個人的に、第94回箱根駅伝の”4強”と思っている大学の戦力分析をしています。
前年度3冠、今年度は表彰台に乗っているものの、まだ勝てていない青山学院大学です。
出雲駅伝成績
区間 | 名前学年 | 区間タイム | 区間順位 | 通過順位 | トップ差 |
1区 | 梶谷瑠哉③ | 23分54秒 | 区間8位 | 総合8位 | 38秒差 |
2区 | 田村和希④ | 15分47秒 | 区間賞 | 3位 | 18秒差 |
3区 | 下田裕太④ | 24分48秒 | 区間3位 | 1位 | -5秒差 |
4区 | 小野田勇次③ | 18分31秒 | 区間2位 | 2位 | 14秒差 |
5区 | 神林勇太① | 19分38秒 | 区間3位 | 2位 | 37秒差 |
6区 | 橋詰太慧③ | 30分54秒 | 区間6位 | 2位 | 1分33秒差 |
全日本大学駅伝成績
区間 | 名前学年 | 区間タイム | 区間順位 | 総合順位 | トップとの差 |
1区 | 中村祐紀④ | 44分46秒 | 区間10位 | 10位 | 1分22秒差 |
2区 | 田村和希④ | 38分04秒 | 区間賞 | 6位 | 57秒差 |
3区 | 梶谷瑠哉③ | 27分28秒 | 区間4位 | 5位 | 1分04秒差 |
4区 | 森田歩希③ | 40分16秒 | 区間3位 | 3位 | 1分09秒差 |
5区 | 下田裕太④ | 34分49秒 | 区間4位 | 4位 | 1分03秒差 |
6区 | 竹石尚人② | 36分08秒 | 区間4位 | 3位 | 53秒差 |
7区 | 小野田勇次③ | 34分43秒 | 区間3位 | 3位 | 1分06秒差 |
8区 | 鈴木塁人② | 59分08秒 | 区間4位 | 3位 | 2分33秒差 |
勝ち切れないポイント
①足並み揃わず、1区配置の迷い
出雲駅伝は1区梶谷選手で出遅れ、3区でトップ争いに戻ります。ただ、4区繋ぎ区間に主力を置いた東海大に充分な貯金は得られず逆転を許すと、そのまま5区6区も引き離され2位へ。
全日本は久々の駅伝となる中村選手を1区起用するも区間10位のブレーキ、2区田村・4区森田選手などが追い上げるも6区で3位に上がるのがやっと。優勝争いにも加わることができませんでした。
エース不在なので全員駅伝といきたいところでしたが、主力の足並みが揃わなかったですね。出雲は鈴木選手がエントリーされず、万全でない梶谷選手を1区起用へ。全日本は下田選手が万全でなく、橋詰選手を起用できませんでした。
万全だった田村選手あたりは1区向きではなく、結果1区にしわ寄せがきてしまった印象でした。総合力で競うところ、1区がこういう状況になると優勝争いとなると苦しいですよね…。
②やっぱり監督が現場離れているのも?
それから原監督が現場を離れることが多くなっているのも正直なところ、一因としてはあるのかもしれませんね。区間配置や選手の体調面の細かい部分の把握などは、もしかすると影響あるかなぁなんて…(コーチや奥さんも鋭い眼力を持っておられるので邪推かもしれませんが)。
他校の力を読み切る力に関しても、前半戦が終了した段階で、全日本で一番怖いのは東海大ではなく神奈川大の名前を上げてらっしゃったので、今思うとやっぱり把握されていたんだなと思います。
原監督は青山学院大長距離ブロックの監督以上に、広報の役割として、大学陸上の盛り上がりに大きく貢献してくださっています。また、実際仕事をいくつも同時にこなすとなると一部の仕事を優秀な部下に任せて仕事をこなしていくことは多いと思います(何となく中国電力内で出世されたのもわかる気がします)。
ただ、言っても毎年入れ替わる学生の組織ですので、常勝軍団を保つのはそう簡単ではないと思います。今年はエースが抜けた直後で難しい状況でしたし…。
勿論、青学大に負けたくないという他チームの気持ちのおかげで大きな視点で見ると、大学陸上に貢献してはいると思いますが、青学大が勝ち切るとなるとやはり現場を見る時間の確保も大事になると思っています。
箱根駅伝へ向けて巻き返しのポイント
①エース不在が一番カバーできるのは箱根駅伝
ただね、箱根駅伝に関しては、無理矢理本命をあげろと言われるとやっぱり青山学院大だと思うんですよね。まずは至近の箱根駅伝で勝ち続けていること、それにマラソンにも挑戦するくらい、長いロードへの育成力は高いものがあります。
そして、エース不在のチームが三大駅伝の中で一番勝ちやすいのは箱根駅伝です。出雲や全日本は走る人数が少ないうえにエース区間の距離がそれ以外の区間に比べ長いです。エース不在はどうしても満点のレースをする必要がありプレッシャーがかかり過ぎますので。
箱根はエース区間は23㎞ですが、それ以外も21㎞以上は走る必要があります。総合力でしっかり逆転する可能性があります。足並みが揃わないのは不安要素ですが、田村・下田・鈴木・橋詰・森田・梶谷選手…そういった面々がもう一度この2か月でしっかり調整しなおすことができれば、十分に優勝できるチームになっていけるはずです。
②現段階で一番山が計算できるのは青山学大…やっぱり本命?
それから箱根駅伝の特殊要素としては山がありますが、現時点では登りも下りも優勝候補中で一番目途が立っているのは青山学院大なんですよね。
登りは昨年区間8位の貞永選手がいます。区間8位だと微妙ですが、服装の選択ミスで体が冷えてしまって失速しています。このあたりはすぐに修正できる点です。山籠もりが順調なら73分台・区間3位は充分にターゲットにできる数字です。
山下りは勿論、小野田選手ですね。2年連続58分台で走っています。出雲と全日本と平地区間も担当しながらなので、1年時のタイムを超えるのは簡単ではないでしょうが、59分以内はしっかり狙っていけるでしょう。
箱根駅伝の場合エース区間が序盤の2区になるので、追いかける展開にどうしてもなるという点が不安ですが、追いつくことさえできれば勝機が出てくるし、自信をもって走っていけると思います。やっぱり本命なのは変わりはないと思います。
勝てるオーダーを考えてみる
しっかり調整できればある程度メンバーが見えてきますかね。苦心している1区はあまり考えすぎず、昨年の経験者の梶谷選手でいいと思います。鈴木・橋詰選手あたりも候補だと思いますが他の主要区間にも空きがありますので。それから出雲1区よりはプレッシャー少ないかなと。
エース区間の2区には復帰の全日本8区まずまず走った鈴木選手。アップダウンをこなすのも競り合いにも強い鈴木選手が適任かなと思います。昨年の秋に見せたロード力の本領発揮と行けるはず。
それでも2区終了地点でトップ付近にいるのは今回は難しいと思います。3区4区は追い上げることができる選手として田村・森田選手を配置しました。ポイントゲッターの田村選手、昨年と今回の全日本と追い上げる走りをしている彼が適任かなと。田村選手の脱水対策も少しずつ進んできていますので、本領発揮できる展開に持っていけるのでは?
山あたりで先頭争いくらいにもつれていれば、だいぶ可能性が出てくる。このオーダーでは、2年連続断トツで区間賞を獲得している下田選手を3度目の8区に起用できるのですよね。この区間でしっかりトップに立てるように、
そして9区橋詰選手で他校にとどめ、10区吉永主将お疲れ様…という風にしたい。そうできるチームだと思います。4連覇に向けて、どういう仕上がりになってくるか注目です。