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【帝京大学】第100回箱根駅伝2024振り返りと、次年度へ向けて

2月・3月上旬は、箱根駅伝出場チームの振り返りや、次年度への簡単な分析をしていきたいと思います。

続いて、
復活した箱根駅伝での抜群の粘り
帝京大学

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【帝京大学】第100回箱根駅伝2024振り返りと、次年度へ向けて

 前回大会は、93回大会以来久々のシード権落ち。とはいえ、スカウトは決して楽な方ではない中で、5年連続でシード権を獲得し続けていたこと自体が凄かったかもしれません。とはいえ、中野監督は「”駅伝競争部”なのに、出られる駅伝が決まっていないこと」「箱根予選を経験している世代がいない」と、強い危機感を持って今シーズンの強化に取り組んでいました。

 春シーズンはある程度順調、関東IC1万mでタイムレース1組ながら、4年生エース西脇・小野選手が28分台を出してチームをけん引。全日本予選では彼らが最終組で、同じ4年の末次選手に、3年小林・山中・福田選手、2年柴戸・尾崎選手と2年生以上と主力が充実。留学生がいるチームが上位を占める中、ノーミスで圏内に残り、出場権を獲得しました。

 夏合宿は、コロナ禍が解除されて、その前のような質量とも濃い練習を積むことはできました。ただ、その走り込みで疲れが出てしまったか、9月下旬に新型コロナ感染者が続出。一旦は、予選落ちも考えたと言います。

 それでも、普段から箱根駅伝120%仕上げにかけていた帝京大は強かった。箱根予選会は、そんなことがあったとは思わせない非常に安定したレースで3位通過。全日本駅伝は、調整が難しく凸凹駅伝になったものの、1区福田2区山中3区柴戸選手が上位校とそん色ない走りで、この時点で5位争い。4区ブレーキ合ったものの、5区末次6区島田選手が追い上げてもう一度シード権を争う構えでした。

 その後は、1万m記録挑戦会で山中選手が全体トップとなる28分35秒の好タイムで一気にエース格に成長!さらに故障で遅れていた小野選手が、12月になって1万m28分台自己ベストでギリギリ間に合う算段に。平地区間は十分と言えるほどの陣容を整えてきていました。

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第100回箱根駅伝2024振り返り

9位帝京大学10時間59分22秒

区間 区間順位 名前学年 区間タイム 通過順位 トップ差
1区(21.3㎞) 7位 西脇翔太④ 61分36秒 7位 34秒差
2区(23.1㎞) 16位 山中博生③ 68分10秒 14位 2分24秒差
3区(21.4㎞) 9位 柴戸遼太② 62分57秒 9位 5分12秒差
4区(20.9㎞) 9位 末次海斗④ 62分35秒 7位 6分37秒差
5区(20.8㎞) 20位 尾崎仁哉② 75分05秒 12位 12分10秒差
6区(20.8㎞) 15位 大吉優亮④ 60分34秒 12位 14分30秒差
7区(21.3㎞) 2位 小野隆一朗④ 62分44秒 11位 14分28秒差
8区(21.4㎞) 8位 島田晃希② 65分13秒 9位 15分41秒差
9区(23.1㎞) 3位 小林大晟③ 69分30秒 9位 16分20秒差
10区(23.0㎞) 18位 日高拓夢④ 70分58秒 9位 17分57秒差

1区西脇選手…スターターに指名されたのは4年西脇選手。全日本駅伝4区は脱水にかかって大失速となりましたが、その後の経過が良かったこと。箱根予選&全日本1区好走の福田選手が調子を落としたこと、過去2年1区同学年小野選手も急仕上げだったこと、そこから西脇選手が一番いいのではとなりました。スピードは関東ICで切れ味鋭いものを見せていました。

 全体的に高速レースとなりましたが、第2集団の中にしっかり身を潜めてレースを進めます。六郷橋を過ぎても集団、残り1㎞近くまで食らいついていたようです。残り500mで僅差の10位でしたが、そこから順大・青学・明大を交わして7位で中継!先頭とは34秒差、2位とは11秒差に留める非常に好スタートを切りました。

2区山中選手…今年大きくブレイクした3年山中選手がエース区間2区に。前回の箱根8区で序盤の入りが一番早く、駅伝ファンに鮮烈な印象を残していましたが、確実に力がついていました。春先に1万m28分台を出すと、秋には全日本2区で積極果敢に上位校に食らいついて、区間6位の好成績を残していて、その後1万m28分35秒の今季チームベストを出して、満を持して2区に入りました。

 序盤は、前後していた選手と集団になり5位集団に割って入ります。中野監督の「ワールドクラスだ」という激も受け、中盤までは攻めた走りをしていました。ただ、終盤は”スタミナが足りなかった”と苦しい走りになり、68分10秒ながら区間16位。チーム順位も14位でのリレーとなりました。

3区柴戸選手…前回の箱根往路4区を走った2年柴戸選手が、一つ前の区間の3区へ。主要大会に非常に強く、前回の箱根だけでなく、今年も箱根予選・全日本3区ともに高いレベルで走っていました。スピード区間の3区でも、それは活きました。

 遊行寺坂までに、前見えていた山学大・法大を交わして、大東大に追いつき併走します。区間一桁を狙えるペースで追走し、農大と東海大も交わしていき、一気に総合9位に浮上。追走のペースは緩まず、最後は創価大を視界に入れたところで中継。区間9位62分57秒の好走で、チームを再びシード圏内に押し上げます。

4区末次選手…往路4区に入ったのは帝京大らしい育成で強くなった4年生。長い距離には強い選手で、前回の箱根は9区で好走。箱根予選ではチーム2番手の好走を見せ、暑くなった全日本5区は、後方から前を追走する走りを見せていました。

 序盤から果敢に突っ込んでいき、二宮通過は5番目に早いタイム。早いので苦しくなりますが、そのあたりで創価大に追いつき併走して、ペースダウンを最小限に防ぎます。道中に地代をかwして、最後に創価大も突き放したので総合7位に浮上!個人としても62分35秒の区間9位と往路でも通用する走りでした。

5区尾崎選手…ここまで順調ですが、帝京大はエース選手が走るとき以外は山が鬼門になります。今回は2年尾崎選手を起用。1年時からハーフ64分台を出していて、全日本予選も通過に貢献。ただ、箱根予選はエントリーなく、上尾ハーフに復帰して64分07秒というところでした。序盤からペースが上がらず、区間最下位争い、順位を徐々に下げていき、頂上付近で総合13位へ。下りに入ってから大幅に巻き替えして、最終的に往路12位。何とかシード権と18秒差に留めます。

6区大吉選手…同じく鬼門となる山下り。今回は、3障で2年連続インカレで結果を残していた4年大吉選手を起用。上尾ハーフで63分12秒も出していて長い距離の対応はできていました。脚力に期待は集まりましたが、山下りの攻略は簡単ではなく、一斉スタートの真ん中付近が精一杯。最後の平地は足が止まり、区間15位60分34秒。シード権前後に好走したチームもあり、10位とは1分51秒の差に広がりました。

7区小野選手…復路の2区ともいえる7区に入ったのは4年小野選手。過去2年1区を務めてきて、全日本予選でも最終組で好走を続ける言わずもがなのチームのエース選手。とはいえ怪我があり、秋のメインレースは走ることができず。12月日体大で1万m28分台の自己ベストで、ギリギリ間に合ったところ。でしたが、走ればエースでした。

 見た目16番目で走り出しますが、二宮定点までに14番目に浮上。ここから他の選手と脚色が違いました。一気に区間賞争いのペースになり、二宮で1分以上前だったチームを次々に抜き去り、中継所では見た目10番目までアップ。区間2位62分44秒の快走でした。、10位チームが区間賞だったため、シード権との差は1分58秒でしたが、総合11位に浮上。チームに大きな勇気を与えました。

8区島田選手…帝京大期待の2年島田選手が8区へ。1年時から上尾ハーフ63分台を出すなど将来期待されていましたが、箱根予選・全日本6区と主要大会も安定してこなしていました。すぐ後ろにいた明大と早大と併走となりますが、区間5位前後のペース終盤まで食らいつきます。失速したチームもあり、一気に総合9位に浮上!個人としても区間8位の65分13秒と粘り込みました。

9区小林選手…長い距離に自信のある3年小林選手が、満を持して復路のエース区間へ。すぐ前に見えていた早大と突っ込んできた東海大と併走しながら区間一桁ペースに。苦しくなる15㎞以降に振り切って、さらに好走していた明大も交わして見た目7番目に浮上してリレー!69分30秒の区間3位の好走で、大きくシード権獲得へ前進。故障や足踏みしていた時期もありましたが、ついに才能開花しました。

10区日高選手…前回もアンカーを走った4年日高選手が今回も出走。箱根予選も走っていて、主力の一人になっていました。単独走となりますが、今回はペースが上がり切らず。区間20位くらいのペースで見た目8番目に後退。終盤迫ってきた創価大には、何とか切り替えて逃げ切り、8番目でゴール。総合も9位キープ、2年ぶりに復活しました。

次年度へ向けて

残る今年の箱根メンバー
山中博生③28分35秒65≪24箱2区16位、23全2区6位、予39位、箱8区6位、22出5区11位≫
小林大晟③28分43秒71≪24箱9区3位、23全8区14位、予84位、箱3区17位、21全7区11位≫
柴戸遼太②28分46秒60≪24箱3区9位、23全3区6位、予50位、箱4区12位≫
島田晃希②29分20秒89≪24箱8区8位、23全6区8位、予92位≫
尾崎仁哉②29分10秒39≪24箱5区20位≫

残る補欠メンバー
福田 翔③28分56秒88≪22全1区9位、予21位、全予1組12位、出4区9位、全予2組15位≫
大西柊太朗①29分30秒01≪23予334位≫
廣田 陸①29分34秒51
岩本拓真③29分37秒01≪23予104位≫
高島大空③29分55秒86≪23予242位≫

その他有力選手
福島渉太③28分57秒49≪22箱7区13位≫
林 叶大③29分07秒61≪23関東IC3障9位≫
藤本雄大②29分09秒04≪22出1区15位≫
大谷祥輝②29分17秒96≪23関東IC1500m≫
石川湧月③29分18秒99
賀山亮成①29分20秒09≪23関東IC5千≫
原 悠太①29分20秒86
山口翔平②29分23秒31≪23関東IC3障≫
楠岡由浩①29分29秒79
野村祐太朗③29分51秒87≪23予160位≫

 卒業生が多いですが、これは育成の帝京大は毎年そう。前回大会を除いて、そういう状況でもシード権以上の成績を上げ続けていました。そして、チーム構成上はどの学年にもエースがいて面白いですよ。

 新4年は、今回の箱根2区9区を走った山中・小林選手が中心ですね。特に山中選手は前半から突っ込める中、スピードもぐんぐん伸びてきています。今年の箱根2区は68分かかりましたが、あと1年で大化けしてもおかしくありません。小林選手もロードの良さを出せるようになってきています。

 さらに、今回はコンディション不良で欠場となりましたが、箱根予選では福田選手が彼らを上回りチームトップの成績。本来のエースは彼と言っても過言ではなく、この3本柱は中々強力だと思います。この世代はほかに、箱根予選を走っている岩本選手や、スピードは抜群の林選手、そして一度箱根を走っている福島選手が長期離脱していますが、復活すれば中々面白い世代になります。

 新3年生はメキメキ成長していていて、箱根駅伝では3区で柴戸選手、8区で島田選手が好走していて、区間一桁を獲っています。特に柴戸選手は駅伝で非常に手堅い走りをしていて、彼もエース格と言えます。また、今回は箱根5区になりましたが、尾崎選手も平地区間で一度見てみたい選手です。

 他にも多く選手がいて、1年時に出雲1区を走っている藤本選手もようやく復帰できそうで、楽しみです。関東IC1500m出場の大谷選手に、3000m障害出場している山口選手も徐々に力をつけてきていて、

 そして、新2年生は帝京大史上のスカウティングができた年。箱根はまだ出走していませんが、大西・廣田選手が箱根16人に残っています。1万mも29分半ばです。さらに怪我などもあったみたいですが、賀山選手矢原選手も持ちタイムは29分20秒と上回っていて、全国舞台経験のある楠岡選手もいます。彼らが化けると、4年生を食って掛かるくらい、それくらいポテンシャルがあるのですよね。こうみると各世代核となる選手がいますね。

まとめ

・1区西脇選手、区間7位で役割果たす
・3区柴戸選手2年連続好走でチームを9位へ
・山区間で下げるも7区エース小野選手区間2位意地
・8区でシード権内、9区小林選手区間3位快走!
・最終的には平地はほぼ盤石布陣
・他、福田選手や楠岡選手ら、来年さらに盤石!

 箱根駅伝の帝京大はやはり強かった。1区西脇選手が高速レースに負けずに混戦の中区間7位リレー。2区思い切って突っ込んだ山中選手が順位を下げるも、3区柴戸選手が前が見える範囲は交わして9位に浮上。4区末次選手も帝京大の4年生らしい走りで続きました。

 対策が取れなかった山区間で12位まで下がりますが、故障明けから7区に回った小野選手が区間2位激走!追い上げモードになると、8区島田選手へシード権内へ、9区小林選手が区間3位快走で、総合9位へ。帝京大らしい粘りで2年ぶりにシード校になりました。

 来期は、箱根2区9区の山中・小林選手に、箱根予選では彼らを上回った福田選手が新4年としてチームを引っ張ります。他の学年も新3年に柴戸・島田選手ら、新2年は箱根メンバーの大西・廣田選手他、楠岡選手らが復活したら手ごわそう。

 次年度、仕掛けてくるのは間違いないですね。