藤色と臙脂の意地/”登り”で輝いた選手/初の往路一桁ターン/揺るがなかった往路3連覇
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第93回箱根駅伝【定点別分析・5区】
定点間色分け:1位 2位3位 4位5位6位 7位8位 15位16位17位 18位19位20位
箱根湯本2.5㎞
3位貞永(青学)7分58秒①
2位安井(早大)7分55秒②1:26
5位橋本(東洋)7分59秒③1:53
8位佐藤(帝京)8分02秒④3:04
11位山田(順大)8分08秒⑤3:25
15位江藤(創価)8分12秒⑤3:25
13位大野(神大)8分09秒⑦3:35
15位生澤(法大)8分12秒⑧6:16
5位大塚(駒大)7分59秒⑨6:19
18位戸部(拓大)8分14秒⑩6:35
10位辻野(日体)8分07秒⑪6:52
20位細谷(中学)8分20秒⑪6:52
1位舘澤(東海)7分45秒⑬6:55
11位川口(日大)8分08秒⑭6:59
3位奈良(大東)7分58秒⑮7:35
7位森田(上武)8分00秒⑯7:44
8位上田(山学)8分02秒⑰8:50
14位薮下(明大)8分11秒⑱9:30
17位市川(國學)8分13秒⑲10:45
OP廣瀬(連合)8分21秒(20)11:25
19位藤江(国士)8分19秒⑳16:31
箱根山に本格的に入る前の定点ポイント。総合順位はまだ大きな変化は見られないものの、それぞれ突っ込んだ選手やゆったりしたペースの選手とそれぞれみていきたい。
こう見ると上位陣はみんな早い入りでしたね。早大・安井選手がかなり速い2番目のタイムで突っ込みますが、青学・貞永選手も詰めさせていないですね。東洋・橋本選手も結構追っていて、少し離れているところ、帝京・佐藤選手もまずまず、順大・山田、創価・江藤選手らはここはやや離され気味だ。
また11位以下でも一桁タイムで入った選手が何人もいて、その筆頭は注目の舘澤選手。中継点で100m前にいた日大・川口選手を早くも交わし、一番遅い入りとなった中学・細谷選手が眼前に迫っていた。細谷選手は故障から何とか間に合わせたという情報があったので、その影響がこの時点では心配された。
後ろでは一組目の親子鷹である大東・奈良選手がかなり速い入り、1㎞3分00秒、2㎞6分15秒で突っ込み3番目の入りだ。思い切っていけという監督の指示通りの走りだ。3年連続山登りの上武・森田選手や実力者の上田選手を引き離している。このあたりの走りと今後には注目をしていたい。
大平台7.0㎞-箱根湯本2.5㎞=4.5㎞
参考:今井(81回)22分28秒
ここまでトップ:舘澤(東海)23分13秒4位貞永(青学)15分28秒①
13位安井(早大)15分58秒②1:56
10位橋本(東洋)15分40秒③2:05
6位山田(順大)15分32秒④3:29
18位佐藤(帝京)16分15秒⑤3:51
17位大野(神大)16分10秒⑥4:17
19位江藤(創価)16分20秒⑥4:17
2位大塚(駒大)15分16秒⑧6:07
12位生澤(法大)15分42秒⑨6:30
1位細谷(中学)15分15秒⑩6:39
10位戸部(拓大)15分40秒⑪6:47
4位舘澤(東海)15分28秒⑫6:55
9位川口(日大)15分36秒⑬7:07
15位辻野(日体)16分02秒⑭7:26
3位森田(上武)15分26秒⑮7:42
14位奈良(大東)16分01秒⑯8:08
6位上田(山学)15分32秒⑰8:54
8位薮下(明大)15分35秒⑱9:37
16位市川(國學)16分07秒⑲11:24
OP廣瀬(連合)16分30秒(20)12:27
20位藤江(国士)16分22秒⑳17:25
貞永選手がとてもいいですね。5㎞通過は想定より40秒早いらしく、とても快調だ。逆に安井選手の脚が動かず一気に30秒以上開き、後ろ橋本選手が迫ってきた。タイム順を見ると橋本選手が追ってきたというよりは安井選手が苦しかったか。足の張りがスタート直後からあったそうでその影響が出ていたようだ。この時点で早大は苦しいかと思われた。
その後ろでは躍進が始まった山田選手が4位争いから抜け出した。先ほど並んでいた江藤選手、前にいた佐藤選手も交わした。佐藤選手が顔が苦しそうでちょっと心配な感じだ。また、駒大・大塚選手がさすがな走り、実は走り始めから足は重かったというか走力と適正は高い。法大・生澤選手を交わして、前は3分近く離れていたが一気に追い上げ始めている。
なお、この定点間で一番早かったのは、なんと先ほどの定点間最下位だった細谷選手。元々登りに入ってから勝負ということだったが、この切り替えは見事、5㎞過ぎでは背後に迫っていた舘澤選手に実況が注目していたが、直前のCMよりもじわじわ差が広がっていた。舘澤選手もまだまだ勢いがあった中、驚異の走り、拓大・戸部選手もとらえて10位浮上でどうなるかと思われた。
その後ろでは森田選手がいよいよペースアップ。奈良選手を交わすと、こちらも少し落ちてきた日体・辻野選手も背後に迫る。上田選手もリズムよく上っており、さらにその後ろリベンジを狙う明大・薮下選手もペースアップ。後ろからの追い上げも注目だ。後方の國學・市川、連合・廣瀬、国士・藤江選手は中々ペースが上がらず、この区間かなり厳しい結果になりそうな感じだ。
小涌園前11.7㎞-大平台7.0㎞=4.7㎞
参考:今井(81回)16分46秒
9位貞永(青学)18分34秒①
8位安井(早大)18分28秒②1:50
17位橋本(東洋)19分02秒③2:33
3位山田(順大)18分03秒④2:58
15位大野(神大)18分47秒⑤4:30
19位佐藤(帝京)19分19秒⑥4:36
18位江藤(創価)19分10秒⑦4:53
2位大塚(駒大)18分02秒⑧5:35
1位細谷(中学)17分56秒⑨6:01
6位生澤(法大)18分22秒⑩6:18
4位川口(日大)18分04秒⑪6:37
10位戸部(拓大)18分37秒⑫6:50
11位舘澤(東海)18分38秒⑬6:59
5位森田(上武)18分06秒⑭7:14
12位辻野(日体)18分41秒⑮7:33
14位奈良(大東)18分46秒⑯8:20
7位上田(山学)18分27秒⑰8:47
13位薮下(明大)18分45秒⑱9:48
16位市川(國學)18分49秒⑲11:39
OP廣瀬(連合)19分29秒(20)13:22
20位藤江(国士)19分32秒⑳18:23
このあたりに入って貞永選手はさすがにペースは落ち着いてきたか。それでも中野ジェームス氏の体幹トレーニングが効いているか、安井選手との差は詰めさせない。橋本選手はやや失速気味で急遽任されたのも影響しているか。後ろ覚醒してきた山田選手がかなり迫っている。
なお、その山田選手をはじめ、かなりいいタイムで登っている選手が5人いる。ペースの上がらない5位争いを一気に追い上げている大塚選手、更にこの定点間でもトップで唯一17分台を記録した細谷選手が大塚選手を追い上げる展開だ。8位だった法大・生澤選手もいい走りをしていたものの順位を下げている。
その直後も驚いた。早々13位へ順位を落としていた日大・川口選手が、いつのまにか戸部・舘澤選手を交わして11位へ浮上。登りの適正ありで自信をもって送り出した選手がここでさく裂、また森田選手も辻野選手を交わして14位へ浮上。前も見てきており、まだまだ順位の変動がありそうな状況だった。
芦之湯15.8㎞-小涌園前11.7㎞=4.1㎞
今井(81回)14分26秒
12位貞永(青学)16分17秒①
6位安井(早大)15分46秒②1:19
2位山田(順大)15分29秒③2:10
11位橋本(東洋)16分15秒④2:31
15位大野(神大)16分26秒⑤4:39
4位大塚(駒大)15分38秒⑥4:56
18位江藤(創価)16分46秒⑦5:07
19位佐藤(帝京)16分52秒⑧5:11
1位細谷(中学)15分27秒⑧5:11
9位生澤(法大)16分04秒⑩6:05
5位川口(日大)15分45秒⑩6:05
3位森田(上武)15分35秒⑫6:32
10位戸部(拓大)16分05秒⑬6:38
13位舘澤(東海)16分23秒⑭7:05
8位辻野(日体)15分55秒⑮7:11
7位上田(山学)15分55秒⑯8:25
14位奈良(大東)16分25秒⑰8:28
16位薮下(明大)16分31秒⑱10:02
17位市川(國學)16分44秒⑲12:06
OP廣瀬(連合)17分24秒(20)14:29
20位藤江(国士)17分59秒⑳20:05
トップ貞永選手はちょっとペースダウン。入りが早かったがここで少し疲れが見えたか。逆に宮ノ下から自分のリズムで走れるようになったという安井選手が詰め寄り始める。もう一波乱ありそうな展開だ。また3位は勢いが止まらない山田選手が橋本選手を交わして上がってきた。長門監督が入学時からいつか山に起用したいと思っていた選手だというが、これほどまでに仕上がっていたのは驚きました。前の早大とも1分切って切る健闘ぶりだ。
また、大塚選手が3分ほど離れていてた前のチームをついに捉え6位に浮上、大野選手も視界に入っている。さらにその後ろ、登りの定点間は全部トップの走りだった細谷選手も江藤・佐藤選手を捉えて浮上、順位を上げてひたひたと追ってくる。注目があったのは下りに入ってからだが、登りで一番輝いていた選手だ。
後ろはテレビ中継はなかったが大きな動きがあった。川口選手が10位に浮上、森田選手も12位に上げた。舘澤選手がペースが落ちてきて、ここにきてあげてきた辻野選手が背後に迫る。更に、上田選手が奈良選手を捉える親子鷹同士が交える場面も。このあたりのクロスもとても面白い、本当に大古銭になっていた。
元箱根18.7㎞-芦之湯15.8㎞=2.9㎞
12位貞永(青学)9分34秒①
3位安井(早大)9分00秒②0:45
7位山田(順大)9分17秒③1:53
13位橋本(東洋)9分38秒④2:35
2位大塚(駒大)8分58秒⑤4:20
6位大野(神大)9分15秒⑤4:20
4位細谷(中学)9分07秒⑦4:44
15位江藤(創価)9分42秒⑧5:15
15位佐藤(帝京)9分42秒⑨5:19
1位森田(上武)8分46秒⑩5:44
10位川口(日大)9分29秒⑪6:00
10位生澤(法大)9分29秒⑪6:00
9位戸部(拓大)9分28秒⑬6:32
5位辻野(日体)9分11秒⑭6:48
14位舘澤(東海)9分40秒⑮7:11
8位上田(山学)9分20秒⑯8:11
20位奈良(大東)10分50秒⑰9:44
17位薮下(明大)9分49秒⑱10:17
18位市川(國學)9分56秒⑲12:28
OP廣瀬(連合)10分21秒(20)15:16
19位藤江(国士)10分11秒⑳20:42
1位と2位との差が一気に詰まっていた。貞永選手が下りでも走りが切り替わらなかった。解説で神野さんが序盤でアームウォーマーを付けていないことを指摘していたが、箱根山中で体が冷えてしまって動かなかったようだ。寒さ対策一つで走りが大きく変わるのが箱根の怖いところ。下りが得意な安井選手が一気に1分以内に詰めてきている。
また、下りが得意な選手と言えば、上武の森田選手もそうで、そのタイムに注目していたが、見事にトップのタイムで走破している。下りで一気で川口・生澤選手を交わして、ついにシード権内10位に浮上、前の江藤・佐藤選手が苦しんでいるだけにまだ前もとらえられるかもしれない。他、大塚選手も順調に大野選手を捉えてさすがの駒大の4年生の走りとなっている。
芦ノ湖FINISH20.8㎞-元箱根18.7㎞=2.1㎞
6位貞永(青学)7分12秒①
3位安井(早大)7分00秒②0:33
14位山田(順大)7分43秒③2:24
8位橋本(東洋)7分17秒④2:40
1位大塚(駒大)6分53秒⑤4:01
9位大野(神大)7分18秒⑥4:26
4位細谷(中学)7分03秒⑦4:35
2位森田(上武)6分56秒⑧5:28
12位江藤(創価)7分37秒⑨5:40
10位川口(日大)7分22秒⑩6:10
19位佐藤(帝京)8分14秒⑪6:21
15位生澤(法大)7分45秒⑫6:33
5位辻野(日体)7分08秒⑬6:44
11位戸部(拓大)7分31秒⑭6:51
18位舘澤(東海)8分00秒⑮7:59
6位上田(山学)7分12秒⑯8:11
17位薮下(明大)7分52秒⑰10:57
20位奈良(大東)9分12秒⑱11:44
16位市川(國學)7分51秒⑲13:07
OP廣瀬(連合)7分56秒(20)16:00
13位藤江(国士)7分42秒⑳21:12
最終的には貞永選手が最初に芦ノ湖FINISHとなった。薄氷を踏む思いではあったものの、復路に主力を温存しており、それでも往路優勝したのは最高の結果だったのではないか。安井選手が最終的に33秒差まで詰め寄り意地を見せたものの、貞永選手も最後に回復、流れは引き渡さなかっただろう。早大は一途の望みを繋いだ格好だ。
3位は一時早大と1分以内とした山田選手が2分以上差となってやってきた。実は最後の2㎞は意識が飛ぶくらい苦しい走りとなっていたそうだ。最後の意地を見せた橋本選手がすぐ背後に迫っていた。それでも箱根ファンに大きなインパクト残したうえ、まだ2年生、伸び代たっぷりで今後楽しみな選手となった。
5位は期待に違わぬ走りを見せた大塚選手がゴール。残り1㎞で「区間賞を取らなければいけないんだ」と大八木監督からの鼓舞があり、ペースアップし区間賞もゲット。見事に4区のブレーキをチャラに。マラソンへ弾みがついただろうか。6位はチームとしては大躍進の神大、2区からさすがに順位は落ちたが、大野選手が下りからは踏ん張った。7位には細谷選手が救世主の活躍を見せた中学大。全日本欠場した2人が4区5区を担い順位を上げた。プラスαが出てくれた。
さて、8位にはテレビを見ていて驚いた上武・森田選手が16位から8人抜きでやってきた。残り1㎞地点で区間賞ペースとなったようだが、最後は大塚選手の力が勝ったか。それでも力を出し切って、出場9回目で初の往路一桁ターンに上武大を導いた。直後に2回目の出場で往路一桁となった創価大も見事。5区は予定の選手が貧血となったため仕方なかったが一桁で踏ん張ったともいえる。大躍進の2チームは復路でも粘れるのか。
その後ろ10位に注目したが14位までが直線で見える大混戦。1区2区不発ながらも5区で取り返した日大がギリギリ10位、そして過緊張からか4位から一気にダウンしてしまった帝京佐藤選手が11位、4つ順位を落としたものの初エントリーから区間10位で粘った法大生澤選手が12位、終盤にうまくペースアップしてじわりシード権に迫った辻野選手が13位、予選を故障欠場から箱根一本に合わせてきた戸部選手が14位…10位から14位までわずか41秒差だ。
その後ろは少し離されてしまった舘澤選手。最後はかなり疲れて往路15位。1年生の勢いや青学原監督の発言に、全体的に舞い上がってしまっていた…かもしれない。箱根はそう簡単に攻略できないと天下の険は私たちに再確認させたようだ。その後ろ、こちらも優勝候補と目された山学大。急造5区の上田選手は恵明学園から足が痙攣する苦しい走りだったが、何とか区間一桁。復路は駒はあるが、往路に来るべき選手が欠場している状況ではしっかりオーダーが組めるのかどうか心配された。
そこからは一気に3分離れ、復路一斉スタート。最後は脚が止まったという薮下選手が17位、その後ろに大きく失速しジョギングのペースになってしまった奈良選手がやってきた。大東は3区まで8位だったが、4区5区で連続失速、今回は本当に1年生に厳しい箱根になっている。19位國學大市川選手は高校時代5千15分38秒、登り一本に絞ってきた選手だが、前を上げることができなかった。
残りの2チームは5区でも80分かかってしまった。連合・廣瀬選手も高校時代5千15分台から関東学院大らしく這い上がってきたが、箱根山攻略までは至らなかった。最後、5分以上間があいて、国士・藤江選手。腰痛分離症で走れない時期も続いた。途中で立ち止まるほど苦しんんでここも前を追うことができず、3年前とほぼ同じ展開となってしまった。
全体的には優勝は青学大が見事往路3連覇で復路も視界良好か。ただ、前回ほど断トツではなかったためか、16位までが時差スタートでシード権争いが見やすくなった。そのシード権争いは5位駒大から16位山学大まで4分11秒。サバイバルレース、生き残れるのはどこのチームか大変注目が集まることとなった。