【箱根駅伝2018(第94回)】10区の記録・結果を振り返る

ついに、最終区となります。

青山学院大の4連覇、東洋大の連続記録、伝統校の意地、シード権争い…最後まで盛り上がりましたね。

ページコンテンツ

第94回箱根駅伝10区

○東洋・小笹、日体・中川選手の突っ込み
○ラスト3㎞苦しかった東海・川端選手
○意地を見せた早大・谷口、シード権を追い上げた順大・花澤選手の推移は?
○終盤は、一斉スタートで力を蓄えたランナーVSビクトリーラン青学・橋間選手

蒲田5.9㎞

定点順位 名前(大学) 定点間タイム 総合トップ差 通過トップ差
5位  橋間(青学)  17分56秒  ① 
1位  小笹(東洋)  17分43秒  ②5:09 
3位  川端(東海)  17分54秒  ③10:17 
9位 谷口(早大) 18分18秒 ④10:55
13位 矢嶋(法大) 18分27秒 ⑤11:30
2位  中川(日体)  17分53秒  ⑥11:36 
4位  荻久保(城西)  17分54秒  ⑦13:19 
7位  島貫(帝京)  18分14秒  ⑧14:00 
12位 苅田(拓大) 18分26秒 ⑨14:10
10位 藤田(中学) 18分19秒 ⑩14:55
14位 花澤(順大) 18分29秒 ⑪16:09
11位 伊勢(駒大) 18分20秒 ⑫17:37
6位  枝村(神大)  18分13秒  ⑬18:50 
8位  竹内(中大)  18分17秒  ⑭19:42 
15位  三ッ星(大東)  18分36秒  ⑯23:15  [15]20:40 
15位  戸澤(国士)  18分36秒  ⑲26:53  [15]20:40 
15位  相沢(東国)  18分36秒  ⑱25:26  [15]20:40 
15位  佐々木(上武)  18分36秒  ⑳34:01  [15]20:40
15位  江島(國學)  18分36秒  ⑮20:45  [15]20:40 
15位  片山(山学)  18分36秒  ⑰24:35  [15]20:40 
15位  阿部(日大)  18分36秒  21)42:38  [15]20:40 

青学・橋間選手がトップをひた走る。関東IC1万mでの出走はあるものの、出走メンバーに選ばれると予想した駅伝ファンはあまり多くないのではないだろうか。そもそも10区は吉永主将ではないかと言われていたが、区間エントリー直前に脚を痛めたそうだ。そこでマイペースさが持ち味という橋間選手が最後に選ばれたのだ。気温と風の戦いの中、しっかり大手町へ歩みを進めている。

風は凄まじく、風圧でふらつく東洋・小笹選手に酒井監督が「危ないから真ん中を走れ」と指示、前・後ろ・横と風が回っているようだ。また、駒大・伊勢選手を映している場面では砂塵が舞う感じだったようで…中々高いスピードを維持するのが大変な中になっている。

その中で飛ばしているのは東洋・小笹選手。9区で縮めたトップとの差を更に縮めにかかる。それから6位スタートの日体・中川選手が突っ込む。チーム内で一番調子が良い選手を残したそうですが、まずは5位法大・矢嶋選手のすぐ後ろへ。そして、目標の3位へ向けて飛ばしていく。その3位東海・川端選手が3番手。箱根2区と言われていた中、10区なのは疑問符ながら、ここまでは実力者らしい走りだ。7位城西・荻久保選手もいい走り、2年ぶり復帰で3年ぶりのシード権へ向けていい走りだ。

そのシード権争いは11位順大・花澤選手が抑えた走り。このあたりは昨年区間賞でOBの作田選手が「練習ができていないのならこの風の中抑えて入った方がいい」というアドバイスがあったそうで、5㎞15分40秒通過、中学・藤田選手との差は1分14秒に広がっている。13位神大・枝村選手、14位中大・竹内選手が元気で、差はあるものの初の箱根路の4年生が懸命に追いかける形になっている。

新八ツ山橋13.3㎞-蒲田5.9㎞=7.4㎞

定点順位 名前(大学) 定点間タイム 個人総合 総合トップ差 通過トップ差
5位  橋間(青学) 23分19秒  5)41:14
2位  小笹(東洋) 23分11秒  2)40:54 ②5:01  
3位  川端(東海) 23分12秒  3)41:06 ③10:10
10位 谷口(早大) 23分28秒 7)41:46 ④11:04
1位  中川(日体) 22分57秒  1)40:50 ⑤11:14  
7位  矢嶋(法大) 23分22秒  9)41:49 ⑥11:33
5位  荻久保(城西) 23分19秒  4)41:13 ⑦13:19
9位 苅田(拓大) 23分27秒 13)41:53 ⑧14:18
13位 島貫(帝京) 23分37秒 11)41:51 ⑧14:18
18位  藤田(中学) 23分52秒  14)42:11 ⑩15:28
8位  花澤(順大) 23分23秒  12)41:52 ⑪16:13
4位  伊勢(駒大) 23分13秒  6)41:33 ⑫17:31
12位 枝村(神大) 23分34秒 8)41:47 ⑬19:05
11位 竹内(中大) 23分32秒 9)41:49 ⑭19:55
14位 相沢(東国) 23分43秒 15)42:19 ⑱25:50 [15]21:04
15位  片山(山学) 23分48秒  16)42:24 ⑰25:04 [16]21:09
15  阿部(日大) 23分48秒  16)42:24 21)43:07 [16]21:09
16位  三ッ星(大東) 23分49秒  17)42:25 ⑯23:46 [18]21:10
17位  江島(國學) 23分51秒  17)42:27 ⑮21:17 [19]21:12
18位  佐々木(上武) 23分52秒  19)42:28 ⑳34:34 [20]21:13
20位  戸澤(国士) 23分55秒  20)42:31 ⑲27:29 [21]21:16

この定点間を見ると上位3校のチームは非常に安定していますね。橋間選手や小笹選手といったところはさすが上げてきていますし、川端選手も東海大11年ぶりの総合3位が視界に入ってくる走り、後ろ4位早大・谷口選手も一定のペースで走っていますが、力で引き離しているようだ。

その谷口選手に猛追してきているのが日体・中川選手。12㎞付近で矢嶋選手の前にいる出ている様子が映っていましたが、この定点ではいつのまにか10秒差になっていた。中継所で1分02秒の差があったので、その突っ込み具合がわかる。この勢いならすぐにとらえられそうだ。

城西・荻久保選手の次、8位拓大・苅田選手と帝京・島貫選手が並んで通過する。蒲田では島貫選手が交わして順位を上げていたはずだが、ここは粘りの拓大がそうはさせないといったところだろう。育成型チームの本領を発揮するのはどちらか。

シード権争いは急を告げていた。一旦差が開きかけたはずが、蒲田から一気に29秒詰まり、45秒差となっていた。花澤選手がペースをキープしているのもありますが、藤田選手が失速していた。川崎監督評では単独走と風に強い選手、藤田選手向きの気候な感じだったが、ちょっと想定外の展開だっただろう。勢いという点、花澤選手が最後に大仕事をする可能性が出てきた。

後ろの方では伊勢選手がリズムが出てきて、この定点間は4番目。さすが風がある上尾ハーフで好走した選手だ。一斉スタートは、タイム上は相澤選手が仕掛けてかなり縦長に。数百メートル後のカメラではまた塊になっていた。ここまではかなりスローの集団だが、風除けにもなった集団の今後もちょっと気になる感じだった

田町16.5㎞-新八ツ山橋13.3㎞=3.2km

定点順位 名前(大学) 定点間タイム 個人総合 総合トップ差 通過トップ差
9位 橋間(青学) 9分54秒 4)51:09
5位  小笹(東洋) 9分38秒  1)50:32 ②4:45
15位  川端(東海) 10分00秒  3)51:06 ③10:16
9位 谷口(早大) 9分54秒 7)51:40 ④11:04
6位  中川(日体) 9分48秒  2)50:38 ⑤11:08
17位  矢嶋(法大) 10分01秒  11)51:50 ⑥11:40
15位  荻久保(城西) 10分00秒  5)51:13 ⑦13:25
8位  苅田(拓大) 9分52秒  8)51:45 ⑧14:16
17位  島貫(帝京) 10分01秒  14)51:52 ⑨14:25
19位  藤田(中学) 10分10秒  19)52:21 ⑩15:44
9位 花澤(順大) 9分54秒 9)51:46 ⑪16:13
6位  伊勢(駒大) 9分48秒  6)51:21 ⑫17:25  
14位 枝村(神大) 9分59秒 9)51:46 ⑬19:10
20位  竹内(中大) 10分13秒  17)52:02 ⑭20:14
3位  相沢(東国) 9分31秒  11)51:50 ⑱25:27 [15]20:41
1位  江島(國學) 9分23秒  11)51:50 ⑮20:46 [15]20:41
1.5  阿部(日大) 9分26秒  11)51:50 21)42:39 [15]20:41
2位  佐々木(上武) 9分28秒  15)51:56 ⑳34:08 [18]20:47
4位  片山(山学) 9分35秒  16)51:59 ⑰24:46 [19]20:50
9位 三ッ星(大東) 9分54秒 18)52:19 ⑯23:45 [20]21:10
13位 戸澤(国士) 9分56秒 20)52:27 ⑲27:31 [21]21:18

このあたりは定点ポイントが多いのですが、意外とテレビカメラ上以上に動きが多い区間。まず、テレビで注目を浴びたところは、4位争い。14.3㎞地点で谷口選手と中川選手の差が2秒差となった。谷口選手は風にやや煽られる感じ、中川選手は体幹がブレず、あっという間に順位変動する…と思われた。

そして盛り上がったのは次に映った時だ。15.1㎞地点では差がじりじり広がり始めたのだ。谷口選手としては、追いつかせては相手に元気を与えてしまうということ、それから一般入試同士で支え合った河合選手との当日エントリー変更、彼が自分が走ってれば…と思わせないようにということだったそうだ。苦手な向かい風の中、懸命に逃げにかかる。

他にもいろんな動きがあり、1位と2位との差が久しぶりに5分切り、小笹選手、そして東洋大の1秒を削り出す走りが再びみられている。そして、東海・川端選手はこのあたりから既に失速が始まっていたことも分かりますかね…。この時点ではあまりよく分かっていなかった。

また、8位争いは苅田選手がリード、帝京期待の若手の島貫選手が苦しくなった。その後ろ、藤田選手はこの定点間が一番苦しみましたね。全体でも区間19位で思わしくない感じ。花澤選手が29秒差まで追い上げてきた。花澤視点の映像からでもはっきりと見え始め、このあたりから本当にハラハラしてみていたファンは多くなっていただろう。なお、20番目は中大・竹内選手も一気にペースダウン、スピードランナーがここに置かれるとやはり状態がよくない場合もあるということでしょうか…。

その後ろ、繰り上げ組のペースアップが凄い。東国・相澤、國學・江島、連合・阿部選手が抜け出して前へ、一時ついただろう上武・佐々木、山学・片山選手もこの定点間はとても順位が高い。遅れた大東・三ッ星、国士・戸澤選手でさえ区間真ん中あたり。最後まで気を抜けない戦いが続いている。

御成門18.1㎞-田町16.5㎞=1.6km

定点順位 名前(大学) 定点間タイム 個人総合 総合トップ差 通過トップ差
4位  橋本(青学) 5分09秒  3)56:18
3位  小笹(東洋) 5分08秒  1)55:40 ②4:44
15位  川端(東海) 5分23秒  4)56:29 ③10:30
6位  谷口(早大) 5分16秒  9)56:56 ④11:11
9位 中川(日体) 5分17秒 2)55:55 ⑤11:16
13位 矢嶋(法大) 5分21秒 13)57:11 ⑥11:52
12位 荻久保(城西) 5分19秒 5)56:32 ⑦13:35
6位  苅田(拓大) 5分16秒  10)57:01 ⑧14:23
17位  島貫(帝京) 5分25秒  15)57:17 ⑨14:41
16位  藤田(中学) 5分24秒  18)57:45 ⑩15:59
9位 花澤(順大) 5分17秒 11)57:03 ⑪16:21
5位  伊勢(駒大) 5分12秒  6)56:33 ⑫17:28
11位 枝村(神大) 5分18秒 12)57:04 ⑬19:19
17位  竹内(中大) 5分25秒  17)57:27 ⑭20:30
1位  相沢(東国) 5分05秒  7)56:55 ⑱25:23 [15]20:37
1位  江島(國學) 5分05秒  8)56:55 ⑮20:42 [15]20:37
1  阿部(日大) 5分05秒  8)56:55 21)42:35 [15]20:37
6位  佐々木(上武) 5分16秒  14)57:12 ⑳34:15 [18]20:54
13位 片山(山学) 5分21秒 16)57:20 ⑰24:57 [19]21:02
20位  三ッ星(大東) 5分31秒  19)57:50 ⑯24:07 [20]21:32
19位  戸澤(国士) 5分28秒  20)57:55 ⑲27:50 [21]21:37

10位藤田選手と11位花澤選手の差が22秒差に。藤田選手はカーブの度に切り替えてペースを上げようとしていたそうですが、17㎞地点から脚が痙攣し始めていたそうで。どうしてもスピードをあげることができない状況、まだ決着は付かない。

他、序盤抑えていた一斉スタート組の中では、相沢・江島・阿部選手がこの定点間でもトップになるいい走り。前、ペースが落ちていた竹内選手が眼前に迫ってきている。このあたりの動きも気になるところだ。

馬場先門20.1㎞-御成門18.1㎞=2.0km

定点順位 名前(大学) 定点間タイム 個人総合 総合トップ差 通過トップ差
1位  橋間(青学) 6分07秒  3)62:25
5位  小笹(東洋) 6分17秒  1)61:57 ②4:54
18位  川端(東海) 6分35秒  7)63:04 ③10:58
7位  谷口(早大) 6分24秒  9)63:20 ④11:28
8位 中川(日体) 6分25秒 2)62:20 ⑤11:34
12位 矢嶋(法大) 6分30秒 14)63:41 ⑥12:15
17位  荻久保(城西) 6分34秒  8)63:06 ⑦14:02
8位 苅田(拓大) 6分25秒 11)63:26 ⑧14:41
20位  島貫(帝京) 6分38秒  16)63:55 ⑨15:12
14位 藤田(中学) 6分33秒 18)64:18 ⑩16:25
8位 花澤(順大) 6分25秒 12)63:28 ⑪16:39
6位  伊勢(駒大) 6分21秒  4)62:54 ⑫17:42
4位  枝村(神大) 6分16秒  10)63:20 ⑬19:28
1位  相沢(東国) 6分07秒  5)63:02 ⑱25:23 [14]20:37
1位  江島(國學) 6分07秒  5)63:02 ⑭20:42 [15]20:37
1  阿部(日大) 6分07秒  5)63:02 21)42:35 [16]20:37
14位 竹内(中大) 6分33秒 17)64:00 ⑮20:56 [17]20:56
11位 佐々木(上武) 6分26秒 13)63:38 ⑳34:34 [18]21:13
14位 片山(山学) 6分33秒 15)63:53 ⑱25:23 [19]21:28
19位  三ッ星(大東) 6分37秒  19)64:27 ⑯24:37 [20]22:02
13位 戸澤(国士) 6分32秒 20)64:27 ⑲28:15 [21]22:02

この定点間で青学・橋間選手が初めてトップに!個人順位も3位まで浮上。個人トップの東洋・小笹選手とは差があるが、区間2位とは5秒差まで接近してきた。このあたりは差があるトップでじっくり攻めることができていたということかもしれませんね。

その区間2位の日体・中川選手は、早大谷口選手を捉えられないところ、少しずつ差を開けられている。谷口選手懸命の走り、3位東海・川端選手との差が30秒差となったのに気付いている人はこの時点では多くなかっただろう。あれ…という感じだった。

シード権争いはここで14秒差。だいたい1㎞4秒で縮まった計算だ。ただ、縮まってきているが残りは3㎞ではギリギリ届かない計算…そして藤田選手がこの間14番目と悪いなりに粘っているように見えます。なお、後ろの駒大・伊瀬選手と神大・枝村選手が終盤でも確かな足取りを保っているようです。

大手町FINISH23.0km-馬場先門20.1㎞=2.9km

定点順位 名前(大学) 定点間タイム 個人総合 総合トップ差 通過トップ差
5位  橋間(青学) 9分13秒  2)71:38
4位  小笹(東洋) 9分12秒  1)71:09 ②4:53
7位  谷口(早大) 9分15秒  8)72:35 ③11:30
9位 中川(日体) 9分28秒 3)71:48 ④11:49
20位  川端(東海) 10分45秒  16)73:49 ⑤12:30
13位 矢嶋(法大) 9分39秒 12)73:20 ⑥12:41
15位  荻久保(城西) 9分44秒  9)72:50 ⑦14:33
8位  苅田(拓大) 9分25秒  10)72:51 ⑧14:53
16位  島貫(帝京) 9分48秒  15)73:43 ⑨15:47
10位 藤田(中学) 9分34秒 17)73:52 ⑩16:46
10位 花澤(順大) 9分34秒 11)73:02 ⑪17:00
2位  伊勢(駒大) 9分05秒  4)71:59 ⑫17:34
6位  枝村(神大) 9分14秒  7)72:34 ⑬19:29
1位  江島(國學) 8分58秒  5)72:00 ⑭20:27 [14]20:22
1.5  阿部(日大) 9分01秒  5.5)72:03 21)42:23 [15]20:25
3位  相沢(東国) 9分10秒  6)72:12 ⑰25:20 [16]20:34
14位 佐々木(上武) 9分42秒 13)73:20 ⑳35:03 [17]21:42
19位  竹内(中大) 10分04秒  18)74:04 ⑮21:47 [18]21:47
12位 片山(山学) 9分35秒 14)73:28 ⑱25:45 [19]21:50
17位  三ッ星(大東) 9分55秒  19)74:22 ⑯25:19 [20]22:44
18位  戸澤(国士) 10分01秒  20)74:28 ⑲29:03 [21]22:50

ついに残り3㎞、青学大のビクトリーロードも終わりを告げる。青学としては創部100周年の今年、何とかして総合優勝を達成したかった。ただ、今期は出雲はともかく、勝つチャンスのあった全日本で足並みが揃わずに苦戦。連覇危うしの声もあったけど、トップが見える位置で往路2位、そのあとは3連続の区間賞であっという間に断トツ首位に立った。そして、橋間選手が大手町のゴールテープへ…最後は見事に「ハーモニー」を奏でた。本当に青学大の箱根力を今回も見ることになりました。まだまだ黄金時代は続きそうです。

箱根力と言えば、東洋大も歴史的な快挙を達成しようとしている。85回大会から続いていた連続3位以内の記録を今年も保持、毎年チームが変わる学生駅伝の中で10年連続3位以内だ。ここ4年間は青学の台頭もあり優勝争いに中々入れなかったが、今年は往路は獲得、総合優勝が苦しくなった終盤区間で意地を見せた。若い選手が多い中、10区小笹選手が区間賞を獲得したのは意味があるだろう。

そして3位争いが驚いた。CM明けの21.6㎞地点、早大・谷口選手が川端選手の前に出ていた!少し縮まっていたとはいえ、僅か1.5㎞で30秒差がひっくり返ったということだ。川端選手は力なく、21.8㎞地点で日体・中川選手にも交わされて5位へ後退した。そして3位争いは谷口と中川選手との差が10秒以上となった残り1㎞地点で決着。

まさか早大が3位とは…。全日本シード落ち後にかなり厳しい言葉もあった中、『総合優勝』の目標を変えず、できうる限りのことをしたことが表彰台死守に繋がった部分があったのは確かだろう。昨年は優勝もちらつく中、最後に順位を落としての3位。今年は優勝争いには絡めなかったものの、全員で繋いで最後に3位をつかみ取った。ゴールで待っていた安井主将の涙が印象的だった。

その3位が目標だった日体大が100mの差で4位。出雲3位でサプライズを起こしていたが、その力は本物だった。難しい区間を4年生が攻略し、終盤で3年生以下の選手が懸命に3位の背中を追い続けていた。なお、日体大はこれで7位・7位・4位。上位4校に関しては、今年の成績だけでなく、本当に『箱根力』が高いと感じるところがある。

その後ろ、虚ろな表情で川端選手がゴール地点にやってきた。故障していた中での出走だったそうで、終盤はかなりの脚の痛みに苦しんだと聞く。この4年間東海大を引っ張ってきた一人ですが、走って良かったのかちょっと気になりますが…。ただ、東海大としてはトラック・スピード重視し、更に万全のオーダーが組めなかった中、長い距離でも比較的戦える可能性を見せた今大会だった。来年ついに箱根でも手ごわくなるかもしれない。

その直後まで迫っていた法大・矢嶋選手が総合6位でゴール。法大もこの2年間急激に『箱根力』がついてきた大学だ。今年のシード校の中では一番評価が低かったはずだが、難しい序盤を前が見える位置で乗り切り、箱根の山を文字通り制し、更にポイントで4年生が快走した。育成が順調なら来期は3位候補にも挙がってくるかもしれない。

そこから2分近く離れて7位城西・荻久保選手がやってきた。最後は疲れたが、しっかり順位をキープした。前回は連続出場が途切れ不出場だったチームが、全日本・箱根予選共に下位ながら通過し、そして3年ぶりシード権獲得の大躍進!予選校から最上位の順位となったのも凄い。爆発力が魅力なのは城西大の代名詞になりつつある。

その100m後ろ、最後追い上げた拓大・苅田選手がゴール。拓大は4年ぶりのシード権獲得、執念の往路突進と課題だった6区を走れる選手が出てきたことが多い。最も、往路4位からの総合7位ということで喜びは半減だそうだが、デレセ新主将での次の大会が楽しみだ。喜び半減どころかほとんどなかったのが、9位帝京大。トップ通過し分厚い戦力をほこり復路での浮上を誓っていた。6区で7位浮上も、島貫選手が疲れた感じで9位で終えたことは不満だろう。次こそ爆発となるか。

シード権争いだ。20.2㎞で14秒差だったのが、21.8㎞で15秒差のアナウンス。川崎監督の「最後に脚を残しておけ」とう指示は、長きにわたりシード権獲得に執念を燃やし続けた賜物だったか。ラストはペースを上げた中学・藤田選手が総合10位を守りきった。やや油断もあったそうだが、4年連続シード権は本当によく戦っている。そして奇跡の逆転を夢みた順大・花澤選手は14秒届かず。それでも区間11位ながら、多くの箱根ファンの記憶に残る激走だった。順大としては、エースが残る中、出直しといったところだ。

12位13位には全日本のシード校や優勝校がやってきた。最後まであきらめずに追いかけた駒大・伊勢選手が総合12位。最後はもしかすると10位の背中も見える位置まできたものの9年ぶりにシード権を逃す結果に。5区~8区が連続して区間二けたは誤算だった。全日本制覇の神大は総合13位。久々の優勝のプレッシャーの中、山で泣く形に。それでも4年生の好走も多く、次につながる部分もある。また、大学駅伝を沸かせてほしいチームだ。

ここからは見た目と総合順位が異なる。新八ッ山橋より続く三つ巴の決戦はまずは國學・江島選手が抜け出した。悔しいスタートとなったが、区間5位の好走で國學院と縁のある総合14位でのゴールとなった。凸凹駅伝とも言われるが、ズルズルと下がらなくなったともいえるかもしれない。後者の評価となるのは次回の成績次第だ。

続いてほとんどが苦しかった学生連合だが日大・阿部選手が区間6位相当で意地を見せた。もともと戦力が薄かった中、近藤主将の直前の交代、2区以降は単独走ばかりで初出場の選手の構成では非常に厳しい条件だった。次回は組んでもらえるのかどうか…。東国大は往路で予定通り進めなかったものの、復路で好走区間が3つ。襷も前回出場より多く繋ぐことができた。ここからの4年間が踏ん張りどころになるだろう。

そのあとは1分以上空いて3選手が固まってやってきた。上武・佐々木選手が久々に区間15位以内の成績となる区間13位の走り。2年ぶりの総合最下位の中で収穫と言える。2年ぶりの箱根路で注目された伝統校の中大・竹内選手がその直後。復路は苦しかったが、往路10位と途中まで戦えたのが収穫。来年更にパワーアップしそうだ。片山選手がフィニッシュした山学大は、本当に2区以外は思うようにいかなかった。4年生が厳しく、台頭した下級生もまだ力不足だった。来年は粘りの駅伝がでいるようになっていたい。

最後は2チーム。大東・三ッ星選手がゴール。万全のオーダーが組めず今年は中々駅伝に参加ができなかった。2年生コンビやスカウト失敗と思われた1年生が2人出走できたことが収穫だ。最後は国士大、2区と山の頑張りがあり、昨年よりチーム力の向上が伺えた。来年はもう一つステップアップできていたらと思いますね。


のちに驚いた。1位青学大、2位東洋大、3位早稲田大・・・なんと前回のトップ3と全く同じだった!出雲の東海、全日本の神大も面白いチームと思われた中、最終的には連覇中の青学大と連続トップ3継続中の東洋大、前回から4位5位の呪縛から解放された早大がやっぱり強かった。箱根で絶対に成功したければ、この3校の取り組みはとても注目されるべきものなのかもしれません。第95回箱根駅伝、やっぱりこの3校が強いのか、それとも他の大学が割り込むことができるのか、そういう視点で次回大会を楽しむのも面白いかもしれません。

hakonankit

箱根駅伝の魅力に3歳の頃から取りつかれ、今や全日本大学駅伝や出雲駅伝を含めた大学駅伝、その予選会。大学長距離界がとても大好きな人間です。ブログでは10年以上にわたり、追いかけています。

Share
Published by
hakonankit