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【過去を振り返る】第74回箱根駅伝-8区編-

20年前の箱根駅伝を振り返る企画の続きです。

第74回箱根駅伝、続いては8区になります。

トップの神大・辻原選手が順調に逃げる中、

マネージャー中大・石黒選手の激走、初出場の帝京大の繰り上げスタートにスポットが当たった場面です。

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8区

スタート順
辻原幸生(神大2)①
北田初男(駒大3)②2:56
石黒 睦(中大4)③5:34
濱田茂男(山学2)④6:36
有井達也(日大3)⑤8:25
湯朝育広(早大2)⑥9:03
大橋真一(順大3)⑦11:09
松本 剛(拓大4)⑧11:10
前田光成(大東2)⑨13:49
藤沢一茂(日体2)⑫17:20[10]13:53
立花 仁(専大4)⑩14:12[11]14:12
秋葉正人(東洋1)⑪16:55[12]15:38
阿部和仁(関学4)⑭22:30[13]16:14
野尻和秀(東海3)⑬19:30[14]18:38
山口徳之(帝京3)⑮27:36[15]18:50
神大が2連続区間賞で一気に後続を突き放しリレー。8区は主力の一人ともいえる辻原選手を起用。駒大もロードに強い北田選手で少しでも差を付けられないようにしたいところ。他では中大のマネージャー・石黒選手が注目ランナーか。シード権争い、繰り上げが優勝争い以上に注目を集めそうな様相だ。

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藤沢13.3㎞

1位辻原幸生(神大2)40分33秒①
11位北田初男(駒大3)41分08秒②3:31
2位石黒 睦(中大4)40分39秒③5:40
6位濱田茂男(山学2)40分52秒④6:55
5位湯朝育広(早大2)40分51秒⑤9:21
15位有井達也(日大3)42分21秒⑥10:13
7位松本 剛(拓大4)40分53秒⑦11:30
8位大橋真一(順大3)40分54秒⑦11:30
4位前田光成(大東2)40分49秒⑨14:05
9位藤沢一茂(日体2)40分57秒⑪17:44[10]14:17
14位立花 仁(専大4)41分59秒⑩15:38[11]15:38
3位阿部和仁(関学4)40分46秒⑭22:43[12]16:27
12位秋葉正人(東洋1)41分37秒⑫17:59[13]16:42
10位山口徳之(帝京3)41分05秒⑮28:08[14]19:22
12位野尻和秀(東海3)41分37秒⑬20:34[15]19:42
神大・辻原選手が先頭を行く。出雲・全日本も出場している選手が8区に回るのだから、選手層は本当に抜けていた。中学時代はバスケ部に所属、引退後に陸上の大会に出たら県大会3位に入り、そこから陸上の道に入ったそう。この年度は大幅にトラックでベストを出して満を持しての出番だ。駒大・北田選手がやや抑えて入ったが、3分31秒と差が広がった。

注目は3位中大・石黒選手だ。襷をもらう際、解説で「走れ!マネージャー」と言われたように、主務の仕事をこなしながら箱根駅伝出走にこぎつけた。中学時代はサッカー部、国学院久我山高から陸上をはじめ、箱根を夢見て中大へ。

しかし故障が多く3年夏でマネージャーへ。しかし、箱根の夢を諦め切れず、マネージャーの仕事を終えてから黙々と一人で練習。10000m29分37秒のベストを出して箱根の座を射止めたのだ。ついに走れた箱根、ここまで2番目の走り、かなり飛ばしていてその後が注目される。

離れて4位山学・濱田選手もまずまず、更に5位に再浮上した早大・湯浅選手もなかなかのペースだ。日大・有井選手は一番遅いタイムで通過、抑えているのかどうかやや気になる入りだ。先ほど、順大が前に出た7位争いはすぐに順大・大橋、拓大・松本選手が並走。どちらもロードの力のある上級生で見ごたえがありそうだ。

シード権争いは後ろに迫られた大東・前田選手がここまでは早い入り、日体・藤沢選手、更に総合で10位の専大・立花選手をも突き放している。立花選手は14番目の遅いペースで一気に1分半突き放されちょっと心配な感じだ。この区間次第ではチャンスあるはずだ。

同じ立場の東洋・秋葉選手もここまでは慎重な入り、3番目のタイムで飛ばして入った関学・阿部選手が定点前に追いついてきたがついていかなかった。関学は7区から9区に予選上位の選手を並べており、もしかすると繰り上げ回避を狙った??とはいえ、このままいければ見た目ながら常連校と肩を並べられそうでここから面白そうだ。

繰り上げと言えば、まずは下位の2校が気になる。最下位の帝京・山口選手が、見た目14番目の東海・野尻選手を交わして14番目に浮上。19分オーバーしてきたかが、10番目の走りで懸命に食らいつく。これにつけなかった野尻選手はちょっと苦しいかもしれない。もうすぐ8区名物の遊行寺坂を迎える。

影取18.3㎞-藤沢13.3㎞=5.0㎞

1位辻原幸生(神大2)16分57秒‹1›57分30秒①
11位北田初男(駒大3)17分48秒‹11›58分56秒②4:22
4位石黒 睦(中大4)17分15秒‹2›57分54秒③5:58
10位濱田茂男(山学2)17分41秒‹9›58分33秒④7:39
7位湯朝育広(早大2)17分29秒‹6›58分20秒⑤9:53
2位松本 剛(拓大4)17分06秒‹3›57分59秒⑥11:39
13位有井達也(日大3)18分23秒‹15›60分44秒⑥11:39
3位大橋真一(順大3)17分12秒‹4›58分06秒⑧11:45
9位前田光成(大東2)17分34秒‹7›58分23秒⑨14:42
12位藤沢一茂(日体2)17分49秒‹10›58分46秒⑫18:36[10]15:09
5位阿部和仁(関学4)17分26秒‹5›58分12秒⑭23:12[11]16:56
8位秋葉正人(東洋1)17分31秒‹12›59分08秒⑪18:33[12]17:16
15位立花 仁(専大4)18分38秒‹14›60分37秒⑩17:19[13]17:19
6位山口徳之(帝京3)17分27秒‹8›58分32秒⑮28:38[14]19:52
14位野尻和秀(東海3)18分34秒‹13›60分11秒⑬22:11[15]21:19
神大・辻原選手が力強く遊行寺坂を上って行った。この定点間トップの成績、唯一この5㎞16分台で駆け抜けていった。2位駒大・北田選手がペース挙がらず一気に4分22秒差となった。北田選手はのちに「止まりそうだった」と述懐するほど遊行寺坂に苦しんだそう。簡単には攻略できない坂だ。

大きな動きがあったのは7位争いで。拓大・松本、順大・大橋選手の2人のバトルが激しく、この間2番3番目のタイムで走破。この時点では松本選手が数秒リードしている。さらに日大・有井選手がさほどペースが上がっておらず、影取で一気に追いついた形だ。箱根復帰2年目、終盤に差し掛かるところで総合6位はかなりの健闘!中位争いも面白い。

シード権争いは、その後ろでにわかに動きが激しい。関学・阿部選手の勢いが衰えず、この5㎞の間に総合で10位11位にあたる専大・立花、東洋・秋葉選手と次々とかわし見た目11番目に浮上!総合は14位であるが、繰り上げ回避の道が見えてきた。交わされたうち、専大・立花選手は15番目タイムとブレーキ、シード権の9位大東・前田選手とは一気に2分半差に。これ以上空けられたくないが果たして粘れるだろうか。

その後ろ、懸命に繰り上げ回避を狙う帝京・山口選手が遊行寺坂を6番目のタイムで走行、うまく攻略している。ただ、神大・辻原選手はそれより30秒以上早く、一気に19分52秒差に。残り3㎞で8秒以上負けると襷を繋げられない状態だ。東海・野尻選手は見た目21分オーバーとなり、この時点で厳しくなった。

戸塚中継所21.3㎞-影取18.3㎞=3.0㎞

3位辻原幸生(神大2)9分42秒‹1›67分12秒①
8位北田初男(駒大3)9分52秒‹11›68分48秒②4:32
1位石黒 睦(中大4)9分35秒‹2›67分29秒③5:51
7位濱田茂男(山学2)9分47秒‹7›68分20秒④7:44
3位湯朝育広(早大2)9分42秒‹6›68分02秒⑤9:53
2位松本 剛(拓大4)9分39秒‹3›67分38秒⑥11:36
3位大橋真一(順大3)9分42秒‹4›67分48秒⑦11:45
13位有井達也(日大3)10分15秒‹14›70分59秒⑧12:12
10位前田光成(大東2)9分59秒‹8›68分22秒⑨14:59
9位藤沢一茂(日体2)9分58秒‹10›68分44秒⑪18:52[10]15:25
6位阿部和仁(関学4)9分43秒‹5›67分55秒⑭23:13[11]16:57
12位秋葉正人(東洋1)10分12秒‹12›69分20秒⑫19:03[12]17:46
14位立花 仁(専大4)10分31秒‹15›71分08秒⑩18:08[13]18:08
11位山口徳之(帝京3)10分03秒‹9›68分35秒⑮28:59[14]20:13
15位野尻和秀(東海3)10分42秒‹13›70分53秒⑬23:11[15]22:19
神大・辻原選手がトップで復路戸塚中継所にやってきた。右手でこぶしを突き上げた。気が付けば2位以降は4分半以上の差をあけている。辻原選手も区間賞でほぼ2連覇を決定づけた形だ。なお3連続区間賞だ。駒大・北田選手は最後何とか粘って戸塚中継所へ。過去最高となる総合2位はキープして復路終盤へ突入した。

さて3位中大・石黒選手だ。序盤からの勢いは衰えず、ラスト3㎞はなんと一番早いタイムで走破!区間賞とも僅か17秒差、一時は箱根をあきらめた男が一世一代の走りで総合3位をキープ!9区出走者同じ4年生の選手は、苦労を目の当たりにしていたこともあって「鳥肌が立つほど感動した」とのこと。中大ファン・駅伝ファン語り草となる激走だった。

4位山学・濱田選手は前と空けられたものの、4位キープ。5位以降も離れている単独走野中、しっかりまとめた。5位早大・湯浅選手は終盤切り替えて3番目相当、全体でも区間6位、2浪しての一般入試だったと思うが、これはかなりの好走といっていい走りだった。

7位拓大・松本選手、3位順大・大橋選手は最後まで素晴らしい走り、全体としても区間3位4位の走り。シード権へ向けて大きなひと押しの走りだ。鍛えたロード力で順位をあげていく。日大・有井選手は終盤まで苦戦。71分近くかかってしまったが、何とか総合8位。その後ろはまだ見えない位置だ。

2分半以上あいて、9位大東・前田選手がやってきた。終盤は上げきれなかったものの、序盤の貯金で見た目10番総合11位の日体・藤沢選手を寄せ付けなかった。日体大は大東大の3分27秒前に出なければならないが、9区前でそうさせなかったのは大きい。日体大は26秒差の大東大に早く追いついて、突き放したいところだ。

そこから1分半離れて、関学・阿部選手が最後まで勢いよくやってきた。2区間連続で区間一桁、この区間は5位の快走だ。見た目で繰り上げラインは3分03秒の貯金。9区にも主力選手を残して、初めて10人で一本の襷を繋ぐチャンスを得た。

これについていけなかった東洋・秋葉、専大・立花選手は苦しい。東洋は総合12位へ。大東と2分47秒差を追いつきさらに1分17秒差をつける必要がある状況に。専大は総合10位のままだが、前回区間4位の立花選手のブレーキは非常に痛い。予選でもチーム12番手と苦しんでいた。勝負をかけての投入だったが、うまくいかず。苦しい状況となった。

さて、その後ろだ。帝京・山口選手が懸命の走りで戸塚中継所を目指している。残り350mで襷を外した。初めての出場、支えてくれた方への恩返しをしたいという気持ちもある。必死にスパートをかけるが中継所直前で無念のピストルの音。くしくも復路戸塚中継所は、側道から出ていく前の走者が見える。

中継ライン直前に、顔がくしゃくしゃになった。僅か13秒届かなかった。帝京・喜多監督は「今回はとにかく笑顔で襷リレーを」との目標を語ったが、叶わなかった。なお、山口選手は帝京大唯一の区間一桁の9位、多くの駅伝ファンは次年度の山口選手のリベンジを願ったが、これが最後の箱根路となった。

最後、東海・野尻選手もその後やってきた。繰り上げから2分19秒後だった。北海道合宿で怪我人が続出し、新居監督も「シード確保厳しい」と話だったが復路で選手層の薄さが露呈した。気づけば総合13位、14位の関東学院とは僅か2秒差。襷は繋がらなかったが、チームの為に9区10区粘りたい。


優勝争いは神大が6区から3連続区間賞で2連覇へ向けて順調に突き進んでいく。離された駒大も過去最高の2位が見えてきている。シード権争いは9位の大東大が依然有利な状況、追いたい専大・日体大・東洋大いずれも追いつききれない状況だ。復路のエース区間で流れを引き寄せることができるかどうか。