2月・3月上旬は、箱根駅伝出場チームの振り返りや、次年度への簡単な分析をしていきたいと思います。
【箱根駅伝】6区に挑んだ法政大・武田和馬が区間賞 急逝したチームメートへ誓いhttps://t.co/BeIjFnSfkp
法政大の武田和馬が歴代6位となる58分2秒で区間賞に輝いた。今夏に19歳で急逝した2年生の高橋彰太さんへ「彰太の力を借りながら自分の走りで一緒に結果を出したい」と誓っていた。 pic.twitter.com/ahR4Ikgzky
— ライブドアニュース (@livedoornews) January 3, 2024
続いて、
亡き友とひた走った
法政大学です
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【法政大學】第100回箱根駅伝2024振り返りと、次年度へ向けて
2年連続でシード権獲得していた法政大。それも、10位⇒7位と右肩上がり。ここのところ目標としている総合5位に少し近づきつつありました。
春は、関東インカレを経て、全日本予選。エースに成長した4年松永選手を擁して、突破を狙いました。ですが序盤の組で後手を踏み、流れを作れず予選敗退。これで、2年連続で出雲駅伝から箱根駅伝の直行ルートとなりました。
出雲駅伝は、新戦力を試しながら、総合9位。ここまでは大きくは目立たず、箱根上位候補にあまり名は上がってませんでしたが、ここから記録会をうまく使っていました。
ハーフマラソンでは、松永選手だけでなく、同じ4年稲毛選手に、前回7区の3年選手が好調。山下りで有名な武田選手も、平地あるのでは、と思うほどの勢いがありました。そして山登りは細迫選手が復帰し、前回区間賞の宗像選手に、故障が多かったエース格3年小泉選手が何とか戻ってきて、徐々に臨戦態勢が整ってきていました。
第100回箱根駅伝2024振り返り
6位法政大学10時間56分35秒
区間 | 区間順位 | 名前学年 | 区間タイム | 通過順位 | トップ差 |
1区(21.3㎞) | 14位 | 宮岡幸大③ | 62分03秒 | 14位 | 1分01秒差 |
2区(23.1㎞) | 11位 | 松永 怜④ | 67分33秒 | 13位 | 2分14秒差 |
3区(21.4㎞) | 17位 | 野田晶斗① | 64分07秒 | 12位 | 6分12秒差 |
4区(20.9㎞) | 12位 | 小泉 樹③ | 62分48秒 | 10位 | 7分50秒差 |
5区(20.8㎞) | 8位 | 細迫海気④ | 72分32秒 | 9位 | 10分50秒差 |
6区(20.8㎞) | 1位 | 武田和馬③ | 58分02秒 | 7位 | 10分38秒差 |
7区(21.3㎞) | 9位 | 矢原倖瑛② | 63分44秒 | 8位 | 11分36秒差 |
8区(21.4㎞) | 9位 | 清水郁杜② | 65分21秒 | 6位 | 12分57秒差 |
9区(23.1㎞) | 6位 | 稲毛祟斗④ | 69分51秒 | 6位 | 13分57秒差 |
10区(23.0㎞) | 14位 | 宗像直輝④ | 70分34秒 | 6位 | 15分10秒差 |
1区宮岡選手…法政大のエース格となりつつある宮岡選手。前回の箱根7区で駅伝デビューし区間8位とまずまずの走り。春から秋口にかけては調子が上がり切らず、出雲は走りませんでしたが、その後一気に調子が上がり、1万m28分57秒を出すと上尾ハーフは62分07秒の全体6位のタイム!復路9区を希望していましたが、1区へ。最近の法大は3年時に1区を担当すると箱根2区になる流れもあるので、期待が高かったです。
ハイペースは勿論想定していて、六郷橋までつけば、好きにしていく予定でした。でしたが、その六郷橋直前に差し込みがきてしまったそうで、それまでに後退。その中で懸命に粘り、区間14位ながらトップと1分01秒差にとどめて襷リレー。前はしっかり見えていましたね。
2区松永選手…ここ最近、前年1区の3年生の選手が、4年生エースとして華の2区を務めている流れの法政大。今回も、ハーフマラソンでユニバ代表に選ばれるなど、学生長距離界の顔の一人松永選手が2区へ。ラストの切れ味が持ち味ですが、11月に1万m28分28秒・ハーフ61分56秒と他校のエースと変わらない成績を出して、満を持しての2区でした。
前方に集団ができ、また上尾ハーフで競った早大山口選手の姿も見えているという展開。ぶっ飛ばしていって、横浜駅前に追いつくと、なんとその地点で区間新記録ペースでの区間トップ。坪田監督も最後倒れるのではないかと慌てた場面です。さすがに権太坂以降苦しみましたが、最後の戸塚の壁でもう一度前に追いつく意地。区間11位ながら67分33秒のタイムで流れを繋げます。
3区野田選手…混戦の中、総合13位でタスキを受けたのはルーキー野田選手。全日本予選で早くも主力の一人として走るなど期待の高い選手。夏に故障してしまいましたが、それでも11月には1万m28分56秒を出すなど、高い能力はあります。練習の出来から、区間5位まで走れてもおかしくないと、3区に大抜擢されました。
前が点々と見えている中で、前を追っていきますが、早い段階でうまくリズムに乗れていないことを自覚するようになります。中盤以降は、かなり苦しい走りとなり、区間17位の64分07秒とやや悔しい結果に。往路3区ということで、気負いもあったでしょうか。それでも順位は一つ上げて総合12位。シード権ラインもまだ見えている範囲で留まりました。
4区小泉選手…法政大のエース格の一人3年小泉選手。そういえば、彼の箱根デビューも1年時の3区でした。ただ、故障が非常に多かった時期もあり、大学駅伝自体は2年時の出雲駅伝以来。今年度も夏に故障し、練習を開始したのは11月。当初は復路で間に合えばということでしたが、往路4区となりました。
スタートしてすぐ大東大を交わして11位に浮上すると、前見えている東海大を懸命に追いかける走り。故障での練習不足も結構あって、中々ペースを上げきれない様子でしたが、それでも落ちてきた日大を交わして総合10位に浮上。個人としても区間12位ながら62分48秒でまとめて、いい流れで山へ繋いでいきました。
5区細迫選手…山登りは4年生細迫選手が3年連続で走ることになりましたね。今回も、コアなファンが話題となる高橋選手との山登りのレギュラー争いを勝ち取ったことになりました。平地の走力は細迫選手がベストを出すなど抜けていて、上りのトライアルはほぼ同等だったそうです。細迫選手の自身の上りは過去2回は上りで区間一桁ペースも、下りで失速して区間二けたとなっていました。
区間真ん中のペースで着実に上っていき、帝京・東海を交わしていくところ、大平台を過ぎたあたりで大東菊地選手が追いついてきます。ここで一部話題になった励まし合いながらの併走状態へ。お互い余力があって区間上位のペースで引っ張り合います。苦手な下りで後れを取りますが、目標にして懸命に追いすがって今までのような失速にはならず。3度目の5区で初めて区間一桁となる区間8位72分32秒で芦ノ湖フィニッシュへ。往路9位と高順位で折り返します。
6区武田選手…復路スタート大事なスタート。トップが早く一斉スタートになりましたが、法政大としては、自信を持っている区間でした。3年生武田選手が3年連続で山下り。特に1年時の58分40秒の区間2位の快走は記憶に残っている人も多いでしょう。今年は、1区など一時平地も考えたそうですが、最終的にもう一度6区を走ることになり、急ピッチで調整を進めていきました。
一斉スタートの集団を利用して、苦手という上りの部分で区間賞争いに出ると、下りで一気に抜け出していきます。そのまま、時差スタート組も次々と飲み込んでいき、見た目5番目まで浮上、最後は一旦追い抜いた創価大の選手が粘りを見せて迫ってきますが、秒差寄せ付けず!58分02秒の堂々の区間賞で、一気に総合7位にまで浮上しました。
7区矢原選手…復路の平地区間は、まずは伸びてきている2年生リレーへ。矢原選手は、1年時上尾ハーフで63分台を出していた選手ですが、今年はよりアップダウンのある世田谷ハーフで63分38秒をマークするなど、伸びてきていた選手。密かに区間上位も目論んだくらい。結果として区間9位でしたが、前半は抑えて他校と併走に持ち込み、終盤に脚残してスパートと、流れに乗るお手本のような走り。区間賞の中大は前に活きましたが、見た目6番目でのリレーとなりました。
8区清水選手…もう一人2年生清水選手。昨年も箱根エントリーに入っていた期待の若手選手です。昨年も当日変更要員ながら8区に入っていましたが、今年は満を持して出走となりました。すぐ突っ込んできた創価大と併走になりかなり早い入り。遊行寺坂までは前の東洋大を追いかける走りでしたが、そこからは足が止まってしまいました。それでも65分21秒の区間9位で、まだ混戦の中位争いの中、総合6位に浮上しました。
9区稲毛選手…復路終盤は安定の4年生リレー。9区はついに稲毛選手が入りました。1年生の頃から、9区に適性があると言われ続けていた選手、故障などもあり箱根は2年時の8区のみの出場に留まっていましたが、世田谷ハーフで青学・駒大勢に割って入る全体の4位62分台好時計をマークして絶好調へ。満を持して9区に入りました。
スタートしてすぐに、國學院大が見える位置にいたので、一気に交わしていきます。とはいえその選手も粘り強く食らいついてくるので、そのままずっと一緒に走っていく展開に。そういう中でスタミナ面の粘りをも発揮、最後に1秒勝ち切って中継。69分51秒の区間6位と、2大会前の8区13位のリベンジを達成。総合順位も6位をキープしています。
10区宗像選手…前回箱根初出場ながら8区区間賞で一気に名前を上げた4年宗像選手。今年は、年間通して苦しんで調子を上げるのに苦労していましたが、ラストの切れ味はとても鋭い選手。日本橋を超えてからの勝負を見据えて、アンカーになりました。
先ほど併走していた國學院と見た目5番目の争い、総合5位に上がるには一斉スタートの関係で國學院大を51秒以上引き離す必要がありましたが、とにかく食らいつく走り。終盤になって引き離されますが、今度は総合順位で早大が秒差に迫っているとの報。ラストスパートを繰り出せる選手を残したのが功を奏したか、5秒差で逃げ切って総合6位キープ!昨年より一つ順位を上げました。
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法政大実は、何とか好結果を残したい理由があり、部員の中でも力があった2年高橋彰太さんが、病気で夏に命を失ったそうで…。坪田監督も、終盤のどこかで「彰太のために頑張ろう」と声掛けをされていたそうですね。3年連続シード権獲得で、いい報告ができそうなのは何よりです。
次年度へ向けて
そして、次につなげていきたいですね。
残る今年の箱根メンバー
小泉 樹③28分50秒64≪24箱4区12位、22出5区3位、箱3区11位、21全3区6位、予38位≫
矢原倖瑛②28分54秒60≪24箱7区9位≫
野田晶斗①28分56秒53≪24箱3区17位、23全予1組15位≫
宮岡幸大③28分57秒69≪24箱1区14位、23箱7区8位≫
武田和馬③29分06秒30≪24箱6区1位、23出3区9位、箱6区5位、22箱6区2位、21予147位≫
清水郁杜②29分26秒08≪24箱8区9位≫
残る補欠メンバー
大島史也②28分53秒14≪23:2区9位、3全予3組10位、22関東IC1500m≫
安澤駿空③29分26秒95≪23出4区8位≫
行天陽虹②29分25秒26
高橋一颯③29分44秒94
湯田陽平兵①30分20秒34
その他有力選手
加藤優弥①29分22秒04
花岡慶次②29分31秒22
永島悠平③29分38秒45≪23出5区9位≫
野崎翔太郎①29分54秒34
重山弘徳①29分58秒69
林 祐正①30分03秒12
まずは新4年生は、中々手ごわい選手なりそうな気がします。往路1区を走った宮岡選手は、単独走の方が得意ということで、この1年次第では十分2区も射程圏内になってくるでしょうし、山下りでついに区間賞を獲得した武田選手は、3区あたりも視野に入れてくるでしょう。さらに怪我もありながら往路4区を走った小泉選手は、練習が継続できれば、一気に往路序盤区間で対応できる選手なってくると思います。なのでやはり楽しみなのは変わりないのですよね。
同じ4年生には、出雲駅伝4区5区を走っている安澤・永島選手もいますし、さらに山登り候補として2年連続エントリーしている高橋選手が、最後の最後でいよいよ登場するかもしれません。この学年だけでもなかなか楽しみですね。
新3年生以下も、中々メンツが濃い。箱根復路で堅実にリレーをした矢原・清水選手はまだまだ伸び盛り。特に矢原選手はエースになってもおかしくないほどの勢いがあるとか。行天選手もジワリ伸びてきていますし、本来なら箱根駅伝走ってもおかしくないポテンシャルの持ち主花岡選手の覚醒があるかも注目。
新2年生以下は、野田選手が一足先に箱根デビューをしましたが、この時点で往路を経験できたのは非常に大きい。次年度は是非練習の力を発揮してほしい。このほか、冬を前に1万mに挑戦した選手が多数。加藤選手の29分22秒が最高ですが、3障をメインにしていた湯田選手も箱根メンバーに入ったので今後注目。法大出身の箱根ランナーも多いのですよね。
全体として、次年度も十分上位に食い込んでくる力をつけてくる可能性はありそうです。
まとめ
・2区松永選手猛突っ込みも耐えて
・怪我明けもやはり強かな4区小泉選手
・3回目でついに区間一桁細迫選手、区間賞武田選手!
・次が楽しみになる2年生の走り
・稲毛選手ついに復路エース区間で好走
・宗像選手万全でなくても見せた意地のラスト
・亡きチームメイトの想いも乗せて
・宮岡選手ら強い新4年生でまた上位虎視眈々
夏前までは主力が整わず、2年連続全日本予選落ちの憂き目にあいますが、そこから状態を上げてくるのは、法政大本当に強かです。松永選手がエースになり、宮岡・武田選手らが続き、小泉選手などが故障から復帰してきました。
1区宮岡選手が前が見える範囲で繋ぐと、2区松永選手が猛然と突っ込み途中まで区間新での区間賞ペース!さすがに後半落ちましたが、チームは勢いづきました。3区ルーキー抜擢の野田選手が絶えて、4区怪我明けも小泉選手が気持ちが乗り切り総合10位に浮上!
そして、今回アドバンテージとなるとみられていた山。細迫・武田選手がそれぞれ3年連続で挑みました。細迫選手は大東大の選手と併走しながら初めて区間一桁、武田選手は一斉スタートの中で圧巻の区間賞。一気にシード権争いから抜け出しました。
7区以降も堅実、矢原・清水選手が区間一桁で繋ぐと、復路終盤は稲毛・宗像選手の4年生の出番。稲毛選手が後続を引き離すと、
宗像選手は万全でない中懸命の粘り、目標5位には届かずも、昨年は秒差届かなかった早大から逃げ切りました。亡きチームメイト、高橋彰太さんの墓前に良き報告ができそうです。
来年度は、宮岡・小泉・武田選手の新4年生が引っ張っていければ、面白いチームになりそうな気もします。3年生以下も矢原選手ら、2年生以下も野田選手らが一気に台頭してきています。また、山の穴はありますが、また強かに狙えるチームになっていきそうです。
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