2月・3月上旬は、箱根駅伝出場チームの振り返りや、次年度への簡単な分析をしていきたいと思います。
まずは、
見事史上4校目の大学駅伝3冠達成!!
駒澤大学です
ページコンテンツ
昨年末、田澤選手が1万mでオレゴン世界陸上の標準切。年明けの箱根駅伝は、チームは総合3位と連覇なりませんでしたた、田澤選手本人はエース区間2区で区間賞。留学生も含めての中で、他の選手との格の違いを見せ付けました。
そんな田澤選手が最終学年、そしてその他の主力選手に3年生が多かったこともあり、今年度は自然と勝負の年となっていました。監督が言うのではなくて、選手側から”大学駅伝3冠”の言葉が出てきました。いつもは”3位以内”という大八木監督から、”大学駅伝3冠”の言葉が出てきました。
最初の出雲駅伝は圧勝。1区で花尾選手が2位につけると、ルーキー佐藤選手が2区でトップに立つと、3区田澤選手に、復活した6区鈴木選手らで逃げ切り優勝を飾ります。
全日本大学駅伝も、1区円2区佐藤選手で好位置につけると、3区主将の山野選手で単独先頭に立ちます。その後、新戦力の活躍で、7区田澤選手に大差でトップに!大幅区間新で優勝を決定づけると、8区花尾選手が区間賞で優勝に花を添えました。
田澤選手本人は、春先の日本選手権では、腹痛で本来の走りができず。世界陸上オレゴンには出走しましたが、万全の調子ではありませんでした。出雲駅伝でも、1週間前に急性胃腸炎に罹り、治り切ってない中での走りでした。
その田澤選手ら4年生の選手は、夏合宿中に、大八木監督から「今季限りで退任」との告白を受けました、何としても”大学駅伝3冠”の強い想いを持ち、チームを率いていました。直前に、オーダーが入れ替わりましたが、今年駒大の強さは揺るぎませんでした。
🥇位駒澤大学10時間47分11秒
往路🥇位5時間23分10秒、復路🥇位5時間24分01秒
区間 | 区間順位 | 名前学年 | 区間タイム | 通過順位 | トップ差 |
1区(21.3㎞) | 🥈位 | 円 健介④ | 62分53秒 | 2位 | 0:09 |
2区(23.1㎞) | 🥉位 | 田澤 廉④ | 66分34秒 | 2位 | 0:03 |
3区(21.4㎞) | 🥈位 | 篠原倖太朗② | 61分58秒 | 2位 | 0:10 |
4区(20.9㎞) | 🥉位 | 鈴木芽吹③ | 61分00秒 | 1位 | -0:01 |
5区(20.8㎞) | 4位 | 山川拓馬① | 70分45秒 | 1位 | -0:30 |
6区(20.8㎞) | 🥇位 | 伊藤蒼唯① | 58分22秒 | 1位 | -0:47 |
7区(21.3㎞) | 5位 | 安原太陽③ | 63分18秒 | 1位 | -0:44 |
8区(21.4㎞) | 4位 | 赤星雄斗③ | 64分37秒 | 1位 | -1:05 |
9区(23.1㎞) | 🥉位 | 山野 力④ | 68分26秒 | 1位 | -1:33 |
10区(23.0㎞) | 🥈位 | 青柿 響③ | 69分18秒 | 1位 | -1:42 |
1区円選手…この夏急成長した4年生円選手が1区を担当しました。出雲駅伝のメンバーに入り、大会後の記録会で、強風の中5千m14分一桁。その後の1万m28分半ばの記録が功を奏し、全日本駅伝1区で、ついに大学駅伝デビュー。好位で繋いで、優勝に貢献しました。その後の上尾ハーフで61分台の好タイム。自信を持っていました。
飛び出した連合以外、スローの大集団で、進む中、中団で落ち着いてレースを進めます。六郷橋を過ぎたところで、明治大の選手が飛び出した時にいち早く反応します。これにはつけませんでしたが、走力で後方は寄せ付けず、トップと9秒差の区間2位、青学大・中大ら他強豪校より先んじてリレーする最高のスタートを切りました。
2区田澤選手…前回区間賞のエース田澤選手が2年連続2区へ。万全なら、あっという間にトップに立って駒大の流れになると思われました。中央大に一旦交わされますが、落ち着いて追随すると、12.2㎞で交わして単独トップに立ちます!
でしたが、そこから伸びを欠きます。権太坂の下りから苦しげな表情になり、青学大と一旦引き離した中大の追い上げを許します。11月下旬に新型コロナに感染。1週間の隔離と安静の生活を送ったのち、12月8日からジョギング開始。懸命に合わせましたが、一番の強化期間で練習ができなかった影響は大きなものがありました。
そんな中でも、根性で脚を前に持って行っていました。秒差に迫られてから、”戸塚の壁”の上り坂でも、懸命に凌いでいました。最後の最後、ラストのスプリントで中大に交わされ、青学大に並ばれながら2位で中継。とはいえ、万全ではなかった中で、首位争いの最中でタスキを渡したのは、さすがと言わざるを得ない走りでした。
3区篠原選手…大八木監督から”ユーティリティプレイヤー”と非常に評価が高い2年生の選手。昨年の2月、当時1年生ながらハーフ61分強をマーク。その後、故障した時期もありましたが、全日本駅伝5区で復帰し区間2位。どこでも走れるという事で、4区6区7区と様々な区間に配される予定もあった中、大晦日に3区と決まりました。
ほぼ同時スタートの青学大の4年生の選手に、ついていく形となりました。トップ中大との差は少しずつ開いていきましたが、ぐっと後ろで堪えます。18㎞地点の湘南大橋で、仕掛けて単独2位に浮上。一旦20秒以上離れた、中央大を追いかけ、10秒差に追い上げてリレーします。
4区鈴木選手…1年時5区山登りを入り総合優勝に貢献。その後1万m27分40秒台の成績を残し、田澤選手とWエースとも言われた3年鈴木選手。その後故障などもあり、長期離脱も経験しました。出雲駅伝アンカーで優勝のゴールテープを切って、涙の復活RUN。その後、ふくらはぎを痛めて、全日本は欠場しましたが、箱根前には2区を希望するなど状態を上げていました。
じわじわと中大との差を詰めていき、二宮付近で追いついて併走状態になります。その後、急追してきた青学大が追いついてくると、今度はその青学大と一騎打ち。最後の1㎞のお互いの仕掛け合いは、2区のエース対決に次ぐ名シーンに上げられる場面です。最後の最後僅かに上回り、トップ中継。1年生で固めた山に流れを作りました。
5区山川選手…全日本大学駅伝で大きくピックアップされた1年生。主力選手の欠場もあり、4区を任されました。ここが穴になるのではとの予想とは裏腹に、前半から突っ込むとまさかの区間賞!夏に豊富な練習ができ、ロードのタフなコースに強いと、大八木監督からはとても高い評価がありました。前回経験者もエントリーしていましたが、それに代わっての抜擢でした。
2㎞手前で青学大を突き放して単独先頭に立ちましたが、40秒後方だった中央大が猛追してきます。でしたが、山川選手の安定した走りで大きくは詰めさせません。15秒差になった場面もありましたが、それ以降は一進一退。”苦手”という終盤の下りで、むしろ差を広げて往路優勝のゴールへ。2位30秒差、最大のライバル青学大に2分差を付けて、復路に弾みを付けます。
6区伊藤選手…復路のスタート6区山下りは、当日変更で1年生伊藤選手が入りました。夏合宿での評価が高く、出雲・全日本でエントリー入り。その後、1万m28分28秒の好記録をマークして、箱根もメンバー入り。同学年の帰山選手が候補になったこともありましたが、最終的に伊藤選手が勝ち取りました。
この区間、2位中大が経験者を起用してきて、追いつくのではという予想もありました。でしたが、伊藤選手は最初の上りから区間トップのタイムで走り出すと、下りも見事な走りで、後方を寄せ付けません。ラスト3㎞もしっかり走り、中大との差を47秒に広げました。しかも、今回チーム内唯一の区間賞!最高の滑り出しでした。
7区安原選手…昨年度の出雲駅伝から、5回連続の大学駅伝出走。出雲・全日本の優勝メンバーの3年安原選手が7区を担いました。そんな安原選手が、チーム内の熾烈な争いで、直前まで補欠だったそうです。年末の佐藤選手の体調不良で、出番が回ってきた形になりました。
最初の3㎞を突っ込んで入り、2位中大との差を1分以上、つまり視界に中々入らないところまで逃げます。中盤差を詰められますが、ラスト3㎞で切り替えて区間5位力走。全体的には3秒詰められ44秒ですが、ここは想定内。トップの強みも生かしました。
8区赤星選手…2年の全日本以来、2度目の大学駅伝となった3年赤星選手。上尾ハーフで62分少しで走り切りメンバー入り。とはいえ、花尾選手が体調不良で欠場が決まらなかったら、おそらく走っていなかった選手です。
安定した走りで、2位中大の追い上げを許さず、40秒から詰めさせません。遊行寺坂以降の苦しい場面も耐えると、ラスト3㎞で一気に差を広げて1分05秒差へ。区間4位の64分37秒の好走で、しっかり流れを繋ぎます。
9区山野選手…復路のエース区間9区には、3年連続となる山野選手が待っていました。前年2月にハーフ60分台を出していて、長距離ロードの強さは折り紙付き。今年度は主将としてチームをまとめ、出雲4区全日本3区に出走し、優勝に貢献していました。
序盤は、区間記録を狙えるのではないかと言うほどのハイペースで突っ込んで勝負を駆けます。途中でさすがにペースは落としましたが、ラスト3㎞で再び切り替え区間2位好走。2位中大との差が1分半となり、かなり駒大の優勝が濃厚になってきました。
10区青柿選手…3年青柿選手が2年連続でアンカーを担当。1年時に1万m28分20秒のタイムを、突然叩き出し、駅伝ファンを沸かせた選手。2年時になってから大学駅伝出走も初めて、今回が3回目でした。
単独先頭で襷受けましたが、しっかり攻めていく走り。中盤まで区間賞のペースで走って、最終的に区間2位力走。盤石な走りで、優勝のゴールテープを切りました。全体としても、区間賞は一つも全員が区間5位以内の走り。高い安定感を誇りました。
***********************************************
史上4校目、駒大としては初の大学駅伝三冠達成!大学駅伝勝率50%以上を誇る大八木監督(コーチ時代を含む)でさえ、中々取れなかった三冠。やっぱり本当に強いチーム作れないと難しいのですね。
本当にエース田澤選手を中心に、選手層の熱いチームが構築されました。その田澤選手は万全でなかった中、往路4区間トータルで首位争いをキープ。5区6区の山区間は、活きのいい1年生で乗り越えると、
復路は自慢の選手層、花尾・佐藤選手と出雲駅伝1区2区で先頭に立った2人が欠場するも、代わりに入った選手がしっかりと首位を保持する走りをキープ。9区山野主将までに差を広げていきました。
最終的に大八木監督が、優勝した要因を”選手層の厚さ”と話したのは、このあたりの事があげられますね。ここのところ優勝候補に挙げられても、代わりに入った選手が区間二けたになっていたのが、区間上位で繋げたのはとても大きかったのでしょう。
ここで、大八木監督から、8年間ともにコーチを務めていた藤田新監督になります。大八木監督1期生で、駒大の常勝軍団の礎を築き、のちに当時のフルマラソンの日本記録も達成した方です。エース選手が卒業しますが…、2年連続3冠も狙っていける陣容です。
|
全体的には、今の3年生に主力選手が多く、次年度も引き続き優勝候補筆頭に上がってもおかしくありません。そして、活きのいい若手も出てきたばかりです。
残る今年の箱根メンバー
鈴木芽吹③27分41秒68※新主将
≪23箱4区3位、22出6区1位、箱8区18位、21日本1万3位、箱5区4位、20:全3区5位≫
篠原倖太朗②28分41秒13
≪23箱3区2位、22全5区2位、関東IC1万m8位、21:出1区8位、日本IC5千m2位≫
青柿 響③28分20秒42
≪23箱10区2位、22箱10区6位、21:全2区10位≫
伊藤蒼唯①28分28秒15≪23箱6区1位≫
安原太陽③29分08秒88
≪23箱7区5位、22全6区4位、出5区1位、関東IC5千m11位、箱3区16位、21:全6区2位、出2区3位≫
赤星雄斗③half62分00秒≪23箱8区4位、21:全4区4位≫
山川拓馬①half61分36秒≪23箱5区4位、22全4区1位≫
残る補欠メンバー
花尾恭輔③28分29秒82
≪22全8区1位、出1区2位、関東IC2部half2位、箱4区9位、21:全8区4位、出雲3区4位、箱7区4位、20:全2区11位≫
吉本真啓②29分08秒71
帰山侑大①29分18秒99
金子伊吹③29分29秒62≪22箱5区4位≫
佐藤圭汰①5千m13分22秒91
≪22全2区2位、出2区1位、21高3区4位、IH5千m4位1500m2位≫
その他有力選手
唐澤拓海③28分02秒52
≪22:箱1区2位、21:出4区8位、関東IC2部1万3位5千3位≫
白鳥哲汰③28分14秒86
≪22:関東IC1万m、箱7区10位、21:箱1区14位≫
赤津勇進③28分30秒64≪21:出5区10位≫
亘理 魁②28分47秒70
小牧波亜斗②28分52秒71
吉本真啓②28分08秒71
宮城珠良②29分15秒14
安原海晴(滋賀学園)
≪23全国5区13位、22高校3区8位、国体5千m15位、IH1500m17位≫
小山翔也(埼玉栄)
≪23全国1区7位、22高校1区4位、国体5千4位、IH5千m14位≫
工藤信太朗(一関学院)
≪23全国1区20位、22高校1区7位、国体5千m5位≫
村上 響(世羅)
≪23全国1区23位、22高校1区23位、国体5千m13位≫
植阪嶺児(智辯カレッジ)
≪23全国1区24位、22高校1区11位≫
島子公佑(伊賀白鳳)≪23全国1区35位、22高校1区33位≫
小松 聖(秋田工)≪22高校4区8位≫
強いですよ。新しいチーム。徐々に復活している鈴木選手が新4年生で主将としてチームを引っ張っていきます。継続して練習ができれば、本当に最速ランナーです。また、1万m27分台のスピードで走る姿を見たいところ。ロードも出雲6区・箱根4区のような走りができます。
中心としては、この世代になってきますね。優勝メンバーにも7区安原8区赤星10区青柿選手を名を連ねていますが、今回走れなかった選手も主力選手たくさんいるんですよね。
まずは、エース格の一人と言える花尾選手。出雲駅伝1区2位で優勝へお膳立て、全日本駅伝8区1位で優勝に花を添えると、前哨戦は大活躍でした。体調不良で箱根を走れなったのは残念ですが、間違いなく最終学年でもキーマンになる選手。
さらに過去の経験者では1万m28分02秒を持つ唐澤選手、同28分14秒を持つ白鳥選手、同28分30秒の赤津選手と、トラックの持ちタイムは凄まじい選手もいますね。怪我やロードが苦手ということで、エントリーに入ってこないですが、彼らの最終学年も気になるところ。唐澤選手は特に1区での好走があるので、怪我の具合が気になるところです。
そんな中、下級生もどんどん上がってきています。楽しみなってきたのが現2年篠原選手。往路3区で強い走りをしたなと思っていましたが、丸亀ハーフで60分11秒の学生新及び日本記録に11秒まで迫るビッグパフォーマンス!エースが卒業しちゃうなぁと思いましたが…いい候補が早くも出てきていますね?
そして今年度三大駅伝で大活躍していた1年生。佐藤選手は、やっぱり駅伝で突っ込んで粘るということができる選手で、5千m13分22秒のトラックのスピードも存分に生かしています。箱根駅伝も、急性胃腸炎がなければ3区か7区を走っていたそうですね。まずは、トラックでの記録の伸びに期待。
山を走っていた山川・伊藤選手は、平地でも勿論爆発力を秘めています。山川選手は、丸亀ハーフで61分台と、やはりロードで非凡なものを見せています。十分将来のエース候補です。伊藤選手もトラックのスピードありますし、今後期待。6区一緒に争った帰山選手らも期待が高いです。
そして、上位をキープする駒大に、大量の有力ルーキーが加入します。今回は、主要大会に出場した選手のみ記載していますが、高校駅伝1区4位の小山選手や同7位の工藤選手、さらに現3年安原選手の弟さんも入学してくるようですね。また、即戦力となる選手が現れてもおかしくない感じがします。
総合力の勝利でしたね。出雲・全日本駅伝はほぼミスなく繋いで、他のチームを圧倒しました。箱根駅伝はそうではなかったのですね。エース田澤選手が、新型コロナ明けで万全ではなかったのですが、意地で首位争い。
そのほかの往路は、1区新戦力の円選手に、3区に後にハーフ学生新を出す篠原選手、4区に復活を期す鈴木選手らが、冷静に、そして熱いレース運びでがっちり首位争いの中心に。円・篠原選手は終盤の上りが見事、鈴木選手も中大の最後の叩き合いを制していて、見事な走りでした。
出雲・全日本にはない山登り・山下りには、1年生を投入。練習からタフなコースが得意と言う山川選手が、区間4位ながら他のチームを寄せ付けず往路優勝の走り。復路出足6区は伊藤選手が見事に区間賞。山で駒大が単独トップに立ちました。
7区8区は、主力の佐藤・花尾選手が走っていたら、おそらく走らなかっただろう安原・赤星選手。区間上位の走りで、後方中大の追い上げを凌いで、経験者を配置できた9区山野10区青柿選手へ。少し体調不良者などが出て、直前でオーダーが変わっても、揺るがない選手層を築き上げることができたのが、最終的な総合優勝、そして大学駅伝三冠の要因でしたね。
箱根後もいいニュースが続いていて、丸亀ハーフで篠原選手が、実業団ランナーに食い下がりながら、60分11秒の学生新記録を樹立!箱根往路で見せた走りは本物でしたね。次年度は鈴木・花尾選手ら4年生世代が中心になっていきますが、その中で、下級生が上がってきているのは、チームの状態非常にいいのではないでしょうか。
大八木監督が勇退して、藤田新監督になりますが、長くコーチを務めてきた方への引継ぎなので、楽しみも多いです。やっぱり、来期も駒澤大が、トラックも三大駅伝も中心になっていくような戦力です。
箱根駅伝ファンのための情報集
【箱根駅伝ファンのためのリンク集】
【【結果も!】2022年度箱根駅伝ファンのための競技会日程】
姉妹サイトより
【箱根駅伝アニメ:風が強く吹いている完走】
ウマ娘【競走馬元ネタ解説シリーズ】