最後に紹介するのは井上選手です。まだ大学卒業して2年目、そして4人の選手の中で箱根駅伝の成績が最も高い選手です!
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・1993年1月生まれ
・長崎県諫早市出身
・鎮西学院高校
・山梨学院大学(2011~2015)
・三菱日立パワーシステムズ長崎(2015~)
高校までは全国の舞台になかなか立てませんでしたが、大学に入ってからすぐに実力が開花、長い距離のポテンシャルはかなりありそうです!
中学から陸上を始め、高校は鎮西学院高に進みました。強豪校の諫早高にいかなかったのは何かこだわりがあったのでしょうか。じわじわ力をつけていきますが、3年生のIH地区予選で無念の敗退。トラックでは思い通りの結果を残すことはできませんでした。
ただ、ロードでは強さの片りんを見せ始めており、長崎県高校駅伝で当時の諫早高のエースの選手を破り1区(10㎞)29分18秒の区間賞を獲得します!都道府県対抗駅伝にも選出され(5区15位)、ロードで全国の舞台を踏むことができました!
なお、井上選手は高校駅伝の前からイメージトレーニングでエース選手に勝つイメージを続けて、その通りになり、夢をイメージするようになったという話もありました。今は、東京五輪での金メダルを毎日イメージし続けているそうです。躍進にはこれも関係あるのかも??
それでもまだ全国的には中堅という存在でした。ただ、大学に入ってからかなり早い段階で長い距離に対応して見せます。
4年間の大学駅伝と箱根予選会の成績
入学して約半年後の箱根予選のメンバーに抜擢され、そこで力を発揮し、61分10秒で20㎞を走り終えます。箱根駅伝は1区に入りハイペースの中区間10位。やはり長い距離で真価を発揮しますね。
2年時で1区の成績は更に上昇し全日本で区間2位!いいレースを見せると、3年時には区間賞を獲得!徐々に学生長距離界の顔になっていきます。
そして一躍名前をあげたのは4年時の箱根駅伝です。レース直前に主力選手が故障、玉突きで区間配置が変わった1区2区が大苦戦、3区の井上選手には最下位でタスキが渡ります。
悪い流れをそのまま引きずってもおかしくない中、区間3位の激走!そして笑顔でのたすきリレーがとても印象的でした。あげた順位は2つでしたが、それ以上にチームを勢いづかせる走りでした。
そのほかでも素晴らしい成績を残しています。
ハーフに関しては箱根駅伝でもそうだったように下級生の頃から強いですね。関東ICハーフは2年から3年連続入賞し、最終学年では優勝!その前の冬のハーフで記録を出し世界ハーフにも選出されています。長い距離のポテンシャルは計り知れないものがありました。
トラックの記録も毎年少しずつ更新すると、4年時に一気に更新。どの距離でも学生長距離界トップクラスの成績を残し、関東ICでも1万2位!ハーフともに表彰台に立ち、とても高い成長曲線を描きます。
その勢いは止まることを知りませんでしたね。
入社早々1万のベストを更新すると、実業団駅伝はさっそくエース区間の4区を走り区間3位の好走!この成績を含み、長い距離の練習ができているということで、1年前倒しする形でマラソンに初挑戦。2時間13分を切る好走を見せます。
ただ、本人としてはサブ10は出来るだろうと踏んでいたそうなので、『マラソンへの覚悟』が高まったそう。そして迎えた2017年、実業団駅伝を2年連続4区3位で走りきると、世界陸上を狙いに東京マラソンにチャレンジします!
高速レースとなった中、10㎞まで1㎞3分を切る他の日本人選手に食いつきます。そこからはペースを落とし日本人2位をひたすら走行し力を蓄えると、38㎞付近で日本人トップに上がります!最後まで粘り切り、自己ベストを4分半以上更新する2時間8分23秒で世界陸上の切符を獲得します!
ここまでぐんぐん伸びた秘訣はなんでしょうか。先日放送された『アスリートの魂』では、フォームに注目していました。
少し日本人離れした、ケニア選手のようなバネを使った走りをしています。短い距離に強いと言われる走り方ですが、井上選手は40㎞でこれを持たすそうです。練習での40㎞ではそれほど疲労感は無いとか…。
このあたりは山梨学院大時代の上田監督が工夫されたみたいです。長い距離に強いけど、走り込みだけをやるとバネが消えてしまう。ということで体づくりやフォームもかなり配慮しながら練習をさせたみたいです。このあたりは上田監督さすがだなと思いました!
期待のホープ…が出てきたと言ってもいいのかもしれません。いい上昇曲線です。長い距離の適性を今ここで発揮してほしいと思います。