第92回箱根駅伝を定点別に分析しています。
今度は山登りの5区になります
キング・オブ・ゴット 留学生初の栄誉
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第92回箱根駅伝【5区定点別分析】
定点間色分け:1位 2位3位 4位5位6位 7位8位 15位16位17位 18位19位20位
【箱根湯本5.0㎞】
参考:青学・神野(91回)14分47秒
参考:日大・キトニー(91回)14分56秒
2位神野(青学)15分00秒①
3位五郎谷(東洋)15分06秒②2:34
4位大塚(駒大)15分08秒③4:07
16位前田(山学)15分33秒③4:07
4位山本(中学)15分08秒⑤6:18
6位安井(早大)15分12秒⑥6:35
14位田中(順大)15分31秒⑦6:45
7位加藤(帝京)15分16秒⑧7:14
10位馬場(拓大)15分19秒⑧7:14
12位中舎(城西)15分30秒⑧7:14
18位室伏(日体)15分37秒⑧7:14
8位藪下(明大)15分18秒⑫7:35
8位宮上(東海)15分18秒⑬7:38
1位キトニー(日大)14分41秒⑭9:07
OP工藤(亜大)15分57秒(⑮)9:25
11位濱登(東国)15分21秒⑮9:48
15位小谷(中大)15分32秒⑯10:56
19位西山(神大)15分50秒⑰11:42
20位林(大東)15分59秒⑱14:28
17位森田(上武)15分35秒⑲15:45
12位細川(法大)15分30秒⑳15:48
2度の疲労骨折、全日本直後にも怪我をし、ぎりぎり間に合わせた青学・神野選手がひた走る。1㎞2分50秒、5㎞15分00秒と前回より13秒遅いタイムだが、それでも全体2番目のタイム。東洋・五郎谷選手をじりじり引き離し始めている。一番早いタイムで駆け抜けたのは、日大・キトニー選手。3年連続山登りで前回区間2位、神野選手の不調でにわかに区間賞候補に挙がっている。学連・工藤選手との1分差を3㎞でパスし、どんどん前を追っていく。まだ前は1分半離れているがどこまで追い上げるか注目となっている。
3位争いは早くも動きが。全日本8区で日本人トップの走りを見せて満を持して起用された駒大・大塚選手が、山学・前田選手との25秒差を埋め、これまたわくわくさせる走りとなっている。5位争いは、順大・田中選手がゆったり入ったのと対照的に、中学・山本、早大・安井選手が突っ込んで入って一つずつ順位を上げている。その後ろでは、11位でスタートした帝京・加藤選手が飛ばして、拓大・馬場選手と城西・中舎選手に追いつき、更に前にいた日体・室伏選手まで置いついて、4人による8位争いとなっている。帝京大の主力選手として是が非でも稼ぎたいところ。
また、その20秒後ろでは、明大・藪下選手と東海・宮上選手が競い合いながら登る。この2人の追い上げも見物と思われる。ただ、定点直後の函嶺洞門では、藪下選手が交わされて、重そうな足取りで引き離されつつあるのが気になったが…。他、実力者では神大・西山選手が19番目のスローな入り、登りになって上がるのか気になった。
【大平台9.4㎞-箱根湯本5.0㎞=4.4㎞】
参考:青学・神野(91回)14分43秒
参考:日大・キトニー(91回)15分09秒2位神野(青学)15分08秒①
4位五郎谷(東洋)15分20秒②2:46
3位大塚(駒大)15分19秒③4:18
13位前田(山学)15分50秒④4:49
6位安井(早大)15分29秒⑤6:56
16位山本(中学)15分55秒⑥7:05
16位田中(順大)15分55秒⑦7:32
8位加藤(帝京)15分39秒⑧7:45
8位馬場(拓大)15分39秒⑧7:45
8位中舎(城西)15分39秒⑧7:45
8位室伏(日体)15分39秒⑧7:45
5位宮上(東海)15分24秒⑫7:54
18位藪下(明大)16分16秒⑬8:43
1位キトニー(日大)14分59秒⑭8:58
OP工藤(亜大)15分55秒(⑮)10:12
15位濱登(東国)15分53秒⑮10:33
19位小谷(中大)16分18秒⑯12:06
7位西山(神大)15分37秒⑰12:11
12位細川(法大)15分48秒⑱16:28
14位森田(上武)15分51秒⑱16:28
20位林(大東)17分08秒⑱16:28
前回ほどまではいかずもやはり神野選手は強い。留年してリベンジを誓った五郎谷選手、期待の大塚選手もいい走りを続けているものの、少しずつ差が開いていく。区間賞ペースのキトニー選手は遙か彼方後方。トップは安泰か。
さて、定点タイムを見ていると、登りに入ってかなりのペース変動があった。期待の選手もいれば、不安になる選手がいる。早大・安井選手は前回8区で見せた登りの適性を発揮、山本選手を交わし5位に浮上。早大が上位戦線が戻ってきた。逆に交わされた山本選手が心配になる程苦しい表情。ペースも前回の定点から大きくダウンし、様子が気になった。
後ろでは3年連続山登りの宮上選手が本領を発揮しだし、加藤選手の影響でペースがあがっている8位争いを、詰めにかかっている。追いつくのも時間の問題か。逆に、藪下選手が急落。1分近く引き離されている。かなり離れていたはずのキトニー選手がすぐ後ろに迫っている。ここも首をかしげるほどのペースの落ちようだ。
また、西山選手がペースアップした反面、3年連続となる中大・小谷選手が急落。早めに東国大に追いつこうとしたところ、差し込みが来てしまったようだ。また、大東・林選手がダントツで最下位のタイム。急遽走る事になり走りが掴めないのか。並走している法大・細川、上武・森田選手が一気に追い越し、そのまま突き放しそうな感じだ。
【小涌園前14.0㎞-大平台9.4㎞=4.6㎞】
参考:青学・神野(91回)16分46秒
参考:日大・キトニー(91回)17分36秒1位神野(青学)17分27秒①
4位五郎谷(東洋)17分54秒②3:13
5位大塚(駒大)18分01秒③4:52
8位前田(山学)18分30秒④5:52
7位安井(早大)18分19秒⑤7:48
3位宮上(東海)17分50秒⑥8:17
8位田中(順大)18分30秒⑦8:35
16位山本(中学)18分57秒⑦8:35
8位加藤(帝京)18分30秒⑨8:48
8位馬場(拓大)18分30秒⑨8:48
8位中舎(城西)18分30秒⑨8:48
2位キトニー(日大)17分30秒⑫9:01
19位室伏(日体)19分50秒⑬10:08
18位藪下(明大)19分24秒⑭10:40
6位濱登(東国)18分13秒⑮11:19
OP工藤(亜大)18分36秒(⑯)11:21
14位西山(神大)18分32秒⑯13:16
15位小谷(中大)18分37秒⑯13:16
13位森田(上武)18分31秒⑱17:32
17位細川(法大)18分59秒⑲18:00
20位林(大東)20分11秒⑳19:12
一番登りの傾斜がきつい宮ノ下を挟んだこの定点、初めて神野選手がトップに。さすがホームグラウンドというべきか。五郎谷選手ともここで3分以上の差へ、着々と往路完全優勝へ歩を進めている。なお、上位争いは、山学・前田選手もここにきてペースアップしたことにより、膠着状態に。ここからの余力が勝負だ。
さて、そのすぐ後ろ、この定点間の主役というべき選手がやってきた。先ほど11位だった宮上選手が総合6位にまで浮上してきた。10㎞すぎに帝京らの大集団を交わすと11.4㎞で順大・田中選手をとらえ、更に落ちてきた山本選手も交わす。タイムもこの定点3番目のタイムでこのあたりの争いでは無双していたことが伺える。
また、8位争いからは日体・室伏選手が脱落、というより急落。平地から登りに入ってから急激にペースがあがったのが響いたのだろうか。一気に1分以上離れ、キトニー選手にも交わされた。ところで、キトニー選手は一気に5つ前の順大まで射程圏内に。山の兵がシード争いを大いに荒らしていっている。
【芦之湯18.2㎞-小涌園前14.0㎞=4.2㎞】
参考:91回神野(青学)14分39秒
参考:91回キトニー(日大)15分23秒2位神野(青学)15分19秒①
3位五郎谷(東洋)15分21秒②3:15
4位大塚(駒大)15分38秒③5:11
7位前田(山学)16分02秒④6:35
6位安井(早大)16分01秒⑤8:30
1位キトニー(日大)15分08秒⑥8:50
7位宮上(東海)16分02秒⑦9:00
10位田中(順大)16分08秒⑧9:24
11位加藤(帝京)16分23秒⑨9:52
17位山本(中学)16分44秒⑩10:00
15位中舎(城西)16分41秒⑪10:10
18位馬場(拓大)16分45秒⑫10:14
16位室伏(日体)16分43秒⑬11:32
5位濱登(東国)15分49秒⑭11:49
OP工藤(亜大)16分20秒(⑮)12:22
20位藪下(明大)17分57秒⑮13:18
11位西山(神大)16分23秒⑯14:20
11位小谷(中大)16分23秒⑯14:20
9位森田(上武)16分06秒⑱18:19
14位細川(法大)16分40秒⑲19:21
19位林(大東)17分43秒⑳21:36
さてレースは後半に。箱根山の頂上付近、突風が吹き荒れていた。ここから余力が残っている選手とそうでない選手とで差が一気に開きそうな感じだ。トップ2はこの間はほぼ膠着状態。大塚、前田、安井選手はそれよりも少し遅いペースで引き離されていっている。上位は本当に点々としている。
その後ろである。安井選手に迫っているのは宮上選手ではない。キトニー選手がこの定点間で一気に総合6位まであげてきたのだ。通算では9人抜きで3度目の正直でキトニー砲炸裂となっている。また、大きな集団だった9位争いも分かれてきた。ペースが落ち始めたところ、加藤選手が抜け出した。体調不良だったようだが、懸命の走りを見せている。
その後ろじりじり下がる山本選手が総合10位で通過。小涌園すぎで既に意識が朦朧としていたようだが、4年生の意地か、最低限のペースで走り続けている。やや息切れ気味の中舎・馬場選手とほぼ同じペースとなっている。また、ペースの落とし方が心配だった室伏選手も何とか踏ん張る。渡辺監督が「走れない選手の気持ちを考えろ」とかなり厳しい言葉が飛ばしていたそうだが、何とか持ち直した。
びっくりしたのがその後ろだ。もう一人軽快なペースで走っていたのが東国・濱登選手だ。1万30分台ながら秘密兵器と言われていたのだが、まさかここまでとは。フラフラになっている明大・藪下選手、それと学連・工藤選手を交わして、総合14位へ。この調子ならまだ順位を上げれそうな感じだ。まだ、もうひとドラマがありそうだ。
【元箱根21.1㎞-芦之湯18.2㎞=2.9㎞】
参考:91回神野(青学)8分36秒
参考:91回キトニー(日大)8分51秒
4位神野(青学)9分17秒①
3位五郎谷(東洋)9分12秒②3:10
5位大塚(駒大)9分26秒③5:20
11位前田(山学)9分47秒④7:05
1位安井(早大)9分02秒⑤8:15
2位キトニー(日大)9分10秒⑥8:43
10位宮上(東海)9分40秒⑦9:23
8位田中(順大)9分35秒⑧9:42
13位加藤(帝京)9分51秒⑨10:26
16位中舎(城西)10分08秒⑩11:03
17位馬場(拓大)10分12秒⑪11:09
19位山本(中学)10分40秒⑫11:23
8位濱登(東国)9分35秒⑬12:07
14位室伏(日体)9分52秒⑬12:07
OP工藤(亜大)9分40秒(⑮)12:45
6位西山(神大)9分32秒⑮14:35
20位藪下(明大)10分51秒⑯14:52
14位小谷(中大)9分52秒⑰14:55
7位森田(上武)9分34秒⑱18:36
11位細川(法大)9分47秒⑲19:51
18位林(大東)10分16秒⑳22:35
箱根山の吹き降ろしが猛威をふるったこの定点間、神野選手が最も苦しんだ区間。攣りそうになったお腹を抑える場面や風で蛇行する様子も見られた。前回は笑顔のような表情が見られたが、非常に険しい表情となった。それでも4番目のタイムなのはさすがといったところか。
さて、この間で一番早く走った選手は驚いた。早大・安井選手であった。キトニー選手がいつ追いつくかと言われていたが、差し込みがきて離れたのだ。ただ、それだけでなく、安井選手も素晴らしい走りを見せていたようですね。宮上選手は息切れで完全に離れていった。
また、後ろではペースアップした選手が2人。中大・小谷選手とずっと並走をしていた神大・西山選手が下りに入って突き放した。ここまで区間12位だが何とか追い上げていきたい。また、上武・森田選手が、法大・細川選手との勝負に決着をつけてどんどんペースアップ。初めてオレンジ色のマークがついている。追い上げられるところまで追い上げたい。
【芦ノ湖23.2㎞-元箱根21.1㎞=2.1㎞】
参考:91回神野(青学)6分44秒
参考:91回キトニー(日大)6分50秒3位神野(青学)7分06秒①
2位五郎谷(東洋)7分00秒②3:04
3位大塚(駒大)7分06秒③5:20
15位前田(山学)7分30秒④7:29
9位安井(早大)7分13秒⑤8:22
1位キトニー(日大)6分56秒⑥8:33
5位田中(順大)7分08秒⑦9:44
16位宮上(東海)7分33秒⑧9:50
12位加藤(帝京)7分21秒⑨10:41
17位馬場(拓大)7分44秒⑩11:47
18位中舎(城西)7分50秒⑪11:47
6位濱登(東国)7分10秒⑫12:11
11位室伏(日体)7分16秒⑬12:17
19位山本(中学)8分07秒⑭12:24
OP工藤(亜大)7分27秒(⑮)13:06
7位西山(神大)7分12秒⑮14:41
13位小谷(中大)7分24秒⑯15:13
20位藪下(明大)9分41秒⑰17:27
7位森田(上武)7分12秒⑱18:42
10位細川(法大)7分14秒⑲19:59
13位林(大東)7分24秒⑳22:53
終盤苦しんだ神野選手だが、残り1㎞地点の給水で笑顔を見せた。盟友・伊藤選手が待っていた。4年目にして関東ICで入賞した選手だが、その後の故障でついに三大駅伝走れなかった選手だ。その伊藤選手からもらった力水を受け、最後の力を振り絞る。前回より3分タイムを落としたが、他の選手は寄せ付けず、見事2年連続往路優勝のゴールテープを切った。もしかして走れないのではないか、そう囁かれていた時期もあったが、最後は貫禄の走りだった。チームとしても11年ぶりの往路完全優勝と見事な戦績であった。
2位には五郎谷選手が駆け込んだ。前回のリベンジを果たす見事な79分台で、トップとの差3分04秒に抑えたのは素晴らしい。僅かな逆転優勝への望みを持って復路に回る。3位には大塚選手。出遅れが響き、2位からも更に水をあけられた。大塚選手でも離されては致し方ない展開だ。4位は山梨学院が食い込んだ。前田選手は終盤に少しバテてしまったものの、最近苦しんだ箱根路、久々に高順位でゴールした。
5位は最後まで安井選手が守り切った早大。こちらも2区で出遅れた中よくあげてきたといっていいだろうか。4位は射程内。そして、6位は再び息を吹き返したキトニー選手。3度目の正直で見事な区間賞。留学生初の山のキングとなった。チームとしてもシード権から差を開けた。復路は主力が少ないが、何とか守りたい。続いてやってきたのは順大・田中選手。さすがロード巧者、うまくペースメイクして順位をキープ。続いて宮上選手。最後のペースダウンが勿体ないが、序盤苦しんだチームをシード権内へ引き上げた。ここまでが10分以内、時差スタート。めちゃくちゃ早かった区間があったわけではないが、5区間全体で青学が引き離したのか。
続いて、帝京大が食い込んだ。最初からシード権内でレースを進めたのは久々だ。その1分後に中舎、馬場選手が争ってやってきた。中舎選手リードだったが最後馬場選手が刺して同タイムながら拓大が往路10位となった。そのすぐ後ろからは3選手がやってきたが、抜け出したのは東国・濱登選手。下りに入ってからも好ペースで刻みシード権まで24秒差で往路ゴール。初出場、エース不発でこの順位は恐れ入った。簡単ではないが、初出場初シード権を目指したい。
その後ろ、中盤苦しんだ日体・室伏選手。最後は濱登選手に食らいつく形で持ち直した。その次は本当に苦しい走りとなった山本選手。今年の成績からしてひそかに期待していたが、箱根の山は甘くなかった。9つ順位を落としたものの、シード権とは1分以内でゴールしたのは救いだろう。
少し差があって、学連・工藤選手が続き、神大・西山選手と中大・小谷選手が立て続けにゴール。2校とも追い上げるまではいかなかった。その後ろから足を前に出すのがやっとという状態で明大・薮本選手が総合17位でやってきた。アキレス腱を痛め、状態は7割ほどだったという。最高スタートだったはずだが、2区間最下位になってしまい、一気にシード権獲得に暗雲が立ち込めた。復路は戦力がある方だが、追い上げる事はできるのかどうか…。
残り3チーム。上武・森田選手がやってきた。チームとして初の区間一桁で一矢報いる走り。続いて、法大・細川選手。春にエースになったものの、予選は故障で欠場。半年ぶりのレースはうまくいかなかった。最後は大東・林選手。上り下りとも辛い走りだったが、最後の平地は13番目のタイム、前と引き離されずにつないだ。最終的に上位と下位は大きく差が開いたが、その代り10位前後が大混戦のまま折り返しとなった。