それでは今年も20年前の箱根駅伝を振り返る企画をやっていきます。
今回は第76回箱根駅伝2000となります。
いつも通り各区定点間分析をしていきます。
ファイアーレッド旋風吹き荒れ始めた、3区です
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佐藤(法大4年)①
坂井(順大2年)②1:40
布施(駒大1年)③1:40
尾崎(早大2年)④2:27
北島(帝京2年)⑤3:01
原田(神大1年)⑥3:29
城戸口(日体2年)⑦3:34
松浦(大東3年)⑧3:53
村本(中大2年)⑨4:04
宮原(山学4年)⑩4:17
伊藤(東海3年)⑪4:28
清水(日大1年)⑫4:46
鈴木(拓大3年)⑬4:56
寺尾(関学2年)⑭7:01
岡田(東洋3年)⑮7:24
トップは法政大の4年佐藤選手。柱を並べてトップ付近でくるのは予想されていたが、ここまで後ろが離れているとはちょっと思わなかっただろう。過去箱根経験はあるものの、大きくは目立っていなかった4年生最終走の独走劇が始まる。
2位争いは本命の順大と駒大。2年坂井・1年布施選手とともに箱根初出場の選手が追っていく。1区の出遅れを、2区で挽回しきれなかった山学大宮原選手は10位スタート。宮原選手も駅伝シーズンは絶好調の選手、前に選手がん転々としている中、どこまで追っていけるか。
他では、2区まで好位置の帝京大がどう駅伝を繋げていくか。また、将来有名になるランナーとしては、09年世界陸上マラソン日本代表、双子ランナーとしても知名度が高い日大清水選手の箱根デビュー戦でもありました。
参考:71回小林(早大)23分40秒
断トツのトップで襷をもらった法大佐藤選手は1㎞3分少しのペースで刻んでいく。前回箱根4区9位の成績はあるものの、有名なランナーではなかった。「トップで来るのは嬉しいけど、本音でいうとやめてくれ~」というところだったとか。1万m29分49秒の持ちタイムからすると、自分のペースの印象だが、後ろは近づいている。
2位争い順大坂井・駒大布施選手は入りの1㎞は2分57秒、5㎞14分55秒というアナウンス。さらに20秒以上トップととの差は詰まっているとのこと。確かに第2中継車の姿が大きくなっている印象だ。
順大澤木監督は、3区について「6㎞までの遊行寺坂の下りでブレーキを掛けない事、かけると後半がたがたになる。10㎞通過が思ったより早くても焦らない事」が攻略のカギという。
果たして、法大佐藤選手はちょっとバタバタしている印象。8㎞藤沢定点のポイントでは、中継所の1分40秒差が1分05秒差にまで短縮。法大佐藤選手がここまで14番目、順大駒大2名が2番目と飛ばしているのもあるが、この区間での首位交代もありえるとの話も出て、非常に気になる展開となって来た。
後ろはまた順位変動が起きていた。5位スタート帝京北島選手が絶好調。34秒前にいた早大尾崎選手を、藤沢定点までに交わして4位に浮上。通過タイム23分35秒は、当時の区間記録よりも5秒早い。なお坂井・布施選手はここまで2秒遅れ。結構な人数のランナーがうまくスピードに乗っているようだ。
6位以降は、神大原田選手に大東松浦選手が20秒のビハインドを追いつき、6位並走。日体城戸口選手はそれには追い付かず8位に。さらに9位争いが固まっており、中大村本選手に、実力者山学宮原選手と東海伊藤選手が追いついてきて3チーム並走。
その後ろ、日大清水選手・拓大鈴木選手も共に区間一桁のタイムで走っている。このあたりもともと前が見えているチームも多く、それぞれのランナーが飛ばして前を追っている状況だ。下位争いも関学大寺尾選手を、東洋岡田選手がじりじり追っている展開。まだまだこれからめまぐるしい順位変動だ。
さて、2位争いがどこまで迫ってくるかが俄然注目になった。2位争い前を行く順大坂井選手は2年生。前回ルーキー時も箱根3区区間エントリー。しかし、当日同級生の入船選手にメンバーチェンジ。悔し涙に暮れた。飛躍を誓った2年時も5月に右膝にメスを入れるなど苦しんだものの、今年はメンバーゲット。懸命に前を追う。
ずっと後ろ、顔の表情が見えないくらいピタリついている駒大布施選手は少し視線を落とし気味で苦しそうな表情。とはいえ、出雲・全日本でも似たような感じだったので、本当に苦しいのかは伺いにくい選手。後半どうなっていくか。
トップ法大佐藤選手は10㎞通過は30分25秒。往路の区間であること、前半下っていることを考えると決して早いペースではない。やはり後ろの追い上げが気になるという事だった。
番組はここで今昔物語や箱根駅伝80周年記念品の紹介などがあり、しばらく中継が途切れた。次に移ったときは茅ヶ崎定点の手前だった。
さてどうだろう。トップ法大佐藤選手は1㎞3分少し、一定のペースで刻み続けているという。ここにきて走法も安定してるようだ。さて後ろがどこまで近づいたかと思いきや、第2移動車が意外と近づいてきていない。
それもそのはず、2位グループは12㎞-14㎞6分07秒。1㎞3分少しのペースとなっていたのだ。茅ヶ崎定点、トップと2位グループは1分11秒。藤沢定点から6秒引き離されていた。藤沢定点まで区間最下位争いだった佐藤選手が、この定点間は6番目。これはトップの地の利をうまく生かしているよう。ちょっと様相が変わって来たようだ。
そのペースが落ち気味の2位集団に猛追しているのが、先ほど4位に浮上していた帝京北島選手、この定点間断トツのトップのタイム。いつの間にか2位集団のとの差も33秒差まで詰まってきていた。前年の出走経験はあるが7区区間最下位。この走りはびっくりだ。
他では、東海伊藤・中大村本・山学宮原選手の集団も非常に良いペースで進んで、3人が定点間2番目。ペースが上がり切らない日体大城戸口選手に追い付き、4人の8位集団となったところ。その後ろ、拓大鈴木選手が全体区間3位の走り、日大清水選手に追い付き12位に浮上。13位まではまだ差が無くこの後が気になる展開だ。
法大佐藤選手の15㎞通過は45分43秒。ということはこの5㎞は15分18秒。中盤の平地になってもペースは落ちていない。序盤抑えた分まだしっかりと余力が残っているようだ。
2位争いは45分14秒で15㎞通過。このまま牽制に入るとよくないというところ、初めて駒大布施選手が前に出た。2位争いも動きが出てくるか。ちょうどそのころ、一気に4位帝京北島選手の姿が背後に見えるようになってきた。
16.6㎞でなんと2位争いに9秒差まで急追。茅ヶ崎14.5㎞で33秒差だったので物凄い追い上げだ。その直後の16.7㎞駒大布施選手が仕掛け単独2位!順大坂井選手が後退した。後ろは見てないので帝京は意識してないだろうが、順大坂井選手の疲れを感じたかもしれない。駒大が初めて秒差を付けて順大の前に出たところだ。
トップの法大佐藤選手もかなり表情が苦しそうになったが17㎞通過は51分53秒。何とか1㎞3分05秒はキープしていて、踏みとどまっている。2位争いは激しくなり、17.5㎞で帝京北島選手が順大坂井選手を捉えて3位に浮上、さらにスパートがかかり布施選手に追いつきそうになったところで湘南大橋。やはりこの定点間もトップで勢いは衰えない感じだ。
その後ろ、引き離された5位早大尾崎選手が終始苦しんでいる走り。2位争いから2分以上後退。その後方、大集団が見えてきた。中大村本・神大原田・東海伊藤・山学宮原・日体城戸口・大東松浦選手の6名が一塊に。ここまでの集団は3区でもそうみられない。このままだと吸収されそうだが、ラスト3㎞余力が残っているのはだれか。
2位争いと5位争いが激しい。18.3㎞帝京北島選手が駒大布施選手を捉える。布施選手はびっくりした感じで横を見ていた感じ、やはり気づいていなかった。布施選手も食らいつくが北島選手がやはり強い。20㎞地点で両者に20m差が付いた。順大坂井選手は苦しい走りになり150m後退した。
5位争いは、早大尾崎選手がやはりあげられず、19.5㎞でついに飲み込まれる。集団も分裂してきていて、中大村本・東海伊藤選手が元気、少し離れて山学宮原、神大原田選手と続き、日体と大東大さらにその後ろの模様だ。
5位争いをしている中では東海大伊藤選手が素晴らしい。帝京北島選手には及ばないが、個人区間2位争い。何より11位から5位争いにあがってきている点。この競合いに勝てば6人抜きとなるが果たしてどうか。
その争いから懸命に逃げ着続けているのが法大佐藤選手だ。20㎞通過は1時間1分10秒。箱根予選の時の20㎞タイムが1時間2分10秒で、その時よりも1分速い。コースや気象条件の違いはあれど、出し切った最後の箱根と言えそうだ。
まだほとんど2位争いは後ろ見えてこない、踏みとどまった走りでトップで中継。湘南大橋以降はなんと5番目に早いタイムで走破。総合でも区間9位。出走直前、「往路経験者だから3区起用されたと思う、何とか期待にこたえたい」と話していたが、ここ見事な”逃げラン”だった。3区も法大がトップで繋いだ。
その後ろは”ファイアーレッド旋風”が吹き荒れた湘南海岸。帝京北島選手がトップと55秒差まで詰めて襷リレー。個人タイム63分16秒と惜しくも区間記録には及ばなかったものの、大爆発した走り。帝京大史上初の区間賞となった。
3位に駒大布施選手が頑張って1分03秒差。こちらも1年生らしからぬ粘りだった。4位順大坂井選手が終盤厳しく1分38秒差に。スタートからずっと駒大と並走していたが、悔しい失速だ。
5位争いはその1分半後ろ。東海伊藤・山学宮原選手の激しい競り合いは東海伊藤選手が制して5位東海6位山学。東海伊藤選手は6人抜き!3区では72回大会山学中馬神大高津選手と並ぶ当時のトップタイ記録だった。山学宮原選手も4人抜き、少しずつ挽回。なお4区は秘密兵器的存在だ。
さらに中大村本選手が続く。なお東海山学中大が区間2位区間3位区間4位だ。すぐに神大原田選手、そして疲れた感じで早大尾崎選手が総合9位でリレー。こちらは5つ順位を落とした。その後ろ日体城戸口選手が総合10位。大東松浦選手がバテテしまい、5位からは250m程遅れてリレー。こちらは4つ順位を落とした。
むしろ後ろ拓大鈴木選手がいいペースをキープし区間5位、大東大と20秒差まで追い上げてリレー。5位から12位が1分05秒の大接戦だ。13位日大清水選手が最後非常に苦しい走りで1分近く拓大から離れてリレー。後のマラソン代表ランナーも初の箱根路は苦いデビューだった。
そこから大きく遅れた14位争い、3分以上間があいて、何とか最下位脱出した東洋岡田選手が14位。顎が上がり苦しくなった関学大寺尾選手が15位。中田監督が練習より本番に強いタイプという話だったが、箱根は甘くなかったようだ。
全体的には予想外のチームの健闘が光った。帝京大が初の区間賞で総合2位躍進、東海大伊藤選手区間2位の6人抜きも大きくは注目されていなかった中だった。法大も詰められたとはいえ、4年生の渋い走りで首位をキープ。大混戦の中、中々面白い展開。
優勝争いでは、駒大順大の並走が初めて途切れ、駒大が35秒リード。遅れているが山学大も宮原選手の区間3位力走で何とか戦えるポジションになってきた。4区でレースはさらに動くことになる。