参照サイト:マラソングランドチャンピオンシップOfficial Site
気が付けば、マラソングランドチャンピオンシップ:通称MGCが、もうまもなく迫ってきていますね。
この大会で、上位2名の東京オリンピックマラソン代表内定、3人目は日本記録相当の記録が、今後のマラソンで出ない限りは内定と、非常に重要な大会となります。
ここでは、男子のマラソンの部に出場する選手を紹介していきます。
今回はノー箱根駅伝(箱根駅伝に出場経験のない)の選手5名:木滑 良・宮脇千博・岩田勇治・上門大祐・橋本 崚選手を紹介します
ページコンテンツ
自己ベスト
5000m13分40秒62
10000m28分18秒52
ハーフマラソン62分22秒
フルマラソン2時間8分08秒
高卒⇒実業団で、MGC獲得者は3名いますが、そのうち一番マラソンのベストがいいのが木滑選手です。2009年にMHPS入社、同期には山学大卒で後のアジア大会マラソン銀メダリストになる松村選手がいました。木滑選手もマラソンをやるつもりでMHPSマラソン部に入部します。
先に伸びてきたのはスピード系統で、2011年にNY駅伝に初出場。2012年からは3年連続で1区を任され、区間8位・3位・2位と素晴らしいスターターの役割を果たします。ここのところはこれまたスピードランナーが集まる3区で区間10位前後でうまく繋いでいます。トラックでの日本選手権での出場もあり、2014年に5000mで入賞経験も。やはりスピードランナーの印象ですかね(だからこそマラソンはちょっとびっくりしました)
2016年からは、主将を任されました。チーム力は向上し2017年には過去最高の4位、2019年には最後の最後まで優勝争いをしたうえでの2位、今や強豪実業団チームの主将となっており、本人の走力も確実に向上していっていますね。チームにとって頼もしい存在です。
本人希望のマラソンは2014年に、ついに初マラソン。別府大分毎日マラソンで2時間12分台とまずまずのデビュー(この直後に、日本選手権5千で入賞なのでこれも面白い)。2度目は北海道マラソン2016で、この時は2時間13分台ながら優勝!夏のマラソンで優勝という経験を積みます。
さらに3年ぶり出場となった別府大分毎日マラソンで2時間10分台。日本人2位に入りぐっとトップレベルに近づきます。そして、高速レースとなった東京マラソン2018で、日本人3番手ながら2時間8分08秒という好記録をマーク。MGC出場権の権利を得ます。
スピードもありながら、マラソンをやれる高い走力もあり、夏のマラソンでも優勝経験がある…、中々手ごわいランナーだと思います。マラソンの回数こそ少ないものの、確実に成績が上向いていっているのも見逃せません。マラソン部の主将として、負けられない戦いになります。
自己ベスト
3000m7分59秒23
5000m13分35秒74
10000m27分41秒57
ハーフマラソン1時間0分53秒
30㎞1時間29分51秒
フルマラソン2時間8分45秒
岐阜県の中京高校時代から、インターハイ・高校駅伝に出場するなど、走力が高かったランナーです。大学には行かず、トヨタ自動車に入社しますが、いきなり素質が開花します。ルーキーイヤーの2011年NY駅伝で1区大役を任されると区間4位の好走。チームは流れに乗り、初優勝を味わいます。
NY駅伝は、その後も活躍が続き、2012年は3区区間新、2013年は1区区間賞、2014年はエース区間4区を任され、これも区間賞!なんと入社から4年連続で区間賞を獲得する大活躍。強豪チームの顔になりました。
また個人記録も伸びていき、入社2年目には1万mで当時日本歴代6位の27分41秒57、ハーフマラソンでは当時日本歴代3位の1時間0分53秒を記録。期待の若手、今後日本陸上界を背負って立つのでは、とまで言われたくらいです。
これだけ豊富なスピードランナーでしたが、マラソンは少し時間がかかりましたかね。初マラソンは2013年の東京マラソン。この時は中盤以降苦しみながらも2時間13分台ではまとめ切り、意外と面白いのかなとも思わせました。
ただ、これ以降はマラソン・トラック・駅伝ともにやや伸び悩んで苦しい時期が続きましたかね。2017年に久々にマラソンにトライしますが、2時間16分台に終わります。苦労しますが、2018年東京マラソンで、ついに報われます。第2集団でひたすら粘り続け、日本人4番手で2時間8分45秒の記録。MGC出場権利を獲得します。
一時期の壁を乗り越えたことは、長距離ファンとしてほっとしています。NY駅伝2019に姿が無かったのが気になりましたが、7月函館ハーフで試合復帰。63分台で無理なくまとめきっていて、調子を上げてきていることが窺わせました。持ち前のポテンシャルで、MGCでも元気な姿が見られるはずです。
自己ベスト
5000m14分08秒35
10000m28分53秒82
ハーフマラソン1時間3分38秒
フルマラソン2時間9分30秒
2018年終了の地点で、彼がMGC獲得を予見した陸上長距離ファンはどれだけいたのでしょうか?高校時代は地区IHが最高成績。高卒で2006年にMHPSに入社、NY駅伝初出場は2010年でした。そこから2014年まで4度出場し、6区か7区で登場。区間最高が17位とこの時はまだ目立った戦績はありませんでした。
そこからNY駅伝にはしばらく出場しません。その代りNY駅伝直後の延岡西日本でマラソンデビュー、2時間14分台で5位とまずまずの戦績を残します。その後、北海道マラソンで5位前後の成績をキープ、2017年の別府大分マラソンで2時間12分台の自己ベストが出ていますが、中堅選手の域を出ませんでした。
2018年12月の甲佐10マイルロードで、主力選手以外でチームトップの成績を残し、5年ぶりにNY駅伝の出場ランナーへ滑り込みます。出場できなかった5年の間に、MHPSが強豪チームへ駆け上がっていったため、価値ある出場でした。
出走区間はアンカー。チームは下馬評よりも高い位置で推移し、なんと3連覇を狙う旭化成と優勝争いを演じます。相手は大学時代からスターでトップランナー大六野選手、分が悪いと思われましたが、一歩も引けを取らず並走!サングラスの奥から感じる闘志に、駅伝ファン大いに沸いた名シーンです。
ラストのスプリント勝負で僅かに競り負けましたが、かなりのスタミナ・スピード持久力を感じました。それはマラソンで勝負する為に培ったものでした。2019別府大分に参戦すると、自己ベストを2分半以上更新する2時間9分30秒。日本人2位で見事にMGC出場権利を勝ち取りました。
高卒で実業団に入り、すぐに芽が出ない中、長い距離を中心にコツコツと取り組み、30歳を超えた所で一気に開花してきたところ。並々ならぬ闘争本能を感じますね。夏の北海道マラソンに3度出場し、安定した成績を残していることは暑さへの適性も感じます。どこまで有力ランナーと言われる選手とやり合えるか、注目です。
自己ベスト
5000m14分06秒13
10000m28分48秒22
ハーフマラソン1時間3分28秒
フルマラソン2時間9分27秒
今度は大学には進学しましたが、箱根駅伝の出場の権利の無い非関東チームから、MGC出場権利を勝ち取った選手になります。上門選手は非関東である京都産業大出身の選手、しかも3番目に早くMGC出場権を獲得したので、周囲の陸上長距離ファンは驚いたのですよね。
もともとスピードはあり、京都府IH1500m2位の実績はありました。非関東では駅伝伝統校である京都産業大に入ったのですが、いきなり苦難を味わいます。1年時の全日本予選で敗退し、40年以上続けていた連続出場が途切れてしまったのです。
ちょうど、チームの変革期にあった中でぐっと実力を伸ばします。2年時には一気に1万28分48秒までタイムを伸ばします。大学駅伝では出雲・全日本ともに1区を担当し区間一桁、チームのエースに成長します。
3年時・4年時もしっかりと走力をキープ。前半・中盤の主要区間を何度も走り、箱根駅伝を走る関東地区の選手と戦い抜きました。チームも3年時の全日本で12位、4年時は11位。近年京産大が強かった時期の主力選手でした。
京産大卒業前に、一度フルマラソンを経験。ここで2時間17分台で優勝を飾ります。いいイメージを持ったまま実業団へ。2017年びわ湖で2時間12分台まで上がると、3戦目2017年福岡国際で一気に2時間9分27秒をマーク!記録としては一気に駆け上がりましたね。日本人2番手でMGCも早く決めます。
実績が出来たことで2018年は世界ハーフを経験、秋にはベルリンマラソンで2時間11分台と結果を出しています。ただ、最新のマラソンが2019別府大分が2時間15分台で沈んでしまい、初めて壁も経験。7か月後の9月までにどう仕上げてくるか注目です。
自己ベスト
5000m13分57秒91
10000m28分41秒02
ハーフマラソン1時間2分55秒
フルマラソン2時間9分29秒
さて今度は箱根駅伝を眼ざる関東の大学に進学し、箱根駅伝を夢見ながら出走ならず、実業団で能力が開花した選手になります。橋本選手は、上位校から強豪校に成しあがる最中にあった青山学院大に進学。
激しい出場争いに見舞われながらも、ロードで実績を残し、全日本大学駅伝には2年時と4年時の2度出場を果たしています。そして、その直後の箱根駅伝でどちらも山登りの候補には上がっていた選手です。2年時は5区内定していましたが、怪我をしていまいチャンスを逃しました。
4年時は、夏の時点で、チーム内にいた5区の区間記録保持者の状態が思わしくなく、半年かけて山登りを準備。80分30秒とまずまずのレベルで行ける目途が立っていましたが、正選手が準備1ヵ月でそれよりも早いタイムでいける目途が立ち、出走できず。復路の候補にも挙がりましたが、枠が埋まっていて結局箱根駅伝出走は叶わず。連覇するチームの横で、蚊帳の外の虚しさを味わいました。
悔しさを抱えた中、卒業直前に東京マラソン2016に挑戦。そこで2時間14分台のまずまずの戦績を残します。GMOアスリーツに入社して、12月読売豊富マラソンで2度目のマラソンへ。そこで、2時間11分台のタイムながら、公務員ランナー川内優輝選手を終盤に突き放す走りで優勝!うれし涙のインタビューを覚えている方は多いでしょう。青学大出身者で初メジャーマラソン優勝者となりました。
そこからはMGCに向けての戦いになります。2017年東京マラソンは2時間13分台、同年のゴールドコーストマラソンで2時間10分前半と自己ベストを更新。着実に積み上げます。2018年福岡国際マラソンでは30㎞までトップ争いを演じるも、そこから惜しくも失速し2時間11分台へ。このあたりは壁に苦しみます。
中3ヵ月で迎えた2019年別府大分毎日マラソンは32㎞まで優勝争い、そこから離れますが、今度は最後の最後まで粘り切ります。2時間9分30秒で日本人2位のタイムでMGC出場権利を獲得!たまたま解説に座っていた青学原監督も喜んでいました。努力で成しあがった選手が、厳しい残暑の中のマラソンで光るでしょうか。
箱根駅伝が大いに盛り上がる中、あえて大学を選ばなかった選手、大学を選んだけど果たせなかった選手、
そういう中でも、オリンピック選考レースに立つことができているのは多くの若い長距離ランナーに夢ある話です。彼らの粘りにも注目です。