【創価大学】第100回箱根駅伝2024振り返りと、次年度へ向けて

2月・3月上旬は、箱根駅伝出場チームの振り返りや、次年度への簡単な分析をしていきたいと思います。

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創価大学です

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【創価大学】第100回箱根駅伝2024振り返りと、次年度へ向けて

 96回大会に出場3度目で初シード権を獲得し、97回大会に準優勝、それ以降シード権を獲得し続けて上位校に定着し始めてきていた創価大。とはいえ、今年度はその4年間主力となった世代が卒業し、強豪校定着へ試金石となる年度でした。

 新たな留学生を迎えたり、さらに東海大から3年吉田響選手が編入してくるなど大きな話題となった春シーズン、若手が試合に出るたびに少しずつ自己ベストを更新していきます。

 初めて、全日予選もない三大駅伝出走となる創価大ですが夏合宿後の絆記録会では、1年小池選手の13分34秒の大幅ベストが話題になりましたが、スピード駅伝に併せてきていました。

 1区故障明けだった2年石丸選手が高速となった中で好走し流れを作ると、3区留学生で2位争いに浮上し、4区山森・5区吉田響選手は、区間賞レベルの走りで駒大を追走する走り!アンカーは長い距離安定の吉田凌選手が総合2位、久々の大学駅伝準優勝のゴールテープを切りました。

(ただ、直後に日本IC出走し3区出走した留学生のドーピング疑惑が判明。夏前に帰省した時に飲んだ薬が原因とみられました。チーム内に、動揺は走ったかもしれませんが…)

 評価が上がっていた全日本駅伝、1区織橋選手で好スタートを切りましたが、2区山森選手がスピード負け、4区まではシード権も遠い状態でしたが、5区吉田響選手が気温が高い酷な条件の中、大幅区間新の激走!2分のシード権との差を埋めると、長丁場の区間は急遽出走の1年ムチーニ選手らで凌いでシード権獲得しました。

 その後の記録会では、過去箱根駅伝出走経験のある4年桑田選手や2年野沢選手らが復活、そして”山の神”宣言の5区吉田響選手ら、往路優勝のダークホース候補にも挙がっていました。でしたが、条件噛み合わず、流れができない中懸命の走りとなりました。

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第100回箱根駅伝2024振り返り

8位創価大学10時間57分21秒

区間 区間順位 名前学年 区間タイム 通過順位 トップ差
1区(21.3㎞) 2位 桑田大輔④ 61分25秒 2位 23秒差
2区(23.1㎞) 5位 S.ムチーニ① 66分43秒 3位 46秒差
3区(21.4㎞) 19位 山森龍暁④ 64分19秒 8位 4分56秒差
4区(20.9㎞) 15位 野沢悠真② 63分03秒 8位 6分49秒差
5区(20.8㎞) 9位 吉田 響③ 72分38秒 7位 9分55秒差
6区(20.8㎞) 3位 川上翔太① 58分15秒 5位 9分56秒差
7区(21.3㎞) 8位 石丸惇那② 63分42秒 5位 10分52秒差
8区(21.4㎞) 15位 小池莉希① 66分16秒 7位 13分08秒差
9区(23.1㎞) 15位 吉田 凌③ 70分44秒 8位 15分01秒差
10区(23.0㎞) 11位 上杉祥大④ 70分16秒 8位 15分56秒差

1区桑田選手…3年連続の箱根路となった4年桑田選手。2年時から1満28分台を出すなど主力候補でしたが、その後体調不良等もあり足踏みが続いていました。今年度も出雲・全日本ともに出番はありませんでしたが、箱根直前に1万m28分11秒の大幅ベスト!創価大伝統の、4年生エースの1区の再来となりました。

 元々トラックのタイムは持っていただけに、その記録はフロックではありませんでした。先頭争いこそ回避したものの、区間記録に近いペースで進む5位集団の中で息をひそめます。六郷橋を過ぎてからの仕掛け合いで徐々に存在感を増していき、最後のスパート争いで先着!トップと23秒差の総合2位で襷リレー、最高のスタートを切ります。

2区ムチーニ選手…今年加入した留学生。上級生の留学生がいましたが、先述の問題で全日本駅伝から急遽出番が回ってきていました。全日本駅伝は、おそらく急遽出走だったことで、区間4位に留まりましたが、中2か月で箱根駅伝仕様に仕上げてきていました。

 すぐに日大の留学生ととともに2位争いをしながら、前を追っていく構えを見せます。途中で日大の留学生が腹痛になったこともあり単独2位に浮上、権太坂では個人でも区間2位の走りを見せます。終盤は伸びを欠きましたが、青学大に交わされるにとどまり、総合3位でリレー。区間5位66分43秒と1年生として上々の走りを見せました。トップとは46秒差で、ダークホース候補の中ではここでは一番いい順位でした。

3区山森選手…3区を任されたのは2年連続となる主将の山森選手。安定した走りが魅力で、前回も区間二けたながら上位の流れをキープしたのが印象的でした。今年になってスピードもついてきて、出雲駅伝4区区間賞レベルの走り!力が付いた印象でしたが、その後やや精彩を欠いたのが気がかりでした。序盤からペースを上げることができず、後方からやってきたチームに次々追い抜かれてしまいます。最終的に64分19秒の区間19位と復調とはならず、、、順位は総合8位、トップとの差も5分近くに開き、ここで一旦流れが悪くなりました。

4区野沢選手…前回は山登りを担当した2年野沢選手が、往路主要区間の4区に。今年度は、ロードレースに何度も出場するも、中々結果が出ない時期が続いていました。それが11月に1万m29分03秒、12月甲佐10マイルで47分06秒と好走するなど、調子を上げてきていました。道中、区間一桁ペースの帝京大が追いついて併走する形に、最後に引き離されますが、日大を追い抜いて総合8位はキープ。区間15位ながら63分03秒で上位と差はなくリレーに成功しました。

5区吉田響選手…そして大きな注目を集めていた3年吉田響選手。東海大時代の1年に70分台の激走を見せて、4年間山登りのつもりでした。でしたが、2年時は体調不良で見送り、その後はチーム方針が合わず退部退学、そしてまさかの創価大の編入しました。連戦は効かないということですが、タフな条件に強く、出雲・全日本5区いずれも区間賞レベルの走り。特に全日本駅伝はチームのシード権落ちの危機を救いました。5区山登りは68分台の予定でしたが、冷雨が脚色を鈍らせました。

 ニット帽をかぶって、突き進んでいき、すぐに帝京大を交わして総合7位に浮上、前を追いかけます。でしたが、区間4位5位争いくらいのタイムで区間記録よりは遅れているタイムとなります。そして芦之湯あたりから大きく失速してしまいます。寒いのが苦手だったのもありますが、知らず知らずのうちにプレッシャーも抱え込んでいたかもしれません。本人としては悔しい72分38秒の区間9位となりますが、何とか往路7位はキープします。

6区川上選手…復路出足、9分55秒差でギリギリ時差スタートでしたが、5秒後ろから一斉スタートの集団が迫ってくる難しい展開。創価大としては3年連続出走した選手が卒業してしまい、課題だった区間。入ったのは1年生の川上選手。実の兄が、昨年まで東海大で3年連続山下りを走っていたという縁がありました。とはいえ、実力未知数でどうなるかといったところでした。

 やはりすぐ一斉スタート組がやってきて、見た目順位を下げていくと思われました。でしたが下りに入ってから切り替えて、58分台ペースで走る実力者相手に抜き返していく走り。小涌園を過ぎてからは区間賞争いにも顔を出す快走!1年生歴代最高のパフォーマンスとなる58分15秒の区間3位!國學院大・早大を交わして総合5位に浮上します。入寮前に右肩を手術したそうですが、そこから驚異的な成長でした。

7区石丸選手…7区には2年生石丸選手。ここまで三大駅伝皆勤を続けているランナーでもあります。今年の箱根の後長期離脱をしましたが、出雲駅伝1区に間に合わせただけでなく好走して、駅伝ファンを驚かせています。箱根前には1万m28分38秒の自己ベストを出して調子を上げてきていました。

 後方から区間新ペースでぶっ飛ばす中大吉居選手が交わしていきますが、途中まで食らいつく積極的な走りを見せます。途中で息切れして、見た目6番目の集団に捕まりますが、そこで何とか堪え、混戦の中見た目8番目でリレー。63分42秒の区間8位で総合5位はキープします。

8区小池選手…秋口の記録会で、青学大の13分30秒台ラッシュのその前でゴールした1年生の小池選手。その勢いで出雲2区・全日本3区と前半の流れを作る区間で起用されていました。その後、上尾ハーフでも63分台をマークし、箱根も起用となりました。序盤はトップ青学大と同じペースで突っ込んで入り、法大らを引き連れて6番目の争いへ。でしたが、遊行寺坂以降はやや息切れしてしまったか。最終的に66分16秒の区間15位、國學・法大に交わされ、総合7位でのリレーとなりました。

9区吉田凌選手…7番目でタスキを受けたのは3年吉田凌選手。長い距離に強く1年時から箱根8区を担当、今年度は一回り成長して出雲・全日本ともにアンカーを担当、早くから9区を希望していました。序盤は区間一桁ペースで走りますが、権太坂以降リズムに乗れず、そこからじわじわ後退。早大に交わされて総合8位、見た目10番目へ。個人としても区間15位70分44秒は思った走りではなかったようです。

10区上杉選手…中々流れが作れない中、アンカーを務めるのは4年上杉選手。創価大らしく4年間かけて成長してきた選手で、最初で最後の大学駅伝出走。上尾ハーフを63分38秒で走ると、12月に1万m28分44秒大幅ベスト!一気にメンバーの座を射止めました。スタートして、後方から東海大が追いついてきますが、その後もペースをキープして突き放すと、その後も区間中位のペースをキープ。最後は見た目で帝京大に迫って9番目でゴール。区間11位の走りで総合8位をキープ。シード権獲得のゴールは切りました。

 凸凹駅伝になりましたが、いいところもありましたね。1区桑田選手が最高のスタートを切り、2区ムチーニ選手もいきなり66分台と期待の持てる走りでした。また、復路の出足6区も1年川上選手がまさかの58分前半のタイム、もう一度流れに乗るとともに今後が楽しみになる走りではなかったでしょうか。

 区間二けたになる区間もいくつかあり、流れに乗るのには苦労してしまいましたが、5区吉田響選手も山の神に離れずも区間一桁、アンカー上杉選手も区間中位でまとめています。どちらかという今年は育成の年でしたので、その中でシード権内をキープできた収穫もありました。

次年度へ向けて

 上位に一撃をするには、またチャンスの年になってきますね。

残る今年の箱根メンバー
S.ムチーニ①28分05秒98≪24箱2区5位、23全7区4位、日本IC1万3位、関東IC5千2位≫
石丸惇那②28分38秒16≪24箱7区8位、23全3区13位、出1区5位相、箱10区15位、22全4区11位、出4区7位≫
吉田 凌③28分41秒28≪24箱9区15位、23全8区7位、出6区5位相、関東IChalf3位、22全3区12位、箱8区8位≫
野沢悠真②28分47秒63≪24箱4区15位、23箱5区13位≫
吉田 響③28分59秒50≪24箱5区9位、23全5区1位、出5区1位、22予26位、全予1組1位、箱5区2位≫

川上翔太①29分20秒38≪24箱6区3位≫
小池莉希①29分23秒86≪24箱8区15位、23全4区16位、出2区5位相≫

残る補欠メンバー
小暮栄輝③28分50秒73≪23日本IC1万m9位≫
齊藤大空①28分51秒37≪23関東IC3障≫
山下 蓮②28分56秒93≪23全6区16位≫
織橋 巧①29分01秒48≪23全1区4位、日本IC5千7位≫
濱口直人③29分06秒15≪23日本IC1500m、関東IC1500m8位≫
竹田康之助②29分19秒27

その他有力選手
藤ノ木丈③28分31秒13
黒木陽向②28分52秒26
若狭凛太郎③29分11秒27
野田祟央③29分20秒59
山口翔輝≪24全国5区3位、23高校3区4位≫
西山修平≪24全国4区8位≫
山瀬美大≪22高校3区28位≫
石丸修那≪22高校3区18位≫

 W吉田選手が、最終学年になります。吉田響選手は山登りは失速したとはいえ、駅伝での強さは出雲・全日本ともに見せています。やはり強力な”飛び道具”になりそうな気がします。箱根山登りは気負い過ぎたような気がしますが、課題も見えていると思うので、3分ほど縮めてくる走りになるでしょうか。

 吉田凌選手も、出雲全日本アンカーで概ね好調、彼もタフな条件の方が強いでしょうか。年々強さは増してきているので、最終学年の飛躍が楽しみの一人。他、中距離から上がってきた濱口選手に、何度も名前を聞きつつも大学駅伝に中々馴染みがない小暮選手のスピード組。さらに箱根直前に1万m28分31秒を出しながら、エントリー外となった藤ノ木選手ら、また最後にもう一つ伸びそうな気配がいる選手がいるのは注目ですね。

 新3年生では三大駅伝皆勤を継続している石丸選手が中心となってくるでしょうか。一定のスピードはありますので、ある程度どこの区間にも対応可能。出雲1区を走った時以上の仕上がりがまた見れるかどうか。長い距離を中心に力をつけている野沢選手は、2年連続往路を走っていますので、その経験は得難いものがあると思います。この1年で往路を区間一桁で走る力をつけたい。

 このほか、一度全日本6区を走って1万m28分台を持っている山下選手や、箱根メンバーに入った武田選手、さらに黒木選手が1万m28分52秒と連続自己ベストと力をつけてきていて、徐々に存在感を増してきています。じわりと選手層が厚くなってきているのではないでしょうか。

 新2年は、既に大エースとなりつつあるムチーニ選手がどこまで成長していくか。箱根2区は全体的にタイムが出ていたとはいえ、いきなり66分台で走り切るとはちょっと思いませんでしたね。歴代の創価大留学生でもトップレベルまで走力をつけているように思います。駅伝は勿論ですが、まずはトラックシーズンのタイムですかね。

 この学年は日本人も優秀で、5千m好記録を出して三大駅伝すべて出走した小池選手に、山下りで今後卒業するまで大砲になりそうな川上選手がいます。さらに、ラストの切れ味勝負なら1区で通用する織橋選手に、この世代実績一番高い齋藤選手などまだまだいます。新入生も全国レベルの活躍の山口選手、さらに石丸選手のお父さんも入学、間違いなく新入生のレベルもアップしてきています。

まとめ

・出雲駅伝準優勝相当も、ドーピングで揺れていたその後
・創価大4年生エース伝統!桑田選手が1区2位最高のスタート!
・楽しみしかない!1年生2区ムチーニ選手66分台&6区川上選手58分前半
・往復とも序盤の好スタートの力で
・石丸選手皆勤継続、最後に射止めた10区上杉選手
・2区5区6区核となる選手が残る来期は上位チャンス

 出雲駅伝準優勝相当の成績、さらに吉田響選手の存在で注目が上がるも、プレッシャーもかかる中での第100回箱根駅伝になりました。

 往復とも出足が最高でした、1区桑田選手が高速レースの中区間2位、さらにムチーニ選手が初箱根でいきなり2区66分台の成績で序盤の突進は光りました。その後続かず、吉田響選手も不発となりましたが往路7位でゴール。

 復路は、課題と思われた6区山下りで1年生川上選手が、びっくり58分15秒のビッグパフォーマンス!区間3位の走りで、シード権に向けて大きく流れを作りました。全体的には凸凹駅伝になりましたが、好走区間もあって、2年連続で総合8位、シード権としては5年連続となりました。

 色々ありましたが、来期はチャンスですね。ムチーニ選手がかなり高い走力を既に持っていますし、5区山登り吉田響選手のリベンジ、6区川上選手の下り適正を考えると、この3区間がいるのは大きなアドバンテージになります。

 この他に、ロードが得意な吉田凌・野沢選手に、スピードのある小池・織橋・齋藤選手ら新2年生組、そして最初で最後の箱根を狙う小暮選手ら有力なランナーは多いのですよね。

 出雲駅伝など、順当ならダークホース候補というより優勝候補の一角に挙げられてもおかしくないです。箱根は再び表彰台を狙っていけるかと思います。

 また、上層部も元東洋大監督の川嶋氏を迎えて、さらにがっちりと整えてきました。創価大の常連校チャレンジは引き続き、楽しみです。


hakonankit

箱根駅伝の魅力に3歳の頃から取りつかれ、今や全日本大学駅伝や出雲駅伝を含めた大学駅伝、その予選会。大学長距離界がとても大好きな人間です。ブログでは10年以上にわたり、追いかけています。