隊長、再度湘南の風で加速する
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第93回箱根駅伝【定点別分析・3区】
定点間色分け:1位 2位3位 4位5位6位 7位8位 15位16位17位 18位19位20位
遊行寺坂5.4㎞
11位越川(神大)16分03秒①
7位秋山(青学)15分53秒②0:28
11位下(駒大)16分03秒③0:55
1位平(早大)15分34秒④1:02
4位濱川(帝京)15分46秒④1:02
3位口町(東洋)15分39秒⑥1:19
6位野田(順大)15分50秒⑥1:19
8位蟹澤(創価)15分55秒⑧1:42
9位高野(日大)15分56秒⑧1:42
20位今滝(拓大)16分52秒⑩2:04
11位國行(東海)16分03秒⑪2:12
5位下尾(大東)15分48秒⑫2:17
1位横川(中学)15分34秒⑬2:21
16位坂田(法大)16分14秒⑭3:00
14位土方(國學)16分07秒⑮3:09
17位太田黒(上武)16分17秒⑯3:21
15位永戸(山学)16分10秒⑰4:09
18位吉田(日体)16分18秒⑰4:09
10位三輪(明大)16分01秒⑲4:48
19位八巻(国士)16分24秒⑳7:39
OP平賀(連合)16分01秒(21)9:05
トップを気持ちよく走るのは神大越川選手。1年生ながら箱根駅伝でトップを走るのはとても幸せなことだ。後ろを走る青学秋山選手は最初の1㎞こそ両者とも2分52秒程で保っていたが、その後は少しずつ縮まり始めたのは力の差か。ただ、秋山選手がこの時点では昨年よりは重い足取りになっており、この区間のトップ争いさては優勝争いへの影響が注目された。
上位陣は3位駒大下選手を除いて全てのチームが詰めており、一番勢いがあるのは早大平選手で、0.6㎞地点で2人抜くと、帝京濱川選手を引き連れるように下選手の背後に迫る。また、東洋の実力者口町選手も飛ばしており、こちらも順大野田選手ら2人交わしている。少し離れたが、戦前厳しいのではと思われた創価蟹澤・日大高野選手も踏ん張っており、2人で後ろを引き離そうというところ。
後ろでは、もう1人区間トップのタイムで走っている選手がおり、それが中学横川選手。スピードランナーで前半ぶっ飛ばすスタイルの選手だが、箱根で実力者の多い3区でもトップに立っているのは驚いた。順位は1秒前スタートの法大坂田選手を捉えただけだが、既に大きく突き放している。前これも早いペースの大東下尾選手などに追いつきかけており、中位校の追い上げも見ものになりそうだ。
茅ヶ崎14.3㎞-遊行寺坂5.4㎞=8.9㎞
1位秋山(青学)26分06秒①
6位越川(神大)26分38秒②0:04
3位平(早大)26分15秒③0:43
13位下(駒大)26分47秒④1:08
11位濱川(帝京)26分44秒⑤1:12
9位口町(東洋)26分43秒⑥1:28
7位蟹澤(創価)26分39秒⑦1:47
16位野田(順大)27分02秒⑦1:47
2位横川(中学)26分13秒⑨2:00
15位高野(日大)26分56秒⑩2:04
10位下尾(大東)26分43秒⑪2:26
17位國行(東海)27分06秒⑫2:44
8位坂田(法大)26分42秒⑬3:08
19位今滝(拓大)28分00秒⑭3:30
14位太田黒(上武)26分51秒⑮3:38
4位永戸(山学)26分23秒⑯3:58
5位吉田(日体)26分34秒⑰4:09
18位土方(國學)27分34秒⑰4:09
12位三輪(明大)26分47秒⑲5:02
OP平賀(学連)26分16秒(20)8:47
20位八巻(国士)28分01秒⑳9:06
まず動きがあったのは3位争い。平選手が濱川選手を突き放した後、下選手をとらえる。36秒あった差を8㎞弱で完済したのはさすが5千13分30秒台のスピードランナーだ。このあと10㎞を28分41秒で通過したと、更にペースを上げて下選手を突き放し、前を追う態勢に入る。優勝争いからすると主将でできる限りトップと青学との差を縮めていきたいところだ。
そのトップ争いは秋山選手が素晴らしい走りを見せる。8.5㎞で1位と2位が22秒という情報があったが、そのあたりから明らかに秋山選手の動きが良くなってきた。運営管理者に乗る原監督から腕振りの指示があり、縦に振ったり或いはグルグルと回しながら走りながらリズムをつかんできたか。13㎞を過ぎた地点でついに越川選手をとらえる。越川選手も1㎞余り食らいついたものの、この定点間トップのタイムで疾走する秋山選手についていけず、茅ケ崎の直前で差が付き始めた。ここで、秋山選手がいよいよ本領を発揮し始めたとみていいだろう。
中位争いに目を移すと、蟹澤選手が快調に飛ばしており野田選手をとらえて7位タイにまで浮上、更にその後ろはここまで区間トップのタイムで走っている横川選手が、やや息切れした高野選手などをとらえ5人抜きの9位進出。スタミナに不安は言われているが、まだ前も見えており非常に面白い感じになってきた。
後ろはまた先ほどの定点とは順位が変わっている選手もいる。國行選手がやや苦しい走り、遊行寺坂の直後に横川・下尾選手と並走したのが苦しかったか。前半抑えた坂田選手が元気で順位を上げている。逆にとらえられたのが4位でスタートしたはずの拓大今滝選手だ。2区で10個順位を上げたがここでもう10個落としている。持ちタイム的には力不足か。残りまだ長く、後ろも追い上げており、この先が心配される。
追い上げる選手というのは、出遅れていた強豪校の山学永戸・日体吉田選手だ。この定点間ではともに4番5番。順位的には永戸選手が吉田選手をもとらえ2つ浮上、何とか追い上げる体制を整える。また、学連平賀選手も持ち味のである中盤以降の走りが出てきて、大差があった国士八巻選手をとらえている。前は4分近く空いているが一人でも快調に飛ばせる選手なだけに区間タイムが期待された。逆に国士大は3年前とほぼデジャビュ、予選も下位で通過しているし、今後も苦しい展開が予想された。
湘南大橋18.1㎞-茅ヶ崎14.3㎞=3.8㎞
1位秋山(青学)11分25秒①
15位越川(神大)12分00秒②0:39
4位平(早大)11分40秒③0:58
2位口町(東洋)11分25秒④1:28
5位濱川(帝京)11分41秒④1:28
9位下(駒大)11分45秒④1:28
7位蟹澤(創価)11分43秒⑦2:05
14位横川(中学)11分54秒⑧2:29
17位野田(順大)12分07秒⑧2:29
13位高野(日大)11分52秒⑩2:31
12位下尾(大東)11分51秒⑪2:52
18位國行(東海)12分07秒⑫3:26
10位坂田(法大)11分48秒⑬3:31
8位太田黒(上武)11分43秒⑭3:56
3位吉田(日体)11分26秒⑮4:10
6位永戸(山学)11分41秒⑯4:14
19位今滝(拓大)12分17秒⑰4:22
16位土方(國學)12分04秒⑱4:48
11位三輪(明大)11分49秒⑲5:26
OP平賀(学連)11分28秒(20)8:50
20位八巻(国士)12分19秒⑳10:00
秋山選手が単独走になってからは差が一気に開き始めた。計算上1㎞進むごとに10秒程の差がついており、いかに秋山選手が湘南海岸付近から力強い走りを見せたか分かる。平選手は15㎞付近から両脚が痙攣したとのことで、このあたりから中々追うのが難しくなる。青学大が順調に往路3連覇の道を歩み始める。
なお、この定点間では秋山選手と同タイムと1秒差の選手がいる。口町選手が大きく追い上げ、4位の下選手と濱川選手に一気に追いついた。こちらも口町ロケットがさく裂し始めている。ちょっと脱線するが濱川選手も大健闘でまさか下選手に追いつくとは。秋に5千で大幅ベストが出て1万は額面通りのタイムではない感じだったが、満を持しての起用だったか。3区で帝京が4位争いするのはちょっと予想できなかった。
また、1秒差の選手というのは15位まで順位を上げた日体吉田選手。一度引き離された永戸選手と失速している今滝選手と國學土方選手を捉えている。序盤は非常にスローペースで悪い流れとなってしまったかと思ったが見事なビルドアップを見せている。前の上武太田黒選手や坂田選手はちょっと離れているが、残り3㎞をこの調子で行ければいい流れで4区になりそうな感じだ。
平塚中継所21.4㎞-湘南大橋18.1㎞=3.3㎞
1位秋山(青学)9分39秒①
6位平(早大)10分03秒②1:22
14位越川(神大)10分30秒③1:30
4位口町(東洋)9分54秒④1:43
5位下(駒大)9分58秒⑤1:47
6位濱川(帝京)10分03秒⑥1:52
11位蟹澤(創価)10分11秒⑦2:37
14位高野(日大)10分24秒⑧3:16
8位下尾(大東)10分03秒⑨3:16
15位野田(順大)10分32秒⑩3:22
10位坂田(法大)10分08秒⑪4:00
9位國行(東海)10分07秒⑫4:04
20位横川(中学)11分16秒⑬4:06
3位太田黒(上武)9分53秒⑭4:10
2位吉田(日体)9分49秒⑮4:20
12位永戸(山学)10分21秒⑯4:56
16位今滝(拓大)10分35秒⑰5:18
18位土方(國學)10分39秒⑱5:48
13位三輪(明大)10分22秒⑲6:09OP平賀(学連)9分47秒(20)8:58
19位八巻(国士)10分47秒⑳11:08
秋山選手に、原監督から指令が入る。「あと3㎞を8分50秒で走れ、区間賞が見える。また森田を楽に走らせてやれ」と。湘南大橋の時点で区間トップに上がったが2位とは5秒差だった。さて、どうだろう。実際に3㎞8分50秒を切るペースで刻み、結果は区間2位に29秒差をつけ区間賞。さらに最後のスパートで2位に上げてきた早大に対して1分22秒差をつけた。これは初箱根の次のランナーにとても楽に走らせるタイム差だ。気管支喘息の影響で長い不調、12月に入ってからも5㎞のペース走で21分オーバーする状態があった中、しっかりと役割を果たした隊長。”乗せれば走る”ということですが、それでもしっかりと走らせるのは監督の力量も大きそうだ。
3位神大を挟み、4位には東洋・駒大・帝京と立て続けに入った。口町選手はさすがの追い上げ、駒大はもうちょっといきたかったが、このあと2区間の4年生がポイントだ。帝京濱川とそしてそのあと単独7位でやってきた創価蟹澤は大健闘と言えるだろう。また8位日大高野・9位大東下尾選手もそれぞれ順位アップ。大東大は総合力チームと思われただけにここまでは後順位。この後の1年生次第では復路で更にジャンプアップできそうだ。すぐ後ろにはやや順位を下げた順大野田選手。2区で順位アップも3区でまたシードボーダーで少し流れが悪くなるかも、とこの時点では思われた。
200m程差があいて5チームが大混戦。うまく順位を上げてきた坂田選手、最後に維持を見せた國行選手が続き、次の13位でようやく横川選手がやってきた。湘南大橋の時点で6人抜きの8位まであがっていたのが、ラストで大幅に失速。この定点間は断トツの最下位となってしまい、最終的には1人抜きとなった。だが、中々将来が期待できる走りだった。
その後ろはこの定点間がとても良かった選手。上武太田黒選手が、2番目のタイムで猛追する吉田選手を、3番目のタイムで逃げ切り14位で中継。上武大が駅伝の流れの中で走っているのを久々に見た気がする。日体大はいい流れで4区へ繋いだ。その後ろはやや息切れした永戸選手。主将に望みをつなげたかどうか。
その後ろまで今滝選手が転落、13個順位を落とし主将へ。この中でどんな走りを見せるか。また全日本で活躍していた土方選手もかなり苦しいレース。3区のスピードでは脚に痛みが出てしまったか。その直後に来た明大三輪選手は健闘しただろうか。なお、本当の2番目のタイムで走破した選手がその3分近く後方。連合平賀選手が会心の走り、区間タイムも区間2位タイ相当でとても力のあるところを見せてくれた。ほぼ一人旅が続く中よく走れたといえよう。まだ、駿河台大は本選出場ラインにはもう少し差がある中、大きなインパクトを残してくれた。