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【駒澤大学】第100回箱根駅伝2024振り返りと、次年度へ向けて

2月・3月上旬は、箱根駅伝出場チームの振り返りや、次年度への簡単な分析をしていきたいと思います。

続いて、
史上最高の準優勝チーム
駒澤大学です

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【駒澤大学】第100回箱根駅伝2024振り返りと、次年度へ向けて

 緊張の1年だったと思います。昨年度は、長らく駒大を率いてきた大八木監督が、ついに大学駅伝三冠達成。藤田監督新体制となりましたが、三冠メンバーの多くは残っていました。大八木さんが総監督でまだ控えているとはいえ、新体制ながら、2年連続三冠への重圧と戦うことになっていました。

 その中で、1戦必勝を掲げて、駅伝シーズンに臨みました。1区では状態が7割程度だったという3年生エース篠原選手が、ハイペースでリズム乗っていくというこの上ない展開。トップで中継すると、アジア大会直後で万全ではなかった佐藤選手もトップを力走すると、

 唯一穴とみられていた3区山川選手が、向かい風のタフな条件で留学生以外を引き離す区間3位。平地初登場の4区伊藤選手、仕事人の5区安原選手も先頭を譲らず、そしてアンカー4年間で最も状態がいいという3年鈴木選手が、日本人最高記録で走り切り、大会新で圧勝しました。

 全日本大学駅伝では、2年ぶり大学駅伝登場となった1区赤津選手が1秒差ながら区間賞発進すると、2区佐藤選手が区間新記録で先頭へ立つと、3区篠原選手が一気に2位以下のチームを1分以上置き去りにすると、あとは独走。アンカー山川選手が、季節外れの高温の中区間賞で連敗に華を添える展開になりました。そして、1区が区間賞だったことで、前回の4区からずっと先頭でリレーしている記録も継続となりました。

 その後、昨年ほどではなかったとはいえ、上尾ハーフで4年白鳥・3年庭瀬選手が好記録を出して、トラックでも2年帰山選手らが自己ベスト。チーム内で、前回山出走の山川・伊藤選手が一時期離脱していたことはありましたが、それでも安全にオーダーを組むことには成功していました。

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第100回箱根駅伝2024振り返り

2位駒澤大学10時間48分00秒

区間 区間順位 名前学年 区間タイム 通過順位 トップ差
1区(21.3㎞) 1位 篠原倖太朗③ 61分02秒 1位 -23秒差
2区(23.1㎞) 2位 鈴木芽吹④ 66分20秒 1位 -22秒差
3区(21.4㎞) 2位 佐藤圭汰② 60分13秒 2位 4秒差
4区(20.9㎞) 6位 山川拓馬② 62分32秒 2位 1分26秒差
5区(20.8㎞) 3位 金子伊吹④ 70分44秒 2位 2分38秒差
6区(20.8㎞) 12位 帰山侑大② 59分53秒 2位 4分17秒差
7区(21.3㎞) 4位 安原太陽④ 63分13秒 2位 4分44秒差
8区(21.4㎞) 4位 赤星雄斗④ 64分49秒 2位 5分33秒差
9区(23.1㎞) 5位 花尾恭輔④ 69分41秒 2位 6分23秒差
10区(23.0㎞) 4位 庭瀬俊輝③ 69分33秒 2位 6分35秒差

1区篠原選手…当日変更でいきなり3本柱の一角3年篠原選手を投入。白鳥選手が万全の状態だったそうですが、作戦面1区篠原選手でいくのが安全という決断だったそうです。この作戦は、成功と見えました。他大学で、当日変更で留学生を投入してくるチームがありました。出雲駅伝1区のIVYリーグ選抜と競り合って抜け出した光景を思い浮かべた方は多かったでしょう。

 実際レースは、駿河台大留学生と駒大篠原選手に、青学荒巻・國學伊地知選手の4人のレースに。途中で青学と國学院大は離れ、2人のマッチレースになり、六郷橋手前で篠原選手が仕掛けて単独先頭へ!後方集団もハイペースだったため、後方との差は30秒前後程となりましたが、十分にこのまま完全優勝をするのではと思われました。

2区鈴木選手…怪我などもありつつ4年連続の出場。そして最も練習を積めたこともあり、ついに華の2区への出走となりました。タイムも、66分30秒が目標、先輩の田澤選手の記録をも狙っていける状態だったそう。前半は誰も追いつけないスピードを維持し、2位留学生起用チーム以外は、ほとんど見えないくらいまで突き放します。

 ただ、権太坂以降はやや苦しみました。ここに藤田監督が篠原選手を1区にした理由がありました。藤田監督の経験上、2区は2度目の方が戦略がとりやすいそうです。1区混戦だと鈴木選手で抜け出せない可能性があると見たそう。最終的に、66分20秒の区間2位。終盤は青学大の追い上げを許してしまい、このタイムでも悔し泣きに…。それでも、先頭はキープしました。

3区佐藤選手…思ったほどのリードは築けなかったものの、それでも22秒差。ここに1万m27分28秒と、日本人学生記録を出したばかりの2年佐藤選手を満を持して配置できた駒大が逃げていくと思われました。佐藤選手も初の長距離ロードとなりましたが、これまでの出雲・全日本同様に突き放していくと思われました。

 その佐藤選手の快速をさらに上回る怪速で追ってきたのが青学太田選手。7㎞で22秒差を埋めると、ここから日本人記録を上回るペースでハイレベルの駆け引き。佐藤選手も自分の役割を分かっていたため、駆け引きに応じて突き放そうとも考えたそう。

 でしたが、湘南大橋で太田選手の本気の仕掛けに顔をゆがめて後退。これまであまり経験がなかった痙攣にも見舞われたそうです。それでも秒差で繋いで、60分13秒の区間2位は、日本人記録を大幅に更新するタイム。最初に3本柱を投入して、青学大以外は圧倒しているのですよね…。

4区山川選手…続く駅伝男・山川選手に逆転の望みを託したいところでしたが、1㎞で既に15秒以上差を開けられると、以降もじりじり引き離されます。10㎞以降は腿を叩く場面もあり、明らかに本調子ではない走りに。11月全日本駅伝が終わった後に、股関節を痛めていた時期があったそうです。

 そのため、山登りは回避で、往路4区となったそう。篠原選手4区案、もしくは復路温存案もあったそうですが、安全策で3本柱を序盤3区間に並べました。山川選手も先頭ならいける状態ということでしたが、まさかの展開に。焦りもあり、途中で故障した部位に痛みも出たようです。区間6位と、青学に水をあけられての中継となりました。

5区金子選手…2年ぶり山登り5区となった4年金子選手。長い距離を中心に鍛えていたため、急な出番でも焦りなどはなかったそうです。トップと1分26秒差でタスキを受け、2分38秒差まで開かれますが、これはトップ青学大が区間記録を超える69分台のペースで進んでいたため。

 金子選手も、2大会前自身の71分台を上回る走りで食い下がっていきます。十分好走と言える70分44秒は、設定タイム通りで、前回の山川選手の記録を1秒上回っていました。これには藤田監督も「明日に向けて、士気を上げられる」とのコメントでした。

6区帰山選手…大事になる復路スタートの山下り、青学大との差を2分以内まで縮められたら、もう一度流れが作り直せる場面。前回区間賞の伊藤選手は、全日本駅伝後にインフルエンザに罹り一度練習が飛んでいる状態。秋になって練習が積めていたもう一人の候補帰山選手に託されました。

 気合を入れてスタートしましたが、下りに入って中々ペースが上がらず、最後の3㎞はペースダウン。気負いになってしまったようです。何とか60分以内にまとめましたが、区間12位で先頭とは4分以上の差に。事実上、連覇は厳しくなりました。

7区安原選手…それでも実績ある4年生がここか3区間連続。意地を見せたい場面でした。7区は2年連続となる安原選手。5千m13分40秒を切るなど、スピードをつけてきていました。序盤は、区間記録並のペースで、僅かですが青学大を追い上げる程の走りを見せます。

 でしたが、やはり見えない相手を追いかけるのは、簡単ではないのは駅伝ファン周知のとおり。中盤ややペースダウンし、区間4位の63分13秒。前年よりはタイムを短縮しますが、本人としても悔しい結果になります。

8区赤星選手…続いて、ロードで手堅い赤星選手を、2年連続の8区に配置。当日変更の多さで有名になりましたが、最終学年は当日変更は出雲のみで、全日本・箱根駅伝と連続で出走することに成功しました。手堅く走って、2年連続64分台にまとめて区間4位。トップ青学が早かったですが、関東ICハーフ優勝者の意地は見せたでしょうか。

9区花尾選手…駅伝ファン待ち望んでいた花尾選手の復帰。1年時から駅伝で優勝メンバーになると、2年時3年時と全日本駅伝アンカーで2年連続優勝のゴールテープを切っていました。でしたが、前回の箱根直前に体調不良になると、そこから怪我の連続。出雲と全日本はエントリーこそするも、走れませんでした。

 それでも練習を兼ねて参加した上尾ハーフで62分台を出すと、最後の箱根路復路のエース区間9区を射止めました。久々となった大学駅伝は、単独走の難しさもあり69分41秒の区間4位。実業団に入ってから、本来の走りとなってほしいですね。

10区庭瀬選手…アンカーを任されたのは、三大駅伝初出場となる3年庭瀬選手。とはいえ、春にハーフ63分前半で走ると、上尾ハーフでは62分台をマーク。長い距離を中心に注目の存在でした。すでに先頭青学大とは6分以上差がついていましたが、非常に粘りある走り。ラスト3㎞は全体トップの走りで、区間4位。悔しさを持ってのゴールとなりました。

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 駒大がトラック型の選手が多いので出雲・全日本有利、青学大がロードがの選手が多いので箱根で+αが出るというのはあるのかもしれませんが、駒大も箱根駅伝+αこそ少なかったですが、ある程度流れを作っています。

 そのうえで、安全に勝とうとし過ぎたこと、そのうえで青学大よりは選手層が薄かったというのが、敗因になってくるのでしょうか。山川選手が故障して山登りは難しい、それでも往路を担うしかなかったのは選手層の薄さとも言えますし、

 また1区篠原選手らで安全に先頭にいったところ、原監督の”太田・山川選手を抑えれば”というところ、隙を突かれたといってもいいのかもしれません。また、ずっと先頭で逃げるレースが多く、接戦や追いかける展開の経験が少なく、それもいつも先頭に立っていた佐藤選手の区間で逆転され、切り替えも効かなかったり…。

 このあたり、箱根駅伝の難しさもありましたかね。それでも、駒澤大がこの2年間大学駅伝の中心にいて、前年度の出雲駅伝から5大会連続で駒澤大が優勝という偉業を成し遂げたのは確か。一つの時代を築いたのは忘れてはなりません。

次年度へ向けて

 エースは強いですが、卒業生は多いですね。

残る今年の箱根メンバー
佐藤圭汰②27分28秒50≪24箱3区2位、23全2区1位、出2区1位、全2区2位、出2区1位≫
篠原倖太朗③27分38秒66≪24箱1区1位、23全3区2位、出1区1位、箱3区2位、22全5区2位、21:出1区8位≫
帰山侑大②29分18秒99≪24箱6区12位≫
山川拓馬②half61分36秒≪24箱4区6位、23全8区1位、出3区3位、箱5区4位、22全4区1位≫
庭瀬俊輝③half62分15秒≪24箱10区4位≫

残る補欠メンバー
伊藤蒼唯②28分28秒15≪23全5区2位、出4区3位、箱6区1位≫
小牧波亜斗③28分52秒71
吉本真啓③29分08秒71
小山翔也①5千13分53秒25

その他有力選手
亘理 魁③28分47秒70
金谷紘大③28分56秒03
森重清龍②half63分14秒
新谷倖生①half63分31秒
小松 聖①half63分33秒
村上 響①half63分42秒
植阪嶺児①half64分09秒
田丸 颯③half64分30秒
安原海晴①5千13分56秒45
桑田 駿介≪24全国1区10位、23高校4区1位、22高校4区1位、21高校4区6位≫
坂口 雄哉≪23高校1区27位≫
中野 颯人≪22高校3区34位≫
秋山 稟央≪23高校1区44位、22高3区37位≫

 エースは非常に強いですね。篠原選手がいよいよ最終学年、主将ともなり走りで駒大を引っ張っていきます。丸亀ハーフは、故障上がりの出走となりましたが、それでも日本人トップを獲るという意地を見せていましたし、高い安定感ありますね。

 佐藤選手は、海外の室内レースを転戦。5千mを13分10秒を切る室内日本新をマークし、先日の2マイルでも8分14秒のハイレベルのタイムをマークしていました。箱根駅伝の距離も対応しつつ、ますます充実してきているのではないでしょうか。

 これに悔しい思いをした同学年の山川・伊藤選手がいますね。山川選手はおそらく脚が万全なれば、またロードで凄まじい走りをするでしょう。箱根欠場となった伊藤選手は、丸亀ハーフで61分台を出していますし、これなら平地でも行けそうな感じです。

 基本的には、篠原・佐藤・山川・伊藤選手の4名がエース。これ以降がどこまで育ってくるかでしょうか。山下り帰山選手もそうですし、庭瀬選手も長い距離でもう一つパワーアップできるか。世田谷ハーフでまずまず走っている4年吉本選手も今後出番が出てくるでしょう。1万m28分台を出した金谷選手や、かながわハーフ63分14秒を出した2年森重選手もチャンスが出てきます。

 そして、キーとなるのは現1年生陣でしょう。今年は4年生の選手層が分厚過ぎて、中々主要大会の出走機会がありませんでしたが、唯一エントリーしていた小山選手は、スピードにスタミナもついてきたと評価が高いですし、安原選手の弟の海晴選手も、今後本格化してくるでしょう。

 このほか、ハーフ63分台に選手がずらり。新谷・小松・村上選手ら、1㎞3分ペースには対応してきている選手は多いのですよね。彼らまだまだ伸びてくると思いますので、秋シーズンまでには、また駒大が優勝候補に挙がるチームになっているかもしれませんね。

まとめ

・流れを考え、安全にいった3本柱序盤3区間
・篠原選手区間賞!2区鈴木選手も66分20秒は成功の部類
・3区佐藤選手は日本人最高!それでも青学の執念に泣く
・結果的に選手層が薄かった故障明け4区山川選手
・5区金子9区花尾選手ら久々駅伝の4年生が意地を見せる
・前年度出雲~全日本まで、大学駅伝5連覇は立派!
・次年度は4大エースに、新2年生がどれだけ追いつくか

 一旦は流れを掴んだと思われましたが、それでも分からないのが箱根駅伝ですね。当日変更で1区に入った篠原選手が、留学生の選手と一緒にペースを上げて区間賞を獲得したのは、出雲駅伝で優勝した流れと同じ、

 2区鈴木選手は前半区間記録に近いペースで走り、終盤のアップダウンで青学大に詰められたとはいえトップをキープ。3区佐藤選手は、青学太田選手以外は、かなり突き放していました。これはもう青学大が凄かったとしか言いようがなかったですね。

 結果的には、股関節の故障があった山川選手を4区に配置せざるを得なかった選手層はポイントだったのかなと思います。昨年佐藤・花尾選手が体調不良になっても、総合優勝していましたが、今年はそうできなかったところなのかなと思うしかないのでしょうか。

 その中で、劣勢になった中、5区金子選手が希薄の走りを見せて、復路は花尾選手らの奮闘がありました。アンカーの庭瀬選手のまとめも見事、総合2位とはいえ、ここ2年間ずっと勝ち続けてきたチームという意地は見せたのではないでしょうか。

 次年度は、その4年生が卒業します。篠原主将を中心に、佐藤・山川選手に、今回出場しなかった伊藤選手と強いエースたちに、どれだけ追いつく選手が出てくるかでしょうか。小山・安原・村上選手ら新2年生の選手が、ある程度対応はしてきていましたので、どこまで対応できるかになってくるのかなと思っています。

 出雲・全日本はやはりエース力で優勝候補に挙がるでしょう。佐藤選手はその前にパリ五輪も狙うでしょうし、そちらにも注目です。箱根はその新2年の成長次第なのかな。強かった世代が抜けた年こそ、駒大の真骨頂となっていると思います。