スポンサーリンク

【東洋大学】第100回箱根駅伝2024振り返りと、次年度へ向けて

2月・3月上旬は、箱根駅伝出場チームの振り返りや、次年度への簡単な分析をしていきたいと思います。

続いて、
繋がった11区!やっぱり箱根駅伝は強い!
東洋大学です

スポンサーリンク

ページコンテンツ

【東洋大学】第100回箱根駅伝2024振り返りと、次年度へ向けて

 年間通せば、非常に苦しかった1年間でした。前回の箱根駅伝は、エース選手の欠場や体調不良で序盤最下位争い、小林・梅崎選手らの活躍で何とか順位を上げましたが、シード権獲得ギリギリの総合10位でした。

 その後のエース格の調子は必ずしも良いものではありませんでした。関東ICハーフで梅崎選手の2年連続表彰、1万mで小林選手らの健闘はありましたが、4年生を中心に怪我などが相次ぎました。

 秋シーズンは、出雲駅伝こそ1区新戦力緒方選手の健闘があり、8位とまずまずの成績でした。でしたが、全日本駅伝では序盤から乗り遅れると、区間一桁は6区村上選手のみ。総合14位と、シード権からも遠い成績となってしまいました。

 箱根駅伝は、第82回大会から18年連続してシード権を獲得していますが、それも手放してしまうのではないかとも心配されました。実際、主力の復帰前はチームの雰囲気も良くなかったと酒井監督が明かしています。

 それでも、11月下旬のハーフマラソンで4年松山選手が1㎞3分ペースとまずまず、さらに一度戦力になりかけながら故障に泣いていた3年吉田選手が62分台と新戦力になりました。

 さらに、12月下旬には、異例の箱根エントリーメンバーによる1万m記録会出場。そこで、松山・梅崎選手らが1万m28分台余裕を持っての走り、臨戦態勢は整えてきていました。

スポンサーリンク

第100回箱根駅伝2024振り返り

4位東洋大学10時間52分47秒

区間 区間順位 名前学年 区間タイム 通過順位 トップ差
1区(21.3㎞) 15位 九嶋恵舜④ 62分08秒 15位 1分06秒差
2区(23.1㎞) 6位 梅崎 蓮③ 66分45秒 7位 1分31秒差
3区(21.4㎞) 6位 小林亮太③ 62分03秒 5位 3分25秒差
4区(20.9㎞) 2位 松山和希④ 61分37秒 4位 3分52秒差
5区(20.8㎞) 10位 緒方澪那斗② 72分46秒 4位 7分06秒差
6区(20.8㎞) 8位 西村真周② 58分58秒 4位 7分50秒差
7区(21.3㎞) 19位 熊崎貴哉④ 65分03秒 4位 10分07秒差
8区(21.4㎞) 10位 村上太一④ 65分24秒 4位 11分31秒差
9区(23.1㎞) 2位 吉田 周③ 69分12秒 4位 11分52秒差
10区(23.0㎞) 1位 岸本遼太郎② 68分51秒 4位 11分22秒差

1区九嶋選手…1区に抜擢されたのは、4年生九嶋選手。1年時から山下り6区を務めるなどスピードはチーム内でも高いものありました。でしたが、上級生になってから故障が多くなり、前回は出場できず。最終学年の今年も、練習ができるようになったのは箱根駅伝の2か月前から。それでも上尾ハーフ63分台を出してから、急ピッチで進めてきました。

 かなりのハイペースとなった中、六郷橋の手前まで先頭集団に食らいつく走り。さすがに終盤は、年間通して練習できなかった影響が出てしまいましたが、区間15位ながらトップとは1分06秒差。前が点々と見える位置で襷リレー!最低限の役割は果たしました。

2区梅崎選手…高校時代から、ロード巧者と言われていた梅崎選手。長い距離を中心に年々たくましさが増していて、2年時の前回は復路エース区間9区を区間4位好走し、逆転シード権獲得に大きく貢献。その後、関東ICハーフ表彰台立ち、直前は1万m28分40秒を切るなど充実していました。それでも、箱根2区に関しては、凌ぐ形になるかなと感じました。

 それでもスタートして直に、山学大の留学生と併走して、早い流れに乗っていきます。権太坂直前にはごぼう抜きの最中の國學院大平林選手が交わしていく所、喰らいついていていくと、最後の不動坂で平林選手を突き放し、日大の留学生も交わしていきました。襷リレーいつの間にか、総合7位まで浮上!さらに区間タイム66分45秒は、元々2区予定だった松山選手よりも上回る走り!ここまで強くなっていたのはびっくり、どうやら東洋大、自信を持って臨んでいたようでした。

3区小林選手…3区には2年連続となる3年小林選手。前年は、2区で最下位争いとなりシード権が絶望的な雰囲気の中、当時初大学駅伝ながら区間9位の走り、追い上げムードを作っていました。今年は関東IC1万mで28分台を出したり、出雲駅伝3区・全日本駅伝2区と前半の主要区間で経験を積んでいました。

 すぐ後ろから國學院大・日大が追いついてきて、國學院大はそのまま見送るも、今度は早大らに追いつき、日大早大と三つ巴の6位争いを形成。区間上位のタイムで争い、中盤に創価大を交わして5位争いに浮上、最後のスパート争いではその真ん中になりましたが、前年より早い区間6位62分03秒で、上位を狙っていく流れをキープしました。

4区松山選手…とにかく松山選手が、最後の箱根駅伝を無事に迎えることができてほっとしますよね。1年時2年時にエース区間2区を走って、67分前半の快走。終盤に順位を大きく上げる松山ワープもかなり有名になりました。とはいえ、3年の夏以降は故障に泣き、中々試合にも出れない日々が続きました。今回も夏合宿で脚を痛めて、それがずっと取れないまま、懸命に最後の箱根駅伝に迎えて準備していました。

 最後は調子さえ良ければ、実績ではトップレベルとなる4区。前半から國學院大を引き連れながら区間賞を狙えるペースで前を追いかけていきます。酒匂橋付近では3位の城西大とはわずか4秒差に詰めました。それ以降は、練習不足も響いて順位を上げるまではいきませんでしたが、61分37秒の区間2位好走!目標の総合3位までは17秒差でした。

5区緒方選手…将来のエース候補の2年緒方選手。1年時は故障が多く大学駅伝での出番はありませんでしたが、今年出雲駅伝でデビュー。予想外のハイペースとなった1区をまとめて主力として目処が立っていました。上りは比較的自信があるということで、箱根2区での調整を一時していました。でしたが、全日本後に、山登りに回ることになりました。

 上位3チームが区間記録ペースで走っていく中、区間真ん中あたりのペースで懸命に堪える走り。実は貧血気味で好調ではなかったそうです。それでも終盤巻き返して区間10位。総合5位以下は寄せ付けない走りでした。往路4位、目標の3位は4分近くの差になったとはいえ、今年の東洋大がこの順位で往路を折り返すのを予想した人はどれくらいたでしょうか。

6区西村選手…山下りは2年連続となる2年西村選手。前年は、シード権を追いかける位置ということで、かなり突っ込んでいった姿が印象的でした。今季は、10月にハーフ63分台を出すなど走力をつけていました。今季は、比較的上位の単独走ということで、後半に余力を残す走り。最後の平地で大きく伸びて、区間8位ながら58分58秒と、前年より大きくタイムを伸ばしてリレー、いい出足となりました。

7区熊崎選手…2年越しの7区、そして最初で最後の箱根駅伝となる4年熊崎選手。3年時に、当時1万mチームトップとなる1万m28分36秒を出し、一旦は7区内定も故障で走れず。今年度は、出雲駅伝2区で大学駅伝デビューを果たすと、全日本1区、そして箱根7区と大学駅伝皆勤しました。その7区は、序盤から気負いからか動きが固まってしまい、区間19位。最後は見た目で中大に交わされ、後方にもかなり追い上げられてしまいました。

8区村上選手…それでもいい時の東洋大はここからが強い。北海道マラソンでまずまず走り切り、全日本6区で2年連続好走している村上選手が入りました。長い距離が得意ですが、箱根は意外にも最終学年で初。序盤はやや抑え気味でしたが、中盤からは堅実な走りを披露。区間10位ながら65分24秒とまずまず。見た目も4番目に戻し、後方総合5位争いは寄せ付けませんでした。

9区吉田選手…徐々に総合4位が見えてきていた中、真骨頂はここから。復路のエース区間に入ったのは、秘密兵器3年吉田選手。2年時に男鹿駅伝アンカーで青学大らを逆転して台頭、出雲駅伝でもアンカーを務めました。その後、故障に泣いて、昨年の10月まで継続した練習ができなかったそうです。その中で、11月下旬にハーフ62分台、ロードのセンスはずば抜けていました。

 序盤から突っ込んで入っていき、後方を突き放すと、その後も区間2位のペースをキープ。3位城西大の姿は全く見えない位置でしたが、単独走ながら好走を続けて、69分12秒区間2位の力走!ほぼ総合4位以内は決定づいて、3位城西大との差も2分22秒まで詰まっていました。

10区岸本選手…酒井監督の「11区があると思って走れ」とタスキを受けたのは、2年岸本選手。記録会少しずつ自己ベストを短縮していって、11月に1万m28分58秒を出して、勢いが乗った中での初の大学駅伝でした。入りの蒲田から定点2番目の早いペース、中盤もペースをキープして区間賞争いに加わります。

 20㎞の馬場先門には区間賞ペースに浮上、さらにこの時点で3位東洋大が40秒差と視界に入る範囲に!最後の3㎞もペースをキープ、21秒差で目標までは届きませんでしたが、個人で68分51秒区間賞獲得!今度こそ復活の狼煙としたい東洋大の19年連続シード権獲得に華を添えました。

 これが、東洋大の、酒井監督の箱根駅伝への執念なんだと感じる第100回大会。確かに、年間通して活躍した小林・梅崎選手に、緒方選手が新戦力候補として上がっていました。それでもいかんせん破壊力不足、山登り候補も不透明でしたので、シード権ギリギリどうかと思われました。

 それでも、松山選手がギリギリ間に合っただけでなく、梅崎選手が箱根2区で66分台を走れるところまで総合力が上がっていたのがもう驚きとしか…。上位の流れに乗れば、長い距離の育成力は東洋大は長けています。

 精神的な柱ともなっていた松山選手の復帰は大きかったですが、それに頼らないくらいにまで下地はできていたということでしょう。やはり、東洋大も上位常連校、近年の高速駅伝に徐々に対応してきています。

次年度へ向けて

 そして、是非とも今回を復活の序章として、第101回大会に勝負をかけていきたい陣容なのですよね。

残る今年の箱根メンバー
小林亮太③28分36秒42≪24箱3区6位、全2区16位、出3区8位、箱3区9位≫
緒方澪那斗②28分36秒67≪24箱5区10位、23全4区14位、出1区6位≫
梅崎 蓮③28分39秒97≪24箱2区6位、23全8区12位、出6区7位箱9区4位、22全7区7位、箱7区11位、21全5区4位≫
吉田 周③28分56秒34≪24箱9区2位、22出6区8位≫
岸本遼太郎②28分58秒16≪24箱10区1位≫
西村真周②29分03秒95≪24箱6区8位、23全7区18位、箱6区13位≫

残る補欠メンバー
永吉恭理③29分09秒13≪23関東IC10kmW≫
久保田琉月①29分19秒09
薄根大河①29分34秒14≪23全5区10位≫
馬場大翔①29分48秒91

その他有力選手
石田洸介③28分37秒50≪23箱2区19位、22全2区9位、出3区9位、21全4区1位、出5区1位≫
網本佳悟②29分03秒08
甲木康博③29分13秒51≪22出2区7位≫
増田涼太③29分24秒65
田中 純①29分29秒84
藤宮 歩②29分32秒44
藤本駿世①29分59秒07
宮崎 優≪23高校1区3位≫
松井海斗≪24全国1区7位、23高校1区2位、21高校3区34位≫
藤本祐輔≪23高校4区6位、22高校4区13位≫

 箱根2区66分台激走の梅崎選手に、2年連続箱根3区好走の小林選手が最終学年になりますし、今回は山登りを務めた緒方選手は、空いた4区で力を出すことができますし、2度目の山下りで結果を出した西村選手は平地もいけます。復路終盤区間で好走している吉田・岸本選手もいます。総合4位に大きく貢献している選手の多くが残っていますので、主力の故障がなければ十分に上位を目指していけるのです。

 補欠メンバーを見ても、競歩との二刀流で話題になった永吉選手は1万m29分09秒までベストを更新しました。また、現1年生から全日本5区出走している薄根選手や、山登り候補の一人となっている馬場選手、持ちタイムでは上回っている久保田選手がいますね。

 他にもおそらくメンバーを争ったとみられる2年網本選手に、少しずつタイムを伸ばしている増田選手も最終学年で戦力になってくるか。とてもスピードがある現1年の田中選手も試合復帰していて、次年度は楽しみになってくる選手です。また、有力ルーキーも加入、特に高校駅伝1区2位松井選手と同3位の宮崎選手は即戦力候補です。ここにきてぐっと少数精鋭になってきていますが、確実に育ってほしいところ。

 そして…新4年生になる石田選手の復活も待たれますね。入学からずっと期待され、最初の駅伝シーズンこそ、出雲5区1位・全日本4区1位と連続区間賞スタートで能力の一端を見ました。ただ、そのあとは故障や体調不良なども重なり、試合にもなかなか出れていませんでした。ようやく試合に出られるようになったところ、継続して練習できれば絶対に力ありますので、彼の復帰というのは、じっと待ちたいです。

まとめ

・66分台を出すまで総合力上がっていた梅崎選手
・2年連続3区小林選手に、間に合った4区松山選手
・2度目の山下りで好走した2年西村選手
・8区以降怒涛の追い上げ、総合3位と21秒差!
・9区吉田区間2位、10区岸本選手区間賞!
・出雲8位→全日本14位→箱根駅伝4位
・多くの主力が残る次年度はチャンス!

 前哨戦の結果から、シード権ギリギリ獲れるかどうかとみられていた東洋大でしたが、序盤で上位に付けると、そこから一気に流れに乗りましたね。1区九嶋選手が何とか前が見える範囲で繋ぐと、2区梅崎選手が完全にエース化し、66分台の好走!8人抜きの7位浮上はびっくりでしたね。

 2年連続3区小林選手に、間に合った4年生エース松山選手が総合4位にまで浮上、往路4位でのゴールとなりました。目標の3位は離されましたが、6区西村選手が68分台スタートすると、8区から怒涛の追い上げ、9区吉田選手区間2位、10区岸本選手が区間賞で、この2区間で4分差あった総合3位まで21秒差に詰め寄りました。箱根に強い東洋大が見えましたね。

 来期は、今回2区梅崎3区小林選手が最終学年で勝負をかけられる年。鉄紺が優勝争いを久々にするチャンスです。新2年生もまだまだ有力選手がいますし、新1年は高校駅伝1区2位3位の選手も入学…そして故障が多かった新4年石田選手も少しずつ復活してきています。噛み合うと、第101回箱根駅伝、ちょっと面白いかもしれません。