2月・3月上旬は、箱根駅伝出場チームの振り返りや、次年度への簡単な分析をしていきたいと思います。
今年の箱根駅伝で2年連続出場を果たした立教大は健闘を見せた。昨年10月の予選会直前に、上野裕一郎・前監督が不祥事で解任され、逆境のなかで挑んだ大会。部員一丸の「成長の軌跡」を立大体育会機関紙「立教スポーツ」の熊谷光洋・編集長がつづる。 https://t.co/8YlJqoGIZg
— 集英社スポルティーバ (@webSportiva) January 14, 2024
続いて、
選手主体となった復帰2度目の箱根路
立教大学です
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【立教大学】第100回箱根駅伝2024振り返りと、次年度へ向けて
前年は55年ぶりの出場に湧いた立教大。次の年度は、それだけではなく、箱根駅伝常連校に向けて勝負をかけたい年でした。くしくも、本格強化世代が4学年揃ったタイミングでした。
初の出場を狙った全日本大学駅伝は、次点で予選敗退。一気に、周囲にいたマスコミが遠のいていくことに悔しさを感じながら、夏合宿を乗り越え、箱根予選に備えていました。
そんな中、前監督が部内の女子部員と不貞行為不貞行為が報じられました。真偽はともかく、すぐに退任ということに。原田総監督が急遽指揮を執った箱根予選は、昨年以上に前半から突っ込み序盤はトップ争い、そして前残りで6位、2年連続で通過を決めて見せました。
大変だったのはここから。男子駅伝チームの専門の監督は不在の状況の中、練習メニューだけでなく、箱根駅伝のエントリーも部員主体で行われた。4年生には関口・中山選手や、2年生國安・馬場選手ら主力選手もいましたが、激動の数か月で決して前評判は高くありませんでした。そんな中、スタートが切られました。
第100回箱根駅伝2024振り返り
14位立教大学11時間03分04秒
区間 | 区間順位 | 名前学年 | 区間タイム | 通過順位 | トップ差 |
1区(21.3㎞) | 18位 | 林虎太朗③ | 62分47秒 | 18位 | 1分45秒差 |
2区(23.1㎞) | 20位 | 國安広人② | 69分54秒 | 21位 | 5分19秒差 |
3区(21.4㎞) | 8位 | 馬場賢人② | 62分48秒 | 19位 | 7分58秒差 |
4区(20.9㎞) | 10位 | 中山凛斗④ | 62分45秒 | 18位 | 9分33秒差 |
5区(20.8㎞) | 14位 | 山本羅生③ | 73分23秒 | 17位 | 13分24秒差 |
6区(20.8㎞) | 11位 | 原田颯大① | 59分48秒 | 15位 | 14分58秒差 |
7区(21.3㎞) | 19位 | 吉屋佑晟② | 65分03秒 | 15位 | 17分15秒差 |
8区(21.4㎞) | 11位 | 稲塚大祐③ | 65分33秒 | 14位 | 18分48秒差 |
9区(23.1㎞) | 18位 | 安藤圭佑③ | 71分34秒 | 14位 | 21分31秒差 |
10区(23.0㎞) | 3位 | 関口絢太④ | 69分29秒 | 14位 | 21分39秒差 |
1区林選手…スターターを任されたのは2年連続となる3年林選手。本来は、箱根予選でチームトップでゴールするなど結果を残していた4年生エースの関口選手の予定でしたが回避、昨年の経験もありスピードのある林選手となりました。前年とは違い、ハイペースとなった中、10㎞過ぎに上位集団から後退します。終盤に粘りは見せたものの、トップと1分45秒差の区間18位。2年連続で上位スタートとはいきませんでした。
2区國安選手…エース区間2区は2年連続で國安選手。前回は、当時ルーキーながら箱根予選でチームトップでゴールし、復活の象徴ともいえる存在でした。今年は足踏みが続きましたが、安定した成績で、今年も抜擢になりました。留学生の選手や神大の選手などに交わされブービーの22位へ。中々苦しい走りとなり区間20位の69分54秒。最後に失速した明大を交わして、21位に上がりましたが、今年もシード権争いは厳しいかとこの時点では思われました。
3区馬場選手…流れを変えたのが2年馬場選手です。前回は当時ルーキーながら4区を任され、下位からスタートながら、確実に順位を上げる走りをしていっていました。今回は箱根予選から参加し、高い安定感を示していました。序盤は、すぐ後方にいた明大に追いかけられますが、安定したペースで徐々に突き放していきます。
中盤になって区間一桁のペースに乗ってきて、徐々に追い上げていきます。茅ヶ崎付近で駿河台大を交わすと、湘南大橋付近で、ペースが上がらない中大や中学大など、前のチームが眼前に迫ってきます。最後に前の集団のなかに割って入っての総合19位でリレー、個人としても区間8位62分48秒と、今年も駅伝で強いところを見せました。
4区中山選手…4区には精神的柱の4年生中山選手となりました。立教大が箱根復活する前に、連合チームで4区を走るなど話題になりました。その後4年間箱根予選で好走して、立教大の復活に貢献しています。秋から監督不在となった中、区間オーダーを決めるのに中心なってもいます。自身の適性は9区としながら、エース格の不調もあり、連合チームの1年生以来3年ぶりの4区に配しました。
シード権を獲得するには突っ込んでいく必要がある状況、前を追っていって酒匂橋地点では区間5位のハイペース。神大らいくつかのチームを交わして、国士大山学大と15位争いを展開します。終盤は苦しくなり、62分45秒の区間10位、総合18位となりますが前は追い上げました。3大会前の19位相当の記憶もあり、いいイメージはなかったとのことでしたが、力がついていました。
5区山本選手…今後箱根駅伝上位に定着するのに、クリアしていきたい5区山登りの選定。今回走ることになったのは、外から見ているとちょっと意外な選定だった3年山本選手。2年時に1万m28分台を出すなどスピードある選手、とはいえ上り坂は得意意識はあって、山登りが決まったのは2週間前も準備は出来たそう。5区に入っても混戦だった中、中盤に入って、じわじわ順位を上げていきます。下り入ってからやや苦しみましたが、73分23秒の区間14位と急増としてはまずまず。往路17位ですが、シード権と1分20秒差に留まっていました。
6区原田選手…前年経験者がいない中、1年生原田選手が6区山下りに抜擢されました。11月1万m29分54秒を出すなど好調を維持していました。一斉スタートが多い中、上り部分はやや後方に一度りましたが、下りに入ってからは徐々に見た目のポジションを押し上げていきます。最終的に見た目14番で中継し、59分48秒の区間11位の成績。1年生として、今後楽しみになる成績。チームとしては、総合15位に浮上しました。
7区吉屋選手…春先に5千m13分台を記録するなど、スピードという面で今年頭角を現した2年吉屋選手が7区に入りました。序盤からいきたかったところですが、二宮の地点で区間20位の走り。徐々にポジションを下げてしまいます。最後のスパート争いも競り負けてしまい見た目18番、個人としても区間19位でした。合宿にピークが来てしまい、調子が下降気味だったそうです。
8区稲塚選手…この1年立教大の大きな成長株ですね。3年目で箱根予選初挑戦ながら、63分53秒の96位と好走し、チームの通過に貢献。その後、MARCH対抗戦で1万m28分台をマークして、主力の一角になった選手です。序盤突っ込んでいって、中学・国士大を交わして16番目に浮上します。後半はやや苦しみますが、失速した選手を交わして14番目に浮上。後方の追い上げも何とか凌いで、中継。65分33秒の区間11位とある程度他校とも戦った形でした。
9区安藤選手…ロードに強い3年安藤選手が9区へ。特に1年時2年時は2年連続で箱根予選二けた順位に好走し、チームの浮上に大きく貢献しています。ただ、今年の秋はやや精彩を欠く走りが続いていたのが気がかりでした。序盤は、すぐ後ろにいた国士大と併走となりますが、権太坂で引き離されてしまいます。その後もやや順位を落として、見た目17番目でリレー。個人としても、71分34秒の区間18位で満足な走りといきませんでした。
10区関口選手…アンカーは、本来エースの4年関口選手。箱根予選でチームトップでゴールするなど引っ張っていましたが、11月に肺気胸にかかってしまい、一時は出走も危ぶまれました。それでも何とか間に合って10区へ。この時点でシード権とは、2分57秒離れていましたが、ここでエースの走りを見せます。
序盤から突っ込んで入ると、大東大・神大の併走、その前の中大・国士大と次々と捉えていき、一時は区間賞ペースにまで浮上。終盤は、病気明けの影響もあり苦しみますが、懸命にゴールを目指します。
この様子に、ゴールに先回りしていた同級生の中山選手らは居ても立ってもいられず、直線距離で約1㎞の馬場先門に応援にいき、またゴールに戻って出迎えたとか。最終的に69分29秒の区間3位で、シード権に2分22秒届きませんでしたが、戦前の予想は上回りました。
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前回の復活出場から、この1年で様々なことがあった中で、精一杯はやれたのではないでしょうか。長距離直属の監督がいなくなり、さらに11月はエースが病気で走れるかどうか分からない中、懸命の調整と区間配置だったと思います。
その中で、序盤2区間は前年同様苦戦を強いられましたが、3区馬場・4区中山選手らの好走でシード権と少し後ろの位置に付けて、駅伝に参加することはできました。最終的に力不足でしたが、山も何とか乗り切りましたし、チームとして手応えも掴めたのではないでしょうか。
次年度へ向けて
勿論、強化世代が卒業していくことになりますので、箱根駅伝常連校として定着していけるかは、今後次第になります。
残る今年の箱根メンバー
山本羅生③28分45秒06≪24箱5区14位、23予318位、箱8区15位、22:予143位、21:予257位≫
林虎太朗③28分49秒09≪24箱1区18位、23予82位、箱1区18位、22:予55位、全予3組7位、21:予253位≫
稲塚大祐③28分49秒55≪24箱8区11位、23予96位≫
馬場賢人②28分51秒19≪24箱3区8位、23予31位、全予3組16位、箱4区16位≫
國安広人②28分53秒80≪24箱2区20位、23予47位、箱2区18位、22:予21位、全予4組30位≫
安藤圭佑③29分13秒26≪24箱9区18位、23予171位、全予1組5位、関東IC1万、箱10区15位、22:予53位、21:予77位≫
原田颯大①29分54秒64≪24箱6区11位≫
吉屋佑晟②30分34秒48≪24箱7区19位、23予207位、全予1組20位≫
残る補欠メンバー
後藤謙晶③29分13秒30≪23予249位、22予290位、21:予281位≫
山口史朗③29分35秒36≪22:全予2組27位、21:予365位≫
中西洸貴③29分55秒26
その他有力選手
永井 駿②29分22秒88≪22予97位、全予1組15位≫
櫻井駿祐③29分47秒96
伊藤匠海①30分00秒42
小倉史也②30分11秒88
相澤拓摩②30分17秒95≪23箱5区20位≫
木島 陸①30分20秒51
新4年生に関しては、メンバーは揃っているのですよね。2年連続往路1区を務めた林選手が中心ですが、他にも選手は上がってきています。ここにきて山登りもある程度やれることが分かった山本選手は、1万m28分45秒とチームトップの成績。ロードが得意な安藤選手は、ここ1年不調が長引きましたが、本来なら復路9区でも好走できる選手です。
これにこの1年大きく伸びた稲塚選手も主力の一角になっています。今年は8区でしたが、また空いた区間に入れるはず。またこの世代はタイムは残している選手は多く、3年連続箱根予選出走の後藤選手は、少しずつですが成績が上向いてきています。下級生時に主要大会の経験がある山口選手や、おそらく山下りの控えだっただろう中西選手も29分台に入っていて、彼らの走力は大きく大事になってきます。
新3年生は、2本柱が強くて、國安・馬場選手が強い。ここにきて馬場選手が勢いが出てきていて、箱根往路3区で通用する走り、駅伝での勝負強さも光る感じですね。國安選手は、この1年間やや足踏みしていましたが、長い距離の対応はとても早かった選手。この1年また飛躍の年としたいところです。
あとは一度箱根を経験している吉屋選手もいますが、復帰待ち遠しいのが永井選手。1年時に箱根予選97位で走り切り通過に貢献。その後長く故障、激坂王で好走して山登り候補に挙がったのですが、エントリーに名前がありませんでした。走れれば、間違いなく主力級の選手、彼が上がってくるかは大事です。
新2年生以下は、スカウトに少しずつ苦戦している様子なので、なんとも言えませんが、原田選手が山下りに適性を見せて走っていますし、スカウトトップだった木島選手らも少しずつ上がってきていますかね。底上げを何とか進めたいですね。
まとめ
・1区林2区國安選手は2年連続無念の苦戦
・駅伝に強い3区馬場、4区中山選手も奮闘!
・今年は乗り切った!山の攻略が見えた
・10区関口選手が見せた気迫!総合14位!
・ここから上がるかどうかは、強化世代抜けた今年
前年度に箱根駅伝復活を果たし、強化世代が4学年集まっていた中、勝負年だった立教大。ですが、全日本予選を次点で落とすなど中々波に乗れない形。そんな中、前監督の不祥事があり、箱根予選前に、長距離専任の監督が不在の状況になりました。
箱根予選は勢いで突破しますが、その後の練習メニューやメンバー選定などが響きました。決して前評判が高くない中迎えた本戦で意地を見せます。
序盤2区間が苦しんだ中、3区馬場選手が区間一桁の好走で追い上げ開始、3年ぶり4区の中山選手も突っ込んで粘ります。攻略が難しい山登り山下りも、山本・原田選手が凌いでシード権も狙える態勢に。そこから8区稲塚選手ら踏ん張り、アンカー関口選手が病み上がりながらぶっ飛ばしていく走り、総合14位と前年より戦いました。
次年度は、そこから卒業生が多く出てきますので、楽な戦いにはならないでしょう。とはいえ、新4年は林・山本・安藤・稲塚選手や、新3年馬場・國安選手ら、箱根を連続した走った選手もまだ多く残ります。継走を繋いでいきたいです。
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