それでは今年も20年前の箱根駅伝を振り返る企画をやっていきます。
今回は第76回箱根駅伝2000となります。
いつも通り各区定点間分析をしていきます。
続いてエースのそれぞれの走り、2区です
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坪田(法大4年)①
高橋(順大3年)②1:05
神屋(駒大2年)③1:05
池田(中大1年)④1:07
須藤(日体3年)④1:07
中崎(帝京2年)⑥1:10
辻原(神大4年)⑥1:10
横山(東海3年)⑥1:10
秋山(大東2年)⑨1:38
佐藤(早大3年)⑩1:39
安部(拓大2年)⑪2:02
尾田(関学1年)⑫2:40
巽(日大4年)⑬2:42
古田(山学4年)⑭2:43
秋葉(東洋3年)⑮3:38
2位に1分以上の差をつけて、断トツのトップでタスキを受けたのは法政大4年坪田選手。実は前年に区間3位の好走を見せていて、監督も非常に自信をもって配置したランナー。果たしてさらに逃げていくのか。
激しい2位争いは、やはり同時に襷を受けた順大高橋選手と駒大神屋選手の2強対決。ともに1万m28分台(28分44秒と28分35秒)と非常に高いレベルの走力があり、駅伝ロードの実績も高く、非常に白熱しそうな状況だ。
あとは少し遅れた中で、10位スタート早大佐藤選手、14位スタート山学大古田選手がどこまで追い上げられるか。他では今までにない高順位スタート6位帝京中崎選手、エースが外れた日大は代役4年巽選手など目が離せない展開だ。
参考:75回三代(順大)23分21秒
2度目の華の2区を先頭でひた走る法大坪田選手は非常に落ち着いていた。最初の1㎞は2分52秒、次の1㎞は2分57秒と非常に堅実な推移。前回は69分代前半のタイムで区間3位で走り切っている選手、2区は経験値が非常に出やすい区間と言われる。
5㎞通過は14分33秒。前回の三代選手の記録よりは11秒遅れているものの、非常に落ち着いていて、なかおつ軽快に走っている。これだけの走りなら、後ろはそうそう詰まってこないはずだ。
2位争いはかなり固まっていたはずだが、1㎞過ぎには3選手に絞られていた。順大高橋選手・駒大神屋選手らが抜け出したのは予想通り。これに神大辻原選手らがついていかず後方へ。中大1年池田選手がついたのは意外な展開だった。
中大は、同じルーキー藤原選手をエントリーする予定でしたが、5区予定の富田選手にアクシデントがあり、藤原選手を5区へ。2区に池田選手が抜擢されたとのこと。池田選手とて、この1年間は怪我も多かった中、木下監督は「秘密兵器」とのこと。果たしてどこまでつけるかというのも気になるところだった。
この2位争いの5㎞通過は14分34秒前後。ほとんどトップの法大坪田選手と変わらないペースでの走行。依然、法大が300m以上の差をキープしている形だ。
注目は14位スタートの山学大古田選手だ。最初の側道で日大巽選手、関学大尾田選手を交わして12位浮上。そのままの勢いで5㎞14分18秒通過は区間記録から1秒遅れで、ここまでは最速のタイム。直後の5.5㎞で拓大阿部選手を交わして11位浮上。6-7㎞も2分55秒と順調だ。少し離れている前を更に追っていく。
さて最初の定点ポイント横浜駅前だ。そこでは1位法大坪田選手と2位争い順大高橋駒大神屋選手との差が1分16秒へ。つまり5㎞からじりじり開き始めたということ。坪田選手が順調だ。また2位争いから中大池田選手がじりじり後退。チャレンジしたのは良かったが、ここからどこまで踏ん張れるか。
少し間があいた5位争いはちょっとびっくり。10位スタートの早大佐藤選手が集団を追い越していて、早くも5人抜きで5位通過。佐藤選手もまずまずのタイムだ。これに神大辻原・帝京中崎選手がついているが、東海横山選手はやや遅れ始めたところ。
後ろはこの集団につかなかった日体須藤選手が、大東秋山選手に交わされてて10位へ後退。定点間ではこの須藤選手がここまで最下位のペースだった。この後ろに山学大古田選手。ここまでトップのタイムで通過、前とは100m切っており、さらに順位を上げそうな形。
12位拓大安部選手は定点間9番。エースを起用できなかったところかなり頑張っている。関学大も期待のルーキー尾田選手がここまで7番目のタイムで前を追おうというところ。14位日大巽選手は、ここまで定点間14番目。最後方東洋秋葉選手も定点間8番目で前を追っており、日大ファンとしてはヒヤヒヤの展開となりそうだった。
参考:75回三代(順大)20分42秒<44分03秒>
法大坪田選手が順調だ。10㎞通過28分59秒はかなりいいタイム。昨年区間記録を出した三代選手の通過が28分53秒だったから、それほど遅れていないタイムだ。これは後ろが追い上げるどころか、さらに逃げていきそうだ。
2位争いも悪くない。高校時代から兵庫県報徳学園と西脇工業のライバルという順大高橋・駒大神屋選手も10㎞29分17秒で通過している。とはいえ10㎞で18秒開いた計算、やはり横浜駅前あたりから坪田選手がラップタイムが明らかに良くなっているようだ。
一学年上の順大高橋選手がずっと前。神屋選手が食らいついている形だ。前年の箱根駅伝9区でヒーローになった高橋選手ですが、春先に足を痛めて入院も経験。苦しんだ一年でしたが、このあたりはさすがの走りだ。
後ろ追い上げる山学大古田選手は、10㎞29分11秒。ここにきて1㎞3分超えるラップが出てきたのが気になるが、11.7㎞で日体大須藤・大東大秋山選手を交わして9位へ、さらに12.3㎞東海大横山選手を交わして8位へ浮上。まだまだ順位を上げていく。
さて、エース区間2区も後半、権太坂のアップダウンに入ってくる。坪田選手は、ゲスト解説三代さん「気持ちよさそうに走っている」との評。15㎞通過44分07秒で、さすがに三代選手の区間記録時の43分32秒からは遅れたが、上りでもペースはキープしている。なお、権太坂で瀬古さんが声をかけたという実況も。一気に注目の存在になった。
2位争いは、1分33秒とやはり少しずつ離されている形。上りの部分で一瞬駒大神屋選手が前に出たシーンもあり。ここはさすが前回5区山登り区間2位で走り切っているランナー。ここの並走もそろそろ動きがあるだろうか。
4位以下は動きが激しくなってきている。中大池田選手が失速し、ちょうど早大佐藤選手に捉えられたところ。佐藤選手がここまで6人抜き快走だ。さらに直後6位通過帝京中崎選手も素晴らしい走り。初めて帝京大が上位争いに加わった。佐藤・中崎選手は共に定点3番4番の走り、後続を引き離す走りだ。
7位通過は神大辻原選手は自分のペース、直後山学古田選手が8位通過。定点間2番目のタイムはキープ。ただ、区間トップは坪田選手になった!?直後中盤粘っている日体須藤・大東秋山選手が、東海横山選手より早くきた。あまり古田選手から開いていない印象だ。逆に横山選手がちょっと苦しくなったか。
後ろは転々としているが、先ほど定点で一けた順位だった拓大安部・関学尾田・東洋秋葉選手がやや息切れ。逆に関学大を捉え13位に浮上した日大巽選手がこのあたりでは元気。代役とはいえ、箱根を経験している4年生がしっかり走っているあたりはさすがというところだ。
参考:75回三代(順大)22分43秒<66分46秒>
さて面白くなってくるのが2位争い。16㎞で順大高橋選手が下りの勢いを利用してスパート!神屋選手が5m離れる。じりじりと離れていき、18㎞地点でその差は3秒。駒大大八木コーチから激しい激が飛んでいるが、やはり高橋選手の方が強いかと思われた。
それが19㎞再び2位争いの映像では、今度は神屋選手がじりじりと高橋選手を追い上げていた。そして19.4㎞追いついた。走りは明らかに苦しそうで、長距離選手にしてはガタイのいい身体を揺らしながらの力走だ。高校時代から付けたら結果が出るという水晶のネックレスもかなり揺れていた。まだまだ順大とのバトルは続く。
後ろ追い上げていた山学大古田選手もまた様相が変わってきた。16㎞で神大辻原選手を10mまで縮めてから中々縮まらない。表情も苦しそうになってきた。それでもエースの意地か、17.2㎞で神大の前に出る。今度はおそらく失速しているだろう中大池田選手がターゲットか。
その6位池田選手がカメラで捉えられたのは19㎞地点。後ろを見ると、神大辻原選手が単独で7位追ってきている。山学大古田選手は抜き返されつけず。19㎞通過は56分45秒というから、15㎞以降は3分10秒前後。まだ不動坂のアップダウンがある中で、厳しいラップタイムとなってきていた。
20㎞地点で神大辻原選手が中大池田選手を捉え6位浮上。古田選手は追いつくどころか、日体須藤選手に抜き返されて9位に転落。どうやら最後の箱根も、華の2区ラスト3㎞は苦しめられそうだ。
そのラスト3㎞を一番軽快に走っているのは、結局のところトップを走っている法大坪田選手だ。21㎞地点で62分24秒だから、アップダウンでも1㎞3分を大きく割っていない。68分前半は出そうな感じ。そして、肉眼では第2移動中継車を捉えることはできなかった。
かくして、法大坪田選手がトップで中継。法大が往路戸塚中継所をトップ通過するのは、成田道彦さん以来26年ぶりの快挙。そしてどうやらこの状況、法政大が1区2区連続区間賞濃厚のようだ。
坪田選手の個人タイムは68分16秒。充分にエースの責務を果たしたタイムだ。坪田選手自身は、コニカミノルタでさらに日本の代表的なランナーになっていく。またこの衝撃だったオレンジ旋風、本番は次年度だったのがさらにまた驚きだが…。
さて2位争いだ。22.7㎞再び順大高橋選手が5m神屋選手を引き離す。ただ、この2区、残り1㎞は神屋選手の得意な上り、そして上り坂の途中が中継所という稀有な区間だ。神屋選手が再び追いついてくる。
順大としても「一度優勝したらまたしたくなる」と連覇を狙うエース、神屋選手は昨年の悔しさは忘れていない。果たして、2人の勝負は決着はつかず。同時スタートで同時リレー、68分51秒の同タイムで区間2位タイ。
権太坂下りで一時順大が前に出たが、1区スタートから44.3㎞ずっと並走するという非常に珍しい記録となった。今なら”ランデブー”と騒がれるのだろうか。この展開、箱根ファン大いに沸いた場面だ。3区にそのまま引き継がれていく。
その後ろ、4位は6人抜き快走の早大佐藤選手。最後に道を間違えるアクシデントがなければ69分が切れたのではないかという素晴らしい走りだった。このあと、びわ湖マラソンで2時間9分50秒の当時の学生記録をマーク、その後インカレで無類の強さ、日本インカレでの鹿屋体育大永田選手との激闘もあるのだが…
5位はこれまた素晴らしい走り帝京中崎選手。2年連続の2区だったが、大きな成長の70分07秒。十分頑張っているが、ここからがファイアーレッド旋風だった。6位は神大辻原選手が何とかつなぎ、直後に7位日体須藤選手。最初の定点では最下位でぐっと順位を下げていたのですが、見事に7位にまで戻してきたという走りだ。
その後ろやってきたのは8位大東秋山選手。21.4㎞で山学古田選手を捉えていたが、中大池田選手も抜いていたようだ。彼もロードで玄人好みのランナーに成長していく。9位に池田選手、2強に挑戦したのが後半響いたがこの経験を今後力に変えたいところだ。
その後ろだ。非常に苦しい走りとなってしまった山学大古田選手が10位でやってきた。残り800mで襷を取ったのもその表れか。最終的に4人抜きにとどまり、こじんでも69分50秒の区間5位に留まったのは悔しい結果。1年時の箱根8区区間記録の激走再現はならなかった。
11位には終始苦しかった東海横山選手がリレー、12位には日大巽選手が浮上。権太坂以降は5番目という素晴らしい走り。区間7位で流れは切らさなかった巽選手は日大影のMVPだ。続いてこちらもエースが走れなかった拓大、安部選手が13位でリレー。ここまでは前が見えているか。
大きく引き離されたのが関学大尾田、東洋秋葉選手。尾田選手はその後トラックやマラソンで大活躍するランナーになるが、まだ1年生。権太坂以降は跳ね返された格好だ。東洋秋葉選手も追いきれず。ここで13位から2分以上離されるちょっとしんどい展開、果たして巻き返していけるか気になるところだ。
全体的には、法大坪田選手が連続区間賞で法政大がここまで独走状態。その中で2位争いにしっかりと順大と駒大が入ってきて優勝争いはここからが本番か。他では早大が2区で順位浮上、帝京大が躍進。逆に山学大、東洋大などが出遅れてしまった。レースは3区に流れていく。