スポンサーリンク

[20年前を振り返る]第73回箱根駅伝-9区順大・浜野 健選手区間賞-

復路も終盤、初優勝が目前に迫ってきた神大は高嶋康司選手にたすきリレー。昨年、4区疲労骨折で途中棄権の屈辱を味わった選手だ。1年たって今度は復路のエース区間を任された。途中棄権と言えばもう一人、順大の浜野健選手も2大会前10区で途中棄権。順大の連続シード権を途絶えさせてしまった。くしくもシード権渦中の9位でタスキを受けた…。

スポンサーリンク

ページコンテンツ

第73回(1997年)箱根駅伝9区

皆様の情報により、追記は赤文字、修正は青文字で行います。

スポンサーリンク

第73回(1997年)箱根駅伝9区走者経歴

私も含めて当時の大会を知らない方も大勢追われると思いますので、それぞれの区の最初に、走者の持ちタイムと前年(1996年)の主要大会の成績を付記します。
・持ちタイム参考サイト(Saijo’s:http://hakonesaijo.sakura.ne.jp/73hakmain.htm)
・大会参考サイト(箱根駅伝記録館:http://www13.plala.or.jp/hakone-kiroku/、箱根駅伝の記録:http://www13.plala.or.jp/jwmiurat/)
順番は前の区の中継所通過順
名前・学年 大学名 主な戦歴
高嶋康司③ 神大 29分14秒、全6区1位、予38位、箱4区棄権
高橋宏幸④ 大東 29分38秒、出6区7位、日ハーフ6位、関2部ハーフ7位
里内正幸② 山学 29分29秒、全7区3位、予40位、箱1区15位
国武良真② 中大 29分17秒
荒川 誠③ 早大 29分19秒、全1区18位、出2区11位、日ハーフ2位、関1部ハーフ1位、箱9区4位
小沢希久雄④ 東洋 29分19秒、全8区9位、予21位、箱4区13位
山下秀人④ 駒大 29分08秒、全8区8位、日ハーフ1位、関2部ハーフ1位、箱2区10位
関 厚志③ 東海 29分13秒、全4区6位、出5区5位、関1部3障3位
浜野 健④ 順大 29分08秒、全8区3位、出6区3位、日ハーフ4位、関1部ハーフ3位、箱2区13位
坂巻圭一④ 日体 30分02秒
福永勝彦③ 専大 29分36秒、予27位、出3区5位、箱8区2位
菅野邦彰③ 亜大 29分00秒、全2区6位、出6区9位、関2部ハーフ2位、箱2区5位
本田義治④ 農大 29分26秒、出1区14位、箱3区9位
船木吉如② 拓大 29分58秒
荒井伸次③ 法大 29分47秒、出6区11位、関1部ハーフ6位、箱5区11位

トップの神大・高嶋選手は初優勝のかかった前回、走行中に疲労骨折を発症してしまい、途中棄権の無念を味わったランナー。悲願の初優勝へ復路の最重要区間を走る。後ろでは2位大東・髙橋選手や5位早大・荒川選手や7位駒大・山下選手らがインカレハーフで実績ある選手が控えるがどうか。後ろでも専大・福永、亜大・菅野選手は前回の箱根での実績の高い選手が出走。個人争いが楽しみ。また、3位山学・里内選手は前回1区ブレーキ、9位順大・浜野選手は2年前の途中棄権のリベンジを狙う…ほかの区間以上にいろんな思いが交錯する区間となった。

権太坂7.8㎞

順位 名前 大学 タイム 総合・トップ差 [通過]トップ差
3位  高嶋  神大  23分10秒 
11位 里内 山学 23分46秒 ②6:11
12位  高橋  大東  23分52秒  ③6:12 
7位  国武  中大  23分29秒  ④7:49 
6位  荒川  早大  23分28秒  ⑤8:10  [5]8:06 
2位  山下  駒大  23分08秒  ⑦13:33  [6]8:32 
5位  福永  専大  23分26秒  ⑪22:18  [7]9:22 
10位 小澤 東洋 23分45秒 ⑥11:44 [8]11:44
15位  関  東海  24分29秒  ⑧16:49  [9]12:53 
1位  浜野  順大  22分41秒  ⑨18:29  [10]13:41 
8位 船木 拓大 23分31秒 ⑭30:25 [11]14:06
13位  坂巻  日体  23分53秒  ⑪21:49  [12]14:32 
9位 荒井 法大 23分41秒 ⑮33:41 [13]15:03
4位  菅野  亜大  23分17秒  ⑫27:29  [14]16:20 
14位  本田  農大  24分19秒  ⑬30:13  [15]17:22 

高嶋選手は昨年度の駅伝で全日本4区、箱根4区と主要区間を任されていた存在。9区はまさにうってつけだった。余裕をもって走りながらも個人3番。区間記録にも迫る勢いだ。後ろ2位争いの山学・里内、大東・髙橋選手がややけん制したため、その差は6分以上となった。

それ以上に速い入りを見せていたのはまずは駒大の山下選手。関東IC・日本ICハーフ共に優勝を飾っている選手でこの9区は満を持しての出走だ。なんと伝統校の中大と早大の姿が見え隠れする位置に浮上、後ろ一時迫っていた専大・福永選手も離していく。専大としては僅かに残っているシード権に向けて懸命の力走だった。

対象は9位の順大・浜野選手となるわけだが、ものすごい走りとなっている。山下選手らより30秒近く早い入りを見せている。2年前”ひっそり”と途中棄権。昨年華の2区を走るもリベンジ走とまではならなかった。並々ならぬ決意だろう。拓大・船木選手と、総合10位の日体・坂巻選手はあっという間に逆転し、シード権確保に向けて邁進する形となる。この勢いが続くか注目された。

横浜駅前14.7㎞-権太坂7.8㎞=6.9㎞

順位 名前 大学 タイム 総合・トップ差 [通過]トップ差
4位  高嶋  神大  20分49秒 
8位 里内 山学 21分05秒 ②6:27
11位 高橋 大東 21分17秒 ③6:40
7位  国武  中大  21分01秒  ④8:01 
2位  山下  駒大  20分31秒  ⑦13:15  [5]8:14 
10位 荒川 早大 21分13秒 ⑤8:34 [6]8:30
6位 福永 専大 20分58秒 ⑪22:27 [7]9:31
12位  小澤  東洋  21分24秒  ⑥12:19  [8]12:19 
1位  浜野  順大  20分27秒  ⑨18:07  [9]13:19 
13位  関  東海  21分29秒  ⑧17:29  [10]13:33 
9位 船木 拓大 21分11秒 ⑬30:47 [11]14:28
5位  坂巻  日体  20分57秒  ⑩21:57  [12]14:40 
14位  荒井  法大  21分54秒  ⑮34:46  [13]16:08 
3位  菅野  亜大  20分40秒  ⑫27:20  [14]16:11 
15位  本田  農大  22分08秒  ⑭31:32  [15]18:41 

高嶋選手がトップを行く。前回は大会前1か月前から足に痛みを感じていたが、走行中は痛みを感じず。当日エントリー変更なし。ところが朝から痛みが激しさを増してしまっていた。今回はそんなそぶりも見せずトップをすすむ。2位争いは横浜駅前で早くも決着。里内選手がペースアップ。単独2位に浮上、トップとの差は離れたがようやくここに戻れたという感じだ。

その後ろ驚いた。中大・国武選手の後ろ、駒大・山下選手が早大・荒川選手を交わして迫っていた。荒川選手とて、前回区間3位で走った選手だがかなり苦しそうな表情となっていた。復路の駒大の勢いが止まらない!

勢いが止まらないと言えば、浜野選手も区間記録ペースをキープ。スローで入っていた総合8位の東海・関選手も見た目で捉えて、実質38秒差まで迫ってきた。総合10位日体・坂巻選手もこの定点間ではあげてきたが、見た目1分21秒差・総合では3分50秒差では苦しくなってきた。

後ろはそろそろ繰り上げが心配になってきたが、坂巻選手の後ろ、法大・荒井選手は苦しい走りだがまだ4分近く猶予はある。その直後にやってきた亜大・菅野選手は前回は箱根2区5位の選手。走りながらぐんぐん状態を上げてこの定点間は3位!これなら心配なさそう。まずいは見た目15番の農大・本多選手。じりじりペースダウン。猶予も1分19秒しかなくなってしまった。このままでは繰り上げも免れない状況となってしまった。

鶴見中継所23.0㎞-横浜駅前14.7㎞=8.3㎞

順位 名前 大学 タイム 総合・トップ差 [通過]トップ差
1位  高嶋  神大  26分11秒   
7位  里内  山学  27分15秒  ②7:31   
11位 高橋 大東 27分51秒 ③8:20
3位  山下  駒大  26分23秒  ⑥13:27  [4]8:26 
6位  国武  中大  27分05秒  ④8:55 
10位 荒川 早大 27分42秒 ⑤10:05 [6]10:01
9位 福永 専大 27分27秒 ⑪23:43 [7]10:47
2位  浜野  順大  26分22秒  ⑨18:18  [8]13:30 
13位  小澤  東洋  28分20秒  ⑦14:28   
4位  関  東海  26分38秒  ⑧17:56  [10]15:00 
8位 坂巻 日体 27分19秒 ⑩23:05 [11]15:48
12位  船木  拓大  27分56秒  ⑬32:32  [12]16:13 
5位  菅野  亜大  26分46秒  ⑫27:55  [13]16:46 
14位  荒井  法大  29分14秒  ⑮37:49  [14]19:11 
15位  本田  農大  29分17秒  ⑭34:38  [15]21:47 

高嶋選手が最後までしっかりした足取りで歩を進める。5月からジョグを開始し、全日本6区区間賞で完全復活していた。当時の区間記録まで17秒に迫る快走だった。初優勝へ向け残り21.3㎞となった。2位に浮上した山学とは7分31秒差だ。

その後ろ、最後までペースを上げられなかった大東・髙橋選手のすぐ後ろ、駒大・山下選手が最後まで勢いよくやってきた。見た目2つ順位を上げる躍進!そして復路順位でもトップに立った。駒大に初の”優勝”の二文字が見えてきた。

早大・荒川選手、専大・福永選手が10分少しの差で中継、その約3分後に姿を見せたのは浜野選手。さすがに最後は苦しくなったが、そのタイムは69分30秒!第59回(1983年)大会、早大・坂口泰氏の69分53秒を14年ぶりに更新。これはとても見事なタイムでした。この後、トヨタ自動車に進み、長く競技生活をされているのも付記します。

その後ろは、少しペースを上げられなかった東洋・小澤選手は見た目と総合順位も一つずつ下げてしまった。とはいえ、見た目は浜野で総合は駒大なので空いてもすごかったが。その後ろは横浜駅前まで個人最下位争いだった東海・関選手が粘りの走りで上位に。総合でも順大を僅かに逃げ切って8位をキープする、見事な走りだった。

11番目では総合10位の日体・坂巻選手がやってきた。後半に粘り、拓大・船木せんしゅをかわしたものの、総合9位とは4分47秒差に。2年連続のシード権は非常に厳しくなった。直後には区間4位の好走をした亜大・菅野選手がやってきた。シード権確保に向けた走りだったが、ちょっと反撃が遅い感じだった。

残り2校、繰り上げの時刻が迫ってくるが、残り1分以上を残して法大・荒井選手がやってきた。個人タイム75分近くかかったがトップから19分11秒差で間に合った。だが、農大・本多選手はさらに失速、復路で唯一の繰り上げスタートとなってしまった。総合も14位に落とした。6区で置いていかれたのが大きく響く形となった。

コメント

  1. 坂巻圭一 より:

    この時の日体大で走った者です。
    このように20年前のレースを回想いただき誠にありがとうございます。
    区間ごとのタイム順位など今更知る情報は本当に嬉しいです。
    私は1万m持ちタイムがビリでしたが、このレースが人生で最高によく走れたレースとなりました。
    某実業団からのお誘いもありましたが、箱根駅伝は最終目標だったので思い残すことなく引退できました。
    一地方大会ではありますが、この大会に出られたことで私のこれまでの人生は恵まれていました。
    肩書きではなく、今でも当時の信念を大切に仕事ができていることが誇りです。
    5年前からまた走り出し、今年の東京マラソンで2時間46分で走れました。
    今月10/29の横浜マラソンで“自己ベスト”を出したいです(笑)
    今後も楽しみに拝見させていただきます。
    取り急ぎ、御礼のみさせていただきます。

  2. hakonankit より:

    >坂巻圭一さん
    こちらの記事までお読みいただきありがとうございます。
    今大会の箱根駅伝の走りが、一つの、しかし大きな良き思い出として、残っておられるのなら幸いです。私としてもこの企画をした甲斐を感じ、嬉しいです。

    また、走られて、楽しみながら自己ベスト更新を願っております。

    ※ところで、コメントは公開しましたが、大丈夫でしょうか?何かありましたら、ご連絡ください。非公開にはすぐにできますので。。。