2月・3月上旬は、箱根駅伝出場チームの振り返りや、次年度への簡単な分析をしていきたいと思います。
続いて、
序盤3区間で勝負できず…6年ぶり予選へ
帝京大学
「今回の箱根に関しては小手先になってしまった」
今年は #箱根駅伝 総合13位とシード権を逃す結果になった #帝京大。中野孝行監督が今年のレースを振り返った。https://t.co/H0jcCpCAMJ
— 集英社スポルティーバ (@webSportiva) March 2, 2023
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【帝京大学】第99回箱根駅伝2023振り返りと、次年度へ向けて
ここのところ5年連続出場を続けていた帝京大。特に昨年度の4年生世代が非常強力だったのも大きく、総合4位や往路2位など、帝京大過去最高レベルの成績を残していました。
その世代が抜けて、今年は踏ん張りどころでした。気がかりだったのは、4年生の台頭が新チーム開始当初少なったこと。育成でじわじわ増えてくるのですが、その土台となっていた夏合宿が、コロナ禍でやや制限されていたのが、やや響いたこともあったでしょうか。
全日本予選は、健闘した場面もありましたが、最後は力及ばず予選落ち。出雲駅伝では、主力選手が複数人走ることができなかったこともあり、6人中5人が初駅伝選手でオーダー編成し、11位に終わりました。
今年は厳しいのかと思われましたが、上尾ハーフや1万m記録会では、自己ベスト続出。4年生の台頭もありました。直前の合宿では、過去のデータとそん色のない練習ができていて、密かに自信を持って臨んでいました。
箱根駅伝2023振り返り
13位帝京大学11時間03分29秒
往路14位5時間32分20秒・復路15位5時間31分09秒
区間 | 区間順位 | 名前学年 | 区間タイム | 通過順位 | トップ差 |
1区(21.3㎞) | 16位 | 小野隆一朗③ | 63分30秒 | 16位 | 0:46 |
2区(23.1㎞) | 17位 | 西脇翔太③ | 69分13秒 | 16位 | 3:19 |
3区(21.4㎞) | 17位 | 小林大晟② | 64分12秒 | 17位 | 5:40 |
4区(20.9㎞) | 12位 | 柴戸遼太① | 62分52秒 | 15位 | 7:22 |
5区(20.8㎞) | 8位 | 新井大貴④ | 72分33秒 | 14位 | 9:10 |
6区(20.8㎞) | 16位 | 山田一輝④ | 60分58秒 | 14位 | 11:46 |
7区(21.3㎞) | 17位 | 北野開平④ | 64分59秒 | 15位 | 13:27 |
8区(21.4㎞) | 6位 | 山中博生② | 64分52秒 | 14位 | 13:42 |
9区(23.1㎞) | 15位 | 末次海斗③ | 69分57秒 | 13位 | 15:13 |
10区(23.0㎞) | 12位 | 日高拓夢③ | 70分23秒 | 13位 | 16:18 |
1区小野選手…中野監督は、1区から3区をひとまとめで考えられることが多いそうです。今回も主力の3人を投入しましたが、1区には2年連続小野選手。前回区間記録ペースについていき、往路2位の口火を切った選手です。
前回とは違い、スローとなった大集団で、脚を溜める展開。それでも関東IC・全日本予選4組で概ね戦っていて、上位で襷を、と思われましたが…六郷橋付近で遅れだしてしまい、区間16位。ちょっと出遅れてしまいました。
2区西脇選手…前回の箱根駅伝10区出走していた西脇選手を、華のエース区間2区に抜擢。日本学生ハーフでも上位でしたね。その後、一時期調子が落ちていましたが、状態を上げつつあありました。
序盤は抑えめに入って、後方にいた東洋大と並走します。直に引き離して、落ちてきた連合チームを捉えますが、その後は中々前が見えない展開。総合16位で繋ぎますが、区間17位69分12秒とちょっと伸び悩みました。
3区小林選手…帝京大将来エースの期待が高い2年生の選手ですね。1年時の全日本でも、長距離区間7区を任されていて長い距離の対応は早かった。その後、怪我もありましたが、秋の記録会で1万m28分台。一時は2区とも言われていたほどでした。
単独走が続く中、思うようにペースは上がっていかず。茅ヶ崎を過ぎたあたりで、区間一桁ペースの東洋大が追いついてきます。これについていくこともできず、総合17位で中継。個人としても区間17位64分かかりました。この時点で、シード権と3分10秒の差がついていました。
4区柴戸選手…その中、準エース区間4区で、1年生の柴戸選手が出走します。高校駅伝1区15位の成績で、関東IC5千mもいきなり出走するなど、帝京大歴代でトップクラスのルーキー。11月1万mも29分00秒を出して、期待を込めて起用されました。
序盤から区間一桁を狙えるペースで入ると、前が徐々に近づいてきます。国士大を中盤、日体大を中継所直前で交わして総合15位に浮上、62分52秒の好タイムの区間12位。期待のルーキーが悪い流れを断ち切ります。
5区新井選手…4年連続エントリーされていた新井選手が、満を持して出走。1年時から山登りを意識していましたが、前区間記録保持者の選手の補欠に留まっていました。直前の上尾ハーフで63分少し、区間記録とチームをシード権内に引き上げることを目標として、走り出します。
でしたが、いざ走り出すと、予想以上の寒さで、中々身体が動かなかったそうです。本人曰く「魔物にやられた」と話すほど、もどかしかったそうです。
それでも区間中位のペースでは走ると、小涌園を過ぎてからは定点間で一桁順位をマークする場面も。72分33秒の区間8位で、山学大を交わして総合14位浮上。10位とは4分差が付きましたが、それでも走りで抵抗を示しました。
最後の箱根路/枯れても腐らず、山を駆けた帝京大・新井大貴が感じた「先輩の偉大さ」 #箱根駅伝 でさまざまな思いを胸に臨んだ4年生たちな物語
最初で最後の箱根に挑んだ帝京大の #新井大貴 は「練習と本番では全然違った」と話す。
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— 月陸Online/月刊陸上競技 (@Getsuriku) January 26, 2023
6区山田選手…復路のスタート6区には4年山田選手。山区間はともに初出走の4年生になったのですよね。山田選手も過去エントリーがありますが、今回上尾ハーフでも好結果を残して、ついに出走となりました。
前を追いかけたいところでしたが、それほどペースが上がらず、下り始めたあたりで一斉スタートのグループが追いつきます。最終的に、そこから少し離れた18番目で襷リレー。個人としても、61分近くと、少し並乗れませんでした。
7区北野選手…4年生が3区間連続でリレーに成しましたね。7区には、この世代唯一箱根駅伝に出走経験のあった北野選手。前回山下りを走り、その後ハーフ62分台をマークし、平地でも力をつけているところを見せていました。
点々と前が見えている状況。専大を交わし17番目に浮上すると、前の集団を追いかけ、二宮時点で15秒差に詰めます。ただ、そこからペースがガクンと落ちてしまいます。中継所前には、立大に抜かれ18番目へ。64分59秒の区間17位と、追い上げることはできませんでした。
8区山中選手…8区に入ったのは2年山中選手。出雲駅伝5区で駅伝デビュー。その後、1万m29分20秒の自己ベストを出していました。ただ、記録面からはロード未知数と思われました。
そんな中、最初の定点茅ヶ崎でびっくり!立大の選手と17番目争いをしながら通過。なんとこの時点で区間記録を超えるペースで区間トップ!この勢いが続くかどうか、駅伝ファンみんな注目した場面です。
その後は、さすがに区間賞争いからは落ちるも、粘りある走り。立大を突き放し、失速した大東大・東海大を交わして、見た目15番目に浮上。区間6位64分52秒の好走、帝京大のユニフォームらしく、火の出るような走りでした。
9区末次選手…長い距離が得意と、帝京大内で昨年から名前が挙がっていた3年末次選手が復路エース区間9区へ。今年度は、全日本予選2組で好走、出雲駅伝アンカーで、一度駅伝経験を積んでいました。
9区ながら意外と前後と差がない状況での走り。山学を抜いて14番目に上がりますが、終盤に東海大・大東大が追いついてきて3人の争いに。最後のスパート争いで勝ち切って14番目キープ。個人としては区間15位も69分台マーク。総合順位も13位に上げました。
10区日高選手…アンカーに選ばれたの3年日高選手。ここまで大きな大会は出場していませんが、10月に5千m14分20秒、1万m29分19秒と立て続けに自己ベストを出していました。
すぐ後ろにいた大東・東海と3人で14番目走行。なお、東海大とは総合13位を争っていました。中盤で大東大が抜け出し、東海大とマッチレース。田町を過ぎて、追いついた山学大に追走すると、東海大が失速。総合13位は手中に、最後のスパート争いで山学大に競り勝ち、15番目でゴール。個人としては区間12位でした。
シード権に向けて勝負するという事では、勝負をかけた序盤3区間が、上位勢についていくことができなかった時点で苦しくなりましたかね。ただ、序盤3区間とも来年残りますので、予選通過できれば、一つオーダー組みやすいですかね。
その後は、ちょくちょく好走がありました。4区1年生柴戸選手が、自分でペースを作り順位を上げる走りを見せたのは一番の収穫。この世代は他にも走ってもおかしくなかった選手がたくさんいます。
8区で攻めの走りで、区間6位で走り切った2年山中選手を初め、復路3区間は流れの中で、徐々に順位を上げていく走り。3年生の世代は、1区の小野・西脇選手以外に、末次・日高選手の台頭がありましたね。
狭間の世代となっていた4年生も、5区新井6区山田7区北野選手とリレー。この中で、5区新井選手が区間8位の好走で順位を上げました。本人は不本意な感じでしたが、終盤粘って区間順位を上げていけたのは、強かったですね。
6年ぶりに予選に回ることになりますが、長い距離で粘りを見せる帝京大カラーを、もう一度作り直せるはずです。
次年度へ向けて
上昇気流にのっていけるメンバーに見えます。
残る今年の箱根メンバー
小林大晟②28分43秒71
≪23箱3区17位、21全7区11位≫
小野隆一朗③28分50秒22
≪23箱1区16位、22関東IC1万9位、箱1区8位、21:全1区19位、出1区9位、20:全1区18位≫
西脇翔太③28分57秒21
≪23箱2区17位、22箱10区10位、21:全5区14位、出5区8位≫
柴戸遼太①29分00秒47
≪23箱4区12位、22関東IC5千、21高1区15位≫
山中博生②29分20秒51
≪23箱8区6位、22出5区11位≫
末次海斗③29分31秒83
≪23箱9区15位、22出6区9位、全予2組4位≫
日高拓夢③29分19秒03
≪23箱10区12位≫
残る補欠メンバー
福田 翔②29分37秒33
≪22出4区9位、全予2組15位≫
大辻頌悟③29分20秒27
尾崎仁哉①half63分23秒
島田晃希①half63分34秒
岩本拓真②half63分42秒
その他有力選手
福島渉太②28分57秒49≪22:箱7区13位≫
藤本雄大①29分33秒24≪22出1区15位≫
林 叶大②29分39秒49≪22関東IC5千≫
針谷咲輝③29分48秒10
山口翔平①29分49秒60
大吉優亮③half64分58秒≪22日本IC3障1位、関東IC3障4位≫
大類 駿③half64分59秒
楠岡由浩(慶誠)≪23全国1区16位、22国体5千3位、IH5千m9位≫
もう一度まとめなおすと、やはり今回に関しては箱根駅伝経験者が多く残ります。往路1区を2年連続になった小野選手に、2区を走った西脇選手らが最終学年になります。今回の悔しさを糧にエース格として、もうひと伸びできるか。
この世代は、復路エース区間任された末次選手と繋いだ日高選手、持ちタイムはほぼ同じの大辻選手、日本IC3障で活躍している大吉選手と、戦える選手ぐっと多くなってきました。少しでも選手層が厚くなれば。
現2年生は、往路3区を走り1万m28分台を持っている小林選手が抜けていましたが、復路8区では山中選手が飛躍を予感させる走り。今回エントリーに入らずも前回7区出走していて1万m28分台の福島選手も忘れてはいけないですね。
さらに丸亀ハーフでは、箱根を走っていない福田選手が62分少し、走りやすい気候とはいえレギュラー陣を上回るタイムで出走。他の選手にも大いに、目標になる走りと中野監督も言われていました。
また現1年生の勢いがすごく、往路4区である程度通用するところを見せた柴戸選手の他、出雲駅伝1区に抜擢された藤本選手に、既にハーフ1マン63分台半ばの尾崎・島田選手と、選手が続々台頭しています。
新入生も、全国区の選手が入り、IH5千m決勝や都道府県対抗駅伝で1区で活躍している楠岡選手が入りますね。新4年もいるけど、下級生も勢いあるなと思います。逆襲可能な戦力に思います。
まとめ
・4区1年柴戸8区山中選手、次の主力が好走
・狭間の世代4年は、山登り新井選手が区間8位奮起
・6年ぶりの箱根駅伝予選会
・新4年~下級生と勢いある選手は多い
ある程度自信を持って挑んだ箱根駅伝でしたが、今回は小野・西脇・小林選手と、主力選手を投入した序盤の3区間が、連続して区間下位に沈んでしまい、この時点でシード権獲得が厳しくなってきました。
それでも、一部の区間で反骨精神を見せるのが帝京大。4区では、将来のエース候補として投入された柴戸選手が、区間12位で前を追い上げる走り。5区~7区では、狭間の世代と言われた4年生がリレー。その中で、5区山登り新井選手が、区間8位と意地を見せます。
また、8区では山中選手が突っ込んで入りながらも、区間6位で持ち応えてリレーする見せ場。9区10区も流れの中で、ある程度まとめられたのではないでしょうか。何とか総合13位まで浮上しました。
6年ぶりの箱根駅伝予選会という事で、中野監督以外は予選会を知らない世代。中野監督からすると、まだまだ緊張感が足りなという事だそうですが…
それでも小野・西脇選手ら現3年世代に主力がいますし、2年は山中・福田選手に勢いがありますね。1万m28分台小林・福島選手もまた戦列復帰できれば頼もしくなります。そして柴戸選手ら現1年生の世代、新入生も即戦力級のルーキーがきます。
メンバーを見ると、伸び盛りだなというチームにも映りますかねぇ。全日本・箱根とも予選会を通過して、本戦で戦っていける。もう一度、上位校の中に入っていく力はつけつつあります。
【陸上・駅伝】#箱根駅伝 で2022年まで5年連続でシード権を獲得していた #帝京大学。2024年の第100回大会でシード権奪還を目指しています。予選会突破へチームは着々と準備を進めています。新チームが始動した今年1月、この1年間の目標や取り組みについて聞きました。https://t.co/EEXMCoTkBm
— 4years. (@4years_media) March 5, 2023
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