スポンサーリンク

【日本大学】第100回箱根駅伝2024振り返りと、次年度へ向けて

 2月・3月上旬は、箱根駅伝出場チームの振り返りや、次年度への簡単な分析をしていきたいと思います。

帰った!4年ぶり!序盤突進!繋いだ襷!
日本大学です

スポンサーリンク

ページコンテンツ

【日本大学】第100回箱根駅伝2024振り返りと、次年度へ向けて

 箱根駅伝御三家の1校と数えられている日本大。優勝回数12回は歴代3位。青学や駒大もまだもう少し年数が必要な回数になります。ですが、最後の優勝はちょうど半世紀前の50回大会に遡ります。近年は高速化に中々つけず、予選会に回っていました。

 そして96回大会に出場したのを最後に連続で出場が途切れてしまっていました。上層部の態勢も中々安定せず、現4年生の部員の多くが退部したこともありました。23年の春に、倉敷高校で実績を上げた新監督が就任して、少しずつ雰囲気が良化。

 全日本予選はまだ整わなかったですが、2組以降に好成績を上げていました。さらに、夏合宿で新留学生キプケイメ選手が別人のように身体が絞れてきました。日本ICでは留学生祭りの中2位、もしかすると箱根予選突破できるのでは…そういう期待も出てきていました。

 迎えた箱根予選会、ここ数年前残りを狙っていた日大ですが、後方でエース格以外は集団走に徹していました。キプケイメ選手がやはり強く全体トップでゴール、そして15㎞までほぼ一塊だった集団走は一斉にペースアップ!15㎞でボーダー付近だったところ、いつの間にか5位まで浮上!喜びの復活となりました。

 その後の記録会で、箱根予選に出場した選手は概ね順調。中々でなかった1万m28分台・29分台前半が何人も出てきて、ある程度軌道に乗っていました。それでも箱根は4年ぶり、繰り上げ回避が目標と慎重姿勢でした。

スポンサーリンク

第100回箱根駅伝2024振り返り

15位日本大学11時間06分06秒

区間 区間順位 名前学年 区間タイム 通過順位 トップ差
1区(21.3㎞) 4位 西村翔太④ 61分28秒 4位 26秒差
2区(23.1㎞) 10位 J.キプケメイ① 67分31秒 8位 1分37秒差
3区(21.4㎞) 4位 安藤風羽③ 61分56秒 4位 3分24秒差
4区(20.9㎞) 23位 久保昇陽④ 66分16秒 12位 8分30秒差
5区(20.8㎞) 19位 大橋 優③ 74分40秒 19位 13分38秒差
6区(20.8㎞) 19位 山口月暉② 60分54秒 19位 16分18秒差
7区(21.3㎞) 17位 下尾悠真④ 64分42秒 17位 18分14秒差
8区(21.4㎞) 14位 鈴木孔士② 66分00秒 16位 20分14秒差
9区(23.1㎞) 19位 中澤星音② 71分43秒 15位 23分06秒差
10区(23.0㎞) 17位 大仲竜平② 70分56秒 15位 25分05秒差

1区西村選手…スタートを任されたのが4年西村選手。2年時には台頭してきていて、中々チームの総合力が整わない中、前残りで食い下がっていた姿が印象的でした。今年は、予選で過去最高となる65位の成績を残して、通過に貢献すると、11月に1万m28分34秒を記録し、一気に成長していました。

 ハイペースで進むレースの中、第二集団に付けます。新監督からは”絶対に目立つな”と指示を受けていましたが、接触を避けていたら7㎞付近で第二集団の先頭に出てしまいました。一瞬、焦るも、意外と辛く感じなかったことでそのまま引っ張り続けていたそうです。六郷橋を過ぎても、上位集団の中心、そのまま最後まで上位争いを繰り広げ、トップと26秒差、区間2位と3秒差の区間4位!想定より遥かの上のスタートを切ることができました。

2区キプケイメ選手…区間賞候補にも挙がるほど期待が高かった選手。夏前までは他校の日本人ランナーにも負けていたのですが、夏合宿で覚醒。日本ICでは最速留学生と言われる東国大の選手に最後まで食いついて2位に入ると、箱根予選は中盤からレースの主導権を握り、全体トップの60分16秒の高パフォーマンス!日大復活出場の象徴となりました。

 すぐに、創価大の留学生ランナーと2位争いとなり、先頭の駒大を追いかける姿勢になります。でしたが、10㎞の給水を過ぎたあたりから、2位争いから後退。権太坂手前で、青学大ら後方の集団に飲み込まれてしまいます。腹痛でペースダウンを余儀なくされます。67分31秒の区間10位となりますが、何とか上位をキープして総合8位で中継します。

3区安藤選手…毎年確実に頭角を現していた3年安藤選手が3区へ。夏前には全日本予選3組で6位と他校の主力選手とも戦っていました。箱根予選は172位と失敗レースとなりましたが、直前の記録会で28分44秒65の自己ベスト!堂々の3区に抜擢になりました。5人以上抜かれないのが目標だったそうですが、才能が開花しました。

 選手が前後する展開の中、前半から突っ込んでいく展開。遊行坂付近で、東洋大や早大といったシード校のチーム相手に6位争いを展開します。区間上位の流れでしたが、この流れに食いついていきます。途中で創価大を交わして5位争いへ。最後に國學院大に追いついて激しい4位争い。これに勝ち切って総合4位中継!61分56秒の区間4位と、上位3校以外すべてに勝利する成績。この日大の突進に驚いたファンも多かったでしょう。

4区久保選手…4年間かけて主力になった選手。春先に1万m29分16秒大幅ベストで一気に頭角を現すと、箱根予選で118位、1万mも29分04秒と更新していました。手堅い走りを期待されましたが、結果的に自分の走りをすることはできず。63分台で区間中盤とレベルが上がってきている中、66分台の区間最下位で、大きく順位を落としてしまい、総合12位での中継となりました。

5区大橋選手…記録面ではこの1年間一番大きく伸びた3年大橋選手が5区山登りに。学生ハーフで66分台の成績だったのが、箱根予選は集団層ながら64分12秒の136位。箱根前の1万m29分16秒は、ベストを1分13秒更新するものでした。希望の5区山登りとなりましたが、徐々に体の動きが悪くなります。区間最下位争いで、箱根頂上までには総合19位へ。ただ下り以降は区間中位の走りで粘り、74分40秒の区間19位に。往路19位ながらシード権とは1分34秒差に留めます。

6区山口選手…シード権目指しつつ、一斉スタートの流れに乗って繰り上げ回避も目論んだ復路。山下りは、関東ICで3障などで活躍している2年山口選手に。1万mまでは全日予選で戦った経験もありました。苦手という序盤の上りは思ったより行けたそうですが、その分得意の下りで伸び切らない走りに。ラストの平地でもがいて60分59秒の区間19位。20番目ながら何とか前が見える状況で襷リレーしました。

7区下尾選手…4年生の主力の一人下尾選手が7区へ。トラックでの活躍が目立ち、最終学年で関東IC1万m10位、全日予選最終組で中位で戦うなど他校の主力選手とも戦っています。箱根予選で苦戦していましたが、最終学年での119位64分04秒は過去最高の成績。上層部がすぐ変わったり、同期の退部していく中、つらい時期もあったそうですが、最後に箱根出走となりました。

 下り基調でアップダウンが多いコースに、中々リズムに乗れない状況でしたが、二宮あたりで順大を交わして見た目19位へ。その後農大に追い上げられますが、何とか凌いでそのまま中継。区間17位ながら、総合順位を2つ挙げ17位へ。この地点で、見た目のトップとの差は14分36秒差になっていました。

8区鈴木選手…この選手も、この1年で大きく伸びてきましたね。春先に1万m29分59秒ベストを出しましたが、箱根予選で63分54秒の99位に入ったのはびっくり!集団走の15㎞から一番上がった選手でした。直近も1万m28分47秒と大幅ベストを更新していました。単独走となりますが、大きくはペースダウンせず。授業の関係で一人で練習することも多かったそうです。遊行寺坂以降浮上する走りで、66分00秒の区間14位。19番目のままでしたが、見た目トップとの差16分36秒でリレーします。

9区中澤選手…繰り上げ回避に向けて大事な復路エース区間9区。任されたのは2年中澤選手。1年時から箱根予選ある程度走れて、全日本駅伝で調教り区間7区への抜擢もあった選手。2年になってからやや苦戦していましたが、直近1万m29分38秒の自己ベストで調子を上げつつありました。

 すぐ前にいた大東大に食らいつきますが、これには直に離されます。中盤には区間賞争いのペースの農大の選手に交わされますが、懸命に大きなペースダウンは防ぎます。20㎞地点で見た目19分27秒となりますが、ラスト3㎞に脚は残していて、区間中位のペース。見た目19分28秒の差で、見事に中継。青学大が大会記録ペースだった中、目標の繰り上げ回避は達成しました。

10区大仲選手…最終アンカーは2年大仲選手。2年連続で箱根予選を100位台で走っていて、長い距離で一定の安定感を示していました。途中まで区間下位のペースでしたが、終盤に繰り上げスタート組が追いついてきてから粘りを発揮。70分56秒の区間17位、見た目19番目でゴールしました。また、いつの間にか総合15位に浮上。往路のエースだけではなかったことを示しました。

 往路の突進と、繰り上げスタート回避と、4年ぶり復活の日大としては、箱根駅伝を戦えたのではないかと個人的に感じています。しかも大エースの2区キプケイメ選手が腹痛のアクシデントで失速した中、1区西村・3区安藤選手が往路の激しい流れを区間4位で乗り切って、この時点で総合4位だったことが驚きですよね。

 他に調子のいいスピードランナーがいなかったことで、往路は最終的に19位になりますが、1万m28分台の冨田選手が走れなかったりで、編成苦しんだでしょう。

 そういう中、復路は目立った成績はなかったものの、ギリギリのところで踏ん張る区間が続き、その結果繰り上げ回避、そしていつの間にか総合15位に浮上していました。エースだけではなかったことを示せたことは、次年度に向けて最大の収穫でしょう

次年度へ向けて

 手応えは掴みつつある中、飛躍が楽しみなメンバーです。

残る今年の箱根メンバー
J.キプケイメ①28分13秒10≪24箱2区10位、23予1位、全予4組29位≫
安藤風羽③28分44秒65≪24箱3区4位、23予172位、全予3組6位、22全4区17位、予123位≫
鈴木孔士②28分47秒23≪24箱8区14位、23予99位≫
大橋 優③29分16秒28≪24箱5区19位、23予136位≫
大仲竜平②29分17秒16≪24箱10区17位、23予153位、22全5区18位、予176位≫
山口月暉②29分22秒23≪24箱6区19位、23全予2組21位、関東IC3障7位、22予438位、日本IC3障6位≫
中澤星音②29分38秒33≪24箱9区19位、23予204位、22全7区18位、予126位≫

残る補欠メンバー
冨田悠晟②28分44秒98≪23予124位≫
山口聡太①29分26秒49≪23関東IC1500m≫
天野啓太①29分33秒63
片桐禅太①29分48秒75≪23全予1組39位≫

その他有力選手
滝澤愛弥②29分48秒86
松村謙吾②29分49秒92
高田眞朋①half65分05秒
小路翔琉②half65分29秒
岡田祐太③half65分38秒

 大エースはキプケイメ選手ですね。箱根予選60分16秒とまさか全部の留学生に勝って全体トップになるとは思いませんでした。非常に走力が高いですね。箱根2区はアクシデントがありましたが、次も出場できるとなったら、ここは上がり目しかないと思います。そして、彼に頼らないチーム作りがどこまでできるか。

 新4年生は、箱根3区で他校のスピードランナーの多くに競り勝った安藤選手が中心でしょう。3区61分台はびっくりしました。この成績だとトラックシーズンから楽しみになってくるような…?箱根5区山登りを担当した大橋選手も、この1年間の伸びは凄かったです。最終学年でもうひと伸びすると思われます。

 新3年生に多くのエース候補がいて、1万m28分台を出している鈴木・冨田選手がまず中心でしょう。ピークは、箱根予選~記録会になった感じもありましたが、また身体を作り直して、強い選手になっていくでしょう。それに箱根6区山下りを走った山口選手は、3障での伸びも楽しみですし、箱根復路を繋ぎ切った中澤・大仲選手あたりもじわじわ長い距離強くなってきています。他にも、滝澤・松村・小路選手らが伸びてくるか。

 新2年生は、留学生を除いてまだ箱根を走れませんでしたが、11月の記録会では山口選手が29分26秒、天野選手が29分33秒をマーク、その前には上尾ハーフで天野・片桐選手が64分台をだして箱根出走メンバーに迫りました。学生ハーフでは髙田選手が65分少しをマークしていますね。選手層はまだ厚いとは言えませんが、新監督イズムが徐々に浸透していっての、2年目が楽しみです。

まとめ

・新監督就任で一気に4年ぶり復活へ!
・大エースキプケイメ選手不調も、
・1区西村3区安藤選手が区間4位快走で序盤突進!
・往路19位から総合15位に浮上!
・復路は大きく失速区間無く戦い繰り上げも回避!
・手ごたえをつかんだ2年目の飛躍に期待!

 名門倉敷高を築き上げた新監督が、苦しむ母校日大の監督に就任。当初は、倉敷高校のメニューをこなせる選手がほとんどいなかった中、箱根予選前にはしっかりこなせるチーム状態に。見事に予選突破、色々翻弄された4年生世代もようやく報われた形でした。

 本番では、予選で全体トップだったキプケイメ選手が腹痛のアクシデントに見舞われるも、日本人エースが躍動!西村選手と安藤選手が往路であれだけ走ったのはびっくり!強くなっている選手は本当にすごかったですね。

 往路は底から順位を落として19位となりますが、復路は最高が8区鈴木選手の14位に留まりますが、区間18位前後で前と差が付かないタイム差で各区間凌ぎ、9区中澤選手が、繰り上げ回避して襷リレー。気が付けば総合15位に浮上しました。

 エース選手や箱根経験者が次年度は多く残りますし、新監督体制2年目になり、さらに上昇ムードが加速する可能性もあります。選手層がまだ薄いですが、そこも伸び代になるかもしれません。どれだけ上がる年になるか楽しみです。