そろそろ箱根駅伝2021の余韻が冷めつつありますかね。
レース内容をもう一度じっくりと振り返ってみたいと思います。
続いて、毎年レースが大きく動く5区山登り!
まさかの首位となった創価大を各大学が追いますが…
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トップで走り出した創価大三上選手は、前回も候補に挙がりながら補欠に泣いた選手。1万mベストは30分台ですが、秋に非公認で28分40秒ほどのタイムをマーク。さらに激坂王にも輝いていて満を持しての出走、自信を持っての起用だった。
大混戦となった2位争いは、駒大が期待のルーキー鈴木選手を当日変更を起用に。1万m28分23秒は5区出走者の中で最速、1分42秒差を追いかける。また、区間記録保持者の東洋宮下、2大会前区間2位の東海・西田選手が2分10秒と2分20秒の差で追いかける。見る方としては混戦の中面白い。
10位と苦戦中の青学大は、留年して3度目の5区山登りリベンジを誓う竹石選手を起用。練習で魅せる能力を発揮できれば総合優勝に望みが繋がる3分41秒差を追いかける。
シード権外では実力者國學院殿地選手、昨年も経験している拓大石川・明大鈴木・中大畝選手がスタート。どこまで追い上げるか注目が集まリました。
函嶺洞門3.6㎞
参考:96回宮下(東洋)10分31秒
創価大三上選手は堅実なスタートですが、それでも区間2位はかなり早いスタート。詰めさせたのは区間記録を持っている東洋宮下選手のみ、往路優勝に向けて順調なスタートです。
その東洋宮下選手はさすがの入り。すぐ前に見えていた東国荒井・早大諸冨選手をすぐに交わしていく。このあたりが一番向かい風が強かったそうで、区間記録よりは26秒遅れていますが、どんどん前を追い上げます。そして彼を風よけに使おうとした早大諸冨選手も4番目の入りです。
後方では青学竹石選手もかなり早い入り。この時点では2番目のタイムで入り、早くも神大北崎選手が眼前に。2年越しのリベンジで気合の入った走りでした。
他では帝京細谷・拓大石川・城西山本選手らが早めの入りで前のランナーを追いかけています。そして下位のチームが一様にゆったりした入りとなっています。本格的な登りの前の定点間での走りから、本格的な登りに入ってからどうなるか…ですね。
大平台7.0㎞
函嶺洞門3.6㎞
定点間3.4㎞
参考:96回宮下(東洋)11分43秒<3>22分14秒
東洋宮下選手が本領発揮し始めましたね。本格的な登りの最初の定点間ではトップの成績で唯一11分台の11分57秒で走破。駒大鈴木選手もついに捉えて総合2位、トップとの差も1分54秒差となっています。
この定点間はシード権より後方のチームがギアチェンジ。満を持して登りを任された國學殿地選手が定点間3位。平地スローだった11位日体村越選手が一気に縮まってきています。
さらに12位拓大石川選手の後方も早い。昨年区間5位の明大鈴木選手はさすがとして、城西大ルーキーの山本選手が追いかけて定点間2番はびっくり。法大古海・国士孝田選手らを振り切って、巻き返しなっていくのか。
他に気になる点では、最初の定点間での上位者で失速者が出ていますね。早大諸冨選手が、東海西田・東国荒井選手に交わされ、さらに帝京細谷・順大津田選手と次々と交わされて、定点間18番。
さらに、追撃すると思われた青学竹石選手がなんとこの定点間20番。追いつきかけた神大北崎選手に付き放されて、テレビ越しにも急に足が重たそうな走りに…。2大会前と同じような展開になってきた。
小涌園前11.7km
大平台7.0㎞
参考:96回宮下(東洋)17分33秒<2>39分47秒
この定点間は、一番傾斜がきつい宮ノ下を含む区間。ここでぐっとギアが上がったのが、最終的に区間賞を獲得する帝京細谷選手。帝京大は基本的に山専用の選手を準備はしない大学。今回に関しては例年以上に準備をさせた選手ということでしたが、いきなりこういう選手が現れるとは…。
本調子ではなかったそうですが、実力者の東海大西田選手の20秒差を一気に詰めての小涌園前通過は驚きました。大健闘と言える東国荒井・順大津田選手も突き放しています。津田選手も、創価大三上選手と共に激坂王で台頭していましたが、ここまでは上位に食らいついています。
上位勢はここにきて均衡。東洋宮下選手のリズムが、駒大鈴木選手に合っていたようで、ここで鈴木選手が修正。ぐっと区間上位に浮上してきます。トップを行く創価三上選手も非常に安定していて、この定点間では1秒しか詰められていない状況。走りもまだ安定していてどうやら初の往路優勝は射程に入って来た模様です。
他では、法大4年古海選手が定点間5位とペースアップ!ほとんど試合に出ていない中合わせてきたとはいえ、一番傾斜がきついところで実力者の明大鈴木選手に追い付いたのは見事。鈴木選手は逆に息切れか。拓大石川・城西山本選手らの粘りにも合っていますかね。
失速しているということでは、青学竹石選手が盛んに報じられていましたが、上位争いから零れ落ちた早大諸冨選手が大苦戦。小涌園前でやや上にはねるフォームでリズムもスローになってしまった。全日本駅伝6区で首位を守っていた時のような走りとはならず…。
また中大畝選手がうまく走れていないのもびっくり。3度目の5区山登り、出遅れている中取り返さなければというプレッシャーとも戦っていたとのことですが…とはいえ、本来は4区タイプとのこと。苦しい最後の箱根駅伝になってしまっています。
下位はそれぞれ単独走で区間19位以下、山学星野・慶大杉浦・専大野下選手ら何とか粘っていきたいところだった。
芦之湯15.8㎞
小涌園前11.7km
定点間4.1㎞
参考:96回宮下(東洋)15分05秒<1>54分52秒
山登りも頂点ですね。東洋宮下選手が単独2位に上がっているのが上位陣の動きになりますかね。実力のあるルーキーを突き放しています。区間総合でも区間2位帝京細谷選手を22秒引き離しての単独トップです。創価三上選手にも少しずつですが詰め寄っています。このあたりはさすが区間記録保持者と言えそうです。
青学竹石選手が足を痙攣させ、立ち止まらざるをえない状況になってきていましたが、実は定点間順位は13番とここは粘っています。後ろ國學殿地選手が見え隠れしていましたが、意外と追いついてきていない状況に。
その後方の選手たちが健闘していて、13位争いが激しい。拓大石川・明大鈴木選手と言った実力者がさすがの走りですが、城西山本選手が頑張ってこの定点間8位!区間総合ではこの時点で5位。往路から柱を並べてもつけず苦しいかと思われましたが、山登りで予想外の健闘。山で再び流れを作り直せるかもしれません。
元箱根18.7㎞
芦之湯15.8㎞
定点間2.9㎞
参考:96回宮下(東洋)8分51秒<1>63分43秒
この定点間は下りの区間。距離は短いですが、上りからの切り替えをする余力があるかどうかで、結構な差がつく定点です。トップを行く創価三上選手はしっかりと切り替えて定点間3位の走り。
2位東洋宮下選手がここでうまくペースを上げられず。どうやら足を痛めてしまったそう。一旦突き放した駒大鈴木選手の追い上げに合っています。また、定点間2位と切り替えた帝京細谷選手にも区間タイム並ばれています。3㎞で22秒が埋まった下り、やはりここでもレースが動きます。
中位争いも動きがありましたね。神大北崎選手が切り替えて、早大諸冨選手を抜いて8位浮上。神大の往路一桁は中々予想できなかったところ。また、度々痙攣が襲う青学竹石選手をついに國學殿地選手が捉え10位浮上。彼も長い距離が得意な選手ですね。
そして画面では映っていませんでしたが、その竹石選手を捉えた拓大石川選手がなんと定点間トップ!下り爆走で一気に城西大以下も突き放しています。故障で箱根予選に出走できなかったのですが、彼の箱根への調整力は4年連続凄かった!
下位では、山学星野選手が定点間8位好走!序盤は区間最下位ペースで下がじわじわ浮上。まさか中大畝選手を交わしていく走りとは…。最後、もう少し前が見えるところまであげていけるかどうかです。
芦ノ湖FINISH20.8㎞
元箱根18.7㎞
定点間2.1㎞
参考:96回宮下(東洋)6分42秒<1>70分25秒
最後の平地の定点間、創価大三上選手は最後まで安定した走りを披露。出場4度目で驚きの往路優勝でしたが、足取りは確かなものがありました。2位以下を2分以上突き放す見事な走り、個人でも区間2位でした。
最後2位争いは、東洋宮下選手が懸命に粘って往路2位確保。最後で区間3位に落ちた悔しさもありつつも、前回は往路10位のゴール。ずっと充実していたはず。駒大鈴木選手は最後息切れで追いつききれずも往路3位。復活の総合優勝に向けては2分21秒、微妙な差となりました。
その直後、素晴らしいスパートで定点間トップ&71分台区間賞獲得の帝京細谷選手がゴール。なんと往路3位駒大と10秒差の位置まで追い上げてきました。これは見事な走りでした。まだ見ぬ総合3位そしてその上の頂…ほんのり甘い夢を見れるました。
そこから1分程遅れて苦し気な走りとなった東海西田選手。怪我で2週間走れなかったりと非常に苦戦。2年時の走りが最高となったのも、とても悔しかった…と思われます。チームとしても一時単独トップでの往路5位の結果は悔しいところ。
その後ろ往路6位で踏みとどまったとみるべきか東国荒井選手がゴール。2区で断トツトップに立っていこうも、堅実に区間10位付近でまとめる走り、他校の力もうまく使っています。
7位順大津田選手が追い上げていたはずが中々来ない。最後の平地はなんと20番目の走り、1分半近く6位とあけられ、どちらかというとシード権ラインを気にする位置でのゴール。どうも低体温症に陥っていたそう。悔しいが、上りの適性は見せた津田選手、来年こそ快走を見たい。
直後、神大北崎選手が8位ゴール。下りからの切り替えが素晴らしかった。4年ぶり往路一桁だった。1分後、9位國學殿地選手もしっかり走り切り3人抜きで往路一桁に。2区15位からよくぞ戻した。さらに5人抜きでエースの意地の拓大石川選手は3位。シード権ライン上は3チームとも後半しっかり好走したチームが並びました。
ここからシード権ラインより下。最後まで切り替えがきかなかった早大と青学がまさかの11位と12位で並ぶ展開は予想付かなかった。諸冨選手はまだ1年生ですが、竹石選手は留年してこだわった5区リベンジ、しかも競技引退…。
練習では71分前後が見込めるところから76分。見ていて苦しくなるレースでしたが、執念でゴールラインに辿り着いた感じだった。とにかく前は何とか見える位置では凌いだのは復路に繋がっています。
直後、大健闘の城西山本選手が13位。個人区間6位でいきなり適性を見せてきましたね。往路で圏外に去りそうだったシード権が再び見えてきた。その次に予想外の不振となった明治大鈴木選手が往路14位でゴール。何とか区間9位でしたが、前回の5位より下がったのは流れでしょうか。
一時は食い下がる姿勢を見せていた15位日体村越&16位法大古海選手はやや力尽きる形でゴール。シード権からはやや引き離された。16位国士孝田選手は目立たたずも、最後の平地を含めてしっかりまとめた形。悪い流れは一旦切れそうだ。
ここから先頭との差が10分オーバー。とはいえ17チームが時差スタートでやはり混戦。18位は下りから大健闘の山学星野選手。次年度の飛躍がの楽しみ。次いで信じられない19位でゴールの中大畝選手。藤原監督も「可哀想なことをさせてしまった」と悲痛なコメントに…。名門復活がなりそうで中々なっていかない。
そのあとは大きく開いてしまいました。6分以上あいて、学生連合の3年生主将・慶大杉浦選手が重い足取りでゴール。2区候補の選手が故障、5区の選手を2区にし、急遽上ったが厳しい箱根路の洗礼を受けることに。
専大も7年ぶりの箱根路、往路は勝負してもらえない形に。最後の平地を懸命に走ったものの、区間20位。トップとは20分以上開いてのゴールとなりました。
・ずっと安定していたトップ創価大三上選手
・駒大総合優勝の遠因となった東洋大宮下選手との競り合い
・上りも下りも平地も強かった!区間賞の帝京細谷選手
・下りでしっかり走った拓大石川選手ら往路8位~10位の選手
・痛々しい3度目の山登りも執念でゴールの青学竹石選手
・城西山本選手が見せた山登り適性
いろんなことがありましたし、最終総合順位から見てもいろいろと面白かったですよね。創価大三上選手がずっとしっかり走っていました。元々榎木監督が、往路優勝への勝負手としていたのもうなずける活躍。とはいえ、まさかトップで渡るとはというところだったか。
そして2位争いも大いに見どころがあります。最終的に駒大が総合優勝しているのも、この両者のつばぜり合いが白熱して、それほどトップとの差が開かなかったのも一つあるかもしれません。
区間賞獲得の帝京細谷選手はやはり安定していましたね。宮ノ下の急な坂道をトップで駆け抜け、下りも最後の平地もぐんぐんと伸びました。素晴らしい走りでした。
このほかにも神大北崎・國學殿地・拓大石川選手ら主力選手を起用してしっかりといい流れで往路を終えられたチームもあれば、早大や青学大はかなりの失速、明大は全体的に波に乗れず二けた順位と大きな波乱もありました。城西大のように新たな収穫があったチームもありました。
19位以内のチームまである程度僅差の中、復路へ突入します。