【箱根駅伝2024(第100回)】3区を定点別に振り返る

そろそろ箱根駅伝2024(第100回)の余韻が冷めつつありますかね。

レース内容をもう一度じっくりと振り返ってみたいと思います。

例年通りの定点別振り返りとなります。

続いて、大きくレースが動いた3区!

ついに箱根登場となった日本学生史上最速の駒大佐藤選手に、箱根駅伝に愛された男・青学太田選手が襲い掛かりました!

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【箱根駅伝2024】3区定点間分析~日本人最高レベルの決着!

まずは出走者を持ちタイムと、過去の実績とともに見てみます。

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3区出走者と実績

1位駒大・佐藤圭汰②27分28秒50/5千13分22秒91≪23全2区1位、出2区1位、日本5千4位、22全2区2位、出2区1位≫
2位0:22青学・太田蒼生③28分20秒63/≪23全7区5位、箱4区2位、22:箱3区2位≫
3位0:46創価・山森龍暁④28分27秒21/63分15秒≪23全2区13位、出4区1位、箱3区14位、22全8区11位≫
4位1:02早大・辻 文哉④28分54秒74/63分56秒≪20全1区6位≫
5位1:19城西・ヴィクター キムタイ②27分41秒04/62分21秒≪23全3区1位、出3区1位、全予4組12位、関東IC1万1位5千1位、箱3区11位、22予6位≫
6位1:26農大・長谷部慎④29分28秒37/64分45秒≪23予195位、全予2組25位、20予241位≫
7位1:31東洋・小林亮太③28分36秒42/63分42秒≪23全2区16位、出3区8位、関東IC1万8位、箱3区9位≫
8位1:37日大・安藤風羽③28分44秒65/63分57秒≪23予172位、全予3組6位、22全4区17位、予123位≫
9位1:39國學・青木瑠郁②28分32秒90/62分02秒≪23全5区3位、出2区8位、関東IC5千5位、箱1区12位、22全5区1位、出1区7位≫
10位1:48東海・鈴木天智②28分56秒95/62分58秒≪23予37位、全予3組14位、22予58位≫

11位2:10大東・入濱輝大②28分13秒80/63分10秒≪23全4区8位、予51位、全予1組4位、関東IC5千14位、箱3区18位、22:全3区12位、予43位≫
12位2:13山学・髙木翔瑛④28分51秒30/63分45秒≪23予169位、箱9区18位≫
13位2:14法大・野田晶斗①28分56秒53/63分49秒≪23全予1組15位≫
14位2:24帝京・柴戸遼太②28分46秒60/63分10秒≪23全3区6位、予50位、全予1組19位、箱4区12位≫
15位3:19順大・海老澤憲伸③28分36秒69/62分43秒≪23出4区6位、関東IC1万9位、22全5区9位≫
16位3:30中学・伊藤秀虎④28分31秒96/62分32秒≪23予27位、全予4組22位、22箱4区19位、21:全5区9位、予115位、20全6区14位、予190位≫
17位3:33中大・中野翔太④28分00秒86/62分49秒
≪23全2区6位、出2区6位、箱3区1位、22出3区7位、箱4区5位、21:全3区9位、予82位≫
18位4:10国士・生駒直幸②29分03秒85/63分04秒≪23全3区15位、予42位、全予1組17位≫
19位4:25駿河・古橋希翁①29分12秒10/63分34秒≪23予63位、全予4組33位、関東IC5千16位≫
20位4:35神大・宇津野篤④28分49秒31/62分38秒≪23予32位、全予2組10位、22予46位、箱3区13位、21予65位、箱6区12位、20予54位≫
21位5:19立大・馬場賢人②28分51秒19/62分35秒≪23予31位、全予3組16位、関東IC1万、箱4区16位≫
22位5:30明大・杉彩文海④28分28秒94/63分10秒≪23予52位、関東IChalf4位、箱7区1位、22予174位、21予75位≫
23位7:08日体・漆畑徳輝④28分42秒26/63分51秒≪23予238位、全予4組24位、関東IC5千19位、箱3区10位、22箱7区19位、21:全3区16位、予120位≫

 先頭で走り出すのは駒大・佐藤選手。1万m27分28秒50の日本人学生記録保持者、それ以上に、持っている抜群のスピードを、ロードでも活かしていて、出雲駅伝・全日本大学駅伝の2区で区間新記録の好走!駒澤大の連続優勝に大きく貢献していました。主戦場が5千mだったので、箱根の距離を疑問視されていましたが、1万mでトップの成績を出し、満を持しての登場です。

 青学大は、”箱根駅伝に120%力を出し切る男”3年太田選手。1年時は3区で駒大を交わして先頭へ、2年時は故障明け3か月ながら4区で駒大に追いついての先頭争い。とにかく箱根駅伝で持ちタイム以上のパフォーマンスがあげられるとともに、”駒大キラー”でもありました。今年は、1万m28分20秒の大幅ベストを出すなど万全。この22秒差がどうなるか、その一点に注目が集まりました。とはいえ、スピードは駒大佐藤選手というのがもっぱらな評判でした。

 後方は、3位創価大が山森選手、4位早大が辻選手と手堅く4年生、これを2年連続3起用とした城西大2年キムタイ選手が追い上げていく展開。トップと1分19秒差なので、場合によっては先頭争いに加わることも予想されました。

 このほか、上位付けた東洋大が、昨年も好走している3年小林選手を2年連続配置、9位まであげた國學院大は、2年連続走っている山本選手ではなく、2年青木選手を配置。このほか、東海大・大東大・帝京大も将来のエース候補と言える2年生の選手が入っていて、次を見据えているようにも見える配置に。

 後方からは、2区で追い上げられなかった中学大伊藤選手が16位から、その直後に、前回区間賞の中大4年中野選手の走りにも大いに注目。ブービーからとなったが、前回7区区間賞の明大4年杉選手ら、豪華メンバーとなっていました。

定点間分析①:戸塚中継所~藤沢

レース展開

1㎞:駒大佐藤選手の2分44秒、青学太田選手も2分44秒 全く同タイム

1.1km
①佐藤(駒大)
②太田(青学)0:23
③山森(創価)0:58
④辻(早大)1:14
⑤キムタイ(城西)1:23
⑥長谷部(農大)1:34
⑦小林(東洋)1:40
⑧青木(國學)安藤(日大)1:43
⑩鈴木(東海)1:56
⑪入濱(大東)2:18
⑫髙木(山学)野田(法大)2:19
⑭柴戸(帝京)2:29
⑮海老澤(順大)3:27
⑯伊藤(中学)3:39
⑰中野(中大)3:46
⑱生駒(国士)4:18
⑲古橋(駿河)4:30
⑳宇津野(神大)4:41
㉑馬場(立大)5:26
㉒杉(明大)5:28
㉓漆畑(日体)7:18
駒大藤田監督「追い抜かせないようにするよ 相手は突っ込んでるから、余裕をもっていくよ」
青学原監督「リラックスしていくよ」
創価榎木監督「さあ、自分のペース刻んでいくよ」
早大花田監督「最短コース行くよ、次左から左寄っていくよ 後ろ来てるけど気にしないように ここから下りに入っていくからリラックスしていくように」
農大小指監督「ここから下りに入っていくからリラックスしていくよ 後ろは東洋がきてる」
東海両角監督「今10位でもらったからね 前の國學院大とは…」
11位争いの監督「クレバーにいくよ コースを頭に入れて まず東海いくよ その前シード権 3チーム一緒に行くよ」
順大長門監督「コース取りは上手だから お腹締めていくよ」
中学川崎監督「2分52秒、予定通りだよ」
国士小川監督「お前の得意のコースだからな 頼むよ」
駿河徳本監督「自分のリズムでいこう お前調子がいいからな いけるぞ」
神大大後監督「国士の前が1分、そこからごちゃついてる 20位だけど、タイム的に悪くないからね」
日体玉城監督「5㎞14分15秒でいこう 下りだから、上半身と気持ちを落ち着かせよう」

参照動画

2㎞:城西キムタイ選手が早大辻選手の17秒差を埋める

3㎞:駒大佐藤選手8分19秒差、青学太田選手僅かに詰めているか
5㎞:佐藤選手14分00秒ちょうど、太田選手13分51秒 ここまで9秒詰める

5.4km遊行寺坂

①佐藤(駒大)
②0:09太田(青学)
③1:12山森(創価)
④1:30キムタイ(城西)
⑤1:34青木(國學)
⑥1:38小林(東洋)安藤(日大)辻(早大)
⑨1:54長谷部(農大)
⑩2:11鈴木(東海)
⑪2:32柴戸(帝京)入濱(大東)
⑬2:34野田(法大)
⑭2:42髙木(山学)
⑮3:45海老澤(順大)
⑯3:58伊藤(中学)
⑰4:13中野(中大)
⑱4:39生駒(国士)
⑲4:53宇津野(神大)
⑳5:08古橋(駿河)
㉑5:46馬場(立大)
㉒5:47杉(明大)
㉓7:41漆畑(日体)

参照動画

6.5km藤沢駅北口入口交差点

①佐藤(駒大)
②0:04太田(青学)
③1:18山森(創価)
④1:32キムタイ(城西)
⑤1:34青木(國學)
⑥1:42小林(東洋)安藤(日大)辻(早大)
⑨2:02長谷部(農大)
⑩2:16鈴木(東海)
⑪2:36柴戸(帝京)入濱(大東)
⑬2:40野田(法大)
⑭2:52髙木(山学)
⑮3:54海老澤(順大)
⑯4:04伊藤(中学)
⑰4:20中野(中大)
⑱4:46生駒(国士)
⑲4:56宇津野(神大)
⑳5:18古橋(駿河)
㉑5:48馬場(立大)
㉒5:58杉(明大)
㉓7:48漆畑(日体)

参照サイト

7㎞:駒大佐藤選手の後方、5秒差まで青学太田選手が詰め寄る
7.6km:ついに太田選手が追いつく、佐藤選手にピタリ背後に付く
 佐藤選手も後ろを振り返る

7.6㎞藤沢
区間記録:96回ヴィンセント(東国)20分40秒
日本人記録:98回丹所(東国)20分48秒

3位佐藤(駒大)21分03秒①
1位太田(青学)20分41秒①
13位山森(創価)21分45秒③1:28
2位青木(國學)21分02秒④1:38
6位キムタイ(城西)21分22秒④1:38
5位小林(東洋)21分19秒⑥1:47
4位安藤(日大)21分13秒⑥1:47
14位辻(早大)21分48秒⑥1:47
19位長谷部(農大)21分51秒⑨2:14
12位鈴木(東海)21分42秒⑩2:27
7位柴戸(帝京)21分23秒⑪2:44
9位入濱(大東)21分37秒⑪2:44
10位野田(法大)21分38秒⑬2:49
21位髙木(山学)21分53秒⑭3:03
17位海老澤(順大)21分50秒⑮4:06
18位伊藤(中学)21分50秒⑯4:17
22位中野(中大)22分02秒⑰4:32
16位生駒(国士)21分50秒⑱4:57
8位宇津野(神大)21分33秒⑲5:05
23位古橋(駿河)22分07秒⑳5:29
11位馬場(立大)21分42秒㉑5:58
15位杉(明大)21分50秒㉒6:17
20位漆畑(日体)21分53秒㉓7:58

まさか青学太田選手が、7.6kmで駒大佐藤選手の22秒差を埋まる。
 日本人学生史上最高のスピードを持つ駒大佐藤選手を、”箱根駅伝男”青学太田選手が22秒後方から追撃していく展開。先頭の駒大が優勢とはいえ、固唾をのんで見守ったファンは多かったはずです。最初の1㎞はともに2分44秒と早めの入り、暫くは膠着状態になるのではないかと思っていましたが、それは間違っていました。

 画面上からも少しずつ青学太田選手が近づいているのが見て取れました。駒大佐藤選手が初の20km超えロードで抑えているのかと思いきや、5㎞14分00秒とまずまずの入り。勿論、藤田監督の1㎞での声掛け通り後半勝負を見据えて少し余裕は持っていたと思います。

 そのうえで、太田選手は、それを上回る5㎞13分51秒の入り。この時点でトップとの差は13秒差。ここから本格的に遊行寺の下り坂が始まりますが、5.4km地点で9秒差へ、6.5km地点の交差点で4秒差に、そして定点ポイントとなる7.6km藤沢でちょうど追いついた。

 太田選手のタイムは20分41秒差で、ちょうど区間記録のヴィンセント・丹所選手の間くらいの記録。2年前は、途中からその丹所選手についていっていましたが、自力で走っていてパワーアップしていました。このあたりは、太田選手覚悟を持っての強い入りでした。

 駒大佐藤選手は21分03秒の3番目の入り。結果論で言えば、佐藤選手はもっと早い入りでも良かったのかもしれませんが…。太田選手の入りは早いですが、ここまでは区間記録並くらいでした。とはいえ、22秒差は太田選手にとって射程圏内でもあったので、ここは2区終盤で追い上げた黒田選手の激走を褒めるべきなのでしょう。ここから、長いデッドヒートが幕を開けます。

國學院大青木選手2番目!城西キムタイ選手に追いつき5人抜き!
 3位創価大山森選手を挟んで、4位から9位あたりの動きが激しかったです。4位を走っていた早大辻選手を、中継所で17秒後方だった城西キムタイ選手が2㎞で抜き去っていくところはテレビに映っていましたが、それを後方から猛烈に追い上げていたのが國學院大青木選手。

 農大長谷部選手をパスすると、区間上位のラップを刻み続ける日大安藤選手と東洋小林選手も5㎞前後でかわし、早大辻選手も交わして、遊行寺坂で5位浮上。さらに藤沢定点までに城西キムタイ選手にまで追いついて4位に浮上。21分02秒のタイムは、駒大佐藤選手を1秒上回って2番目のタイム。昨年の経験者が走れなかった中、それ以上の走りを見せています。全体的に区間上位も多く、3位創価山森選手をじりじりと追い詰めています。

 その後方は、箱根何とか間に合った東海鈴木選手が単独で総合10位、後ろ大東入濱・法大野田・山学髙木選手が3人の集団でしたが、直に山学髙木選手が脱落。代わりに帝京柴戸選手が定点7番目のタイムで追いついてきて、ペースアップ。これに法大ルーキー野田選手がちょっとつけなくなったところ、シード権争い上の順位変動が激しくなっています。

さすがに様子がおかしい中大、最初の1㎞最も突っ込んでいた明大杉選手は…
 ここから1分以上離れて15位争い、中継所で17位につけていた中大中野選手がどこまで追い上げたか気になったものの、すぐ前にいた順大海老澤・中学伊藤選手から離されている展開。この2人が早いペースではなく、中野選手がここまで区間22位のブレーキ気味のタイム。このあたりで、いくらなんでも中大おかしいなと首をひねるファンも多くなったのではないでしょうか。まさか、ほぼ全員絶不調で、オーダーをいじれなかったとは…。

 後方、2年ぶり3区の神大宇津野選手が追い上げ定点8位。駿河古橋選手を交わして、国士大生駒選手を追い上げているところ。この後ろ21位争いが実は、ちょっと激しかった。立大馬場選手を、中継所で11秒後ろだった明大杉選手が猛追、1㎞過ぎの地点で2秒差へ。しかもトップ駒大との差も2秒詰めていて、入りの1㎞は明大杉選手が一番早かったのですよね。

 遊行寺坂手前で一旦ほぼ追いついた形でしたが、本格的な下り坂から、馬場選手もまずまずの走り。杉選手が苦しそうな走りになり後退、藤沢定点では15位相当で19秒差に開いていました。テレビには映っていない攻防もしっかり記載しておきたい。

定点間分析②:藤沢~茅ヶ崎

レース展開

8.8km:3位争いに國學青木・城西キムタイ選手が浮上、青木選手は6人抜き!

10㎞:駒大佐藤選手27分50秒、太田選手は27分26秒の計算!

11.8km浜須賀:駒大佐藤・青学太田選手が通過。ずっと併走が続いている13km:3位争い國學青木城西キムタイ選手、5位後方東洋日大早大、後ろ創価

13.9km:青学太田選手が初めて駒大佐藤選手の前へ
14.1km:青学太田選手単独先頭!駒大佐藤選手が差が開く

14.3㎞茅ヶ崎(定点間6.7㎞)
区間記録:96回ヴィンセント(東国)18分50秒<39分30秒>
日本人記録:98回丹所(東国)19分35秒<40分23秒>

1位太田(青学)18分57秒<1>39分38秒①
2位佐藤(駒大)18分57秒<2>40分00秒①
3位青木(國學)19分44秒<3>40分46秒③2:25
3位キムタイ(城西)19分44秒<4>41分06秒③2:25
5位小林(東洋)19分56秒<6>41分15秒⑤2:46
5位辻(早大)19分56秒<9>41分44秒⑤2:46
5位安藤(日大)19分56秒<5>41分09秒⑤2:46
18位山森(創価)20分35秒<18>42分20秒⑧3:06
9位柴戸(帝京)20分02秒<7>41分25秒⑨3:49
14位鈴木(東海)20分21秒<12>42分03秒⑩3:51
13位入濱(大東)20分19秒<11>41分56秒⑪4:06
17位野田(法大)20分30秒<13>42分08秒⑫4:22
23位長谷部(農大)21分42秒<23>43分33秒⑬4:59
22位髙木(山学)21分02秒<22>42分55秒⑭5:08
12位海老澤(順大)20分17秒<17>42分17秒⑮5:36
21位伊藤(中学)20分53秒<21>42分43秒⑯6:13
20位中野(中大)20分38秒<19>42分40秒⑯6:13
14位生駒(国士)20分21秒<15>42分11秒⑱6:21
10位宇津野(神大)20分13秒<10>41分46秒⑱6:21
8位馬場(立大)19分58秒<8>41分40秒⑳6:59
18位古橋(駿河)20分35秒<20>42分42秒㉑7:07
14位杉(明大)20分21秒<15>42分11秒㉒7:41
11位漆畑(日体)20分15秒<13>42分08秒㉓9:16

10㎞通過27分26秒!ハイペースで続いた鍔迫り合い
 藤沢定点で追いついた青学太田選手。とはいえ、ハイペースで突っ込んだので、さすがに前には出ず、後ろで様子を見る構え。そうしながら再び脚を溜めにいくのも狙いだったはずだ。

 駒大佐藤選手も意外と早く追いつかれたという動揺は多少あったと後に述懐しますが、他の選手の後ろをつくのは好きではない、自分のリズムで走りたいと、早いペースで走ったまま。

 このまま10㎞を通過して駒大佐藤選手は27分50秒通過、追いついた青学太田選手はなんと27分26秒と、トラックの自身のベストを1分近く上回るタイムで通過!下り坂があったことや、最新シューズの効果もあるにせよ、ここまでのハイペースは予想できなかったのではないでしょうか。

 このまま膠着状態かと思われましたが、湘南街道に出た13.9km地点で青学太田選手が、駒大佐藤選手の前に出てやや仕掛ける構え!14.1kmでは3mほど太田選手が前を走るという展開に!非常に緊迫した場面で茅ヶ崎定点を通過していきました。

 そしてびっくりした事実。太田・佐藤両選手の、藤沢-茅ヶ崎定点のタイムが18分57秒!日本人記録の丹所選手の19分35秒より遥かに速い18分57秒!ちなみにヴィンセント選手が18分50秒なので、あの96回青学鈴木選手をぶち抜いていったとき並の走りでの鍔迫り合いが行われ、しかも直前で仕掛け合いまであった、凄まじいレベルの争いとなっていました。

城西キムタイ・國學青木選手の3位争いだけでなく、5位争いも健闘
 このあたりなってくると、ある程度流れ通りになってきていて、定点間の上位はほとんどが上位勢。まずは3位争いの城西キムタイ・国学青木選手の競り合い。定点間のタイムは19分44秒なので、まずまず。先頭が早すぎてトップとの差がいつの間にか2分25秒差と開いていますが、ここ数年の3区ならかなりのレベルになります。

 これに21秒差で続いている5位争いが早いペースをキープ。3チームのうち、実績が高いのは前回も区間一桁の東洋小林選手になりますが、日大安藤・早大辻選手も健闘。安藤選手も1万m28分台、早大辻選手は絶好調とのことでしたが、インフルエンザにかかった主力伊藤選手の代理での3区。序盤は抑えていましたが、この集団にはしっかりついていっています。安藤選手にいたっては小林選手に追いついてなので上位4名に次いで区間5位の好走です。

 この争いも定点間5番目タイとなる19分56秒と早いペースを維持、これに前回まずまず走っている創価山森選手がつけずに後退。昨年は後方に追いつかれてから粘りを発揮したものの、ここまで区間18位。少し調子も上がり切っていないようだった。

帝京柴戸・立大馬場選手らが区間一桁ペースをキープ
 後方では、細かく動きがありました。藤沢定点11位争いに追いついていてた帝京柴戸選手が好調を維持し、その集団から抜け出し、東海大鈴木選手らを捉えて一気に9位に浮上、帝京大が序盤でシード権内に入ってきました。鈴木選手は、両角監督から「そこがシード権だから絶対に離れるな」の指示を受けて、必死に粘り2秒差にとどめているところ。

 その後は、点々としていて、大東入濱・法大野田選手、そして3区のペースに付けなかった農大長谷部・山学髙木選手が13位14位へ後退。長谷部選手は怪我した主力の代わりなので仕方ないが、山学大は主力選手の一人ということもあり、これ以上のジュにダウンは避けたいがどうか。

 後方、離れていた順大海老澤選手が定点12位まずまずのタイムでじりじり詰め寄る。この後ろにいた中学伊藤・中大中野選手は併走となっていますが、やはり区間20番前後のペース。15位順大の姿が離れていく。いつの間にか、その後ろ国士大生駒・神大宇津野選手が8秒差まで迫っていて、まさか抜かれる展開にもなりそうになっていた。

 その候補、立大馬場選手が好調。ここまで区間8位41分40秒、定点間も8位だ。駿河古橋選手を交わして20位に浮上し、前も見据えている。昨年も4区で後方から自分の走りができていましたが、単独走・駅伝力が高い選手と見ます。22位明大杉選手も何とかペースキープ。断トツ最下位の日体漆畑選手も区間13位、何とか前が見える位置まであげられたらなという茅ヶ崎定点でした。

定点間分析③:茅ヶ崎~湘南大橋

レース展開

14.8km:駒大佐藤選手追いつき併走 前にはいかせない

15㎞通過同時に給水、なお雨がぱらつき始めた

16.6km:青学太田選手が再び前へ、また3mほど差が開く

17.8km:再び駒大佐藤選手が前へ、

18.1㎞湘南大橋(定点間3.8㎞)
区間記録96回ヴィンセント(東国)10分49秒<50分19秒>
日本人記録98回丹所(東国)11分13秒<51分35秒>

1位太田(青学)10分54秒<1>50分32秒①
1位佐藤(駒大)10分54秒<2>50分54秒①
3位キムタイ(城西)11分03秒<3>52分09秒③2:34
10位青木(國學)11分30秒<4>52分16秒④3:01
4位辻(早大)11分19秒<7>53分03秒⑤3:11
4位小林(東洋)11分19秒<6>52分34秒⑤3:11
4位安藤(日大)11分19秒<5>52分28秒⑤3:11
19位山森(創価)11分56秒<18>54分16秒⑧4:08
11位柴戸(帝京)11分41秒<8>53分06秒⑨4:36
16位鈴木(東海)11分47秒<12>53分50秒⑩4:44
17位入濱(大東)11分55秒<13>53分51秒⑪5:07
17位野田(法大)11分55秒<17>54分01秒⑫5:21
22位髙木(山学)12分09秒<22>55分04秒⑬6:23
12位海老澤(順大)11分42秒<16>53分59秒⑭6:24
23位長谷部(農大)12分33秒<23>56分05秒⑮6:37
12位生駒(国士)11分42秒<15>53分53秒⑯7:09
12位宇津野(神大)11分42秒<10>53分28秒⑯7:09
20位伊藤(中学)11分57秒<20>54分40秒⑱7:16
21位中野(中大)12分05秒<21>54分45秒⑲7:24
9位馬場(立大)11分29秒<9>53分09秒⑳7:34
15位古橋(駿河)11分44秒<19>54分26秒㉑7:57
8位杉(明大)11分28秒<11>53分39秒㉒8:15
7位漆畑(日体)11分24秒<14>53分52秒㉓10:06

スタミナの消耗・脚の疲れが蓄積されていく首位争い
 首位争いは激しい攻防となってきた。茅ヶ崎定点前後で青学太田選手が仕掛けて、駒大佐藤選手を引き離していたが、14.8km地点で佐藤選手が再び追いつき併走。ここは佐藤選手もすぐに反応せず冷静に対処していました。

 それでも、16.6kmで青学太田選手が再び前へ。また3mほど差が開くが17.8kmで再び駒大佐藤選手が追いつていく。この定点間も10分54秒で、ヴィンセント選手から5秒遅れるだけ。記録的にも丹所選手からは1分前後早いタイムになり、もう日本人史上最高レベルでの争いになっていました。

 この季節にしては珍しい雨が降り始めていましたが、物凄い熱戦になってきていました。最も、一定のペースではなく、仕掛け合いもあり、脚にダメージも溜まっていく展開。こうなるとスピードの駒大佐藤選手より、スタミナの青学太田選手の方が少しずつ有利になってきた…という印象もありました。

最後方、明大杉選手と日体漆畑選手が定点間一桁
 3位争いは決着。城西キムタイ選手が抜け出して単独3位へ。前年も駅伝慣れしていない中、後半は素晴らしい走りをしていましたが、今回も再び。5区山登りに大砲がいるだけにここからトップとの差を詰めることができるか。

 國學青木選手は前半飛ばした影響か、離れた以上に定点間順位が10番へ。後ろ集団で好ペースをキープしている4位早大辻・東洋小林・日大安藤選手が10秒差に迫ってきています。

 全体的には、シード権争い付近にいるチームがここにきて苦戦。むしろ、後方にいた順大海老澤選手、国士生駒・神大宇津野選手らがじわじわ順位を上げてきて、むしろまた大混戦になった形。立大馬場選手も、ペースの上がらない中大らに追いつきそうで、なんとか争いに戻ってこようという体制。

 さらに、最後方にいる明大杉選手と日体漆畑選手がここにきて定点間一桁順位。杉選手は最初の1㎞突っ込んで一旦息切れするも、粘りを見せた。やはり前回区間賞、思う走りではなくても粘りを見せる。日体漆畑選手は、全く前が見えない中での走り。前回の中位争いの中での好走が記憶に新しいが、やはり力ある選手だった。

定点間分析④:湘南大橋~平塚中継所

レース展開

18.2km:青学太田選手サングラスを上にあげて、一気にスパート!差が5m以上に開く!
18.8km:1位青学太田、2位駒大佐藤選手の差10m以上。佐藤選手の表情が歪む

19.8km:1位青学・2位駒大との差が5秒差
後方、城西キムタイ選手3位浮上、4位國學青木選手後退、後方5位集団が迫る
また、2区で14位だった帝京柴戸選手が9位まで浮上、後方10位東海が見える

青学太田選手が懸命の逃げ、駒大佐藤選手ももう一度先頭に迫る

21.4㎞平塚中継所(定点間3.3㎞)

区間記録:96回ヴィンセント(東国)9分06秒<59分25秒>
日本人記録:98回丹所(東国)9分34秒<60分55秒>

1位太田(青学)9分15秒<1>59分47秒①
2位佐藤(駒大)9分19秒<2>60分13秒②0:04
3位キムタイ(城西)9分20秒<3>61分29秒③2:39
4位安藤(日大)9分28秒<4>61分56秒④3:24
5位小林(東洋)9分29秒<6>62分03秒⑤3:25
8位青木(國學)9分40秒<3>61分56秒⑥3:26
6位辻(早大)9分36秒<7>62分39秒⑦3:32
17位山森(創価)10分03秒<19>64分19秒⑧4:56
11位柴戸(帝京)9分51秒<9>62分57秒⑨5:12
18位鈴木(東海)10分09秒<15>63分59秒⑩5:38
19位入濱(大東)10分11秒<16>64分02秒⑪6:03
20位野田(法大)10分11秒<17>64分07秒⑫6:12
14位海老澤(順大)9分58秒<14>63分57秒⑬7:07
22位髙木(山学)10分20秒<22>65分24秒⑭7:28
13位生駒(国士)9分52秒<12>63分45秒⑮7:46
14位宇津野(神大)9分58秒<10>63分26秒⑯7:52
23位長谷部(農大)10分34秒<23>66分40秒⑰7:57
10位中野(中大)9分48秒<20>64分33秒⑱7:57
7位馬場(立大)9分39秒<8>62分48秒⑲7:58
16位伊藤(中学)10分02秒<21>64分42秒⑳8:03
9位古橋(駿河)9分45秒<18>64分11秒㉑8:27
11位杉(明大)9分51秒<11>63分30秒㉒8:51
21位漆畑(日体)10分13秒<12>63分45秒㉓10:44

青学太田選手、驚愕の59分台!駒大佐藤選手を交わし切る!
 決着がついたのは2年前と同じ湘南大橋だった。青学太田選手が3度目の仕掛け、これはサングラスを上げて明らかなギアチェンジ。本気で勝負に行った仕掛けだった。これに駒大佐藤選手も苦しげな表情になり、初めて1秒以上の差がつく。

 2年前は東国大丹所選手を振り切っていったが、今回はそれ以上のペースで追いついて丹所選手以上のペースで走っていた駒大佐藤選手を突き放したのですから、本当に圧倒的というか衝撃の力走だった。19.8kmでその差は5秒差となった。

 とはいえ、駒大佐藤選手も、自分が先頭で渡す役割というのは理解していた。激しいつばぜり合いで脚は痙攣していたといいますが、懸命のスパート。最終的に両者の差は4秒でのリレーとなりました。

 青学太田選手は、59分47秒と、日本人記録60分55秒を1分以上上回る凄まじいパフォーマンス。あの衝撃のヴィンセント選手の記録にも22秒差と肉薄した。駒大佐藤選手も60分13秒と、日本人記録は大幅に上回って見せたのですから、力はある程度出し切ったはずだが…。

 駒大としては、毎度の駅伝佐藤選手で大きく流れを引き寄せてそのまま逃げ切るレースをしていただけに、非常に痛手。青学大が自力で上回って見せた。とはいえ、まだ4秒差なので、次の区間次第ではまだ流れは分からないという展開でした。

城西大を初め、上位7チームが、後続と差を開ける
 続いてやってきたのが、城西大キムタイ選手。出雲3区・全日本3区連続区間賞、その直後の1万m27分台を出していて期待が高まっていたところ。61分29秒が不満なのは、前2人が早すぎるからなのだが、十分に後続と差をつけることはできた。トップとの差は2分39秒、4区を凌げれば、5区往路優勝大勝負できる位置だ。

 4位争いは、國學院大青木選手を巻き込んで大白熱!最終的に日大安藤選手が制して4位中継。タイムは61分56秒と昨年の区間賞並のタイム!2区キプケモイ選手で稼いで…ではなくむしろ腹痛で本来のパフォーマンスならず、1区西村3区安藤選手の好走でここまで持ってきていて、日大覚醒したのかと思わせるような激走だった。

 秒差で東洋小林選手、國學青木選手がリレー。東洋大は、完全に前評判を覆す力走、まさか3区5位中継は東洋ファンでも予想しえなかったのではないでしょうか。選手層は比較的厚いので、次の4区選手の復調次第では上位はほぼ確実になりそうな形。國學院大は、1区から完全に巻き返し、上位争いの流れには乗せることができた形だ。

 続いて、残り1㎞まで集団についていた早大辻選手が7位でリレー。直前で最初で最後の箱根が往路3区に決まった中で、うまく力を出し切った形だ。エースで稼いで流れを作ることはできたようだ。これ以降は1分半離れて、上位7校が主導権を握った形になった。

帝京大がシード権内、国士・神大が順位を大きく上げる
 ここから1分半離れた創価山森選手は64分オーバーの区間19位。全日本以降の不調から脱することはできなかった模様。とはいえ、ここも5区山登りが強いので、シード権以上は最低限の位置だ。続いて、62分台で走り切った帝京柴戸選手が5人抜きで総合9位リレー。前回の箱根4区・さらに全日本3区を見ても、やはり駅伝力が高いとみる。帝京大のエースになりそうだ。

 続いて、故障明けだった東海大鈴木選手が何とか粘って10位キープ。少し離れて11位大東入濱・12位法大野田選手がリレー。その後1分空いて、13位まで浮上した順大海老澤選手、14位まで下がった山学髙木選手がリレー。

 その後がびっくり。2区までに流れを作れなかった国士大生駒・神大宇津野選手がともに63分台の粘走で15位と16位に浮上。国士大は鬼門の3区をリレー、宇津野選手は2大会前3区での粘り同様見事。流れを作り直したと言える走りだった。次の17位まで落ちた農大長谷部選手は66分台。主力を配せなかったところ、仕方ない失速だった。

 それにラストスパートで懸命に追いついた中大中野選手が17位リレー。とはいえ前年の区間賞より2分40秒ほど遅れる64分33秒の区間20位。何も知らないファンは呆然とするしかない結果だった。熱発の影響で1㎞3分ペースの維持が精一杯だったのは、往路を終えてから知ることになる。

 直後、19位立大馬場選手が62分48秒の区間8位の好走で、15位のチームまで12秒と迫ってリレー。1区2区で遅れて、今回も厳しいかと思われたが、復活後初の区間一桁。次の区間次第では、シード権争いに加われそうな勢いだった。

 その後も、中学伊藤選手が20位、ラスト3㎞は9番目のタイムで走った駿河古橋選手が21位、明大杉選手が22位のままも区間11位で、何とか前が見える位置。シード権争いはここまでまだ分からないところ。ここから2分近く後方となった日体漆畑選手も63分台の区間12位では走っていました。首位争いに注目が集まった中、全体的に2区で出遅れたチームの巻き返しも目立った3区でした。


hakonankit

箱根駅伝の魅力に3歳の頃から取りつかれ、今や全日本大学駅伝や出雲駅伝を含めた大学駅伝、その予選会。大学長距離界がとても大好きな人間です。ブログでは10年以上にわたり、追いかけています。

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