今年も夏の間に20年前の箱根駅伝を振り返ってみようと思います。
今回は第74回箱根駅伝となります。いつものように定点ごとに見ていきます。
なお、皆様のコメントも参考にして完成できればと思っています。
その前に前哨戦の成績を振り返るのもいいかもですね。
ページコンテンツ
第9回出雲駅伝
1位駒澤大2:05:21
2位神奈川大2:05:35
3位中央大2:06:24
4位山梨学院大2:06:35
5位順天堂大2:07:12
6位早稲田大2:07:39
7位京都産業大2:07:53
8位大東文化大2:08:15
9位東海大2:10:21
10位広島経済大2:10:34
11位東洋大2:10:47
12位日本体育大
1区鹿屋体育大1年永田選手の区間賞から始まったこのレースは、2区以降は連覇を狙う神大と初優勝がかかる駒大のシーソーゲームに。駒大が2区藤田幸・5区佐藤選手で区間賞を獲得すると、神大も3区野々口選手が区間賞で2区4区5区が区間2位。アンカーに渡ったとき、両校の差は、僅かに駒大が1秒リードするだけでした。最終的に駒大3年藤田敦選手が、神大3年渡邊選手選手を突き放し、駒大が三大駅伝で初めて優勝を飾りました。ちょうど時代の変わり目と言われましたね。なお、アンカーは順大3年三代選手が区間賞を獲得しています。
第74回箱根駅伝予選会
1位拓殖大10:20:00
2位日本体育大10:20:03
3位専修大10:21:04
4位帝京大10:22:05
5位関東学院大10:23:23
6位日本大10:25:30
—以上、本戦出場権を獲得—
7位亜細亜大10:25:56
8位中央学院大10:28:13
9位明治大10:29:09
10位国士舘大10:30:33
前年、復活の出場を遂げた拓殖大が大躍進のトップ通過。8位吉田行60:56を皮切りに、上位5選手が個人20位以内と圧倒的な主力選手の層の厚さを見せていて、伝統校の日体大を、全体で僅か3秒上回った。その日体大も12位青柳61:07から10番手の選手が62位62:32で走り切っており、全体的に上位に食い込んでいる。
3位専大は5位湯浅60:47、7位福永60:55で主力が上位で、10番手の選手も99位63:24で入っている。また4位帝京大が初出場、5位関東学院大が4年ぶり2回目の出場。ともに高校時代の実績が少ない選手たちのチーム構成ながら、上位10人が20位前後から80位台に食い込む走りで見事なレースぶりでした。
最後の1枠は、日大が2年ぶりに復活!決してチーム状況は良くなかったものの、2年生エース山本選手(現・明大監督)が、59:37の流経大・ジェンガ選手に、ただ一人ついていき、59:39の快走を見せた。次点に泣いた亜大の主力もしっかり走ったものの4位菅野60:43、6位帯刀60:55を圧倒し、エース力で勝利した。他では、前年出場の法大が11位、東農大が13位と大ブレーキ。東農大はこの次の出場が80回大会にまで箱根復帰に時間がかかってしま。また、国士大は当時1年の小川選手が3位60:34で走破、2番手は添田選手(現・国士大監督)が16位61:23で走り切っています。
第29回全日本駅伝
1位神奈川大5:17:18
2位山梨学院大5:18:22
3位早稲田大5:20:06
4位駒澤大5:20:48
5位拓殖大5:23:29
6位順天堂大5:24:11
7位京都産業大5:24:32
8位大東文化大5:26:52
9位東海大5:28:06
10位中央大5:28:30
1区神大4年・高津選手が区間賞を獲得し連覇へ向け好発進するも、2区早大4年・梅木選手が38分05秒の区間新記録の快走でトップに立つと3区中村、4区佐藤選手とトップを守る。神大は4区勝間選手が山学大を抜いて2位に浮上すると、5区で反撃。3年岩原選手が区間賞の好走でトップに立つと、6区野々口が区間新記録の快走で一気に後続を突き放し、そのまま総合優勝、連覇を飾りました。
2位には山学大。4区で初出場の選手がブレーキ、7区辻原、8区ワチーラ選手が連続区間賞獲得して追い上げるも遅かった。出雲との2冠を狙った駒大は2区でブレーキがあり、4区藤田幸選手の区間賞で追い上げるも総合4位にとどまりました。また、拓殖大がここでも5位と大躍進をしています。
当日のエントリー変更で衝撃が走ったのですよね。”2強”と言われていた神大と山学大のうち、山学大2区に入っていた当時2年の古田哲弘選手が変更になりました。
前年8区で驚異的な区間新(そして、2018年現在も残っている)を出していて、今年予想通り2区にエントリーされていました。
上田監督によると、2日前の刺激走1000mの途中でアキレス腱もピリッと痛みが走ったそうです。踏ん張ると痛みが出て、これでは2区でいい走りができないということで欠場が決まったそうです。
優勝争いとしては神大が非常に有利…という形に。山学大はどれだけカバーできるかというところ。他、往路だけなら早大、それから急上昇中の駒大にも注目が集まっていました。
1位萩原英之(大東3)13分51秒
1位高津智一(神大4)13分51秒
1位湯浅龍雄(専大4)13分51秒
1位吉岡善知(順大4)13分51秒
1位佐藤敦之(早大1)13分51秒
1位西田隆維(駒大2)13分51秒
1位酒井俊幸(東洋3)13分51秒
1位西澤洋務(東海4)13分51秒
1位東 勝博(拓大3)13分51秒
1位青柳友博(日体4)13分51秒
1位織田泰聡(関学2)13分51秒
1位巽 浩二(日大2)13分51秒
1位久保田瑞穂(中大3)13分51秒
1位菅田 学(帝京2)13分51秒
1位森政辰巳(山学3)13分51秒
スタート直後、専大・湯浅選手が先頭に出るもすぐに吸収される。1㎞は3分05秒はそれほど早くないが、昨年の3分09秒よりは早いとのこと。順大・吉岡選手と大東・萩原選手が先頭で、神大・高津選手がマークする形になった。
萩原・高津選手、更に中大・久保田選手が前回1区経験者。萩原選手は前年区間2位、高津選手は全日本1区区間賞獲得し、このあたりが前の方なのは自然な流れだ。
このままスロー気味かと思われたが、3㎞~4㎞で初めて3分を切って、5㎞通過は14分58秒に!もしかすると早い段階でサバイバルレースになるのではと思われた。
なお、3㎞付近から山学・森政選手がずっと最後尾につける展開に。それ以上に、汗の量が非常に多く、手袋で何度も拭う様子が気になった。
1位湯浅龍雄(専大4)30分59秒①
1位東 勝博(拓大3)30分59秒①
1位佐藤敦之(早大1)30分59秒①
4位久保田瑞穂(中大3)31分00秒④0:01
4位萩原英之(大東3)31分00秒④0:01
6位西田隆維(駒大2)31分06秒⑥0:07
7位吉岡善知(順大4)31分08秒⑦0:09
8位高津智一(神大4)31分16秒⑧0:17
9位森政辰巳(山学3)31分19秒⑨0:20
10位巽 浩二(日大2)31分48秒⑩0:49
10位西澤洋務(東海4)31分48秒⑩0:49
12位青柳友博(日体4)32分01秒⑫1:02
13位酒井俊幸(東洋3)32分45秒⑬1:46
14位菅田 学(帝京2)32分50秒⑭1:51
15位織田泰聡(関学2)33分04秒⑮2:05
順大・吉岡選手が1㎞3分を切るペースで引っ張り続け、早い段階で動きが出てきた。7.4㎞で創部24年目で初出場の帝京・菅田選手が遅れだし、数百メートル後の八ツ山橋の登りに差し掛かったところで、関東学大・織田選手が遅れはじめた。両校ともエースとはいえ、叩き上げの選手が1区。1㎞3分を切るペースはきつかっただろうか。
その八ツ山橋で一気に動きが変わった。専大・湯浅選手がスパート!これに大東・萩原選手が呼応し、2人が先頭に。10m離れて3位グループが形成され、拓大・東選手や早大・佐藤選手が追いかける展開となる。
その状態で9㎞通過。この1㎞は2分50秒と早いペースに。これには有力校もたまらず遅れだし、日大・巽選手と東洋・酒井選手が12位13位争い、更に日体・青柳選手も11位に後退している。
先頭の10㎞通過は29分37秒とやはりペースアップ。湯浅選手が元気で先頭をキープ。萩原選手が顔の表情が厳しくなりやや遅れ加減だ。3位集団は一人減っており、東海・西澤選手が50m後方へ、その後ろ11位青柳選手に巽選手が追いつき争いに。
13位酒井選手がスローダウンし、10m後ろにもっと早く遅れていた関東学大と帝京大が背後に迫っていた。酒井選手はこのあたりから鼻血が出ていた。その影響がどのくらいあったか分からないですが、1万28分台の選手を並べ、ロケットスタートを狙ったのだが苦しい展開になっている。
サバイバルレースは更に激しくなっていき、11㎞過ぎに山学・森政選手が遅れる。2区埋めに上位に付きたかったがちょっと早すぎる遅れ。11.8㎞で序盤引っ張った順大・吉岡選手が離れる。更に12㎞過ぎに神大・高津選手が遅れるという波乱の展開に。高津選手にしては早すぎる脱落だ。
更に13.9㎞付近で駒大・西田選手が遅れだし単独6位に。この頃には順大が7位に浮上し、神大・高津選手が8位に転落。高津選手は全日本区間賞を初め、主要大会での安定感が非常に買われていただけにどうしたことか、とこの時は思われた。
その150m後ろ日大・巽選手が、日体を突き放し、更に東海に追いつき10位争いに。日大は何としても2年生エース山本佑選手が走りやすい位置で繋ぎたいところ、4年巽選手がうまく走っている。
最下位争いは、関東学大・織田選手が遅れてしまった。1㎞3分20秒かかる苦しい走りで、14位帝京大とは80m差がついてしまった。密かにシード権を狙っている中、これ以上は遅れたくないところだ。
定点順位名前(大学学年)定点間タイム区間順位タイム総合順位トップとの差
1位湯浅龍雄(専大4)17分56秒‹1›62分46秒①
2位東 勝博(拓大3)18分08秒‹2›62分58秒②0:12
3位佐藤敦之(早大1)18分12秒‹3›63分02秒③0:16
4位吉岡善知(順大4)18分25秒‹4›63分24秒④0:38
5位久保田瑞穂(中大3)18分34秒‹5›63分25秒⑤0:39
6位萩原英之(大東3)18分34秒‹5›63分25秒⑥0:39
8位西田隆維(駒大2)18分46秒‹7›63分43秒⑦0:57
7位森政辰巳(山学3)18分40秒‹8›63分50秒⑧1:04
9位西澤洋務(東海4)18分54秒‹9›64分31秒⑨1:45
10位巽 浩二(日大2)18分55秒‹10›64分32秒⑩1:46
11位高津智一(神大4)19分32秒‹11›64分39秒⑪1:53
12位青柳友博(日体4)19分34秒‹12›65分26秒⑫2:40
14位酒井俊幸(東洋3)19分52秒‹13›66分28秒⑬3:42
15位菅田 学(帝京2)19分56秒‹14›66分37秒⑭3:51
13位織田泰聡(関学2)19分43秒‹15›66分42秒⑮3:56
15㎞付近では今年から導入の給水、その直後の蒲田の踏切では、今年から選手通過時にはできるだけ踏切が上がるような試みも行われていたそう。このあたり、時代が変わりつつあるところだ。
先頭争いは3位集団がついに湯浅・萩原選手に追いつき、東&佐藤&中大・久保田選手の5名となった。久保田選手は昨年7月に半月板の出術を受けていてよく走っているという評価だ。さて、16㎞付近で将来の早大のエースと言われる佐藤選手が初仕掛け。目まぐるしく展開が変わっていく。
17㎞過ぎ、萩原選手が苦しそうに5m程後退する。暫く粘っていたものの、17.8㎞付近の六郷橋の登りで久保田選手とともについに遅れだす。先頭3人、専大・湯浅、早大・佐藤、拓大・東選手…ここ最近の有力校が上位にいなくなった。
その中、18.3㎞六郷橋の下りで専大・湯浅選手が一気に仕掛ける。2名に10mの差をつける。太陽の日差しが強くなり、湯浅選手の茶髪が目立つようになった。前々から茶髪でカメラの映る位置で走ると宣言して、公約通りの展開だ。
湯浅選手はそのまま軽快なリズムをキープ。19.5㎞で30m差となったところで佐藤選手が追おうとするが詰まらない。その後は東選手の方が2位争いを優位に進めるようになる。
後ろは7位駒大・西田選手に8位山学・森政選手が追い上げる展開。少しでも前にというところだ。その後ろ、神大・高津選手が下がり、もう見えなくなったとの情報も。このスローダウンはさすがに心配な感じだが…。
先頭は残り1㎞、もう50mは2位と差がついた。古豪と言われる専大だが、1区区間賞は無かったが、湯浅選手が新たな歴史を作りそう。湯浅選手は昨年4区14位、直前に風邪を引いたのが原因だった。その責任を果たすための1区だったが、見事な区間賞だ。
2位は拓大・東選手、スピード型の選手を育成してまずはロケットスタート。3位ルーキー早大・佐藤選手も額面通りの走りか。本人は悔しい結果だったそうですが、往路優勝を考えると、結果的に山学と神大を引き離したのは大きかった。
4位は順大・吉岡選手が浮上。3年時まで怪我が多く、主将も3年三代選手に譲ったが、最後の最後見事な走りでその三代選手に繋いだ。直後、5位争いに中大と大東がほぼ同着。そこから100m離れて駒大、そして山学大も続いた。ここまで個人63分台で、まずまずだろうか。
そこから40秒離れて、東海大と日大が競って通過。日大はエースに復活を託した。その後ろ、ここまで遅れてしまった神大が11位で2区へ。高津選手は風邪を引いていたと後に判明したが、連覇に向けヒヤリとしたシーンだ。
後ろは離れた。50秒遅れて日体大が12位単独、難しい位置でのリレーとなってしまった。更に1分以上離れて残りの3チームがやってきた。13位東洋が何とか逃げ、14位で帝京大が初のたすきリレー、一時大きく遅れたと報道があった関学大も、最後に踏ん張り、最下位ながら前が見える位置ではタスキを渡した。
結果的に、専大が初の1区区間賞とやや予想していなかった展開。専大も3本柱を最初に並べていて面白い。拓大はスピードで復帰2度目でシードが狙える展開だ。
有力校ではひとまず早大が前、山学大は2区が代役の中上位に付けず、神大も2区に予定の選手がおけなかった中失速してしまった。混戦の往路優勝模様になりそう。
また、エースとして注目された順大・三代選手が4位、駒大・藤田選手が8位、日大・山本選手が10位、それぞれの位置でどんな走りを見せるか注目されることになる。