そろそろ箱根駅伝2021の余韻が冷めつつありますかね。
レース内容をもう一度じっくりと振り返ってみたいと思います。
続いて、優勝争いだけでなく…最後まで予断を許さない展開だった10区!
他の区間
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初優勝がかかる創価大は3年小野寺選手を起用。3分以上あけられた駒大は同じ3年の石川選手を当日変更で起用。前回経験者であり、ここは駒大の方が分があるのは予想がつくところだった。
3位争いは、東洋清野・青学中倉・東海竹村選手とともに三大駅伝初出場の2年生を起用。それぞれ秋に飛躍があった選手だった。混戦の6位争いは上級生中心。早大は、全日本アンカー活躍の山口選手、順大は前回1区担当の4年原田選手、帝京大は全日本活躍の4年増田選手と思いきや、当日変更で同じ4年山根選手。上級生のがっぷり四つだ。
シード権争いは、9位國學院大は3年生主将の木付選手で決めにかかる。10位東国杉崎選手VS11位明大長倉選手が最後の枠を争う様相で、その差は38秒。1万m持ちタイムは長倉選手が圧倒して早いものの、前々回の箱根予選のハーフでは僅かに杉崎選手が勝利。こちらも目が離せない展開だった。
後方では、12位中大が前々回10区6位の川崎選手と実力者を起用。あとは横一線の印象ですが。芝工大松川選手が箱根予選で尻上がりで上がった選手でちょっと注目。繰り上げとなった中では、山学大が前回9区出走の渡辺選手で一矢報いることができるかが注目でした。
鶴見中継所
蒲田5.9㎞
新八ッ山橋13.3㎞
田町16.5㎞
御成門18.1㎞
馬場先門20.1㎞
大手町FINISH23.0㎞
以上の6定点間になります。
鶴見中継所
蒲田5.9㎞
参考:96回嶋津(創価)17分07秒
創価小野寺選手がトップを走っていく。2㎞過ぎに躓くなどちょっと気になるところもありましたが、3分をやや超えるペースで通過。18分04秒はここまでは早くない通過。
2位駒大石川選手がトップとなる17分30秒のタイムで通過。最初の1㎞は3分00秒ペースだったが、大八木監督が「遅すぎる!守っても何も得られないぞ!2分50秒ペースで区間賞を狙え!」の激は、今となっては神采配だったんですよね。この6㎞で34秒詰めているのももっと注目すべきだったかな?
3位東洋清野選手は比較的スローでトップと同じ入り。4位青学中倉5位東海竹村選手がまずまず早めの入り。それぞれ前を追いかけます。6位争い早大山口・帝京山根選手がやや牽制で、順大原田選手が24秒差をあっという間に追いつき3選手並走へ。
シード権争いは、9位國學木付選手が定点間2番の17分37秒と2番目の入り。貧血明けで、予定の往路を回避となったそうですが、さすがの実力者。10位と11位を突き放す。その10位東国杉崎、11位明大長倉選手は1㎞ほぼ3分イーブン。どちらも終盤を見据えている印象だ。
後方では、13位争いの日体名村・城西雲井選手が思い切って突っ込んだレース。定点間3番4番のタイムでそれぞれ蒲田を通過。シード権は厳しい差ですが、まずは個人成績が注目となった。
蒲田5.9㎞
新八ッ山橋13.3㎞(定点間7.4㎞)
参考:96回嶋津(創価)22分06秒<1>39分13秒
15位小野寺(創価)23分14秒<16>41分18秒①
2位石川(駒大)22分26秒<1>39分56秒②1:57
19位清野(東洋)23分18秒<19>41分22秒③6:15
7位中倉(青学)22分44秒<6>40分31秒④6:39
9位竹村(東海)22分46秒<8>40分33秒⑤7:17
15位山口(早大)23分14秒<16>41分18秒⑥9:19
15位原田(順大)23分14秒<14>41分04秒⑥9:19
15位山根(帝京)23分14秒<18>41分22秒⑥9:19
4位木付(國學)22分33秒<2>40分10秒⑨9:26
12位東国(杉崎)22分56秒<10>40分45秒⑩10:14
6位長倉(明大)22分42秒<7>40分32秒⑪10:39
3位川崎(中大)22分31秒<5>40分28秒⑫13:02[12]11:53
5位名村(日体)22分39秒<4>40分17秒⑬13:46
1位神大(佐々木)22分14秒<2>40分10秒⑭14:16
21位雲井(城西)23分44秒<20>41分28秒⑮14:55
9位工藤(拓大)22分46秒<9>40分37秒⑯15:00
7位松川(芝工)22分44秒<10>40分45秒(20)23:14[17]15:36
11位中園(法大)22分51秒<12>40分48秒⑰17:49
13位綱島(国士)22分57秒<13>40分54秒⑱18:16
14位服部(専大)23分02秒<15>41分16秒⑳33:16[19]19:58
20位渡邊(山学)23分19秒<21>41分33秒⑲21:36[20]20:15
ここで唯一といっていいアップダウンを迎える新八ッ山橋。創価大小野寺選手がトップで通過。とはいえこの定点間も15番。トップを守る走りで最初は落ち着いていることはあっても、中間付近でまだ順位が上がってこないのは気がかり。
中継の情報では、競り合いで相手のペースを利用する方が得意、単独走では終盤ペースが落ちることがあるのが課題ということでしたが、このあたりでぐっと表情が苦しそうになってきた。
対して2位駒大石川選手が順調。この定点間は2番となる22分26秒。この7.4㎞でトップとの差を一気に48秒詰めた計算だ。いつの間にか1分57秒差になって、「あれ、こんなに詰まってるの?」とざわつき始めたポイントだ。
他の争いもまだまだ動きがありそう。3位東洋清野選手はさらに遅いペース。区間中位をキープする4位青学中倉選手がぐっと詰めてきた。
6位争いは定点間15番目ということで、完全に牽制。9位國學木付選手が定点間4番と速いペースを維持していて、一気に7秒差まで詰まってきた。シード権争いからは一つ抜け出した。
そのシード家なら添いは差が詰まってきた。追ってくる明大長倉選手がやはり速く、この7.4㎞で14秒詰まり、25秒差となってきた。長倉選手としてはまずは並走に持ち込みたいところ。ここからが勝負どころだ。
後方でも動きがあり、この区間2度目出走の中大川崎選手が定点間3番とぐっと区間順位があがる走り。また先ほどの13位争いはここで明暗。日体名村選手はそのまま走っているのに対して、城西雲井選手が一気に定点間最下位と息切れしてしまった。
さて、びっくりなのがその間に神大ルーキー佐々木選手が上がってきていること。前定点では1分近く差があったはず。調べると、なんと定点間トップのタイム!?ルーキーが走ることも珍しいのに、まさかの快走!14位に上がり、13位日体大も見えてきた。ちょっとここは一気に注目。
落ちた雲井選手のすぐ後ろに拓大工藤選手に、連合の芝工大松川選手が迫っています。繰り上げスタートでは、専大服部選手の方が前に出る意外な展開。山学渡邊選手が区間最下位と苦しむというところ。例年、新八ッ山橋以降に差がつく10区、まだまだ動きがありそうだった。
新八ッ山橋13.3㎞
田町16.5㎞
参考:96回嶋津(創価)9分20秒<1>48分33秒
さて、にわかに騒がしくなったトップ争い。早い段階で苦しげな表情になった創価大小野寺選手が一気にペースダウン。なんと定点間最下位となってしまった。榎木監督は新八ッ山橋の
駒大石川選手は15㎞の給水でまだ身体が動く感覚を得ていたそう。大八木監督からも”区間賞”だけでなく”優勝も狙う”と激。そしてこの3.2㎞で40秒も詰まる展開…。「あ、これ逆転する」と視聴者思ったシーンだ。
3位争いも東洋清野選手に青学中倉選手がさらに追い上げ7秒差に。3選手の6位争いに國學木付選手が定点間2番のタイムで3秒差へ。
気になるシード権争いは、また明大長倉選手が東国杉崎選手を追い上げ21秒差へ。とはいえ、どちらも定点間二けたと少し伸び悩み始めている形に。
12位中大川崎13位神大佐々木選手がハイペースを維持。佐々木選手は1番速いペースを維持し、息切れ気味の日体名村選手をかわしていくところ。気づけば駒大石川選手と通算で10秒差。区間賞争いも面白くなっています。
田町16.5㎞
御成門18.1㎞
参考:嶋津(創価)5分03秒<1>53分36秒
47秒差、ついに創価小野寺選手の後ろに駒大石川選手の姿が見えるようになった。この1.6㎞でも30秒詰まってきています。小野寺選手は軽い脱水症状にも陥っていて、ペースを上げられない。駒大石川選手はまだまだ元気だ。
さて、3位争いはここで逆転。青学中倉選手が、この定点間トップのタイムを出して、一気に浮上。東洋清野選手もここにきて上昇気配だが4位転落。青学が復路12位からここまで上がってきた。
6位争いは國學木付選手がついに追いつき4人の集団に。とはいえ、帝京山根・順大原田・早大山口選手は体力をおそらく温存しているところ、果たして突っ切れるか??
シード権争いは、また少し詰まったものの2秒で通算19秒差。確実に詰まってはいるが、残りはもう5㎞。このままでは届かないが果たして…。
後方では芝工大松川選手が非常に調子よく定点間5番。箱根予選しり上がりに順位を上げていった走りが話題になりましたが、ここでも発揮。城西雲井選手が眼前に、拓大駆動選手も見える位置だ。
17位争いは法大中園選手がここで抜きだし気味。定点間8番のタイムで、国士綱島選手を突き放し始めています。さらに専大服部選手も定点間一桁。さらに山学大を突き放せば、復路順位としては最下位を脱出できるがどうか。
御成門18.1㎞
馬場先門20.1㎞
参考:96回嶋津(創価)5分53秒<1>59分29秒
実況では、創価大小野寺選手が1㎞3分25秒、駒大石川選手が1㎞2分55秒。1㎞で30秒詰まっているアナウンスがあった。定点間ではそこまでは感じずも、この2.0㎞で32秒詰まって、ついに15秒。距離でも100mを切ってきた。非常に緊張感が高まってきた瞬間だ。
3位争いは青学中倉選手が一気に逃げにかかる…が、東洋清野選手も急激にペースアップ。全体区間18位だが、この定点間は3位。青学も王者の意地、東洋大は前回途切れた3位以内の記録を再び…ここはトップ争いが白熱していなければ、もっと見れたかもしれない争いだ。
シード権争いは東国杉崎・明大長倉選手ともに苦しい走りになってきています。そしてこの2㎞では19秒差そのまま。流れが明治大にいかない展開は最後まで続くか…。
馬場先門20.1㎞
大手町FINISH23.0㎞
参考:96回嶋津(創価)9分11秒<1>68分40秒
歴史的逆転の瞬間だ。区間トップと最下位の差はやはり大きく、残り3㎞を切ってから間もなくその差は詰まっていく。そして20.8㎞地点で駒大石川選手が、創価小野寺選手の背後に付く。そして少し様子を見る。
石川選手の脳裏には昨年の悔しさがよぎっていたといいます。昨年は早大の選手と7位争いを繰り広げていましたが、相手に先に仕掛けられ、追いつききれなかった経験。行くときは一気に行くと決めていた。
20.89㎞地点、満を持して一気にスパート!過去有数のアンカーでの首位交代。それもこんな終盤に起こることはめったにないこと。13年ぶり7度目の駒大箱根駅伝優勝は、ずっと語り継がれるシーンになりそうだ。
2位になった創価大、最後は駒大に優勝争い経験の差を見せつけられる形となりましたが、出場4度目でこちらも歴史的快挙の2位だった。榎木監督の手腕、指導方針など大きく評価されていきますね。
なお、華麗に抜き去った駒大石川選手、断トツ区間賞となる69分12秒の好タイムをだったものの、ラスト3㎞は実は3番目のタイム。トップだったのは、こちらもまさかの展開となった3位争いから。
東洋清野選手が最後の定点間を8分46秒で走り切りトップのタイム!息切れ気味だった青学中倉選手を残り2㎞で逆転!一気のスパートで表彰台の3位を確保しました。”ここまで来て負けられない”東洋大はいい方向に働きました。
4位となった青学は、復路優勝がかかっていましたが、駒大の激しい追い上げを、2秒差で何とか凌ぎ切りました。ここは、前回王者の意地を見せましたね。復路はずっと好調でした。5位東海竹村選手がゴール。東海大は復路堅実印象でした。
そして4チームが残り3㎞で並んでいた6位争いはやはり最後の定点間早かった。早大山口選手が8分49秒の定点間2位、順大原田選手が8分53秒の定点間3位のタイムで駆け込んで総合6位と総合7位確保。
山口選手にスプリントのイメージがなかったので、いい意味で予想外の結果だった。順大は、結果的に予選会校から唯一のシード権確保。後で振り返りますが、4年生の頑張りは非常に大きかったチームだ。
全日本駅伝でシード権を争った帝京大と國學院が8位と9位で今回も最後まで接戦。思えば前回の箱根もそうでした。帝京大は一時表彰台が見えた中で7位、國學院はずっとシード権サバイバル勝ち抜いた8位。それぞれ味わい深い連続シード権だっただろう。
そしてシード権真っただ中の10位東国杉崎、11位明大長倉選手。残り1㎞で26秒の報で差が開いていて勝負ありだった。杉崎選手が角を曲がるごとにスパート。最後まで踏みとどまった東国杉崎選手が10位でゴール。主将が怪我でエントリーできず、代理の主将が最初で最後の大学駅伝で大役を果たしました。
明治大としては、優勝候補にも挙げられていたなか、よもやのシード権落ち。出走10名はほとんど予定通りだったはずなのですが、1区で出遅れエース不在の弱みを最後まで乗り越えられず。考えさせられる結果だっただろう。
続いて、10区好走組がやってきた。中大川崎選手が全体70分31秒の区間5位の好走で総合12位。見た目では明治大が視界にとらえられるところまでやってきていた。往路から自分たちの走りができれば…と悔やまれるが、復路ではできたとも言えそう。
神大はラストでサプライズ。ルーキー佐々木選手が69分58秒区間2位力走。復路途中でシード権争いからは脱落してしまいましたが、この総合13位はにつながる結果。
その後ろも区間順位が良かった日体名村選手…が中々来ない。攻めていったものの最後はガス欠で実は定点間最下位。区間17位まで落ちましたが72分04秒では走っているのですよね。復路はシード権一丸で狙いましたが総合14位届かず。
その後ろ割って入ってきたのが、学生連合の芝工大松川選手。区間6位相当の大活躍だった。嬉しいのが、監督車筑波大弘山監督とともに取り上げてもらったこと。連合は放送ではほとんどスルーされているのですが、珍しい光景。ここまで大きく報じられたのは、芝工大の前回の出走者以来な気がするのは偶然だろうか。
続いて、総合15位と16位で拓大工藤選手と城西雲井選手がゴール。ともに途中までは食い下がったものの力不足だった。少し間があいて総合17位法大中園・18位国士綱島選手がゴール。ともに往路序盤で見せ場があったが、総合力は全般的に及ばなかった。
最後、繰り上げスタート組では、専大服部選手が懸命のラストスパート。短距離選手のようなゴールをしていたのが印象深いですが、最後の定点間もやはり6番目で早かった。通用しない部分も多かったが、復路は最下位を脱出した。
21番目のゴールとなってしまった山学渡邊選手。まだ好調時の走りはできなかった。山学大は多くの主力選手の出走がかなわず、その時点で厳しかった。それでも前回の不出場から前進。くやしさを糧にして這い上がってくるはずだ。
最後までどこの争いも接戦になりました。決まったかに思われた総合優勝争いも最後の最後で大逆転となりました。駒大石川選手が序盤から区間賞を狙って飛ばしたことで、奇跡が起きましたね。
創価大小野寺選手が、優勝のプレッシャーがかかる中、苦手の単独走で苦しみ区間最下位になりました。とはいえ、区間3位ペースだったら届いていない計算。1㎞地点での大八木監督の「区間賞を狙え!」の指示が、まさかこうなるとは…。
ここ数年優勝争いにも中々絡めず「もう勝てない」と弱音を吐いていた事もあったそうですが、見事に復活優勝。若い主力も多く今後も楽しみなチームです。創価大も異例の日程で箱根一本に絞っていった中、見事なトップ継走でした。育成も含めて一気に注目度が上がってきそうです。
3位以降の争いも激しく、往路2位でゴールした東洋大が総合3位で粘り切って、表彰台確保。ひとまずほっとできる結果。青学大は、復路の立て直しはさすが。次年度以降もやはり注目校。
5位以降も続々とゴールしますが、結果的にはシード校がかなり強かったですね。前回のシード校は9校が残り、落ちた1校も11位。予選会校からは断トツトップ通過だった順天堂大しかシード権獲得ならず。12位以下は結構離れてしまいました。
そして、総合優勝候補にも挙がった明治大がシード権落ちで、今年は厳しいと思われた東京国際大が粘り倒したのもまた駅伝の面白いところ。エースをうまく生かした東国大のチームとしての勝利でした。
1区のスローペースで接戦の中でも、強いところはやはりしっかりと流れを作って上位に食い込んでいく、高速化駅伝でさらに如実になっていると思います。