【法政大学】第98回箱根駅伝2022振り返りと、次年度へ向けて

2月・3月上旬は、箱根駅伝出場チームの振り返りや、次年度への簡単な分析をしていきたいと思います。

順番は総合順位順から変えます。

続いて、
安定した戦い、粘って手繰り寄せたシード権
法政大学です

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【法政大学】第98回箱根駅伝2022振り返りと、次年度へ向けて

 復活の狼煙は今シーズン充分上げていました。関東ICでは主力選手のみの出場ながらしっかり複数の選手が入賞。全日本予選は、多くの選手が故障から間に合ってきて、噛み合って3位通過。前年度の箱根駅伝が17位なのを考えると、ぐっとあげてきていました。

 箱根予選では、エース鎌田選手の転倒、河田選手欠場というアクシデントはありながら6位通過。驚きが全日本大学駅伝で、エース選手や新戦力を序盤から投入したのが噛み合ったとはいえ、

 7区途中までシード権内で戦い抜き、シード権次点の9位。チーム力が上がったきているのは、確かなものでした。ここ2年高速化に押され気味だった法政大、3年ぶりのシード権獲得へ勝負の箱根路でした。

箱根駅伝2022振り返り

10位法政大学10時間58分46秒
往路13位5時間29分36秒・復路7位5時間29分10秒

区間 区間順位 名前学年 区間タイム 通過順位 トップ差
1区(21.3㎞) 9位 内田隼太③ 61分58秒 9位 1分18秒
2区(23.1㎞) 9位 鎌田航生④ 67分11秒 9位 1分37秒
3区(21.4㎞) 11位 小泉 樹① 63分20秒 8位 2分55秒
4区(20.9㎞) 9位 河田太一平③ 62分34秒 9位 3分43秒
5区(20.8㎞) 16位 細迫海気② 74分33秒 13位 7分30秒
6区(20.8㎞) 🥈位 武田和馬① 58分40秒 11位 7分07秒
7区(21.3㎞) 8位 中園慎太郎③ 64分09秒 11位 8分37秒
8区(21.4㎞) 13位 稲毛祟斗② 66分20秒 12位 10分08秒
9区(23.1㎞) 7位 清家 陸④ 69分22秒 11位 12分15秒
10区(23.0㎞) 11位 川上有生③ 70分39秒 10位 15分04秒

1区内田選手…入学時から非常に期待が高かった内田選手。ただ、大学に入ってからは故障が多く、中々大きな大会に出場することができませんでした。3年生になって故障が減り、その才能が開花。初めての大学駅伝となった全日本駅伝1区は区間5位、見事に流れを作っていました。

 ハイペースとなり、10㎞通過は、トラック1万mのベストより早い28分29秒。それでも、余裕を持って走れていて、調子は良かったようです。六郷橋までは余裕があったそうですが、そこからの仕掛け合いはやや苦しくなりました。それでも、61分58秒好タイムで区間9位、十分に流れに乗っていける位置での襷リレーとなりました。

2区鎌田選手…チームのエースですね。4年連続の箱根路、8区・2区・1区とこれまで駆け抜けています。前年の箱根路1区で驚きの区間賞!大きく注目が集まりました。その後も、各主要大会上位をマーク、66分台を目標に2年ぶりの華の2区を務めることになりました。

 横浜駅前では、留学生の選手ら5名の集団での8位争い、その中で10㎞28分50秒で余裕を持って通過しました。その後権太坂以降集団が崩れてから、8位付近の争い。中大や東洋大らと激しいバトルを繰り広げていました。

 最終的に、混戦の中で総合9位でリレー。67分11秒の個人タイムに悔しさは残ったそうですが、見事に戦い抜きました。なお、1区2区は、ロケットスタートと言われた第76回大会の法大記録を更新。これで中位の混戦での襷リレーに、今大会のレベルの高さを感じました。

3区小泉選手…期待のルーキーを思い切って3区抜擢していました。全日本予選で通過に貢献、本戦でも3区で他校のエースと対等に渡り合っていて、駅伝ファンを驚かせた選手です。箱根1ヵ月前に軽い故障あったそうですが、最終的に往路3区起用となりました。

 スタートして前後していた東洋大などと複数人集団となりました。藤沢以降抜け出して、一時単独6位を走行。後方から追いついてきた中大と競い合いながら前を追っていきました。湘南大橋以降で脚が止まってしまい、東洋・中大に交わされ8位。63分20秒区間11位は不満足も、総合順位は一つアップ。上々のデビューでした。

4区河田選手…1年時から駅伝で主要区間で任されるなど、ロードはチーム屈指の安定感がある選手。前々回の箱根路は4区8位、前回は華の2区で苦心の結果でしたが、3年生の今回は2年ぶりの4区となりました。

 スタートして直に、追い上げてきた創価大や順大らと並走、その前中大らも巻き込んで激しい順位争いに。想定より早いペースになった中、懸命に粘ります。終盤苦しくなり、離されますが、総合9位シード権内でリレー。なお個人62分34秒区間8位は、2大会前と全く同じタイム。思うレースでない中でも、安定した力は発揮しました。

5区細迫選手…5区山登りは2年細迫選手が抜擢。夏合宿でのトライアルで登りに強さを示していて、11月頃には坪田監督から起用を明言されていたそうです。主要大会も全日本予選・箱根予選を経験を積んだうえで臨みました。

 単独走となりましたが、区間一桁を狙っていけるペースをキープ。登りが急な宮ノ下付近もしっかり走り抜け、前創価大が見える位置まで追い上げました。でしたが、下り以降一気にペースダウン。脚が止まってしまい、一気に総合13位へ。10位シード権とは22秒差と何とか狙っていける位置でした。

6区武田選手…シード権に向けて大事な6区山下り。起用されたのは1年生武田選手。箱根予選147位以外は目立った実績は少なかった選手です。とはいえ、法政大がシード権を獲得する際は、6区山下りで驚きの快走があるのも事実だったり…

 最初登りからリズムよく走ると、下りに入って一気に前に追いつきます。早大や神大を捉え、小涌園でちょうど10位にまで浮上します。それ以降は追いついてきた東海大と激しいバトルを繰り広げます。前の東洋大にも迫りましたね。

 最後の平地はやや厳しい走りになったものの、2つ順位を上げて総合11位、シード権と9秒差のリレー。さらに個人としては58分40秒の区間2位の大激走!他校も有力選手を起用する中、ナイスレース。チーム内MVP推す声も多い走りでした。

7区中園選手…3年生3度目の箱根路。8区・10区ときて今回は7区。3年連続復路起用でした。3障で関東IC戦う脚力に、一定のペースで走れるのが魅力の選手。全日本駅伝7区で大失速するも、MARCH対抗戦で1万m28分台と信頼を取り戻しての起用でした。

 スタートして数㎞で東洋大に追いつき、10位シード権争い。ずっと引っ張る形になっていましたが、後方の追い上げを防ぐためでした。19㎞で東洋大の先行を許すも、落ちてきた國學院大と12秒差の11位でリレー。個人としても区間8位64分09秒。4度目の駅伝で初の区間一桁獲得でした。

8区稲毛選手…秋の記録会で1万m29分14秒を記録していた2年稲毛選手が起用。それ以降怪我をしてしまいましたが、それがなければ、彼が5区山登りだった可能性があった。それくらいロードと上りは強い選手でした。

 すぐには前方の東洋・國學院大を追いかけはせず、まずはリズムを掴むことを優先。10㎞から追い上げを開始する予定ですが、逆にジリジリ引き離されていきます。終盤苦しくなり、66分20秒の区間13位。中継所直前に、早大に交わされ12位に後退。10位シード権とは50秒差と広がってしまいます。

9区清家選手…9区復路エース区間には清家主将が待ち構えていました。5区山登りの準備もしながらも、最終的に2大会前に区間7位力走していた、9区になりました。

 早大の選手と競り合いながら、前を追っていきます。ですが、中盤までに1分以上の差が開いてしまい、中々前が見えない状況でした。それでも、15㎞早大を振り切ると、ここから粘りを発揮。区間7位69分22秒の大学記録の追い上げで、10位に落ちた帝京大と32秒差の11位へ。シード権へ望みをつないでのリレーとなった。

10区川上選手…長い距離を中心に、少しずつ実力をつけてきていた川上選手が10区に抜擢されました。前回は復路エース区間9区を担当、長丁場の単独走のレース経験はありました。

 シード権に向けて前を追いたいところですが、23㎞を見据えて敢えて飛ばさず。ですが、中々前が見えてこない展開でした。中盤から懸命のペースアップを図るも、20㎞地点で10位帝京大とは37秒差。シード権は苦しくなっていました。

 でしたが、本当に勝負事は最後まで分からないもの。帝京大の前を走っていた東海大がアクシデントで急失速。残り1.5㎞に視界を捉えると、あっという間に差が詰まり、残り1㎞を切ったところで一気に交わして10位に浮上!その後、コースを間違えかけるも10位保持。土壇場で3年ぶりシード権を獲得しました。

 坪田監督によると、目標は5位・繋ぎ区間であれば16人全員誰を起用しても良い程、チーム状態は良かったそうです。実際、終盤アクシデント気味だった5区以外は、区間10位付近でまとまっています。復路順位は7位と健闘、

 それでもシード権獲得には苦労する、それほどまで箱根駅伝の高速化が進んでいたというのも感じました。その中でも最後まで諦めなかったことで、

 最後にチャンスが転がってきました。本当に、当日は精いっぱいの走りをしていくしかないということが、思い知らされますね。

次年度へ向けて

 柱が抜けますが、箱根メンバーは多く残りますね。

残る今年の箱根メンバー
中園慎太郎③28分58秒54
≪22:箱7区8位、21:全7区15位、箱予127位、関東IC1部3障4位、箱10区15位、20:予158位、箱8区18位≫
内田隼太③28分58秒65
≪22:箱1区9位、21:全1区5位、箱予60位、20:予135位≫
河田太一平③29分06秒76
≪22:箱4区9位、21:全8区7位、箱2区19位、20:予124位、箱4区8位、19:全7区13位、出6区8位≫
川上有生③29分06秒97
≪22:箱10区11位、21:全5区7位、箱予122位、箱9区17位、20:予109位≫
小泉 樹①29分13秒48
≪22:箱3区11位、21:全3区6位、箱予38位≫
稲毛祟斗②29分14秒14≪22:箱8区13位、20:予139位≫
細迫海気②29分24秒60≪22:箱5区13位、21:箱予131位、全予2組5位≫
武田和馬①30分17秒88≪22:箱6区2位、21:箱予147位≫

残る補欠メンバー
松本康汰③28分52秒82≪21:全4区9位、箱予240位、箱3区12位、20:予79位≫
宗像直輝②29分25秒43≪21:全6区6位、箱予94位≫
扇  育③29分43秒48≪21:全予1組8位≫
高須賀大勢②half64分26秒≪21:箱予104位≫

その他有力選手
松永 怜②29分17秒95
宮岡幸大①29分40秒79
山本恭澄③29分56秒55≪20:予166位≫
安澤駿空①30分15秒94
蛭田哲平②30分18秒22
三原伶王②30分19秒31
徳永裕樹③half63分50秒≪20:予157位≫
大島史也5千13分50秒04
清水郁杜5千14分04秒06≪21高1区20位≫
高橋彰太5千14分07秒72≪21:IH1500m10位≫
花岡慶次≪21:高6区2位≫

 箱根駅伝の成績で見ると、2区と9区往復エース区間を走った選手がいなくなりますが、他は8人残りますね。1区適性抜群の内田選手に、将来楽しみな小泉選手、次期2区を監督から任命を受けている河田選手がいます。

 山ということで見ると、山下り快走の武田選手は、箱根直後では連続6区を希望。山は細迫・稲毛選手が争っています。復路も、中園・川上選手と経験豊富な選手がいます。

 こにれ、前回3区を務めたスピードランナー松本選手がいます。秋シーズン好調だった2年宗像・高須賀選手がいます。他にも1年宮岡選手らも少しずつ上がってきているようです。現時点でもある程度、関東ICや大学駅伝の目途は立っている印象です。

 さらに、新入生が過去最高レベル。高校駅伝優勝校世羅高花岡選手以外にも、主要大会レース経験豊富な清水・高橋選手、さらに記録会で5千m13分50秒を出した大島選手も入ってきます。エース候補続々入学、チーム内にいい刺激が入っていきそうです。

まとめ

・1区内田2区鎌田選手、22年ぶり大学記録更新のスタート
・4区河田選手2年前と同じ62分34秒区間8位
・6区武田選手区間2位激走!法大躍進時はやはり山下り!
・9区清家10区川上選手、懸命の追い上げ実った逆転シード権!
・箱根経験者9名、過去最高新入生で上位戦線へ

 法政大としては最高のスタートでしたね。1区内田2区鎌田選手がいずれも、22年ぶりに大学記録を更新する走り。それでも総合9位と中位の位置。ここからシード権に向けて長い旅路となりました。

 4区河田選手が区間8位、5区細迫選手が山頂付近まで好走があったものの、往路は13位。復路6区山下りで1年生武田選手が区間2位激走で、再びシード権を狙える位置に。

 その後11位のリレーが続きますが、9区清家選手が区間6位と前を追い上げる走り。10区川上選手が、残り1㎞で10位浮上。逆転でシード権獲得とドラマチックな展開でした。

 次年度は、2区と9区のエース区間を走った選手が抜けますが、箱根経験者は9名・大学駅伝経験者は10名もいて、経験豊富なんですよね。新入生のレベルも法大史上最高、

 上位校とは差を感じるものの、数年前に見せていたダークホース候補まで、上がってくる可能性は十分にありそうだ。


hakonankit

箱根駅伝の魅力に3歳の頃から取りつかれ、今や全日本大学駅伝や出雲駅伝を含めた大学駅伝、その予選会。大学長距離界がとても大好きな人間です。ブログでは10年以上にわたり、追いかけています。