箱根駅伝2020が終わって時間がたちましたね。
今年も、区間ごとの定点間分析を行っていきます。
熾烈なトップ争い、そして不滅と言われた記録を11年ぶりに更新した相澤選手らが走った2区となります。
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8チームが100m以内に入る混戦でスタートした2区。留学生の創価大ムイル選手、優勝を狙うチームでは東海大塩澤選手、青学大岸本選手、國學院土方選手がその中に含まれています。経験豊富な駒大山下選手はおのやや後ろから。
さらに2分前後の差で、注目ランナーの東国内伊藤選手と東洋大相澤選手が追い上げる形、留学生もその後ろ、日大ドゥング選手と拓大レメティキ選手のルーキー、さらに前回トップ中継した国士大ヴィンセント選手は最下位の4分12秒差でスタートとなった。
参考:85回モグス(山学)22分56秒
突っ込んで入った青学大ルーキー岸本選手
トップで襷をもらった創価大ムイル選手は最初の1㎞は2分50秒。普通のペース位の入りでしたが、既に國學院土方・日体大山口・東海大塩澤選手が追いついている。他の選手は2分40秒台で突っ込んだようだ。
その後ろの5位争い青学大岸本・中学大川村・早大太田選手が固まりなったが、1.6㎞あたりで帝京大星選手だけ遅れる。もっとも、イーブンペースで刻むのが得意な選手、敢えて付かなかったようだが。
トップ争いはムイル選手が引っ張るが、ペースアップはなく4選手とも淡々と刻む形に。5㎞は14分28秒は2区は平凡なペースだ。5位集団からは青学大ルーキー岸本選手が引っ張って、2.4㎞で追いついた。17秒の差を一気に埋めてきたが、ルーキーながらこういう突込みができる選手だ。
横浜駅前では、後ろから追いついた青学大岸本、早大太田選手あたりが区間3位や4位のペース、突っ込んで入った結果だ。後ろ帝京星選手はマイペースで12秒差あたりで走っています。
5.6㎞からランウェイになった東洋相澤&東国伊藤選手
9位争いは、3年連続2区の駒大山下選手が、明大加藤選手を突き放して単独9位を走行。区間14位が気になったが、タイム差は僅差でそれほどは気にならなかった。全く当て馬と思われた明大ルーキー加藤選手が区間17位ながら健闘の印象だった。
さて、その後ろが大きな順位変動があった。東国大伊藤、東洋大相澤選手の追い上げが早くも始まっていた。伊藤選手は1.8㎞までに神大北崎、筑波金丸選手を交わす、後ろ相澤選手は、2.8㎞で北崎、4.2㎞で金丸選手を捉える。
さらに5.6㎞、相澤選手が伊藤選手に並びかける。伊藤選手5㎞が14分18秒のペースだから、相澤選手ははるかに上回ることになる。ここから長きにわたりランウェイが行われることになるが、またもう少し後だ。横浜駅前では並走で1分34秒差とトップとの差を詰めている。
後ろは留学生選手がやはり追い上げてきて日大ドゥング選手や拓大レメティキ選手が筑波や神大を交わしてそれぞれ浮上した。神大北崎選手が心配で、横浜駅前で、1分後ろだった順大藤曲・中大川崎選手の集団にも追いつかれていた。
東洋相澤選手に抜かれた際1㎞近く食らいついていたが、5㎞地点で既に口が開いていたが、もしかすると無理がたたったかもしれない。我慢の走りとなっている。
後方、連合の農大山口選手を挟んで、19位ライモイ選手が通過。0.3㎞で早くも法大鎌田選手を捉えたが、前はまだまだ先にいる展開だ。それでも横浜駅前通過は1番。さすがの快走だ。今後が気になるところだ。
参考:85回モグス(山学)20分22秒(43分18秒)
トップ争いは4名に絞られてくる
引っ張るムイル選手がそこまでペースが上がってこない事もあり、ややけん制気味のトップ集団。動きを見せたのが往路優勝を狙う國學院大主力土方選手だ。
横浜駅前通過直後に、前に出てぐっとペースを上げる。程なくして、日体山口選手が脱落。山口選手は11.7㎞で帝京星選手に捉えられて8位へ後退する。
トップ集団は、10㎞の給水で、早大の担当の人が転倒するアクシデントがあったが、東海塩澤選手が代わりに給水を私て事なきを得た。選手間の給水リレーなど、こういうのが多く見られるようになったのはいいことなのかなと思う。
集団も徐々に絞られてきた。14.5㎞地点で中学川村選手が脱落、さらにこの定点付近から創価大ムイル選手も後退。土方選手がこの定点間4番目のタイム、67分前半タイムまであげてきていることもあり、土方・塩澤・太田・岸本選手の4名になってきた。権太坂でやはり動き出した。
相澤選手が65分台ペースに!駒大山下選手らも交わしていく
東洋相澤・東国伊藤選手の並走は続いている。けん制することなく、ハイペースを維持し続けている。10㎞28分22秒(相澤選手)で通過し、10.9㎞で明大加藤選手を捉え、さらに14.1㎞でなんと駒大山下選手まで捉える。
山下選手の動きが硬く、苦しそうな表情で後退。長い距離で伸びのある走りをするのが持ち味だが、最後の箱根どうしただろうか。大八木監督「権太坂の下りでペースアップしよう」だが、ちょっと苦しそうに見える。
その山下選手を完全に置き去りにして、相澤・伊藤選手が通過。この定点間は20分08秒と相当なハイペース。そして…相澤選手は、二度と破られないと言われていた山学大モグス選手より上回りだしたのだから信じられない。66分半切までは予期していたが…。
拓大レメティキ選手が高ペースを維持
後ろから追い上げる留学生でも、結構差ができている。拓大レメティキ選手がしっかりと中間走も走っていて、13.8㎞で日大ドゥング選手を交わしてく場面があった。定点間3番目でいいペースだ。
国士ライモイ選手は、失速が続く神大北崎選手を交わしたものの定点間12番目。添田監督が「靴ひもが2度解けて、止まって結びなおした」とあったが、この間だろうか。
完全に単独最下位に落ちた法大鎌田選手が5分28秒差、前と1分17秒差で通過。ここまで遅れるとはちょっと思わなかった。坪田監督「(5区山登りの)青木が何とかしてくれる」差で踏みとどまれるか、早くもギリギリのところ、孤独な戦いが続いていた。
参考:85回モグス(山学)22分46秒(66分04秒)
最後の最後、まさかの青学大ルーキー岸本選手
権太坂の下り15.8㎞で、今度は早大太田選手が前に出る。彼も3年連続の華の2区、前回は故障明けで大きく順位を下げてしまっただけに、気合が入っている。それでも他の3選手が離れないのが今回の箱根駅伝だ。
靴の影響もあるが、くしくもこのあたりから日が陰って来たとこと。ハイペースをさらに加速させそうだった。
このあたりから、徐々に青学大岸本選手が注目され始めてきた。18㎞通過51分48秒は、日本人記録とそうそう変わらないという。12月に一時故障離脱も、原監督が自信をもって配置しただけのことはある。
その原監督は「先輩についていけばいいよ。早大太田くんいいよ~」と身も蓋もないアドバイスを送っていたようですが…。
さて、最後の不動坂だ。原監督「66分台が出るぞ!」との指示に、各選手懸命の走りだ。東海塩澤選手が引っ張る。引っ張っていた國學土方・太田選手が苦しそうに5m後退しながら懸命に粘る中、不気味になって来たのが岸本選手。表情はさほどかわらず飄々と塩澤選手の斜め後ろにつく。
そして22.6㎞地点だった。青学岸本選手が初めてスパート。3年生以上の上級生を突き放して単独トップに躍り出た。ここはさすがに原監督も予想外だったそうですが、すかさず「後ろ来てるからもう一度!」と檄を飛ばす。
後ろ先輩たちも懸命に食らいつき、早大太田選手が最後に迫って来たが、1秒差で逃げ切ってトップ中継。繋ぎと思われた2区ルーキーが、まさかの7人抜き首位に躍り出た。ここは優勝を争ううえでも大きなポイントとなる。
67分03秒と、東海大伊達選手が持っていた日本人1年生記録を大幅更新した。もっとも本人は、「あと少しで66分台だったのに~」ということ。末恐ろしいルーキーだった。
後ろ、2位早大太田、3位東海塩澤、4位國學土方選手までが1秒差ずつ。まだまだ往路優勝争いは混とんとしていた。
ランウェイは20.4㎞で蹴り、東洋相澤選手が65分台大記録!
5位は帝京星選手が27秒差でリレー。先頭から落ちてきた選手を一人ずつ拾っていった形。中継車が付かなかったため、ほとんど目立たなかったが、この単独走の67分前半はもっと評価されるべきだが…。
さて相澤・伊藤選手の争いだ。権太坂の下りで、一時相澤選手が前に出るも、15.8㎞で伊藤選手が抜き返し、相澤選手が懸命につく場面も。このあたり激しい競り合いは区間記録を予感させた。19.5㎞で日体山口選手を交わして9位タイに浮上する。
この競り合い、20.4㎞でついに決着がつき相澤選手が前へ。15㎞に渡った伊東選手「楽しいデート」はここで終了した。直後の20.8㎞で中学大川村選手を交わして単独7位へ。相澤選手は7人抜きだ。
そして、創価大ムイル選手の背後に迫ったところでリレー。そして個人記録65分57秒の11年ぶりの区間新記録!8秒遅れて伊藤選手もゴール。こちらも66分18秒のハイレベルの走りだった。選手の不断の努力、気象条件、そして良きライバルと、条件が揃い、樹立された記録だ。なお、相澤選手は大学駅伝4区間記録保持者となった。
拓大レメティキ選手&国士ライモイ選手が66分台、明大加藤選手らもびっくり好走!
後ろ、不動坂で順位を落とした中学川村選手を、直前に日体山口選手が交わしてリレー。終盤はともに苦しい走りだったが、川村選手は定点間19番目でやや勿体ない失速だった。
そのあとやてきたのは、こちらも素晴らしいスピードを維持した拓大レメティキ選手。20.7㎞で駒大山下選手を交わして、前10秒に明大加藤選手がいた状況だった。中継所までに交わして11位まで浮上したのは見事。権太坂以降ではトップの走りだった。1年生の歴代記録を更新する66分18秒だった。
直後に食い下がった明大加藤選手も1年生として相当な記録の67分台。大学入学後故障などもあって箱根予選は走っていなかったルーキー。山本監督は、上尾ハーフの走りを見て、直感で2区いけそうとみたそうだが…。本人と監督の見る目に、凄さがあった。
その後ろやや差が離れて駒大山下選手。明大加藤選手に抜かれて、不動坂でかなり離されてしまった。大聖・山下選手の並びで13位通過はちょっと予想できなかった。最後の調整がうまくいかなかったのでしょうが、駅伝の怖さを感じました。
後方はかなり差が離れ、日大ドゥング選手。権太坂以降は全く伸びずに18番目のタイム。前とちょうど1分の14位は、これまた予想外に後方の位置となった。1区2区ともに悪くはなかったが、高速化についていけていない状況に見える。
15位争いは接戦で、筑波金丸選手が権太坂以降は順大藤曲選手に食い下がり奮闘。最後は僅かながら突き放した。定点間13番目だった。この間に、最後あげてきた国士ライモイ選手。20.8㎞で中大川崎選手を抜く映像が映ったが、最後その前のグループまで追いついた格好。それででも16位。66分台だが、前との差が大きすぎたようだ。
そのあとに中大川崎選手。駅伝ファン全く予想しなかった2区出走だったが、69分01秒はこらえただろうか。藤原監督「3区から8区で攻める」ということだったが、この差はどうなるか。
ここから1分半離れて、個人タイム70分オーバーしてしまった農大山口選手と神大北崎選手。数年前までなら区間中位のタイムだが、今回はブレーキだった。後ろ30秒程で、法大鎌田選手が、権太坂以降はよく追い上げ、トップと5分54秒差で繋いだ。何とか流れを作り直せる位置には踏みとどまった格好だ。
ここまでは青学大が予想以上、國學院と東海大はミスなく繋ぎ、東洋大もそこそこ追い上げてきた。駒大がうまくいかなかった。これに早大がトップ争いに加わり、ダークホース候補の東国大や帝京大も不気味な位置にしっかりと位置していた。