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[20年前を振り返る]第73回箱根駅伝-2区を見てみよう!-

さて、第73回箱根駅伝の2区となります。
9月末までのんびりと継続できればと思いますが、何とか週1くらいで投稿できればと思います。

赤文字は追記、青文字は修正です

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第73回(1997年)箱根駅伝2区走者経歴

私も含めて当時の大会を知らない方も大勢追われると思いますので、それぞれの区の最初に、走者の持ちタイムと前年(1996年)の主要大会の成績を付記します。
・持ちタイム参考サイト(Saijo’s:http://hakonesaijo.sakura.ne.jp/73hakmain.htm)
・大会参考サイト(箱根駅伝記録館:http://www13.plala.or.jp/hakone-kiroku/、箱根駅伝の記録:http://www13.plala.or.jp/jwmiurat/)
順番は前の区の中継所通過順
名前・学年 大学名 持ちタイム・主な戦歴
藤井一博④  早大 29:26、全2区4位、出5区1位、日1万6位、関1部1万2位、箱4区6位 
池谷真輝④ 大東 29:20、出5区10位、箱2区11位 
市川大輔④  神大 29:05、全2区3位、予4位、関2部5千6位1万1位、箱2区6位 
佐藤 武③ 東洋 28:56、全1区6位、予35位、箱6区5位 
松田和宏④  中大 28:51、全8区3位、出6区2位、日1万3位、関1部5千6位1万4位、箱2区2位 
藤田敦史②  駒大 28:53、予22位、関2部1万2位、箱1区2位 
三代直樹②  順大 28:50、全1区8位、出2区7位、日5千2位1万2位、関1部1万7位、箱1区3位 
帯刀秀幸②  亜大 28:56、全8区6位、出2区1位、関2部千五5位5千1位、箱4区11位 
中村祐二④  山学 28:36、全8区2位、予7位、箱4区棄権 
鈴木健弘④  農大 29:42 
野田道胤④  日体 28:43、出2区3位、関1部5千1位1万5位、箱2区8位 
三瓶 智④ 専大 29:22、予14位、出6区5位、関2部1万3位、箱2区9位 
横山 景④ 東海 29:05、全8区11位、出6区6位、関1部5千8位1万3位、箱4区2位 
吉田行宏②  拓大 29:15、関2部1万7位 
糸山二朗③  法大 29:22箱1区6位 
 当時の格好のエースがずらりと並びましたね。注目は何といっても山学大・中村選手。さすがに知っている方も多いでしょう。第72回大会4区で故障し10㎞以上脚を引きずりながら走り続けたものの涙の途中棄権…多くの話題を呼びました。その彼の最後の箱根駅伝に大きく注目が集まりました。他、優勝校の神大は市川選手を添え、中大は悲運のエースともいわれた中大・、松田選手です。また、2年後の箱根駅伝で大記録を打ち立てる藤田・三代選手が初めての2区に挑戦、亜大の帯刀選手もよく聞いたことがある名前だと思います。
 
定点間順位色付け:1位、2位、3位4位、5位、6位、7位12位、13位、14位、15位
※集団など混戦の場合は若干変える場合あり

横浜駅前8.3㎞

名前 大学 タイム トップ差
2位  松田  中大  24分36秒  ① 
4位  佐藤  東洋  24分47秒  ① 
5位  市川  神大  24分53秒  ① 
6位  池谷  大東  24分54秒  ① 
7位  藤井  早大  24分56秒  ① 
8位  藤田  駒大  24分59秒  ⑥  0:24 
1位  中村  山学  24分29秒  ⑦  0:28 
3位  帯刀  亜大  24分38秒  ⑧  0:33 
9位  三代  順大  25分22秒  ⑨  1:14 
13位  鈴木  農大  26分12秒  ⑩  3:07 
10位  横山  東海  25分39秒  ⑪  3:53 
11位  三瓶  専大  25分58秒  ⑫  3:54 
12位  野田  日体  26分00秒  ⑫  3:54 
14位  吉田  拓大  26分13秒  ⑭  5:25 
15位  糸山  法大  26分59秒  ⑮  7:36 
 スタート時で気になっていた気温は既に15度で新春の陽光、風も相当強くなり、かなり酷な条件になりつつあった。トップ早大・藤井選手は一般入試で政経学部に入り、箱根2区を勝ち取ったランナーだ。ただ、やはりレベルが高く、すぐに各校のエースの標的になった。秒差だった大東・池谷選手と神大・市川選手だけでなく、東洋・佐藤選手や20秒差があった中大・松田選手も追いつくのにそれほど時間はかからなかった。5人の集団は松田・市川選手らを中心に一列に近い形で進んでいく。
 なお、松田選手の名に聞き覚えがある方は多いだろう。3年時全日本アンカー、4年時出雲アンカーで早大のエースランナーに競り負けたことで有名になってますが、3年時箱根は68分台の区間2位で実力は折り紙付きだ。1秒後ろで駒大2年の藤田敦史選手もスタートしていたはずだが、これはあっという間に振り切っていたようだ。その藤田選手もトップから見える位置で推移しており、まだまだ混戦の模様だ。
 その後ろ、あの選手の追い上げが始まっていた。55秒差の9位でスタートした山学・中村祐二選手が一気に7位で藤田選手から数秒差まで迫っていた。抜いた2人は当時2年生ながら順大・三代選手と亜大・帯刀選手と将来の名ランナーだ。タイム差を見ると三代選手は自重、帯刀選手はスタート直後から横浜駅手前までくらいついた模様だが中村選手はとにかく前を追っている。
 上田監督に声かけられ24歳で山学大入学、2年連続箱根区間賞の後、世界陸上マラソン代表にも選出された。ところが3年時に脚に違和感が消えない中出走、スタート直後から足を引きずり出し、その後10㎞以上に渡って上田監督の静止を振り切りながら走り続けたことで、世紀の途中棄権となったのだ。
 その後も、3月まで故障、精神的に参り、体重も10㎏以上増えたことも。加えて夏は坐骨神経痛にも悩まされる過酷な1年を送ってきた中の華の2区だ。並々ならぬ決意で最後の箱根に臨んでいた。とにかく、駅伝ファンとしては中村選手の突っ込みがどうなるか固唾をのんで見守っていたことだろう。

権太坂15.2㎞-横浜駅前8.3㎞=6.9㎞

名前 大学 タイム トップ差
1位  中村  山学  21分47秒  ① 
3位  松田  中大  22分15秒  ① 
3位  佐藤  東洋  22分15秒  ① 
5位  市川  神大  22分16秒  ④  0:01 
5位  池谷  大東  22分16秒  ④  0:01 
5位  藤井  早大  22分16秒  ④  0:01 
2位  藤田  駒大  22分02秒  ⑦  0:11 
9位  帯刀  亜大  23分05秒  ⑧  1:23 
8位  三代  順大  22分32秒  ⑨  1:31 
12位  横山  東海  23分07秒  ⑩  4:45 
10位  三瓶  専大  23分06秒  ⑩  4:45 
10位  野田  日体  23分06秒  ⑩  4:45 
13位  鈴木  農大  23分53秒  ⑩  4:45 
14位  吉田  拓大  23分54秒  ⑭  8:04 
14位  糸山  法大  23分54秒  ⑮  10:15 
 先頭集団は5人が一列になるのは変わらない。画面からもかなり強風が吹いているのが見て取れるようになった。そんなわけなのでどうしてもペースが上がりきらない。そんな中、14㎞付近でついに中村選手が追いついてきた。おそらく途中までついていったと思われる藤田選手を突き放し、先頭集団に加わった。そして前へ引っ張る形となり、権太坂へ。ペースが上がり始めるが、ここまでは何とか松田・佐藤・市川選手ら6人はくらいつく。ただ、中村選手が明らかに動きは良さそうであった。
 後ろは藤田選手を挟んで400m以上離れて少し疲れた帯刀選手の後ろ三代選手が迫っている状況。その後ろはかなり空いて3分以上離された。農大・鈴木選手がペースが上がらず、東海・横山、専大・三瓶、日体・野田選手の集団にちょうど追いつかれたところだった。9位と10位がこの時点でくっきり分かれた形となった。14位15位の拓大・吉田、法大・糸山選手も2人ともペースが上がりきらず、中継所よりさらに引き離される展開。法大は既に10分オーバーしタスキを渡すのは苦しそう。それだからか、薄い記憶ですが拓大吉田選手をよく映していたように思う。

戸塚中継所23.0㎞-権太坂15.2㎞=7.8㎞

名前 大学 タイム トップ差
1位  中村  山学  24分44秒  ① 
2位  市川  神大  24分59秒  ②  0:16 
3位  藤井  早大  25分11秒  ③  0:28 
4位  池谷  大東  25分19秒  ④  0:36 
5位  松田  中大  25分26秒  ⑤  0:42 
7位  佐藤  東洋  25分37秒  ⑥  0:53 
10位  藤田  駒大  26分05秒  ⑦  1:32 
6位  三代  順大  25分29秒  ⑧  2:16 
12位  帯刀  亜大  27分27秒  ⑨  4:06 
8位  野田  日体  25分46秒  ⑩  5:47 
9位  横山  東海  25分53秒  ⑪  5:54 
11位  三瓶  専大  26分55秒  ⑫  6:56 
13位  鈴木  農大  27分53秒  ⑬  7:54 
14位  吉田  拓大  29分25秒  ⑭  12:45 
15位  糸山  法大  29分49秒  ⑮  15:20 
 引っ張っていた中村選手が17㎞地点で一気にスパート!集団が点々となっていく。力のある市川選手が最後まで食いついたが離されていった。残り3㎞の上り坂で表情は険しくなるが健脚は衰えない。いがくり頭に絶対に山学大を勝利に導く決意がよく伺える。実は今年も万全ではなかった。山学大はクリスマスの時期にインフルエンザの蔓延が起き、複数の主力選手が感染。間に合わない選手もいたという。そんなチーム状況もプレッシャーになったのか、中村選手は年末に神経性の下痢にかかってしまった。前日も点滴を打つ状態だった。それがこの走りだから恐れ入る。中村選手はじりじりと後ろを引き離していきトップで中継!タイムは71分00秒と天候の影響で伸びなかったが、区間2位を1分以上引き離す快走であった。
 2位には20.9㎞で大東・池谷選手との争いを制した神大・市川選手が16秒差で飛び込んだ。優勝候補筆頭ということを考えるとしっかりと役目を果たしているように見える。後ろは混戦。21.5㎞には中大・松田選手がスパートし3位浮上するが続かず、21.9㎞で粘っていた早大・藤井選手が3位で中継所へ、その後50m前後の間隔で大東・池田、中大・松田、東洋・佐藤選手の順番に飛び込んだ。このあたりはまだまだ順位のクロスがありそうだ。
 先ほどすぐ後ろにいた駒大・藤田選手はやや疲れて1分32秒差、しっかり一定のペースをキープした三代選手が8位に浮上し、駒大の後ろ250mほど。序盤中村選手について疲れてしまった帯刀選手は権太坂では後ろだった三代選手に2分近くつけられてしまった。このあたり向かい風ではスタミナがなくなると前への推進力がガクッと落ちてしまうといったところだろう。帯刀選手は亜大がその後しばらく予選落ちするので最後の箱根に…。再び駅伝ファンが名前を聞くようになるのは富士通に入社してからのことになる。
 そんなわけなので先ほど3分ついていた後ろが1分半ほどの差へ。4人ではなく日体・野田、東海・横山選手の争いだったが、ここは1万28分台の野田選手が意地を見せる形となった。野田選手はこの後はHondaに入社して長く活躍していますね。そのあとは専大・三瓶、農大・鈴木選手が約1分ずつの差で中継点へ。ここまでで約8分差だ。
 その後ろ、14位拓大・吉田選手が間に合うか注目が集まったが、残念ながら大きくペースダウン、辿り着いたのは繰り上げスタートから2分45秒差だった。第60回大会以来13年ぶりの出場であったが、箱根は容赦なかった。最後に法大・糸山選手。昨年6位躍進のメンバーの一人だったが「気持ちが切れてしまった」と正直なコメントを残している。例年以上に縦長の展開で往路序盤を終えた。
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箱根駅伝の魅力に3歳の頃から取りつかれ、今や全日本大学駅伝や出雲駅伝を含めた大学駅伝、その予選会。大学長距離界がとても大好きな人間です。ブログでは10年以上にわたり、追いかけています。

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