第95回箱根駅伝7区です。
トップ争いに大きな変化が!
東洋小笹選手に東海阪口選手が急接近。
シード権争いは、中学と明大が抜きつ抜かれつの接戦。
定点間分析すると、新たな事実が判明しました。
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逃げるトップ東洋は主将の小笹選手を起用。1分08秒差で追う東海大は、前回エース区間2区を走っている阪口選手をこの区間に配置。故障明けから、上がり切らなかったそうですが、勝負をかけての起用だそうだ。
さらに青学大は7区区間記録保持者の林選手起用で、何とか詰めにかかる。トップとは5分15秒、3位とは55秒差に迫っています。
この他上位校も法大・土井選手、帝京・岩佐選手など実力者を起用。僅か9秒しかないシード権争いは中学・吉田選手、明大・小袖選手。いずれも伸び盛りの若手起用でどうなるか注目が集まりました。
二宮11.6㎞
94回林(青学)33分36秒
二宮定点前から見え始めた東海阪口選手
トップ東洋小笹選手は最初の1㎞2分40秒。酒井監督からは「今西は(当時)歴代3位だった、今度はお前だ」との檄に応えるかのような突込みだ。今西選手も最初の平地で突っ込んでいましたが、『怯まず前へ』の言葉通りの走りです。
対して2位東海阪口選手は1㎞2分48秒。スピードランナーとしては比較的落ち着いた入りでした。つまり1㎞の地点で1分16秒差に開き、最初はまだまだ東洋のペースの印象でした。
ただ、10㎞手前あたりから、第1中継車のカメラに阪口選手がおぼろげながら映るように。二宮の定点では48秒差。1㎞地点からは28秒詰めたというところ。やはり前半のスピード面は阪口選手が力で詰めた印象。このくらいになると前が見え始める。心理的には阪口選手が有利な状況となった。
前回よりハイペースで突っ込む青学・林選手
その後ろ、更なるハイペースで突っ込んだのは、青学林選手。こちらも1㎞2分40秒で入ると、1.7㎞で26秒前にいた國學蜂屋選手を交わすと、9.5㎞では55秒前にいた駒大小島選手にまで追いついた。小島選手は初駅伝ですが、上尾ハーフで62分台の言わば秘密兵器の選手。その選手にもあっという間に埋めてしまったところです。
小島選手は、林選手に追い付かれる直前に大八木監督から「ちょっと付いて、自分の体調と相談しろ」とアドバイスを受け付いていく。ただ、林選手もややオーバーペース気味に入って、ここは一旦落ち着いたところだ。
それでも二宮の定点で自身の区間記録より2秒早い入り。トップとの差4分32秒はかなり追い上げているというところだ。
8位順大藤曲突っ込む、シードは命題小袖選手逆転
他上位では、総合8位順大藤曲選手が区間4番目と突っ込んだ入り。前回個々の失速でシード権を逃した順大は7区を強化したいと宣言。ロードに強い藤曲選手の起用となった模様。もっとも、この突込みは藤曲選手本人の挑戦もあったようですかね。この地点では実力者の帝京岩佐選手にあと少しとなっていました。
シード権争いは、10㎞の地点でバイクカメラが付いていましたが、明大小袖選手が中学吉田選手を逆転して10位へ再度進出。実はこの2人全日本4区でも対決。走る位置は違ったものの、小袖選手の方が区間順位は上だった。
またスピード的には、小袖選手が1万28分台を11月末に出すなど上回っているのもあるでしょうか。自力の差もあったでしょうか。最も小袖選手は、前の拓大吉原選手に10mまで迫ってから詰めれない様子。ここはまだ動きがありそうな気配でした。
12番手争いが8人の大集団に!
その後ろが大変なことになっていました。僅差で12番手争いが6区終了地点で繰り広げられていましたが、予想通り大集団に。5㎞地点で神大、早大、大東、日体大、中大、日大の6チーム、更に7㎞までに連合、東国まで追いついて8チームの大集団となってしまった。
比較的前の方だった神大多和田選手が故障明け、早大真柄選手は後半型の選手ということもあり、積極的に前にいけなかったこともあったでしょうか。10位との差が開きましたが、まずはこの集団でうまく足を使わずに走り切る事が求められる形となりました。
大磯18.3㎞-二宮11.6㎞=6.7㎞
94回林19分26秒(53分02秒)※大磯18.1㎞
6位小笹(東洋)20分30秒<3>54分47秒①
1位阪口(東海)20分01秒<2>53分58秒②0:19
1位林(青学)20分01秒<1>53分35秒③4:03
5位小島(駒大)20分29秒<4>54分58秒④4:31
3位土井(法大)20分25秒<6>55分27秒⑤6:03
16位蜂屋(國學)20分49秒<12>56分01秒⑤6:03
15位岩佐(帝京)20分48秒<8>55分31秒⑦8:15
19位藤曲(順大)20分59秒<7>55分28秒⑧8:38
17位吉原(拓大)20分52秒<18>56分25秒⑨10:09
18位吉田(中学)20分58秒<17>56分16秒⑩10:32
20位小袖(明大)21分18秒<16>56分13秒⑪10:38
4位加藤(日大)20分26秒<10>55分50秒⑫12:38
6位芳賀(東国)20分30秒<5>55分21秒⑯13:26[13]12:42
6位三ツ星(大東)20分30秒<9>55分45秒⑲19:18[13]12:42
6位真柄(早大)20分30秒<14>56分09秒⑬12:42
12位多和田(神大)20分31秒<15>56分12秒⑱15:52[13]
6位志賀(日体)20分30秒<11>55分57秒⑭12:44[13]12:42
6位田中(連合農大)20分30秒(9)55分39秒(21)20:28[13]12:42
13位関口(中大)20分37秒<13>56分08秒⑮12:49[19]12:49
14位長谷川(国士)20分39秒<19>56分45秒⑰14:20[20]14:20
21位川口(山学)21分23秒<20>56分55秒㉒23:11[21]15:26
23位雲井(城西)21分54秒<22>57分47秒⑳20:01[22]16:22
22位坂本(上武)21分25秒<21>57分09秒㉑22:23[23]16:28
小笹選手の動きが硬くなり、一気に阪口選手が詰め寄る!
ここからトップ争いの動きが一気に気になり始めた。阪口選手が見え始めると共に、小笹選手が苦しげな表情になった。それだけでなく動きが硬くなった印象。故障明けの中、後ろからの追い上げの情報を聞いたというのもあるでしょうか。とにかくちょっと自分の走りができない感じ。定点間も6番目のタイムとなりました。
見えてきて阪口選手はどんどん勢いづきしたね。この定点間はなんと青学林選手と全くの同タイムで走破する快走!一気に19秒までその差を詰めてきました。画面で見ていても明らかに阪口選手の方が余裕がある印象。もしかして、一気に中継所まで追いつくのではとも思われました。
その林選手は、15㎞手前で仕掛けて駒大小島選手を突き放していました。前を追わなければというところ、早く切り替えたのでしょう。原監督から「東海が見える位置まで」との檄もあり懸命に追う。ただ、4分近く先で同タイムで走られてしまっては中々見えないところです。
なお、この地点で区間記録より33秒遅いというアナウンスがありましたが、定点が200m程後になっているのですよね(汗) なので、この地点でもほぼ区間記録と同等くらいのペースで走っていたと思われます。
法大・土井選手快走!5位浮上、10位再逆転のシードは実は両者とも苦戦
その後ろでは動きがありました。法大・土井選手がこの定点間3番目で走破。やはり、中間疾走が得意ではと思われてた選手通りの働き、一気に國學蜂屋選手を捉えて、チーム目標の5位浮上。國學院は往路終了から3つ下げる形で何とか食らいつきたいところ。
またシード権争いにも動きがあり、16.8㎞地点で中学吉田選手が明大小袖選手を捉えるちょっとびっくり場面が!吉田選手が粘ったかと思われましたが、実は定点間18番目のタイムで、小袖選手が大きく失速してしまったようなのだ。
カメラでは17㎞地点で小袖選手がもう一度逆転する意地を見せていたものの、大磯では6秒差で吉田選手が前へ。ここは意外な展開となった。
日大加藤選手が前へ!東国芳賀、大東三ツ星、連合農大田中選手ら反応
前がペースが上がり切っていないとなると、12位大集団の様子が気になります。さすがに終盤になって叩き合いでペースが上がっていますね。詳しくは映っていませんが、大磯では最初で最後の箱根の日大加藤選手が仕掛け、4秒集団をリードする形に。
ただ零れたのは中大関口選手のみ。かなり後ろから追いついた東国芳賀、大東三ツ星、連合農大田中選手あたりもまだ集団に食いつき、依然7人で12番手争いとなっていました。その後ろは流れでとなっていますが、国士長谷川選手この定点間14番と頑張っていました。
平塚中継所21.3㎞-大磯18.3㎞=3.0㎞
94回林(青学)9分14秒(62分16秒)※大磯18.1㎞
ラスト東洋小笹選手苦しむもなんとか先頭で襷リレー
小笹選手最後は本当に苦しんでいましたね。定点間12番までタイムが伸び悩んでいたとは…。20㎞地点で7秒差にまで詰まったものの、それでも腕振りはしっかりしていたこもあり、何とかトップは保ち襷リレーに。
その直後、わずか4秒差でまで追い上げた東海阪口選手がリレー。62分41秒は歴代でも相当のタイムだ。小笹選手も63分台ではまとめていて、一昔前は充分な働きでしたが、今はレベルが上がったというところでしょうか。
その後ろ、ついに3位まで巻き返してきた青学林選手が襷リレー。62分18秒は区間記録に僅か2秒届かなかったものの、前半に突っ込みかつ後半の苦しい場面で単独走で見えない相手を追う展開でよく絞り出したというところ。トップとの差3分48秒まで追い詰めました。
面白いのが、二宮以降、東海阪口選手と青学林選手が全く同タイムで推移していること。勝負区間として配置した選手がそれぞれ最大限働きをした結果だった。
追う青学としては東洋とは詰めたものの、東海は二宮以降は全く詰められなかったこと。ここは優勝の可能性を見出したい青学大としては結果的にきつい。東海大はますます流れに乗ったと言えます。
最終的に10位中学大と11位明大は28秒差、12位は1分43秒差に
4位駒大小島、スパート争いを制し5位法大土井、6位國學蜂屋。5位チームまでは区間順位も5位以内となっており、このあたり総合力が高いチームがそのまま上位に入った印象だ。7位帝京岩佐、前半戦攻めた順大は後半は我慢する展開で8位。ここまではひとまずシード権よりは上のポジションといったかたちだ。
ここから1分以上あいて、9位拓大吉原選手。その後ろ10位中学吉田選手も見え隠れしていた。吉田選手は川崎監督から「下りでペースを上げろ」の指示。何とかスパートをかけて戸塚中継所に駆け込んだ。
11位は最後の3㎞は一番遅いタイムとなってしまった明大小袖選手が28秒差で通過。どうやら低血糖の症状が出てしまったようで、何とか繋ぐだけとなってしまった。流れ的にはちょっと痛いところでした。
激しい12番手争いは、最終的に小田原で前にいた神大多和田、早大真柄選手が余力が残っており前へ。これに日大加藤選手が並びかける形となりました。大東三ツ星、日体志賀選手も最後まで食いつきリレー。三ツ星選手が健闘だ。
そして100m程の差で連合農大田中、中大関口、東国芳賀選手もリレー。関口選手は遅れてから粘った格好となった。なお、実質の総合順位では早大日大が並び、日体も見た目から2秒遅れるだけ、中大も僅差で15位と続いています。
後ろ、城西雲井、上武坂本選手が苦しい走りに。
その争いから2分以上後方となった17位国士長谷川選手は、実質シード権争いからは実質脱落でしょうか。大きな実績がまだ少ない中、7区66分半ばは単独走でまとめた印象です。次年度に大きな成長があれば。
その後ろ、山学川口選手が終盤粘って、後ろから見える位置まで追い上げています。この2校がまずは固まるでしょうか。
中継所では数秒後ろだった城西雲井選手がついていけず苦しい走り。一人67分オーバー区間最下位は予想外だった。上武坂本選手に追いつかれてからは、何とか踏ん張って見た目最下位は回避したものの、復路も厳しい戦いとなってしまった。
優勝争いは大きな分岐点を迎えそうな展開に。東洋と東海が僅か4秒差に接近し8区へ。8区は過去9回しか首位交代がない区間ですが、果たして?
追う青学大は思うように詰められないものの、力のある4年生が2区間連続圧倒的な強さで区間賞。残り3区間へ流れは作り、その後の追い上げが気になるところです。
シード権争いは拓大・中学大・明大がまだ分からない。後ろすぐにまた集団になりそうな12位グループの動向も注目する形となりました。