2月・3月上旬は、箱根駅伝出場チームの振り返りや、次年度への簡単な分析をしていきたいと思います。
「ゴール後、『一緒に強くなろうな』と泣いてしまった」
箱根駅伝を総合5位で終えた國學院大。チームの中軸として走った青木瑠郁、上原琉翔など2年生が、それぞれの走りを振り返った。@kokudai_ekidenhttps://t.co/L2Dy4xCi5z— 集英社スポルティーバ (@webSportiva) January 15, 2024
続いて、
若手主体で総合5位、次はチャンス!
國學院大學です
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【國學院大學】第100回箱根駅伝2024振り返りと、次年度へ向けて
表彰台争いの強豪校チームに徐々に定着していた國學院大。特に前年度は、出雲駅伝・全日本大学駅伝で総合2位、箱根駅伝は総合4位の成績でした。それでも、優勝争いに絡めていないということで、さらなる前進を誓っていました。
春のトラックシーズンは、エース格が故障していましたが、ホクレンには3年平林選手が1万m27分台、同じ3年山本選手が28分前半をマーク、ロードのイメージの強い4年伊地知選手も自己ベストを出しました。関東ICでは2年上原・高山選手が活躍するなど、新戦力の台頭もありました。
三大駅伝優勝を掲げた秋シーズンですが、9月に歯車が狂います。山本選手が疲労骨折をすると、伊地知・平林選手らが体調不良に陥るなどのアクシデント。その出雲駅伝は1区上原選手の区間3位力走はありましたが、その後は駒大に引き離されて総合4位に。とはいえ、直前の状態を考えると何とか戦えた感じもありました。
全日本駅伝は、疲労骨折から練習が万全にできていなかった2区山本選手が失速するも、3区上原選手が出雲に続き区間3位好走で流れを戻すと、4区高山5区青木選手らじわりと上位争いに復帰。3年連続となった7区平林8区伊地知選手は、最後まで続いた総合2位争いの中、総合3位に。平林選手は初の区間賞に輝きました。
箱根駅伝までにさらに仕上げていけば、97回大会以来の表彰台も見える状況でしたが…箱根一次エントリー直前にインフルエンザが蔓延。伊地知・平林・青木・高山選手ら主力を直撃、さらに山本選手が怪我が重なり出場を断念せざるを得ない状況に。最終的に2年生以下8人で出場しましたが、その中で粘りを見せました。
第100回箱根駅伝2024振り返り
5位國學院大學10時間55分27秒
区間 | 区間順位 | 名前学年 | 区間タイム | 通過順位 | トップ差 |
1区(21.3㎞) | 17位 | 伊地知賢造④ | 62分35秒 | 17位 | 1分33秒差 |
2区(23.1㎞) | 3位 | 平林清澄③ | 66分26秒 | 9位 | 1分39秒差 |
3区(21.4㎞) | 4位 | 青木瑠郁② | 61分56秒 | 6位 | 3分26秒差 |
4区(20.9㎞) | 4位 | 辻原 輝① | 61分59秒 | 5位 | 4分15秒差 |
5区(20.8㎞) | 17位 | 上原琉翔② | 74分11秒 | 6位 | 8分54秒差 |
6区(20.8㎞) | 10位 | 後村光星① | 59分37秒 | 6位 | 10分17秒差 |
7区(21.3㎞) | 7位 | 田中愛睦① | 63分29秒 | 6位 | 11分00秒差 |
8区(21.4㎞) | 6位 | 鎌田匠馬② | 64分58秒 | 5位 | 11分58秒差 |
9区(23.1㎞) | 7位 | 吉田蔵之介① | 70分01秒 | 5位 | 13分08秒差 |
10区(23.0㎞) | 10位 | 高山豪起② | 70分15秒 | 5位 | 14分02秒差 |
1区伊地知選手…当日変更で入った1区は意外な選手だった。4年生で主将の伊地知選手でした。4年連続出走で、大学駅伝の皆勤選手でしたが、箱根で言うと8区・2区・5区、全日本駅伝は3年連続アンカーなど、スピード区間というより、タフな区間やスタミナを要する区間への起用が中心でした。今回は、1区予定だった山本選手がいけなくなり、チームの作戦上1区がいいとなりました。
序盤からハイペースとなり、駿河台大の留学生に、駒大・青学が飛ばしていく中、伊地知選手も食らいつきます。インフル明けで万全ではなかった中、10㎞過ぎまで食らいつきます。ただ、後半はやはり影響が出たのか、14㎞あたりから離れ、16.5㎞で後方集団に追いつかれます。六郷橋付近から身体が冷えてしまい、ほとんど記憶に残っていないほど苦しみ、トップと1分33秒差の区間17位。中継所で襷を渡して、力尽きるように倒れ込みました。
最後の箱根路/“攻めの走り”でチームを鼓舞した國學院大 #伊地知賢造 「悔しいけど、気持ちを押し出すことはできた」#箱根駅伝 に特別な思いで臨んだ4年生たちの物語
決して調子は万全ではなかった。ただ、主将として後輩たちに見せたい背中があった――。
|月陸Onlinehttps://t.co/tfdYZQsBYa
— 月陸Online/月刊陸上競技 (@Getsuriku) January 27, 2024
2区平林選手…とはいえ、インフル明けの伊地知選手の苦戦はある程度覚悟。それよりも伊地知選手の完全燃焼の気持ちを繋いでほしいという事での1区起用だったそう。これに大きく燃えたのが、2年連続エース区間となった3年平林選手。1年時から長丁場の区間を任されている選手ですが、課題のスピードもついて、全日本7区ではついに区間賞、自信を持って華の2区に挑んでいました。
序盤は単独走になりましたが、早い流れに離されずついていくと、得意の中盤の走りで一気に順位を上げていきます。権太坂までに、明大や順大、さらに山学や東洋を交わして12位に浮上。区間順位も3位まで上がっていました。ここから終盤まで東洋大と併走しながらペースをキープ。最終的に66分26秒の区間3位!チームの順位も17位から9位に引き上げて、一気に上位を狙える流れに戻しました。
3区青木選手…ここから8区間は2年生1年生の身の構成。その中で、駅伝実績がある2年青木選手が3区へ。1年時の全日本5区区間賞のイメージが非常に強いですが、平たん区間を突っ込んで走っていくのは箱根3区と相性がいいのではと個人的に思っていました。
序盤から突っ込んでいくと、東洋大・日大・早大らを瞬く間に交わしていき、序盤のうちに4位に浮上。さらに20秒離れていた城西大の留学生に追いついて3位争いを展開する走りには、多くの駅伝ファンを引き付ける走りとなったでしょうか。終盤はさすがに苦しくなったものの、総合4位と秒差の6位でのリレー。61分56秒の区間3位と上位への流れを加速させました。
4区辻原選手…元々伊地知選手ら上級生の予定でしたが、新戦力候補のルーキー辻原選手が入りました。上尾ハーフで62分38秒好走していましたが、往路はやや意外なように思えました。でしたが、すぐ前の東洋大松山選手の背後にピタリつく走り。当然、途中まで区間賞争いに顔を出していました。終盤は引き離されるも、61分59秒の区間4位と、歴代の國學院大のエースと変わらないタイム。総合3位まで見える位置にまで追い上げ、新たな箱根4区職人となっていきそうな予感がする好走でした。
5区上原選手…年間通しての活躍だと2年上原選手も相当のものでした。春先に1万m28分30秒台の自己ベストを出すと、秋シーズンの駅伝は絶好調。出雲1区はハイペースとなった中、後半捲っていき区間3位。全日本3区は、出遅れた中で区間3位とチームのムードを変える走りを見せていました。5区山登りはびっくりしましたが、その爆発力が活きるか注目でした。
函嶺洞門までは、ある程度前が見える位置で走っていましたが、大平台までに一気に後退、小涌園では早大に捉えられ6位に後退してしまいます。季節外れの冷雨に、沖縄県出身の上原選手の身体が悲鳴をあげたでしょうか。74分オーバーの区間17位と苦しみ、往路6位でのゴールとなります。
6区後村選手…復路は当日変更でびっくり!なんと6区7区9区と1年生が3人も入るオーダー。前日4区辻原選手を合わせて4人が走ることに。確かに、直近の記録会は1年生もかなりいいタイムでしたが、それでも4人は驚きでした。
その中、全日本駅伝1区で一足早く駅伝デビューしていた後村選手が山下りに。既に1万m28分台で走っていて。その走力に期待でした。序盤は区間一桁のペースで走っていき、小涌園直前に早大を抜いて総合5位に浮上します。ただ、中盤で脚が止まり、最終的に59分37秒の区間10位。最後の平地で一斉スターt組にに交わされ、見た目では8番目の中継となりました。
7区田中選手…ルーキーリレーとなった6区と7区。7区田中選手は、高校駅伝7区区間賞の実力者、大学でもハーフマラソンで既に63分台をマークしていました。すぐに中大に抜かれるも、見えていた法大や大東大とともに見た目7番手争いを展開します。区間一桁のペースで競り合い、終盤には創価大にも追いつきます。最後のスパートで後れを取り、9番目のリレーとなりましたが、63分29秒の区間7位で、今後が楽しみな成績でした。
8区鎌田選手…終盤遊行寺坂がある難しい区間、ここに初の大学駅伝となった2年鎌田選手が入りました。2年春までは大学での実績は少なかったのですが、夏合宿で飛躍的に成長。どの区間でも行けそうということで、出雲や全日本もメンバー入り。その後、上尾ハーフ62分49秒の好走を経て、箱根8区の座を射止めていました。
序盤は大東大と併走していましたが、直に突き放すと、中大を交わして見た目7番目に浮上します。遊行寺坂で切り替えるとそこからは区間トップをもしのぐペースで追走!序盤突き放された法大や創価大を交わして、見た目総合でも5位を取り戻す走り!個人としても、64分58秒の区間6位の好走で上位の流れを保ちました。
9区吉田選手…復路のエース区間9区に珍しく1年生…といっても、國學院大は平林選手以来2年ぶりです。吉田選手は、アーティストグループのケツメイシの息子さんということで名前が先行しましたが、高校時代から1万m29分台の実力者、大学に入ってからも秋にハーフマラソン2本走り、上尾ハーフで62分29秒と好走していました。
スタートしてすぐに法大の4年生のランナーが追いついてきますが、これに食らいついていく走り。区間一桁のペースに上がりますが、権太坂でも横浜駅前でも併走、最後のラストスパート争いまで長い長いバトルとなりました。最後に引き離されますが1秒差に留めて見た目6番目で中継。個人としても区間7位70分01秒は1年生としてまずまずでした。
10区高山選手…長い距離であれば、そしてタフな区間でめっぽう強いという2年生高山選手。その中でスピードもついてきていたということで、出雲5区・全日本4区でも起用され区間上位の結果を残していました。上尾ハーフでは62分05秒の全体5位の成績で、復路9区もしくは4区もあるかと思ったほど。
それが10区となったので、インフルエンザから何とか間に合ったというところでした。すぐに法大との併走、区間中位くらいのペースでしたが、それでも終盤に差し掛かるあたりで法大を突き放して、単独での総合5位へ。トップとは最終的に14分差となりましたが、下級生主体のオーダーで楽しみも多いゴールとなりました。
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こうみると上級生の主力で万全だったのは、2区を走った平林選手(彼もインフル明けでしたが、マラソン走れるほどそれまでが順調だったのでしょうか)くらい、過去2年3区好走の山本選手が欠場、伊地知選手が1区スクランブル発進、前哨戦好走の上原選手が5区山登り失敗など、マイナス面もありました。
その中で、3区では青木選手が序盤から突っ込んで上位への流れを繋ぐ走りを見せて、4人起用となったルーキーも、特に主要区間に入った4区辻原9区吉田選手が好走、また三大駅伝すべてエントリーに入っていた2年鎌田選手がいぶし銀の走りを見せて、今後期待させる走りでした。次年度大きなチャンスを迎えそうなのは間違いないです。
次年度へ向けて
國學院大・平林清澄はなぜ初マラソン日本新を出せた?…記録続出“超厚底シューズ”を選ばなかったワケは168cm、44kgの「超軽量ボディ」にあり(涌井健策(Number編集部))#NumberWeb #箱根駅伝 #國學院大学 #平林清澄 #前田康弘 #大阪マラソン https://t.co/YQ5HZ7SACE
— Number編集部 (@numberweb) February 28, 2024
残る今年の箱根メンバー
平林清澄③27分55秒15≪24箱2区3位、23全7区1位、出6区4位、箱2区7位、22全7区4位、出3区6位、箱9区2位、21:全7区3位、出6区5位≫
青木瑠郁②28分32秒90≪24箱3区4位、23全5区3位、出2区8位、箱1区12位、22全5区1位、出1区7位≫
上原琉翔②28分36秒44≪24箱5区17位、23全3区3位、出1区3位、箱7区6位≫
高山豪起②28分43秒51≪24箱10区10位、23全4区4位、出5区4位、箱8区13位≫
後村光星①28分52秒46≪24箱6区10位、23全1区6位≫
田中愛睦①29分02秒93≪24箱7区7位、22高校7区1位≫
吉田蔵之介①29分09秒06≪24箱9区7位、22高校7区4位≫
辻原 輝①29分11秒57≪24箱4区4位、23関東IC5千11位≫
鎌田匠馬②half62分49秒≪24箱8区6位≫
残る補欠メンバー
山本歩夢③28分16秒92≪23全2区11位、出4区6位、箱3区5位、22全2区7位、出2区6位、箱3区5位≫
野中恒亨①28分43秒49
板垣俊祐③28分51秒61
嘉数純平②28分58秒44≪23全6区5位≫
佐藤快成③half63分12秒≪23箱10区4位≫
その他有力選手
田中登馬②28分45秒92
鶴 元太③29分07秒53
山倉良太①29分08秒49
渡辺峻平②29分10秒06
中川雄太③29分13秒78
木村文哉③29分16秒13
原 秀寿③29分26秒05≪22箱6区17位≫
青木洸生③29分32秒99
そんな中、大きなニュースが飛び込んできましたね。次期主将となる平林選手が、初マラソンとなった大阪マラソンで2時間6分18秒と非常にレベルの高いタイムで優勝!学生日本新記録なのは勿論、初マラソン日本最高記録、さらに21歳以下非アフリカ勢で初の2時間7分切という快挙を成し遂げました。下級生の頃から、とにかく走り込むのが好きで、学生のうちからのフルマラソンを視野に入れていましたが、ここまでとは…!?平林選手も自信を掴みますし、チームとしても士気が高まる結果になるのかなと思います。
今回の箱根メンバーだけでみても、新3年では3区好走の青木選手に、平たん区間ではすべて好走していえる上原選手、本来は長い距離でこそ無類の強さを発揮する高山選手、箱根では出番がありませんでしたが3年目で本格化なるか嘉数選手もいます。これに既にいぶし銀の雰囲気も漂っている鎌田選手の今後のパフォーマンスも楽しみ。
新2年はポテンシャルの塊といった形、箱根4区と9区で既に目処が立っている辻原選手と吉田選手に、箱根6区7区でルーキーリレーとなった後村・田中選手、これに1万m28分台を既にマークしている野中選手も11番目ギリギリのところを争っていたそうです。まだまだ伸び盛りなので、もう一つ夏を超えているとかなりの強豪チームに化けているかも??
そして、平林選手以外の新4年生の足並みが揃ってくるかどうか。怪我が重なった山本選手は、ある意味一番態勢を立て直せる時期の故障と割り切っていけるか。ハーフ60分台の走力は、力になるはず。長い距離で時折好走を見せる佐藤・鶴選手に、少しずつベストを更新している板垣選手。さらに一度山下りを走っている原選手は、先日のロード5㎞でスピードの切れ味を見せていました。このあたりの態勢も楽しみですよね。
まとめ
・その中で、出雲駅伝4位・全日本駅伝3位
・箱根駅伝は3区以降の8人、全て2年生以下での編成
・山本選手走れず、伊地知選手1区で苦しい展開に
・それでも2区66分台区間3位平林選手、3区青木選手で上位へ
・4人起用1年生、辻原吉田選手らが主要区間で健闘
・直近、平林選手が2時間6分18秒のフルマラソン記録!
・新4年生の復活で、総合優勝のチャンスに!
今年は、結局色々あったのですよね。秋シーズンは、9月に主力が体調不良が重なり出雲駅伝は4位、少し状態が上向いた全日本大学駅伝は総合3位と戦える態勢が整ってきました。
ところが、12月上旬に今度はチーム内で、集団インフルエンザがあり、一旦はシード権落ちも覚悟する状況に。さらに主力に故障もあり、1区2区に上級生の主力を配置し、3区以降の8区間は2年生以下のオーダーになりました。
伊地知選手が精一杯の走りから、2区平林選手3区青木選手がそれぞれ好走し一気に4位争いにまで巻き返しました。前哨戦活躍していた上原選手が苦しい走りとなりましたが、2年鎌田1年辻原選手ら初駅伝選手の奮起もあり、総合5位でのゴールとなりました。トップと14分差も、下級生主体だったことを考えると来期は大きなチャンスがあるはずです。
実際、大阪マラソンで平林選手が、ついに初挑戦となったフルマラソンで持っている力を余すことなく発揮。2時間6分18秒の高パフォーマンスで、しかも優勝を成し遂げたわけですから、個人としてもチームとしても大いに盛り上がる結果です。春のトラックシーズンで、関東ICなどでまた個々活躍があると思います。要注目の1校なのは間違いないでしょう。
【2024年度 幹部のお知らせ】
第100回箱根駅伝が終わり、第101回箱根駅伝に向けて新たなチームで動き出しています。その新チームをまとめる幹部をご紹介します。
新チームも引き続き応援のほど、宜しくお願いします!#國學院大学#adidas pic.twitter.com/u3DMNtC5yz
— 國學院大學 陸上競技部 (@kokudai_ekiden) February 1, 2024
箱根駅伝ファンのための情報集
【箱根駅伝ファンのためのリンク集】
【【結果も!】2022年度箱根駅伝ファンのための競技会日程】
姉妹サイトより
【箱根駅伝アニメ:風が強く吹いている完走】
ウマ娘【競走馬元ネタ解説シリーズ】