夏の間、更新できなかった企画ですね。11月の間に少しでも続けます。
第75回箱根駅伝1999を振り返っていきます。
今回は、6区になります。
神大、中澤選手が伝説的な走りとした回となります。
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復路トップでスタートする駒大は3年連続6区となる河合選手を起用。2年前には59分台で走っている。順大は前回3区の宮井選手を6区へ。6区苦手の東海は4年河野選手に託します。
また、区間記録保持者の神大中澤選手は6位スタートどこまで追い上げなるか、山学黒岩選手の意地も見たいところです。
このほかでは、後々有名なランナーになる大東金子選手、中学川村選手あたりの名前もありますね。
参考:74回中澤(神大)26分55秒
神大中澤が軽快な走りで大幅区間新ペース
トップ駒大河合選手は3度目の山下り。初の総合優勝へ向けて、非常に重要な場面だ。27分20秒の入りは、良かった前々回より少し遅く、良くなかった前回より少し早い。まずまずの入り。
2位順大宮井選手もほぼ同等の走りだ。3位東海河野、4位中大小川選手はそれよりも少しゆったりとした入り。いずれも単独走、それぞれのポジションをキープしていく。
その後ろが注目だ。神大中澤選手は、すぐに日大中山選手を捉えると、快調に下っていく。26分29秒は前回の記録よりも26秒も早い、ここまでは当時としては凄まじいペースで下っている。区間記録大幅更新の期待が高まりました。
早大新妻が足を引きずり大ブレーキの予感
その後ろは、逆の意味で気になる様子。上りの地点で、早大新妻選手の様子がおかしいとバイクのレポが入った。一斉スタートより45秒早くスタートしていたが、あっという間に追い抜かされ後ろに下がる映像だった。
下りに入り、左右の歩幅のバランスの悪さが浮き彫りになった。どうやら故障気味の中走っている様子だった。元々、昨年の経験者が、直前に故障してしまい、一昨年の経験者の新妻選手が急遽出走したものの、彼もかなり脚の状態が悪そうだった。
小涌園の地点では、区間14位の拓大鈴木選手より1分15秒遅く、見た目は単独最下位に。総合はまだ8位だが、選手層の薄い早大、シード権確保が一気に心配になってきた。
参考:74回中澤(神大)11分40秒(38分35秒)
1位と2位の差がじわり詰まる、神大中澤は57分台ペース!?
小涌園を過ぎてから、駒大河合選手のペースがさほど上がって来ず、前回の60分半ばのペースに。スピードのある順大宮井選手が好調で、この4.5㎞で20秒トップとの差を短縮。
なお、東海河野、中大小川選手もしっかり自分のペースをキープ。ここ上位では河合選手が一番タイムがかかってしまった。差はあるものの、流れを考えるとこれ以上は詰められたくないところだ。
素晴らしいスピードで下り続けるのが神大中澤選手。ここも昨年の自分のペースより早い。通算で42秒も早い。このままいくと57分台も見えてくるペースだが果たして??
前の中大も50秒差、後ろの日大は早くも2分差へ。もっとも日大中山選手はブレーキ気味のタイムへ失速。その後ろ、一斉スタート組のタイムが気になるところになってきた。
東洋多田、大東金子、法大小板橋選手ら激しいバトル
その後ろ一斉スタート組も注目。小涌園では5選手が固まっていたが、そこから東洋多田、大東金子、法大小板橋選手が抜け出してきて、ここが区間2位争いの様相。
登りで挽回し下りでさらに稼ぐ大東金子選手は1年生だがかなりの奮闘、総合11位12位の法大と東洋にとっては、ここで頑張らないとシード権が苦しくなるところだが、これは面白い展開だ。
後ろは小涌園から離された2校。中学川村選手も1年生だがここまで積極的。後ろは3強に数えられた山学黒岩選手だが、ここでやや苦しくなった。現在総合10位の日体高橋選手が迫ってくる。
後ろ50秒離れて、この間苦しかった帝京安生選手に拓大鈴木選手、そして早大新妻選手も何とか下っているという様子でちょっと一安心。総合9位まで落ちたが、何とか粘りたい。
参考:74回中澤(神大)9分29秒(48分04秒)
神大中澤選手懸命の力走が続く
この間は距離が短いこともあって、上位4校はある程度キープ。しいて言えば、1位駒大と2位順大が少し詰まったが、最後の平地でどうなるか。
神大中澤選手は、この定点間も昨年の自身を上回る走りで区間記録を48秒上回るペース。最も、前回は平地の3㎞を快走しているので、57分台はきわどくなった。それでも前の中大が視界に入ってきてまだまだいけそうな感じだ。
後ろは一斉スタート組で東洋多田選手がどうやら抜け出した様子。大東金子選手が秒差で踏ん張るが、法大小板橋選手は少し離れたようだ。日大中山選手が視界に入り、最後ひと踏ん張りできるかどうか。
参考:74回中澤(神大)10分40秒(58分44秒)
駒大河合選手トップキープ、2位順大とは1分半
駒大河合選手は残り3㎞を51分20秒で通過。そしてここから腕の振りが大きくなって明らかにペースアップ。最後の平地で差がつくことを知っている、3度目の山下りらしい走りだ。
初優勝を目指すチームの主将という重責も担った中、60分20秒と前回よりは速いタイムで下り切って見せた。当時、優勝経験校は12校、13校目の優勝校へトップで襷リレーを果たした。
2位は順大宮崎選手が初の山下りながら60分02秒の好記録。1分32秒とトップとの差を詰めて見せた。なお、トップとの差に関しては、”神大”は連呼されが、”順大”はほとんど言われていない。やはり優勝するとはこの地点でも思われていなかった。
3位東海河野選手は60分20秒と、トップの全く同タイム。最後の駅伝で好走、復路が苦手な東海にとっては貴重な好走だ。後ろ、4位中大小川選手も堅持に下って4位をキープした。
神大中澤選手、58分06秒の大記録!大みそかに故障、時計落とすも…
その直後だった。神大中澤選手が迫ってきていた。19㎞手前で100m差のアナウンス、19.5㎞地点で70m差と情報があった。最終的には中大の13秒差の5位、さらにトップの駒大とは5分52秒差。なんと2分14秒も詰めてきた。
タスキを渡した瞬間「神大、諦めんなよ!」と叫んだ話は、とても有名。区間記録58分06秒は、総合優勝が厳しくなった中、チームに刺激を入れる一心で懸命の力走だった。
なお、距離変更前の日体大OB谷口氏の記録とほぼ同等だ。直後に僅かなコース変更で参考記録となるも、日体秋山選手に破られるまで、17年間抜かれることのない記録だった。
さらに、箱根駅伝終了後に驚きのエピソードがあった。なんと12月31日大みそかに右膝内転筋を故障。針治療と痛み止めの薬で何とか出走できる状態だったらしい。
さらに、2㎞地点では4年間使い続けていた腕時計が落下。ラップタイムも分からなかったらしい。最初は「縁起が悪い」とも思ったが「右足の代わりになった」とプラス思考に切り替えたという。
昨年の山下りから彗星の如く現れた選手、今後が期待されたが「陸上という武器がなくても勝負したい」と実業団には進まず、これがラストラン、箱根史上に残る伝説の走りとなった。
東洋多田区間2位!1年大東金子選手59分台
後ろはそこから3分、一斉スタート組を含んでシード権争いの大混戦となった。まずやってきたのは東洋多田選手。59分40秒の区間2位で見た目6番に浮上。総合は12位のままだが、シード権までは1分13秒差へ。
後ろは大東金子選手。区間3位の好走、登りも含めて一気に総合7位まで浮上、この年も”山の大東”だった。なお1年金子選手は59分58秒記録。僅か2秒60分を切って59分台。これも…のちの記録の伏線ですね。
続いて最後失速したものの法大小板橋選手も好走し総合11位キープ、シード権とは1分03秒差だ。後ろ日大中山選手は平地に入って3選手に見た目抜かれて9番目通過だったが、総合では6位のままだった。
日体大9位浮上、ブレーキの早大がシード圏外10位へ
そのあとに日体高橋選手。スタート時は総合10位だったが、60分台の粘りの走りで、9位に浮上させた。後ろに山学黒岩選手。61分少しは設定よりは遅れたか。19㎞地点からは両足の肉刺が出来激痛に耐えてのことだった。総合8位、何とか前の見える位置、7区の”エース”にタスキを渡した。
12番目には最後の3㎞で勿体ない失速となった中学川村選手。61分32秒で区間11位、後に中学大を率いる大エースとなる選手だが、まだチーム力が足りず、最初で最後の箱根路となったのは惜しまれる。
そのあとは差が開いた。13番目に拓大鈴木選手。総合も13位のまま、巻き返しのシード権を狙うには痛い出足となった。14位は帝京安生選手。小涌園以降はかなり苦しんだ。復路も帝京大は苦しそうだ。
そこから11秒差で早大新妻選手がやってきたのは序盤の走りからすると意外。個人タイム64分00秒でよく凌いだ形だろうか。最も順位はさすがに低下。総合10位とシード圏外に一気に飛ばされた。27秒差を7区以降懸命に追いかける形となった。
優勝争いは、ひとまず駒大が逃げていく展開。シード権争いは、9位から12位は1分13秒の大混戦に。
一斉スタート組もいて、見た目と実際の順位の違う、難しい戦いを強いられていきます。