、自分のペースで引っ張りだした。東海鬼塚、青学吉田選手がすぐ後ろに付くというのが1区序盤の基本の展開となった。
この中谷選手のペースが意外に早く1㎞2分52秒前後。3㎞8分39秒、5㎞14分23秒、10㎞28分43秒のハイペース。10㎞地点で区間記録歴代2位から7秒遅れているだけとのこと。新八ッ山橋で鬼塚選手が仕掛ける場面もあったが、中谷選手がペースを作っていく。
これには、早い段階で遅れだす選手が出てきて、4.2㎞で国士荻原選手が真っ先に遅れ、続いて5㎞過ぎに順大原田選手、7㎞で法大久納選手が遅れだした。実績からするとある程度仕方ないというところだ。なお、9.3㎞では順大原田選手が、法大久納選手を逆転。18位に順大が浮上する。
さらに10㎞過ぎに大きな展開が起こる。連合吉里選手が遅れ、10.4㎞で3選手が遅れ加減のところでCMとなったが、東洋西山選手が含まれていたのではとざわついた。
CM後、やはりで神大西方・拓大竹蓋選手とともに西山選手も遅れていた。昨年1月ウェイトトレーニング中に剥離骨折をして、ずっと走り込みが不足している中で、インカレや駅伝に出続けていたということだが…。
西山選手はこの2選手からも遅れていき単独17位に。口が開いてきて苦しそうな表情になってきた。さらに、先に遅れた連合吉里選手にも交わされてしまった。後ろ18位順大原田選手も見えている。やはり本調子からは程遠かったというところか。
先頭はさらに絞られてきて、11.4㎞中大千守選手、13.2㎞で東国丹所・日大横山選手が遅れだした。横山選手は実績からすると思ったより早い遅れ、その直後13.7㎞で遅れた筑波西選手は大健闘。26年ぶり出場の筑波大の主力選手が懸命に食いついた。
ここで先頭集団は10名に。蒲田定点では創価米満、國學藤木、日体池田、東海鬼塚、中学栗原、早大中谷、青学吉田、帝京小野寺、駒大大聖選手だ。ところがこの蒲田の直前で大聖選手が数m離れる。下を向く、出雲6区後半のような感じになってきた。駒大もまさかだ。
後ろでは遅れだした順番からすると、神大西方選手が健闘。拓大竹蓋選手を突き放して、中大千守選手に追いついた。順大原田選手も粘っている。法大久納選手、国士荻原選手が大きく後れ、2分以上の差となっている。
参考:83回佐藤(東海)17分54秒<61分06秒>
上から通過順番ですが、横の順位は定点間順です。蒲田から粘った選手など少し順位が変わっています。
しばらく先頭集団に数mで食いついていた駒大大聖選手は16㎞過ぎから少しずつ後退。どうやら六郷橋は9校で乗りかかることになった。
後ろでは東洋西山選手がさすがに意地を見せて、いったん離された連合吉里・拓大竹蓋選手を交わして16位に浮上する場面があった。少し力強さも戻った形だ。
さて先頭集団の六郷橋だ。上りにさしかかった瞬間に明大小袖選手が後退。大成長のスピードランナーだが、ここで脚に限界がきただろうか。
そして創価米満選手が軽くスパート。縦長になったところ、ずっと引っ張っていた早大中谷選手が後退する。ただ、中谷選手は平坦な橋の上で懸命に追いつく、このあたりさすがに力があるランナーの粘りだ。8校の懸命の競合いだ。
さて、18.7㎞は六郷橋の下りだ。再び早大中谷選手が苦しくなり、7校の争いに。ここから抜け出したのが國學藤木選手。下り終わって、一気に10mの差を2集団に付けた。後ろを振り返ると、再びスパート。解説「少し早い」が、一気に勝負に出た格好だ。
2位集団は6校で行われたが、ここから青学吉田選手が遅れだす。強豪校の主力選手でも遅れるかなりのサバイバルの様相だ。19.3㎞では早大中谷選手にも交わされ8位へ。ここは中谷選手も驚異の粘りと言ってよさそうだ。
國學藤木選手がいく。國學院大史上初の往路優勝を目指しているのは周知だったが、もしトップ中継したら、これも國學院大史上初というのは言われて気づいたことだ。後方2位争いには30m差を付けて、20㎞を通過。このままいくかと思われた。
そうならないのがまた勝負の世界。20.1㎞2位集団から創価米満選手がスパート。日体池田・中学栗原選手が付いたが、東海鬼塚・帝京小野寺選手は後退した。そして米満選手がじわりトップに近づく。そういえば創価大もトップ中継は過去にない大学だ。
残り1㎞を切って、前田監督の激で藤木選手も切り替え10m差をキープ。それでも20.7㎞で米満選手が襷を取ると再び切り替え、20.8㎞でついに並ぶ。トップ中継すれば史上初の2校の選手の熾烈な争いだ。
3位争いも熾烈で、日体池田選手はキープだが、鬼塚選手が意地を見せ中学栗原選手を捉え4位に、後ろは早大中谷選手が帝京小野寺選手を捉えて6位に。それぞれのエースの意地も面白い。
先頭争いは、最後ギアチェンジできた創価米満選手に軍配。敢えてエース級を起用した創価大が賭けに勝った形。61分13秒と歴代2位タイのオマケつきのハイレベルの争いを制した。
2位は往路優勝を考えると絶好の国学藤木選手が5秒差、そして日体、東海、中学、早大、青学、帝京が秒差で飛び込んできた。ここまで18秒で約100m程。2区以降もトップ争いはこの8校でまずは行われそうだ。
少し離れて9位争い、残り200mで駒大大聖選手が明大小袖選手を捉えて浮上。ここは大聖選手が意地を見せた。やや前が離れたが54秒差で中継。僅かな差で明大が続いた。
そこから少しあいて、点々と選手が来た。26年ぶり復帰の筑波西選手が11位大健闘のリレー、直後12位神大西方選手がやってきた。遅れたときは15位タイなので、うまく自分の心身をコントロールしていたということだろう。意外な出走と思われた選手だが、ここはうまく凌いだ。
そのあとが面白い。2区に強力な日本人ランナーがいる2校がリレー。13位東国丹所選手、14位に最後奮闘した東洋西山選手が中継所へ。一時18番目まで後退したことを考えると意地を見せた格好。それぞれトップと1分49秒、2分01秒だがどこまで追い上げる。
15位日大横山選手はやや失速してのリレー、ちょっと悔しかっただろうか。16位中大千守選手、そしてこれも少し後半上げた連合駿河台吉里選手が17番、17位拓大竹蓋、18位順大原田選手までは2分半ほど。2区以降でまだ追い上げられる差だ。
最後の2校が大きく離れ、19位法大久納選手がトップと4分オーバー、20位国士荻原選手に最後追い込まれる形となった。国士大は、2区に大エースがいて添田監督「気持ちよく抜ける位置なら」だが、ちょっと離れたか?ハイレベルの争いの中、かなり縦長になって1区を終えた。
思っていた選手が1区に来なかったので、スローからの牽制…かと思いきや、早大中谷・東海鬼塚選手が序盤からハイペースに。生き残った8チームは大きなアドバンテージ、遅れたチームは2区でまず流れを作り直しに行く展開だ。
往路優勝争いからすると、國學院大が絶好の位置、東海と青学もまずまず。駒大もまだ挽回可能、東洋が大きく遅れたが2区の大エースでどこまで追い上げることができるか注目。また、気象条件も良く、2区以降、記録が楽しみになってきた。