【国士舘大学】第98回箱根駅伝2022振り返りと、次年度へ向けて

2月・3月上旬は、箱根駅伝出場チームの振り返りや、次年度への簡単な分析をしていきたいと思います。

順番は総合順位順から変えます。

続いて、
4年生中心、久々シード権へ意地見せた
国士舘大学です

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【国士舘大学】第98回箱根駅伝2022振り返りと、次年度へ向けて

 93回大会から、箱根駅伝に連続出場は続けていました。でしたが、最高位は18位。上位やシード権争いには中々加われていませんでした。

 今年度は、留学生ヴィンセント選手を初め、主力選手の多くが4年生。今回ばかりは何としてもシード権を狙いたいところだった。

 予選会は、10㎞で2位も、ここから例年うまくいっている集団走が崩れて、あわやの最下位通過。ここからチームは締まり、その後は自己ベスト続出。控えめな添田監督も、シード権を目指すと明言されていました。

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箱根駅伝2022振り返り

15位国士舘大学11時間03分06秒
往路14位5時間29分49秒・復路16位5時間33分17秒

区間 区間順位 名前学年 区間タイム 通過順位 トップ差
1区(21.3㎞) 10位 木榑杏祐④ 62分03秒 10位 1分23秒
2区(23.1㎞) 🥈位 ライモイ ヴィンセント④ 66分41秒 3位 1分12秒
3区(21.4㎞) 18位 荻原陸斗④ 64分06秒 9位 3分16秒
4区(20.9㎞) 11位 三代和弥④ 63分09秒 11位 4分39秒
5区(20.8㎞) 13位 山本雷我② 73分50秒 14位 7分43秒
6区(20.8㎞) 13位 福井大夢③ 59分33秒 13位 8分13秒
7区(21.3㎞) 17位 清水拓斗④ 65分31秒 15位 11分05秒
8区(21.4㎞) 14位 山本龍神② 66分44秒 15位 13分00秒
9区(23.1㎞) 6位 綱島辰弥③ 69分09秒 14位 14分54秒
10区(23.0㎞) 18位 望月 武③ 72分20秒 15位 19分24秒

1区木榑選手…2区のエースを活かすため、大事な1区には主将の木榑選手が投入されました。高校時代の5千mは15分台、一般入試で門を叩いた選手。長い距離を中心に少しずつ頭角を現し、前回4区で初の箱根駅伝。最後の箱根は、直前で1万m28分52秒を出して1区となりました。

 レースはハイペースで進み、木榑選手のついた第2集団でも28分29秒とベストを上回るタイム。16㎞での仕掛けに最初に遅れだし、単独16位…と思ったのですが、六郷橋付近から、後で脱落した選手を追い上げにかかっていました。

 その後も粘りの走り、ラストスパートで、なんと10位まで捲っていました。2位とは44秒差でまとめていて、いい流れで2区エース区間にタスキを渡しました。

2区ヴィンセント選手…4年連続で華の2区を任されることになった国士舘大の大エースです。1年生の時は、約半世紀ぶりに国士舘大トップ中継に貢献しています。また、区間順位も3位、4位、2位とずっと上位、ずっと支え続けていました。

 持ち前のスピードで、あっという間に混戦を抜け出して、横浜駅前5位浮上。そして、東国大の同じ”ヴィンセント”選手とのマッチレースになってから、さらにその走りに力が入ります。

 相手が不調と言うこともありましたが、ラストスパートで競り落として、総合3位へ浮上!念願の区間賞とはなりませんでしたが、66分41秒の区間2位。権太坂以降では一番早いタイムで駆け抜けていました。1年時以来、チームとしても上位で2区を通過しました。

3区荻原選手…4年生リレーが続きます。荻原選手は、過去2度箱根駅伝を経験。2年時は1区、3年時は7区を出走しています。直前の箱根予選は、チームが崩れる中、日本人トップのタイムでフィニッシュ。実力をつけてきていました。

 とはいえ、3区もスピードエース区間。他校にも、多くのスピードランナーが起用されていて、定点通過ごとに少しずつ順位が下がっていきました。個人としては区間18位となりましたが、何とか64分06秒でまとめ、通過順位は9位。シード権内は維持していました。

4区三代選手…往路4区間はすべて4年生でのリレーとなりました。三代選手は前回9区でしたが、区間19位苦戦。その後1万m28分台を達成するなど、バネにして成長してきていました。

 中継所直後にスタートした、創価大や順大のエース格のランナーに途中まで食らいつく気迫。区間一桁のペースをキープしていました。終盤やや苦しくなり、ペースが落ちますが区間11位63分09秒と過去最高の走り。総合11位リレーでしたが、10位上がった早大とは8秒差。流れはまだ続いていました。

5区山本雷選手…箱根山登りに向けて、準備してきた2年生の選手です。目立った実績はこれまで少なかったのですが、激坂王で好走して、一気に頭角を現してきていました。

 序盤に、東洋大の区間記録保持者に、中盤以降に東海や神大といった実力ある選手に交わされていきますが、山本選手も大崩れしない走り。73分50秒の区間13位でまとめ、前とは小差。特にシード権の10位とは、まだ35秒差。追っていける差でした。

6区福井選手…国士大有数の3年生スピードランナー。昨年も6区の控えとして準備していました。満を持して箱根デビュー。前任者越えとなる58分30秒を目標タイムとして走りだしました。

 カーブ次第では、10位付近まで点々と見える展開。しっかりペースを刻んでいきますが、中々大きく詰め寄るというところまではいかなかかったでしょうか。59分33秒区間13位ながら、早大を交わして総合13位へ浮上。シード権との差は1分15秒となっていました。

7区清水選手…勝負をかけた7区に5人目の4年生を投入しました。過去2度箱根路をかけている清水選手、2年時は7区、前回は3区でした。2大会前と同じ区間、経験と自身の強み単独走が得意なところを活かしたいところでした。

 序盤に早大に交わされて総合14位へ。以降、区間中位のペースを刻んでいましたが、中盤からぐっとペースが落ち込んでしまいました。終盤には明治大にも交わされて総合15位へ。シード権は2分40秒差でちょっと苦しくなってきたでしょうか。

8区山本龍選手…2年生もう一人の山本姓。元々入学時から期待が高いランナー、前回は往路1区を務めています。今期は中々調子が上がらなかったですが、持っているスピードは高い選手。当日変更で起用されました。

 見た目すぐ前に明治大がいましたが、これにはつかず自分のペースを刻んでいく形に。終始単独走となった中、大崩れせずに走り切り、区間14位66分44秒の成績。後方集団の追い上げに合いますが、総合15位のまま踏みとどまりました。

9区綱島選手…添田監督が復路のキーマンと話されていた3年生綱島選手が、復路エース区間9区を任されました。前回10区起用から、ぐっと実力を上げてきていた選手です。

 序盤から区間中位付近のペースをキープすると、中盤以降ぐっと区間順位を上げてきます。中継所で1分ほど前だった明治大を交わして総合14位へ浮上。終盤もしっかりまとめると、69分09秒区間6位の好走!2区以外で初めて区間一桁!3年生以下とすると、国士大今大会一番の収穫でしょう。

10区望月選手…山登りを除くと、箱根予選エントリー選手以外で、唯一箱根路の出場を勝ち取った選手です。高校時代は800mが専門だったのですが、そこから3年で長距離ロードに対応。世田谷ハーフ65分を切って、力を示していました。

 序盤に明大と連合に交わされます。その後の単独走でやや苦しんだ形になりました。72分20秒区間18位となりましたが、何とか総合15位はキープ。やはりここ数年では、過去最高の箱根路の成績となりました。

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 1区からうまく流れは作って、暫くはシード権が見えるラインで踏みとどまっていましたが、最終的には力負けでしたかね。9区綱島選手のところで、まだ中位集団が見える位置なら面白かったです。

 それでも、本戦で充実感と悔しさが、例年以上に味わえた結果だったのではないでしょうか。32年ぶりシード権は獲得できませんでしたが、チームの方向性は見えたのではないでしょうか。

次年度へ向けて

残る今年の箱根メンバー
綱島辰弥③29分09秒33
≪22:箱9区6位、21:予155位、箱10区16位、20:予148位、19:予113位≫
福井大夢③29分17秒51
≪22:箱6区13位、21:予96位、20:予152位≫
山本龍神②29分20秒49
≪22:箱8区14位、21:予175位、箱1区18位、20:予77位≫
望月 武③30分02秒64≪22:箱10区18位≫
山本雷我②30分19秒40≪22:箱5区13位≫

残る補欠メンバー
清水悠雅③29分47秒24
≪21:予261位、箱8区16位、20:予121位、箱8区13位≫
松井遼太①29分49秒09≪21:予355位≫
田中佑樹③30分07秒65
西田大智①30分08秒44

その他有力選手
P.カマウ①28分32秒52
中西真大②29分26秒57≪21:予215位、20]予108位≫
中島弘太①29分33秒22
佐藤悠貴也②29分47秒04
安達京摩②29分57秒02
繁永永遠①29分59秒58
熊谷 澪①30分00秒93
遠入 剛②30分05秒85
美谷佳輝①30分15秒03
木村聖哉③30分31秒37※新主将
岩下翔哉13分55秒47≪21高4区5位、20高4区18位≫
生駒直幸14分10秒59

 とはいえ、多くの選手が卒業してしまいますので、連続出場へ向けて耐える年となります。新チームのエースは留学生のカマウ選手になりますね。コロナ禍で来日やレース出場に苦慮しているそうですが、その中でハーフ61分14秒のタイム。しっかり準備しています。

 日本人としては、新4年世代で綱島選手らが中心でしょうか。福井選手も箱根予選二けた順位で走る走力ありますし、望月選手も大きく伸ばしてきました。また今回は走れませんでしたが、2年連続8区を走った清水悠選手もいます。

 新3年世代はかなりキーマンになりますね。1万m29分前半の経験がある山本龍選手や中西選手がぐっと逞しさを増してくるかどうか。また入学時期待が高かった遠入選手も少しずつ長い距離を走れるようになってきています。彼らが元気になると、一気にチーム力が上がります。

 新2年は、トラックのタイムは順調に上がっていますね。中島・松井・繁永選手が1万m29分台、西田・熊谷選手らが30分一桁をマークしています。他、箱根予選エントリーの美谷選手がいます。新入生も岩下選手ら例年以上に実績ある選手が入ります。若手は楽しみ。これを新主将木村選手らがまとめていく形になります。

まとめ

・4年生5名集大成でシード権に挑んだ今回
・1区木榑区間10位好位置スタート!
・4年連続2区エースライモイ総合3位浮上
・シード権が見える位置で頑張った往路
・届かずも9区綱島一矢報いる追走
・大きく主力が入れ替わる来年度

 今回は、箱根駅伝を複数回経験している4年生が5名もいて、添田監督体制で、初めて本気でシード権獲得へ挑んだ年となりました。その中で、1区木榑選手がハイペース食い下がって区間10位でリレー、

 4年連続華の2区を務めることになった大エースライモイ選手が、最後まで頼もしい走りで総合3位に浮上します。その後も、中位の流れに留まる走りで、シード権が視界に見える往路14位で追えます。

 復路に入ってから、少しずつ視界から遠ざかり、力負けで悔しさもひとしお。その中で、9区綱島選手が区間6位好走、例年以上の成績にしっかり引き上げる総合15位でした。

 主力選手の多くが卒業していますが、トラックのタイムを見る限り若手は育ちつつあります。今回の箱根予選はともかく、例年予選に合わせるのはうまい印象です。次年度も、国士大の姿が箱根路にあるか注目です。


hakonankit

箱根駅伝の魅力に3歳の頃から取りつかれ、今や全日本大学駅伝や出雲駅伝を含めた大学駅伝、その予選会。大学長距離界がとても大好きな人間です。ブログでは10年以上にわたり、追いかけています。