2月・3月上旬は、箱根駅伝出場チームの振り返りや、次年度への簡単な分析をしていきたいと思います。
続いて、
序盤で思わぬ躓きも、山から意地!
大東文化大学
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95回大会の出場を最後に、出場が遠ざかっていた大東文化大。前年度に上昇の兆しがあり、その時の箱根予選は15㎞まで圏内に付けるも、エース選手のブレーキもあり、12位敗退。空気も重たくなりがちでした。
そんな中、新監督として就任したのが、大東大のOBで、仙台育英高校を優勝に導いたこともある真名子監督。この真名子監督になってから、各ランナーの成長曲線が急上昇します。
関東ICで3障佐竹選手が優勝を飾ります。全日本予選では、1組でブレーキがあるも、2組ワンジル選手が巻き返すと、最終組で久保田・菊地選手が他校のエースと戦い切り通過。久々に大学駅伝の出場権を勝ち取ります。
4年ぶり本戦出場を駆けた箱根予選では、各ランナー非常にいいレースをして、まさかのトップ通過!さすがの真名子監督も驚く結果でした。全日本駅伝は、主力に不調者も相次ぎ14位になりましたが、本戦に向けて、勿論士気を高めていました。でしたが、思わぬつまずきがありました。
16位大東文化大学11時間06分08秒
往路17位5時間36分01秒・復路12位5時間30分07秒
区間 | 区間順位 | 名前学年 | 区間タイム | 通過順位 | トップ差 |
1区(21.3㎞) | 15位 | 久保田徹③ | 63分24秒 | 15位 | 0:40 |
2区(23.1㎞) | 20位 | ピーター ワンジル② | 71分35秒 | 20位 | 5:35 |
3区(21.4㎞) | 18位 | 入濱輝大① | 64分25秒 | 20位 | 8:09 |
4区(20.9㎞) | 14位 | 大野陽人④ | 63分16秒 | 19位 | 10:15 |
5区(20.8㎞) | 12位 | 菊地駿介③ | 73分21秒 | 17位 | 12:51 |
6区(20.8㎞) | 6位 | 佐竹勇樹③ | 59分24秒 | 16位 | 13:53 |
7区(21.3㎞) | 15位 | 金田龍心④ | 64分35秒 | 16位 | 15:10 |
8区(21.4㎞) | 18位 | 木山 凌④ | 66分19秒 | 17位 | 16:52 |
9区(23.1㎞) | 13位 | 大谷章宏② | 69分46秒 | 17位 | 18:12 |
10区(23.0㎞) | 8位 | 谷口辰煕④ | 70分03秒 | 16位 | 18:57 |
1区久保田選手…1区を任されたのは3年久保田選手。大東大のエース格の選手、全日本予選最終組で他校のエースと戦い、箱根予選も概ね上位集団と戦っています。まずは区間一桁では繋ぐ意識でした。
スローとなった大集団を潜めていましたが、六郷橋を過ぎたあたりで、少しずつ遅れ始めていきます。目標としていた集団の、20秒ほど後方となる区間15位でのリレーになりました。
2区ワンジル選手…大東大のエース2年ワンジル選手。1年目は他の留学生を意識しすぎて、うまくいかないレースがありましたが、真名子監督の自分の走りに徹しないという指示で、持ち味を出せるようになっていました。序盤抑えると力を発揮できる選手なので、本当は4区以降で起用したかったそうです。
最終的に、当日変更で2区に入ることになったワンジル選手。前に集団が見えていて、突っ込んで入ります。横浜駅前で9位争いに浮上していましたが、13㎞過ぎて急失速。あっという間に順位を落として、あっという間に最下位へ。まさかの出来事でした。
3区入濱選手…大東大期待のルーキー1年入濱選手。全日本予選では3組を走り、箱根予選でも主力と肩を並べて走りました。その後、1万m28分台を出して往路出走となりました。
でしたが、前と1分半ほど離れた最下位。序盤こそ攻めようという走りでしたが、その後は中々リズムに乗っていけませんでした。最後に失速してきた選抜チームと競り合いながらのリレーでしたが、64分台の区間18位。前は中々見えてきませんでした。
4区大野選手…唯一の箱根経験者の4年大野選手が4区へ。前回の箱根駅伝を、連合チームのと言う形で8区を走っています。ロードでもトラックでも高い走力を発揮して、チームを大学駅伝復帰へ導いた一人です。
二宮までに、連合チームとの争いに決着をつけると、じわじわと区間順位を上げていきます。終盤にペースに乗れない専大を交わして、総合19位最下位脱出。区間14位ながら63分16秒とまずまずのタイム。悪い流れは断ち切りました。
5区菊地選手…山登りを走ることになったのは3年菊地選手。2大会前、当時1年生の時に連合チームに選ばれるなど、早くからロードに対応していた選手。少し不安定な面もあるも、序盤抑えるとかなり伸びてくるという。山登りに決まったのは1ヵ月前と、結構ぶっつけに近かったようです。
本格的な登りに入ってから、ギアチェンジ。区間中位くらいのペースで走っていきます。立大を交わして、最後の平地で日体大を交わして往路17位でゴール。個人としては73分21秒の区間12位。流れの中では、かなり走れたのではないでしょうか。
6区佐竹選手…復路の出だしの山下り、任されたのは3年佐竹選手。長い距離の実績は少ないですが、関東IC2部3障で優勝、その脚力は確かなものでした。
一斉スタートの中、序盤の上りから飛ばしていき、芦之湯を2番目に早いタイムで通過します。下りの途中で追いついてきた専大らと一騎打ちになりますが、競り勝ちました。区間6位59分24秒の好タイムで、見た目14番目でリレー。総合でも16位浮上。上位ではなくても、やはり”山”では順位を上げてきました。
7区金田選手…真名子監督は、復路は4年生に頑張ってほしいと話していました。予選落ちが続き、大野選手を除き、箱根路を知らない世代だからです。選ばれたのは4年金田選手。直前の箱根予選はエントリーされていませんが、直前で調子を上げてきました。
スタートして、時期に後方に追いつかれる展開。酒匂橋で、専大・山学・日体大との並走。その後専大が落ちて、三つ巴の争いになります。終盤まで競り合いますが、最終的に先んじられ16番目でリレー。区間15位に留まりますが、総合は16位に浮上しました。
8区木山選手…ここも4年木山選手。チーム内では、3年時に大きく台頭してきて、その時に1万m28分台を出していました。ロードにやや苦戦していましたが、箱根予選ではチーム9番手でゴールし、トップ通過に貢献していました。
序盤、すぐ前にいた山学・日体大の選手と並走になりますが、中盤に大きくペースダウン。帝京大にも抜かれ、見た目の順位を落とします。終盤何とかまとめる形で、東海大を捉えて、見た目16番目でリレー。総合では再び17位となります
9区大谷選手…復路のエース区間に入ったのは2年生の大谷選手ですね。全日本予選2組で好走しその後1万m29分03秒のベスト、全日本本戦も起用され6区9位とまずまずの成績を残していました。
後方から追いついてきた東海大の選手と共に、前を追っていきます。18㎞を過ぎてから、山学大を抜き去り、帝京大と三つ巴の争いに。最後のスパートで先んじられ見た目は16番目。とはいえ69分台の区間13位と、流れの中でまずまずまとめます。
10区谷口選手…アンカーには、再び4年生の谷口選手。上級生になってぐっと台頭していた選手。1万m28分台も早くに出していました。本戦出場後には、既にアンカーを熱望していました。
すぐ前にいた東海大と帝京大と並走しますが、10㎞過ぎに抜け出して単独14番目に浮上。100m程前見えていた日体大の選手を追いかけます。区間一桁のペースで追いかけ、残り5㎞の地点で秒差に迫り、交わす勢いでした。
そこから、相手の粘りに合い、届きませんでしたが、ラスト3㎞は4番目に早いタイム。全体としても70分03秒の区間8位、区間タイムは77回大会の真名子現監督の大東大記録を破るもの、最後に一ついい成績を収めることができました。
予選トップ通過の勢いは、今回に関しては、序盤で躓きがあったため、ちょっと活かせなかったですかね。ワンジル選手も、序盤前が見える展開で、思わず突っ込んでしまったのかなぁと想像しています。とはいえ、走力高い選手ですので、また心身作り直すことができれば、次はうまくいくはずです。
また、流れには中々乗れないながらも、山登り・山下りはある程度まとめてくるところは、やっぱり大東大だなというのも感じました。登りは、主力の菊地選手が準備それほどしていない中で、2つ順位を上げました。下りは今回一番いい区間6位。次は”山の大東大”を活かす展開にもっていきたい。
箱根駅伝を知らない4年生の世代の選手は、それぞれの成績。往路4区で最下位で襷を受けた大野選手は、さすがの実力者で悪い流れを止めました。7区金田8区木山選手は少し力負けしたか。10区谷口選手は、見た目の順位もアップし、大学記録を更新。最後いい形でまとめることができた感じですかね。次年度に、繋げていきたいですね。
順当なら復帰2年目となりますが、残っているメンバーの戦力分析となります。
残る今年の箱根メンバー
ピーター ワンジル②28分25秒20
≪23箱2区20位、22:全1区1位、予5位、全予2組1位、21:予231位≫
久保田徹③28分29秒75
≪23箱1区15位、22:全4区10位、予24位、全予4組6位、21:全4区8位、予119位、20:予209位≫
入濱輝大①28分44秒62
≪23箱3区18位、22:全3区12位、予43位、全予3組21位≫
菊地駿介③29分00秒45
≪23箱5区12位、22:全2区13位、予32位、全予4組21位、20:予120位(連合選出)≫
大谷章宏②28分49秒42
≪23箱9区13位、22:全6区9位、予111位、全予2組6位、21:予213位≫
佐竹勇樹③30分00秒23
≪23箱6区6位、22:日本3障9位、関東IC3障1位、21:予222位≫
残る補欠メンバー
西川千青②28分58秒98
≪22:予153位、21:予169位≫
小田恭平②29分05秒57
≪22:予221位、全予1組39位≫
佐々木真人②29分25秒33
中澤優希②29分26秒45
小野翔太郎①29分34秒65
その他有力選手
渡邉駿太朗①29分33秒74
長島玲音③29分46秒00
伊東正悟③29分49秒89
松村晴生③29分54秒56
戸田優真①30分13秒72
庄司瑞輝(酒田南)≪23全国5区44位≫
箱根本戦は、通過してからになりますが…、とはいえ、主要区間を走ったメンバーはほぼ残っているのですよね。1区久保田2区ワンジル3区入濱5区菊地6区佐竹9区大谷選手、成績はそれぞれでしたが、大きく飛躍するチャンスになりますね。
新4年生にはエース格の久保田・菊地選手がいます。1万m28分半ばの走力があります。今回の大学駅伝を通じて、本戦でたt買う経験も得ましたので、最終学年でさらに飛躍できるのかなと思います。山下り、ワンポイント活躍できる佐竹選手も面白いですね。
現2年生には、主力候補が大勢。日本人では、箱根を走ったのは大谷選手だけですが、控えのメンバーに多く同じ世代いますね。その中で、走ってある程度9区戦った大谷選手がまず主力。それに、箱根予選では一緒に走っている西川・小田選手、出走こそないもののエントリーに入り続けている佐々木選手がいます。
さらに箱根予選では彼らを上回る二けた順位で走り、全日本でアンカーを任された西代選手が、回復してくれば、かなり強いはずです。この世代が、ぐっと選手層を厚くしますね。
現1年生は往路を担った入濱選手が大きく抜けていますが、箱根エントリー前の記録会では、小野・渡邉選手が1万m29分半ば、うち小野選手が16人に選ばれました。他に、全日本に選ばれた戸田選手がいます。この世代は、最初から真名子監督の指導を受けているという事で、4年かけて楽しみだったり。
そして、ワンジル選手。今回の事があっても、主力選手なのは変わりない。一方で、真名子監督が4区以降、できれば復路でという理想を語っていたのもわかる感じ。ワンジル選手リベンジか、他の選手が押しのけるか。このあたりも注目ですね。
箱根予選トップ通過、4年ぶりながらどこまでシード権争い上に加わってくるか注目でしたが、今回は2区ワンジル選手がうまくレースを運べず、ここで大きく差が離れた最下位に。上位で戦うのは今回はできなくなりました。
そんな中、4区を務めた大野主将が、最下位を脱出して悪い流れを断つと、5区山登り菊地選手6区山下り佐竹選手が好走。佐竹選手は区間6位ですね。総合順位も一気に16位に上がりました。
その後、16位と17位をいったりきたりしていましたが、アンカーの谷口選手が区間8位好走。10区の大学記録も更新しました。真名子監督が、箱根を知らない世代と気にしていた学年が、最後4名走れたのは収穫ですかね。
それ以上に収穫なのは、残る箱根メンバー6人が、全員主要区間を経験しているということ。エース格となる久保田選手に、大谷選手ら主力候補の多い現2年生、ルーキーながら往路を走った入濱選手ら。これからが楽しみな選手が非常に多いです。
全日本・箱根とも、もう一度予選からですが、この春の開花から楽しみです。
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