2月・3月上旬は、箱根駅伝出場チームの振り返りや、次年度への簡単な分析をしていきたいと思います。
順番は総合順位順から変えます。
続いて、
襷を繋いだ!見後な初陣!
駿河台大学です
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初出場の機運は整っていました。前々回の予選会が12位、前回の予選会は15位ながらも10㎞までは10位以内圏内に付けていました。そして、今年度2度目の出場となった全日本予選は、だれも予想していなかった大健闘8位。7位までが出場で本当にあと一歩。また、箱根出場校を上から数えると16番目。チャンスは充分だった。
迎えた予選会、10㎞地点で総合5位。いい調子だったが、これ以降有力校がぐっと順位を上げてきたこと、さらに自身も今井選手らが失速し、15㎞地点で一気にボーダー10位へ。もう粘り倒すしかなかった。
18㎞地点で9位浮上、そして結果発表では8位!思うような走りができない選手もいた中で、出場権を勝ち取ったのは、チームとして本当に力がついてのことでした。本戦での懸命の襷リレーも大いに話題になりました。
19位駿河台大学11時間13分42秒
往路20位5時間41分11秒・復路15位5時間32分31秒
区間 | 区間順位 | 名前学年 | 区間タイム | 通過順位 | トップ差 |
1区(21.3㎞) | 17位 | 清野太成③ | 63分20秒 | 17位 | 2分40秒 |
2区(23.1㎞) | 19位 | ブヌカ ジェームス④ | 70分19秒 | 19位 | 6分07秒 |
3区(21.4㎞) | 12位 | 町田康誠③ | 63分35秒 | 18位 | 7分40秒 |
4区(20.9㎞) | 20位 | 今井隆生④ | 66分58秒 | 20位 | 12分52秒 |
5区(20.8㎞) | 20位 | 永井竜二③ | 76分59秒 | 20位 | 19分05秒 |
6区(20.8㎞) | 🥉位 | 小泉 謙③ | 58分47秒 | 20位 | 18分49秒 |
7区(21.3㎞) | 15位 | 新山舜心② | 65分26秒 | 20位 | 21分36秒 |
8区(21.4㎞) | 15位 | 出仙龍之介③ | 66分56秒 | 20位 | 23分43秒 |
9区(23.1㎞) | 18位 | 田尻 健④ | 71分11秒 | 20位 | 27分39秒 |
10区(23.0㎞) | 7位 | 阪本大貴④ | 70分41秒 | 19位 | 30分00秒 |
1区清野選手…駿河台大歴史上、最初の区間を任されることになったのは3年生清野選手。徳本監督は、直前までブヌカ選手でかき乱したいと話されていましたが、ブヌカ選手の状態が上がらなかったこと、そして清野選手に強い1区の希望があったということがあったそうです。
大手町スタート、20mにある最初の曲がり角をなんと先頭で通過。監督から指示があったそうですが、さくっとこなしてしまうところ並のハートではなかったですね。ハイペースで進む中、10㎞過ぎに大集団から遅れたのは力不足でしたでしょうか。
でしたが、そこから大きく失速することはなく、63分20秒区間17位でリレー。見事に大役を果たしました。
2区ブヌカ選手…4年間駿河台大を引っ張り続けたエース選手ですね。近年、留学生を導入するチームが非常に増えてきて、4年連続しっかり好走する選手もいます。ですが、本戦でお目にかかれないことも増えてきていて…ブヌカ選手最終学年で初出場遂げることが出来て本当に良かったです。
ただ、ブヌカ選手本人は絶不調。コロナワクチン2度目の接種後ずっと調子が上がらなかったようで、予定の1区は回避しました。華の2区出走も、4㎞で30秒以上後方だった順大・日体大に追いつかれ17位争い。11.3㎞で遅れてしまい、単独19位走行となってしまいます。
最終的に70分19秒区間19位の成績。日本IC1万mで他の留学生を抑えて優勝したこともある、爆発力を見ることができなかったのは、チームとしても本人としても無念だったでしょう。
3区町田選手…ロードに非常に強い3年生。箱根予選3年連続で二けた順位で走る安定感があります。前回、学生連合で9区への出走もしています。ロードはオールマイティで、2区や5区など往路あらゆる区間で考えられていたそうです。
最初の定点7.6㎞藤沢では区間最下位。このままずるずるいくのか心配されましたが、レースが進むごとに区間順位が上がっていきました。最終的に、63分35秒の区間12位にまとめ、途中で失速気味だった専修大を交わして総合18位浮上。往路一番の好走でした。
4区今井選手…31歳元教職員ということでずっと話題になり続けていましたね。高校時代は箱根を目指すも走力で断念、日体大時代はトライアスロンで活躍、その後中学教職員になるも、生徒の指導に行き詰まりを感じていました。
徳本監督との縁もあり、2年間自己啓発制度を使い、駿河台大で3年生編入で心理学を学ぶことに。趣味で続けていたランニングも走力が上がっていました。2年間駿河台大の主力として、チームを引っ張っていました。
ですが、箱根予選で失速して以降、持ち味の粘りを発揮できず苦しんできていました。そんな中、チーム事情で往路4区を担いましたが、やはり厳しく区間ブービーから2分半近く遅れた区間最下位。専大・中学大に交わされ最下位へ。
徳本監督から厳しい言葉もかけられていましたが、7年間の付き合い&期待外れの橋だった、ということだったそうです。それでも15分の繰り上げスタートには2分08秒間に合い、ある選手へリレーは果たしています。
5区永井選手…そのある選手というのが永井選手。3年連続箱根予選に出走し、確実に力をつけてきていて、直前も1万m29分31秒自己ベストを出して好調でした。注目すべきところは、別にあり、なんと今井選手が中学時代に担任を務めた生徒さんだったということ!異例の師弟リレーが箱根駅伝で実現したのです。
徳本監督が何とか師弟リレーをしたいと思っていたところ、チーム内の上りのトライアルで、エースの町田選手に次いで2番目で走り切ったこと。また、復路繰り上げスタートに間に合わせるため、復路に主力を温存したい事情もあり、不調の今井選手に4区を任せざるを得なかったなど、条件が噛み合って4区5区でのリレーになったそうです。
最初の平地、登りの部分はほとんど区間最下位のペース。走力面も登りの適性も何とも言えない形でした。下り以降何とかまとめて76分59秒で走り切りますが区間最下位。19位と2分半ほど離れた往路最下位、初陣は苦いものとなりました。
6区小泉選手…切り替えて復路。繰り上げスタートを免れるという大きな目標があります。密かに自信があったという6区山下り小泉選手が大爆走します。下りに入ってから終始区間5番前後のタイムをキープ、トップ青学大をやや詰めていく走り。
最後の平地も区間上位で押し切り、なんと58分47秒の区間3位!59分半を目途にしていたそうですが大幅に上回る走り。大舞台になればなるほどいい走りをするという評価もありましたが、それも違わぬ走りでした。
チームとしても、見た目とはいえ、トップとの差も9分44秒差と一斉スタート10分00秒から詰める走りでした。あと3区間で10分以上の猶予は本当に大きかった。
7区新山選手…駿河台大伸び盛りの2年生の選手ですね。全日本予選2組上位、箱根予選もチーム4番手86位でゴール。その後1万m28分台も達成していました。本来なら往路候補ですが、繰り上げ回避の為に復路の2区、7区にとっておいた選手です。
結果的には、思うように伸びず65分26秒の区間15位に留まってしまった形でした。それでも、見た目トップ差は12分31秒、また前に連合・中学大、後方に専大・山学大が見えている、後方単独走にはならなかったのは大きかったです。
8区出仙選手…10番手を誰にするか非常に悩んだそうです。全日本予選・箱根予選と主要大会のレース経験がある出仙選手が選ばれました。スタート直後からできた中学大・連合の集団に食らいついていく走り、
遊行寺坂の仕掛けでついていけませんでしたが、66分56秒区間15位は、これまでの実績からすると相当頑張った形との評価でした。見た目トップとの差も14分38秒に留めていて繰り上げ回避が見えてきていました。
9区田尻選手…復路エース区間を任されたのは4年生田尻選手。箱根予選で15㎞以降全体的に苦戦する中、一人大きく順位を上げて通過に貢献していた選手です。最初は区間最下位ペースでした。
この頃でしょうか、トップ青学大原監督から、駿河台大徳本監督に”繰り上げ待ちませんよ”というLINEが。トップ青学大が大幅区間記録体制に入りました。すぐに計算し、3分05秒ペースならセーフ、いわゆる失速という3分15秒ペースになるとまずい状況。
ラッキーだったのは、中継所で33秒後方だった専修大が中盤に追いついたこと。安定したペースを保つことが出来て、失速は回避。なおかつ田尻選手も脚を溜めることが出来て、魂のスパート。残り3㎞は4番目に早いタイムで駆け抜け、トップと見た目18分34秒で中継。久しぶりに初出場のチームが、繰り上げを回避しました。
10区阪本選手…ここで終わらないのが、今大会の駿河台大の凄いところ。最大のハイライトはアンカーで訪れました。任されたのは、主将の4年生阪本選手でした。序盤、すぐ後ろにいた総合19位の専修大を突き放し、単独18番目を走行。
御成門18.1㎞の定点までに、総合でも専修大を交わして総合19位に浮上!さらに、後半に入って区間順位もどんどん上昇していき、なんと70分11秒区間6位の快走!満面の笑みを浮かべてゴールテープを切り、「気持ち良かった」と感想を述べたところ、いつぞやのチームを思い出したり…
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箱根予選終えてから、色々と大変だったそうですよ。予選通過に120%注力していたために、全体的に燃え尽きてしまったそう。また、本戦に向けた練習でも、10番手争い付近の選手が、非常にナイーブになってしまったり。
そんな中で、①最初の曲がり角トップ通過、②師弟リレー、③繰り上げ回避、すべてを達成したところ、優勝校とは別の意味で、箱根駅伝を楽しんだ、遊び倒したチームでした。
箱根駅伝常連校入りへ挑戦し続けることになりますね。
残る今年の箱根メンバー
町田康誠③28分39秒82
≪22:箱3区12位、21:箱予85位、箱9区12位相当、20:予59位、19:予80位≫
清野太成③28分49秒66
≪22:箱1区17位、21:箱予54位、関東IC1部1500m8位、20:予93位≫
新山舜心②28分56秒54
≪22:箱7区15位、21:箱予86位、全予2組11位、20:予211位≫
永井竜二③29分32秒45
≪22:箱5区20位、21:箱予103位、20:予242位、19:予167位≫
小泉 謙③29分47秒36
≪22:箱6区3位、21:箱予101位、20:予137位≫
出仙龍之介③29分50秒41
≪22:箱8区15位、21:箱予230位、全予2組31位≫
残る補欠メンバー
池原悠月①29分31秒04≪21:全予1組23位≫
長谷部巧人②29分53秒48
松本圭悟③30分03秒18
加藤亮太①30分24秒08
その他有力選手
長嶺龍之介②30分09秒32
濱本零士①30分31秒67
山内亮威②30分32秒11
松岡龍生③30分34秒16
金 悠斗②30分38秒03
賀来葵伊①30分38秒85
福田翔哉②30分39秒31
古澤拓樹③30分41秒57
濱本零士①30分45秒35
田島龍聖②30分50秒64
秋保松平①30分55秒38
東泉大河5千14分05秒48≪21高4区24位≫
チーム的には、町田・清野選手の日本人エース選手が4年生になるので、ひとまず集大成レースになるのですよね。1区と3区で戦かった選手が残るのは非常に大きいと思います。清野選手は、レース後すぐに1区のリベンジを誓ったそうです。
また、永井・小泉・出仙選手ら、他の箱根出場者も新4年の選手が、多いですね。箱根駅伝出場を初め、この1年で様々な経験をしています。逞しくなってまた予選から挑んでくることと思います。主力と変わらない走力のある新山選手もどこまでいけるか。
選手層はまだまだ薄いですが、留学生がいなくても全日本予選の出場権を手中にできるくらいには走力が上がってきています。他では、新2年になる池原選手が29分31秒を持っています。本戦前に一気に上がってきた新3年長谷部選手も要注目ですかね。
新入生の質が上がるとすると、次の年度からと思いますが、一人14分05秒と飛びぬけて過去最速のルーキー東泉選手が注目ですかね。高校駅伝主要区間の経験もあります。伸びしろはまだまだありそうですよね。
大いに注目となった初陣、さまざまなドラマがありましたね。最初の一歩を踏み出すことになった1区清野選手が、公約通り最初の曲がり角トップ通過、さすがに力不足も区間17位リレー、その後3区町田選手が頑張って総合18位で走ります。
4区本調子と程遠かった今井選手で最下位に落ちますが、5区永井選手との師弟リレーは実現。繰り上げ回避を狙った6区山下りは小泉選手がナイスラン。58分台区間3位の激走!この流れで、鶴見中継所も見事に通過。さらに、10区阪本選手がナイスランで総合最下位脱出&さわやか笑顔でゴール、別の意味で主人公でした。
次年度は、連続出場へ繋げていくということに挑戦していきます。選手の士気はぐっと高まっていますかね。懸念は、箱根駅伝以外も遊び倒していることが判明した監督のケリがどう付くかということだったり…?
留学生は獲得するかどうか分からないのですが、力をつけてきた新4年生が多いので、上がってくる可能性は十分にあります。今年度も、大いに注目のチームです。
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