それでは今年も20年前の箱根駅伝を振り返る企画をやっていきます。
今回は第76回箱根駅伝2000となります。
いつも通り各区定点間分析をしていきます。
まずは1区です
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【第76回箱根駅伝2000】1区を振り返る
岩水嘉孝(順大2年)
島村清孝(駒大1年)
相馬雄太(神大2年)
板山 学(中大3年)
米田尚人(東海1年)
大浜洋平(山学4年)
真名子圭(大東3年)
山本勝義(日大1年)
鈴木健太郎(東洋4年)
谷川嘉朗(帝京2年)
徳本一善(法大2年)
新井広憲(早大2年)
佐藤洋平(日体3年)
深瀬弘志(関学4年)
井上信也(拓大4年)
連覇を狙う順大は、2年連続1区を担う岩水選手。今度こその初優勝を狙う駒大は勢いあるルーキー島村選手に託します。他、優勝争いと言われているところ、復活を期す山学大は、今年度大復活の4年大浜選手、神大はエース候補2年相馬選手あたりだ。
他ルーキーの起用や、大東真名子・日体佐藤選手ら昨年の経験者を連続で起用したチーム、法大徳本選手といったスピードランナーの起用も目立ちますね。
なお、スタートラインに各選手が並び、実況アナウンサーが各大学の1区の選手の紹介を簡単に行っていた場面、「法大徳本選手、スタートから飛び出すかもしれません」と紹介していたのを、覚えている方はどれくらいおられるでしょうか。
田町4.7㎞
1位徳本(法大)13分30秒①
2位板山(中大)13分54秒②0:24
2位島村(駒大)13分54秒②0:24
2位岩水(順大)13分54秒②0:24
2位相馬(神大)13分54秒②0:24
6位真名子(大東)13分55秒⑥0:25
6位鈴木(東洋)13分55秒⑥0:25
6位山本(日大)13分55秒⑥0:25
6位井上(拓大)13分55秒⑥0:25
6位米田(東海)13分55秒⑥0:25
6位新井(早大)13分55秒⑥0:25
12位谷川(帝京)13分56秒⑫0:26
12位大浜(山学)13分56秒⑫0:26
12位深瀬(関学)13分56秒⑫0:26
12位日体(佐藤)13分56秒⑫0:26
2000年1月2日午前8時、大手町に号砲が鳴り響き、15校が一斉にスタート。大手町の最初の曲がり角を先頭で駆け抜けたのは法大徳本選手。飛び出すかもしれませんと言われたランナーだ。そして…そのまま飛び出していく。
200m地点、3m程前に徳本選手が出ているなぁと思ったら、0.7㎞地点で10m前へ。1㎞通過は2分56秒とまずまずのペース。そしてそこからだ。CMの後の2㎞地点いつの間にか1位と2位集団が9秒差に広がっていた。
徳本選手のように1500mが得意なスピードランナーが最初の数百m程前に出ていることは珍しくない、後ろの集団もそのうち落ち着いてくるとみているもの。それがそのままポーンと飛び出してしまった。
2㎞~3㎞地点で各大学の往路オーダーの紹介を、1区のランナーの選手を映しながら行う通例行事だが、まだ第2中継車が追いついておらず、第一移動車が次第に遠のきつつある第2グループをぼんやり映すことしかできなかった。
徳本選手は2分55秒のイーブンペースで走ってはいるものの、当時の区間記録5㎞14分14秒からはやや遅れているペースでかなり早いわけではなかった。5㎞手前の田町の地点で後ろの集団とは25秒前後、集団は1㎞3分ペースを維持。当時は必ずしも有名ではなかった選手ということもあり、現状ではまだ追いかける形ではなかった。
優勝候補に挙がっていたうち順大澤木監督や山学上田監督も「まずはレースの流れにのあっていく事、1区2区で無理はしない」と話しているし、このあたりは作戦面もあった形だ。
それでも、自身「究極の負けず嫌いです」と語る中央大の板山選手が中心に、引っ張って、ペースは維持したまま進んでいく形だ。これに駒大島村・順大岩水・神大相馬選手と言った多くの有力大学はすぐ後ろに待機、山学大浜選手だけはしんがりにくっついているのもポイントだ。
蒲田15.2㎞-田町4.7㎞=10.5㎞
1位徳本(法大)31分00秒<1>44分30秒①
4位岩水(順大)31分38秒<2>45分32秒②1:02
4位島村(駒大)31分38秒<2>45分32秒②1:02
4位板山(中大)31分38秒<2>45分32秒②1:02
4位米田(東海)31分38秒<5>45分33秒⑤1:03
2位佐藤(日体)31分37秒<5>45分33秒⑤1:03
2位谷川(帝京)31分37秒<5>45分33秒⑤1:03
8位新井(早大)31分39秒<8>45分34秒⑧1:04
9位真名子(大東)31分41秒<9>45分36秒⑨1:06
11位相馬(神大)31分42秒<9>45分36秒⑨1:06
9位井上(拓大)31分41秒<9>45分36秒⑨1:06
12位山本(日大)31分45秒<12>45分40秒⑫1:10
13位深瀬(関学)32分01秒<13>45分57秒⑬1:27
14位大浜(山学)32分02秒<14>45分58秒⑭1:28
15位鈴木(東洋)32分11秒<15>46分06秒⑮1:36
法大徳本選手が順調に歩を進めていく。7㎞過ぎ新八ッ山橋では35秒まで2位集団との差を広げた。表情は変えず一度も振り返っていない。しっかりした足取りだ。
このポイントは、毎年監督が待機していて選手に声をかけるのですが、連覇を狙う順大澤木監督にカメラがついていた。他の大学の監督は何かしらの声をかけていましたが、澤木監督は無言。現時点では流れに任せたという形か。
トップ徳本選手は10㎞通過が29分21秒程。依然2分55秒~2分58秒のイーブンペースでキープしている形だ。走りも変わらず、どうもこのまま法大が区間賞をさらう可能性が徐々に高まっていた。
もし法大が1区区間賞なら44年ぶりの快挙となるそう。長らく中堅校に位置する法大だが、上位争いは中々縁がない。前回は悔しい繰り上げスタートとなってしまった。その届けられなかった襷を、今回も起用しているが今年は予想外スタートダッシュ!オレンジの襷がトップを快走中だ。
変化が出てきたのは2位集団だ。10㎞を30分02秒程で通過後もしばらくは中大板山選手が中心に引っ張っていたが、11.5㎞これまで後ろに控えていた日体大佐藤選手が前に出てきた。2年連続1区で前回も好走している選手だ。
そして11.8㎞駒大ルーキー島村選手が前に出て軽くスパート。一時、中央線沿いと沿道側に集団が2つに割れ、またひっつくというシーンがあったが、その間に最初の脱落校が出てきた。
関東学院大深瀬選手と東洋大鈴木選手が遅れ始めた。この中では前回シード権の東洋大がやや意外だろうか。力はある選手のはずだが…。そしてもう1校、さらにまさかの選手が遅れだした。集団の後ろ苦しそうにしていた山学大浜選手が12㎞過ぎに遅れ始めたのだ。
元々高校時代有力ランナー、大学時代中々頭角を現すのに苦労していましたが、最終学年ついに飛躍。出雲・全日本駅伝は区間賞を獲得。満を持しての1区のはずだったが…。 13㎞では深瀬・大浜・鈴木選手の3名で13位集団を形成。ただ、13.8㎞地点では東洋鈴木選手がそこからさらに後退。単独最下位となってしまった。東洋は苦しい出だしになりそうだ。
揺さぶりは続いていて、14.7㎞では拓大井上選手と日大山本選手が脱落。この2人が11位争いとなった。日大は旭化成内定の大エース山本佑選手が2区にエントリーしていない状況、このあたりがどうなるかちょっとヒヤヒヤだ。
2位集団元気なのが、中大板山選手の他、駒大島村・順大岩水選手あたりしっかり前へ。東海大ルーキー米田選手も元気、全体的に若手の選手がここまで元気な印象だ。それでもトップからは既に1分以上、ここから追っていく事ができるだろうか。
鶴見中継所21.3㎞-蒲田15.2㎞=6.1㎞
1位徳本(法大)18分09秒<1>62分39秒①
2位岩水(順大)18分12秒<2>63分44秒②1:05
2位島村(駒大)18分12秒<3>63分44秒②1:05
6位板山(中大)18分14秒<4>63分46秒④1:07
4位佐藤(日体)18分13秒<5>63分46秒④1:07
7位谷川(帝京)18分16秒<6>63分49秒⑥1:10
4位相馬(神大)18分13秒<7>63分49秒⑥1:10
7位米田(東海)18分16秒<8>63分49秒⑥1:10
9位真名子(大東)18分31秒<9>64分17秒⑨1:38
10位新井(早大)18分34秒<10>64分18秒⑩1:39
11位井上(拓大)19分05秒<11>64分41秒⑪2:02
12位深瀬(関学)19分22秒<12>65分19秒⑫2:40
14位山本(日大)19分41秒<13>65分21秒⑬2:42
13位大浜(山学)19分24秒<14>65分22秒⑭2:43
15位鈴木(東洋)20分11秒<15>66分17秒⑮3:38
トップ法大徳本選手は15㎞通過が44分06秒、そこから次の1㎞が、間違いじゃなければ2分48秒とのこと。1500mのスピードランナーだが、ここまで来てこのスピードは伊達ではない。
茶髪(オレンジ)がひときわ目立つ徳本選手、周囲にいろいろ言われることもあっても結果を出して認めさせていた。直近12月5日に1万m28分41秒8の法大記録を出していたものの、トラックの選手の印象だった。それがここまで突っ切るのだから恐れ入る。
最も、集団では勝負所になる六郷橋の下りではあまりスピードが上がらなかったという実況。残り3㎞は正念場になってきている。
その集団もやはり六郷橋で動きが出てきた。登り終わったあたりの17.8㎞付近で早大新井選手が後退し単独10位に、さらに有力ランナーと見られた大東真名子選手が18㎞付近で脱落。前回流れを作れず悔しい思いをしたランナーだが果たしてどうか。
その後ろでは拓大井上選手についていけなかった日大山本選手が苦しそうに後退し単独12位、後ろ関学深瀬選手が山学大浜選手を振り切って懸命に追いかけてる。苦しそうな表情だが、4年間培ったスタミナでここは関学大の良さが出ているか。山学大が苦しい。
トップの徳本選手はついに残り1㎞へ。59分41秒で通過は、どうやら62分40秒付近は出そうか。さすがにサングラス越しだが肩が揺れ、歯を食いしばり下を向くなど非常に苦しいのが目に見える。残り800mで襷を取ったのはその表れか。それでも一人旅21.3㎞突っ切ったのは見事な走りだった。
20年振りにこの2人で同じ場所で襷リレーして欲しい。徳本さんは駿河台大学、坪田さんは母校法政大学の監督同士。箱根駅伝で初めてサングラスをした選手は、徳本一善さんという噂があるとかないとか、、、。何れにせよ、この2人が再び箱根路に戻って来る事を祈りたい。 pic.twitter.com/DSQa201I3L
— 空井蜜柑(高校合唱部→大学陸上部(準)) (@SAbTmd7YZcXNK45) May 17, 2020
かくして62分39秒の好タイムで1区44年ぶりの区間賞獲得。なお法大の区間賞だけでも、その年度首脳陣に加わったばかりの成田道彦さんが、華の2区であの瀬古利彦さんを破って区間賞を獲得して以来、26年ぶりだとか。これもまた面白い。法大はここから暫く注目校になっていく。
さて2位争いだ。7校になった2位争いは、一時は東海米田選手が引っ張っていたが、19.6㎞駒大島村選手がスパート。これには岩水・米田選手ら全員ついてきている。なお、ここまで一度も出ていない帝京谷川選手も不気味な存在になりつつある。との解説。父親も走っていて箱根DNAを受け継いでいるランナー。顔もまだ涼しく見える。
その谷川選手もついに20.5㎞地点でスパート。やはり溜めていた。帝京大は過去2年1区は14位・15位で通過していていきなり流れから遅れてしまったが、どうやら予選トップ通過の今年は違う様相だ。
中継所直前では、やはり優勝候補2強にあがられる順大岩水・駒大島村選手が抜け出した。後ろ帝京谷川・日体佐藤選手らも食いつくが少しずつ差が離れていく。
2人の争いは、順大岩水選手が抜け出したかに思われましたが、最後の最後駒大島村選手が並びかける形で襷リレー。トップとはどちらも1分05秒差、タイム差なしで前回の1位2位がリレーした。そしてここからまた並走続いていくのだが…。
このあとも接戦、2秒後リレーの中大板山・日体佐藤選手もタイム差なし、その3秒後リレーの帝京谷川・神大相馬・東海米田選手も同タイム。5秒で7チームがリレー。最終的に63分台での2位決着、ここもまずまずのタイム。この争いも目が離せない。
そこから30秒近く遅れて、9位大東真名子選手、10位早大新井選手が相次いでリレー。そこから20秒少しで11位拓大井上選手。ここでトップから約2分少しだ。
40秒近く遅れて12位争いを繰り広げる3チーム。最終的に関学大深瀬選手が、日大山本選手を抜いていて12位でリレー。山学大浜選手も一瞬日大を捉えるが、最後にまた前に出られ、13位日大、14位山学大リレー。大浜選手は悔しすぎる最後の箱根、優勝候補の一角の中でも唯一出遅れる格好だ。
最後にやってきたのは東洋鈴木選手。一緒に遅れた関学大らからも1分近く離されてしまい、どうも最終調整がうまくいかなかっただろうか。3分38秒の差でリレーを終えた。
まさかの法大ダントツトップ中継の中、最大の注目校順大と駒大はほぼ同時リレーで大いに盛り上がること必須、出遅れた山学大は2区の大エースの追い上げに大きな期待がかかることになりました。