20年前の箱根駅伝を振り返る企画、ようやく開始できそうです。
今回は、第76回箱根駅伝2020となります。
第76回箱根駅伝といえば、まずは往路の大混戦ですね。まずは全く予想にあがっていなかった法政大が突っ走り、4区で過去最下位だった帝京大が瞬間的にトップに立ちますが、連覇を狙う順大が逆転!
そして山登りはさらに一波乱、順大がペース上がらず、過去往路優勝がない東海大が単独トップに、しかし最終版本命の駒大が逆転し2年連続往路優勝。
復路は駒大が突っ走っていく中、シード権争いが大混戦。前年優勝候補だった山学大・神奈川大が9区終了時でもまだ抜け出せず、さらに序盤トップの法大も巻き込まれ…
詳しく振り返っていきましょう
その前に
ページコンテンツ
【大学駅伝1999-2000】三大駅伝成績振り返り
同一年度の、出雲駅伝・全日本大学駅伝、そして箱根駅伝の予選会を振り返ります。
出雲駅伝1999(第11回)成績
2位山梨学院大学2時間5分20秒
3位駒澤大学2時間6分16秒
4位中央大学2時間7分02秒
5位神奈川大学2時間7分04秒
6位京都産業大学2時間7分15秒
7位大東文化大学2時間7分34秒
8位日本大学2時間7分50秒
9位第一工業大学2時間9分15秒
10位東洋大学2時間9分35秒
11位東海大学2時間9分49秒
この年の出雲駅伝は順大と山学大のマッチレースになったのですよね。順大は入船②岩水②奥田②野口②宮井③高橋③と下級生中心、山学大は宮原④古田④大浜④黒岩④尾崎③西川④と上級生中心と対照的なオーダーだったのも印象的です。
中盤は山梨学院大が奮起!久々坊主頭で登場した古田選手が猛追しトップに追い付くと、大浜選手が連続区間賞で、3区終了時で順大と全く同着のトップ。マッチレースとなったが、勝負が動いたのが4区。三大駅伝初出場となった、順大野口選手が区間賞!残り2㎞で山学黒岩選手を突き放し、一気に100m以上の差をつけたのは非常に大きかった。
宮井・高橋選手が堅実に走り優勝!澤木監督は「前回の箱根駅伝はマグレ勝ち」というコメントをされていて、それ故に順大の本気もかじる力走だった。
連覇を狙った駒澤大は、ここは3位に。1区大西2区揖斐選手がちょっとずつ後れを取ってしまい優勝争いには絡めませんでした。その中で布施・松下選手とルーキーを起用できたこと、5区西田選手が意地の区間賞を獲得したのが収穫。
4位から8位が固まりました。4位中大5位神大は1区で出遅れたのを少しずつ追い上げていったもの。中大は5区ルーキー藤原選手の区間3位、神大は4区相馬5区辻原選手の区間2位が収穫です。
直後の6位に入った京産大はお見事。後にアラコで活躍する前田貴史選手が4年生の年。3区区間3位で総合3位にチームを引き上げていますが、他の選手も区間一桁でまとめています。
7位大東大は1区真名子選手が区間5位好走。そこからいい流れで一けた順位で走り切っています。8位日大は3区まで5位も、4区5区で失速し9位に。アンカーエース山本選手が追い上げますがもう一歩届きませんでした。
9位は1区2区に留学生を起用した第一工大。1区ドリウッジ選手が区間賞、そこから後退しすが、アンカー下森選手が粘っています。10位東洋は2区石川選手区間7位、11位東海大は1区柴田5区西村選手の区間7位が最高、ここは他の関東チームからは離されました。この他、鹿屋体育大当時3年の永田選手が、1区で日本人トップの区間2位に入っています。
箱根駅伝2020(第76回)予選会
2位法政大学10時間15分08秒
3位早稲田大学10時間15分44秒
4位日本体育大学10時間16分39秒
5位関東学院大学10時間17分13秒
6位拓殖大学10時間18分53秒
以上、予選通過
7位東京農業大学10時間20分14秒
8位専修大学10時間22分52秒
9位明治大学10時間23分03秒
10位平成国際大学10時間26分27秒
11位中央学院大学10時間26分34秒
12位亜細亜大学10時間27分36秒
13位國學院大學10時間28分03秒
14位国士舘大学10時間34分35秒
帝京大が断トツのトップ通過だったのですよね。前回の箱根駅伝で悔しい最下位に終わり、チーム一丸となって強化を進めていましたが凄い。10㎞地点でトップで2位に1分37秒差、15㎞で3分24秒に広がり、最終的に5分51秒の大差をつけるのですから…。
なんといっても個人3位4位7位に中崎・北崎・谷川選手の2年生トリオが入っている事ですね。タイムも59分台と素晴らしいタイム。さらにチーム4番手から9番手までが個人20位から40位、一気に戦力アップが図れました。
2位には法政大。エース4年坪田選手が個人5位、それ以外にも2年徳本選手が8位、1年土井選手の17位が光ります。懸念の選手層も、出走した12名全員が100位以内に入る健闘ぶりでした。前回の箱根で下位だった2校が上位通過ということで、何やら面白そうな雰囲気です。
3位4位には早大・日体大といった伝統校。早大は、大物ルーキー中尾選手がうまくいきませんでしたが、エース3年佐藤選手が復調し個人6位、2年原田選手の台頭もありました。日体大は、上位10名全員が61分台で走り切りました。実は15㎞地点で通過ボーダーに20秒届かない7位という位置でした。残り5㎞で一気に4位へ。このあたりは見事なまとまりだった。
残り2枠、5位には2年ぶり3度目となる関東学院大。1年生エース尾田選手が個人10位。他7番手まで個人70位以内、8番~10番手も105位前後に固まって他伝統校を押しのけました。なお、通過チーム全体でみると第70回大会同時出場の中央学院大と入れ替わる形でした。
最後の枠は拓殖大。前回の箱根駅伝がアクシデントもあってのシード権落ち、トップ通過も期待されたほどでやや意外だった。4年吉田選手が個人9位で健闘するも、チーム4番手から個人50位以降に。チーム10番手は101位で凌いで、最後の枠を確保しています。
惜しかったのが3年ぶり出場を狙った東京農大が1分21秒届かず。水上・和田選手ら2年生の頑張りで10㎞地点で総合2位だったのですが…中盤以降失速する選手が多く、チーム9番手以降が150位前後は厳しかった。
8位専大は2年エース虎沢選手が稼ぎましたが、総合力届かず…。12位亜大は岡田監督1年目ですが、上級生の反発などもあって苦労した時期。緑組の復帰はもう少し先。
その他、実は暗黒期だった明治大が予選9位でこの年は箱根に迫ったのですね。当時1年だった重成選手がチーム2番手でしたが、4年平子選手が個人16位大健闘、チーム10番手も130位でまとめますがもう少しでした。
そして…個人ワンツーをとったカーニー・ムヒアの平成国際大、さらに1年生5人を含む2年生以下10人で挑んだ國學院大の姿もありますね??
全日本大学駅伝1999(第31回)成績
2位山梨学院大学5時間19分37秒
3位順天堂大学5時間22分01秒
4位中央大学5時間25分23秒
5位京都産業大学5時間25分26秒
6位神奈川大学5時間25分37秒
7位東海大学5時間25分42秒
8位拓殖大学5時間28分17秒
9位早稲田大学5時間28分28秒
10位大東文化大学5時間28分48秒
11位日本大学5時間30分06秒
12位法政大学5時間30分25秒
13位第一工業大学5時間33分54秒
14位鹿屋体育大学5時間36分41秒
1999年度大学駅伝シーズン本命視されていた駒澤大がついに出てきて優勝…なんですが、ある意味波乱でも合った大会なんですよね。駒沢大は出遅れ、山梨学院大が優位にレースを進めていたはずなのに、駒沢大が優勝したというなんとも不思議な展開だったのだ。
山学大は1区西川選手が6位ながら、2位順大らとは13秒差、一方9位出遅れた駒大布施選手には51秒も差をつけていた。そして2区エース古田選手が出雲に続いて爆走しトップに。3区は駒大揖斐選手が区間賞で追撃態勢となったが既に1分10秒差。全日本駅伝で優勝がない山梨学院大にとっては、絶好のチャンスだった。
とはいえ駒大も粘りに粘る。4区は山学大新留学生のカリウキ選手が勢いよく飛び出していったが、駒大前田選手とは1秒広がっただけ。もしかするとここはポイントになったかもしれない。
山梨学院大は5区大浜6区宮原選手が連続区間賞を獲得するも、駒大も5区島村選手が同タイム区間賞、6区大西選手は5秒負けただけ。明らかに山学大が有利な状況で6秒しか差が広がらなかったのだ。
そして7区は駒大松下選手が勢いよく区間賞…ここでやや差が詰り、50秒差となったことは一つ大きなポイントだろう。アンカーに入る直前で視界に入ってきたことは、流れはまだ分からないというところだった。
そのアンカー決戦がまた不思議な状況だった。10㎞までは山学尾崎、駒大神屋選手の差は50秒と変わらず膠着状態。これなら山梨学院大がついに初優勝できる…と思ったところだった。
ここから神屋選手が一気に攻勢に転じて、渡会橋で一気に23秒差に縮めると、15㎞過ぎついに尾崎選手の背後に迫ったのだ。とはいえ、神屋選手は非常に苦しそうな表情、尾崎選手は涼しそうに淡々と走っている印象。ラストは山学大かと思われた。
しかし、18㎞地点で前に出たのは神屋選手だったのだ。かくして駒大が2連覇、山梨学院大は優勝なしの8度目の2位に甘んじてしまった。神屋選手は区間賞の素晴らしい走りだったが、尾崎選手もロードで渋い選手で区間2位だったのだが…。
ただ、冷静に見ると駒大は3区揖斐選手の区間賞で流れに乗って、4区以降前が見えないながらも懸命に粘り続けていたのが一番大きかっただろうか。しかもルーキーも腹ス人起用しながらだった。やはり箱根駅伝は駒大が面白くなることを予感させた。
一方、出雲駅伝を制した順天堂大は3位。1区入船選手の区間2位で絶好のスタートを切ったが、2区で山学大・3区で駒大に先行されてしまった。4区から8区は区間3位から区間5位でまとめるも、区間賞を取り合った両校に少しずつ差を付けれてしまった形だ。箱根連覇に向けては、もう一度立て直す必要がありそうだった。
4位から7位が大変だった。なんとゴール地点100m以内に固まっている大混戦。最初にやって来たのが中央大。5区までは9位と出遅れたものの、6区3年板山選手が区間5位で流れを変えると、7区2年富田選手が区間2位、そしてアンカー抜擢のルーキー藤原選手が3人抜きで総合4位。新しい力で4位をもぎ取った。
5位は出雲に続いて大健闘の京都産業大、1区2区を務めた4年村山・前田選手が流れを作ると、最低区間順位は3区の区間10位、他の区間は区間一桁でまとめあげて、最終区で一つ順位を上げての総合5位は大健闘だった。
6位7位はそれぞれ評価が好対照。6位はこれは苦しんだ神大。1区主力小松選手が区間10位と出遅れ、4区辻原選手が区間賞を獲得して流れに乗せて、一時4位まで浮上するもアンカーで競り負けた。勢い的にはちょっと不安が残るか。
7位東海大は大健闘。卒業生が多く不安視されたチームですが、1区起用の柴田選手が区間3位の好スタート。そこから2区から6区までは区間5位から7位でまとめて4位キープ。7区8区でやや力尽きたものの、うまく育成してきた印象で、箱根も楽しみになって来た。
差が開いて8位から10位が固まって来た。8位と9位は箱根予選組の拓大と早大。拓大は総合10位前後を推移、5区鈴木選手の区間4位とアンカー井上選手の2人抜きの力走が光った。早大は2区起用のエース佐藤選手が頑張り区間2位、予選とメンバー入れ替えながら一桁順位で戦い抜きました。
大東大は1区抜擢金子選手が大きく出遅れてしまいました。3区真名子7区池田選手の区間3位などで追い上げる見せ場がありましたかね。そこから遅れた日大も同じく序盤で流れを失い3区中山選手の区間5位以外は区間二けた、アンカー山本選手でも追い上げきれず。関東地区最下位の法大は予選会から全体的にピーキングずれした印象でした(だからこそ箱根のインパクト凄かったのですよねぇ)
地方では、留学生2人と下森選手の2区3位の好走があった第一工大が4区終了時で総合5位の健闘があった中で総合13位。また鹿屋体育大3年永田選手が1区区間賞。区間2位順大入船選手に13秒差をつけました。
箱根駅伝2000(第76回)結果
2位順天堂大学11時間7分35秒
3位中央大学11時間9分58秒
4位帝京大学11時間16分48秒
5位日本大学11時間17分42秒
6位早稲田大学11時間18分12秒
7位東海大学11時間20分00秒
8位神奈川大学11時間20分18秒
9位山梨学院大学11時間22分58秒
以上シード校
10位法政大学11時間23分27秒
11位日本体育大学11時間25分37秒
12位大東文化大学11時間26分54秒
13位関東学院大学11時間26分58秒
14位拓殖大学11時間28分34秒
15位東洋大学11時間40分45秒
箱根駅伝に関しては、これから区間ごとに詳細をまとめていくわけですが…
結果を見るとやはり順当なところと驚きなところがありますね。駒澤大の初優勝、前回の優勝校順大の2位、伝統校中大の3位あたりは順当でしょう。
しかし、そのあとですよね。帝京大が4位大躍進!予選トップ通過果たしたとはいえ、今まで最下位しかなかったチーム。往路では特に見せ場がありました。
また、優勝候補にも挙げられた神奈川大・山梨学院大が辛勝のシード権獲得。特に山梨学院大は出雲と全日本駅伝は2位でしたから…。多くのドラマがあった第76回箱根駅伝2020をこれから振り返っていきます。