【箱根駅伝2025(第101回)】1区を定点別に振り返る

そろそろ箱根駅伝2025(第101回)の余韻が冷めつつありますかね。

レース内容をもう一度じっくりと振り返ってみたいと思います。

例年通りの定点別振り返りとなります。

 予想通り、中央大1区当日変更で入った吉居駿選手がポイントになりました。

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【箱根駅伝2025】1区定点間分析~最初から区間新ペース

まずは出走者を持ちタイムと、過去の実績とともに見てみます。

青学・宇田川瞬矢③28分43秒70≪24出4区5位、関東IC1500m2位、箱10区2位≫
駒大・帰山侑大③29分17秒19≪24出2区4位、箱6区12位≫
城西・久保出雄大④28分38秒98≪24全7区11位、出6区9位、関東IChalf7位、箱6区13位、22予139位≫
東洋・小林亮太④28分12秒77≪24全1区8位、全予4組8位、関東IC1万7位、箱3区6位、23全2区16位、出3区8位、関東IC1万8位、箱3区9位≫
國學・野中恒亨②28分17秒98≪24全5区1位、出4区1位、関東IC1万10位≫
法大・武田和馬④28分57秒70≪24出4区5位、全予4組11位、関東IC5千8位、箱6区1位、23出3区9位、箱6区5位、22箱6区2位≫
早大・間瀬田純平③29分13秒46≪24全1区19位、全予1組19位、箱1区12位、23全1区2位、出5区5位、関東IC1500m、箱1区14位≫
創価・齊藤大空②28分27秒44≪24関東IC3障3位、23関東IC3障≫
帝京・島田晃希③28分31秒58≪24全1区9位、全予4組21位、関東IC5千17位、箱8区8位、23全6区8位、予92位≫
大東・大濱逞真①28分33秒58≪24全1区5位、出2区3位、23高校1区9位、IH5千m6位≫
立大・吉屋佑晟③30分34秒48≪24全1区6位、予71位、箱7区19位、23予207位、全予1組20位≫
専大・新井友裕③28分26秒95≪24予21位、全予4組27位、関東IC1万、23予73位、箱4区19位≫
山学・平八重充希③28分39秒66≪24予69位、全予2組12位、箱9区22位、23予209位≫
日体・平島龍斗③28分20秒32≪24全1区1位、予19位、全予4組9位、関東IC5千11位、箱1区23位、23予86位、22予87位≫
中学・堀田晟礼④28分27秒45≪24予106位、全予4組38位、22全3区15位、予245位、全予2組10位、21予186位≫
中大・吉居駿恭③27分44秒48≪24全7区14位、箱7区1位、23全1区3位、出3区11位、日本5千、箱4区5位、22全3区8位、出6区4位≫
日大・安藤風羽④28分38秒82≪24予57位、全予4組33位、関東IC1万10位、箱3区4位、23予172位、全予3組6位、22全4区17位、予123位、全予1組26位≫
東国・木村海斗④28分21秒24≪24全1区17位、予318位、23全1区7位、予180位、22全5区12位≫
神大・大岩 蓮②29分33秒32≪24全1区13位、予52位、全予1組7位≫
順大・浅井皓貴④28分30秒11≪24予14位、箱2区19位、23全8区6位、出3区6位、関東IC1万4位、箱7区3位≫
連合・片川祐大④亜大28分11秒20≪24全2区9位、予79位、関東IC5千4位、23予93位、全予4組11位、関東IC1万5位≫

 全体的には、1区はスロー想定、前が見える位置で来てくれればというチームが多かったように思える。3強では、駒大帰山選手が実績が抜けていたものの、とはいえ引っ張ったらついてくるだろうというメンバー。國學院大は6区の選手が故障で区間配置が換わった2年野中選手、青学宇田川選手は1500mのスピードランナーなので、明らかにラスト合戦を狙っていた。なお、後から聞いたら足を痛めてはいたが、それでも他にいなかったとのエピソードはびっくり。その他駅伝経験豊富なランナーがいて、どういう展開でも流れで対応できるメンバーを入れたいんしょうでした。

 その中で、当日変更で入った中央大3年吉居駿選手がどうするか。99回大会1区区間記録の吉居大選手の弟さん。前回の箱根7区区間賞以外で、ロードの実績が目立っていなかったためか、思う程注目されていなかったが、11月に出した1万m27分44秒は、当時のお兄さんの1万m持ち時計を上回っていた。スローペースなら、間違いなく脚を余してしまうというところだった。

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定点間分析①大手町START~蒲田

レース展開

スタート、専大3年新井選手が先頭で折り返す
0.3km:一瞬スローになりかけて、中大吉居選手が一気に前へ
0.5km:明らかに吉居選手が一人飛び出す単独走へ、2位集団は牽制状態に
1㎞:中大吉居選手2分46秒、既に2位集団は10秒以上の差 後続は亜大片川選手

3㎞:中大吉居・2位集団との差が170mほどに開いていく。
3.5km:亜大片川選手と専大新井選手が2番手飛び出していく形。3位争いは駒大東洋と混戦

4.6km田町
1位中大、OP連合25秒、2位専大37秒、3位集団40秒

5㎞、中大吉居13分56秒で通過。兄貴の区間記録より9秒早い。

OP連合チームは単独2番手、専大新井選手は集団に吸収され2位集団へ。5㎞は14分30秒台ほど。東洋小林選手が引っ張り、やや縦長で通過する。

7.8km
新八ツ山橋:1位集団、OP連合39秒、2位集団1分08秒

10㎞。中大吉居選手28分06秒、区間記録よりは7秒遅れたものの、軽快なリズムはキープ。日差しの影響か、汗はぬぐうものの、藤原監督「いいよいいよ」

2位集団は29分34秒、東洋小林選手が引っ張り、創価齋藤選手が横、青学宇田川・國學野中選手も比較的前の方に出てきた。

12km:気温が高くなり、アームウォーマーを外す選手も。集団は1㎞3分ペースで落ち着いていて、飛ばしていく吉居選手との差が580mくらいまで開いていく

15㎞:中大吉居選手42分30秒、区間記録からは30秒遅れたものの、軽快なリズムはキープ。2番手亜大片川選手はちょっと下を俯いたり、苦しそうな表情が増えてきた

蒲田15.2㎞
区間記録:吉居(中大)42分34秒

1位中大・吉居駿恭③43分07秒(1)
2位亜大・片川祐大④44分23秒(1.5)1:16
3位東洋・小林亮太④45分05秒(2)1:58
3位創価・齊藤大空②45分05秒(2)1:58
3位國學・野中恒亨②45分05秒(2)1:58
3位城西・久保出雄大④45分05秒(2)1:58
3位日大・安藤風羽④45分05秒(2)1:58
3位駒大・帰山侑大③45分05秒(2)1:58
3位青学・宇田川瞬矢③45分05秒(2)1:58
3位日体・平島龍斗③45分05秒(2)1:58
3位立大・吉屋佑晟③45分05秒(2)1:58
3位法大・武田和馬④45分05秒(2)1:58
3位専大・新井友裕③45分05秒(2)1:58
3位早大・間瀬田純平③45分05秒(2)1:58
3位中学・堀田晟礼④45分05秒(2)1:58
3位山学・平八重充希③45分05秒(2)1:58
3位帝京・島田晃希③45分05秒(2)1:58
3位神大・大岩 蓮②45分05秒(2)1:58
3位東国・木村海斗④45分05秒(2)1:58
3位順大・浅井皓貴④45分05秒(2)1:58
3位大東・大濱逞真①45分05秒(2)1:58

「行くしかない!」中大吉居選手が独走、2番手に亜大片川選手
 スタート直後に、一瞬スローになりかけたところ、思い切り前に出てきたのが中大吉居選手。最初の1㎞から2分46秒でいくと、既に2位集団は10秒ほどの差が空いていた。そこから関東ICで青学・駒大とも戦っている実力者、連合の亜大4年片川選手と、専大の日本人エース3年新井選手が2人で抜け出して追いかけようとするが差が開いていく。

 5㎞13分56秒は、この時点で区間記録より9秒早かった。2番手は単独で亜大片川選手が走り、専大新井選手はもう集団に戻っていた。おそらく5㎞14分30秒程だったと思われて、東洋大小林選手が引っ張っての2位集団なった。ただ、このあたりからはもう牽制となっていた形だった。

 10㎞吉居選手は28分06秒、15㎞は42分30秒ということで、さすがに区間記録からは少しずつ遅れていった。2番手走行の亜大片川選手も見えづらくなり、2位集団はほとんど見えなくなった。その2位集団は10㎞29分34秒ということで、おそよ1分半の差へ。15㎞過ぎの蒲田では1分58秒まで開いた。東洋大は往路4区間変更で入ってきた実力者小林選手が主導権を握っていることで、ほぼ1㎞2分59秒ほどでペースが固まった印象。ここで遅れていた選手はいなかった。

定点間分析②:蒲田~鶴見中継所

レース展開

16.7km:吉居選手の表情が険しくなり、口が空いてきた。1㎞2分58秒程になってきた。後ろの集団も3分00秒なので700mほどの差で変わらず。集団は、前は東洋・創価変わらず。後方は順大浅井・神大大岩選手ら

17.7km六郷橋の上りでペースアップ、日大安藤選手が仕掛ける。これに神大大岩選手や専大新井選手が付けず苦しそう。安藤選手に、国学野中選手らがついていこうとする形。少し縦長気味。

19km:中大吉居選手が2分58秒ペースで進む。区間記録から43秒遅れたものの、最後また切り替えようとしている。藤原監督「区間記録ペースだ、絞り出せ。1㎞2分30秒までいけ!!!」

後方集団は、まだ横広がり。國學野中・大東大濱選手が前へ。早大間瀬田選手が一番後ろになってきた。また視界の中に連合選手の姿も入ってきた。

19.4km
1位中大吉居
OP亜大片川1:42
2位集団1:56
18位日大安藤2:01
19位専大新井2:16
20位神大大岩2:21

参照動画(Youtube)

19.6km:六郷橋で仕掛けた日大安藤選手が遅れて単独18位へ。次留学生にどの位置で襷が渡るか。さらに、20km青学宇田川選手が遅れて17位。創価・東国大も苦しそうか

残り1㎞:連合まで10秒程。ここで城西久保出選手が仕掛けて、一気に縦長に、駒大帰山選手や早大間瀬田選手が反応する。

20.5km:亜大連合を捉えていく。2位日体平島選手が浮上して目まぐるしい展開

残り500m
1位中大吉居23秒
2位日体平島・駒大帰山・早大間瀬田1:43
5位國學野中・帝京島田・山学平八重・城西久保出1:45
OP亜大片川1:46
9位順大浅井・大東大濱1:47
11位東洋小林1:49
12位中学堀田・法大武田1:51
14位東国木村・創価齋藤・立大吉屋1:51
17位青学宇田川1:53
18位日大安藤2:08
19位専大新井2:21
20位神大大岩2:35

参照動画①:1区残り500m

2位駒大帰山
3位日体平島
4位早大間瀬田
5位帝京島田・國學野中・山学平八重
8位城西久保出
9位大東大濱
10位順大浅井・青学宇田川
12位東洋小林・中学堀田・亜大片川
14位東国木村・立大吉屋・法大武田
17位創価齋藤
参照動画②:1区残り200m

鶴見中継所21.3km-蒲田15.2㎞=6.1km
参考:98回吉居(中大)18分06秒<60分40秒>

17位中大・吉居駿恭③18分00秒[1]61分07秒(1)
1位駒大・帰山侑大③17分34秒[2]62分39秒(2)1:32
2位日体・平島龍斗③17分35秒[3]62分40秒(3)1:33
3位早大・間瀬田純平③17分38秒[4]62分43秒(4)1:36
4位帝京・島田晃希③17分40秒[5]62分45秒(5)1:38
5位國學・野中恒亨②17分42秒[6]62分47秒(6)1:40
6位山学・平八重充希③17分43秒[7]62分48秒(7)1:41
7位大東・大濱逞真①17分44秒[8]62分49秒(8)1:42
8位城西・久保出雄大④17分46秒[9]62分51秒(9)1:44
8位青学・宇田川瞬矢③17分46秒[10]62分51秒(10)1:44
10位東洋・小林亮太④17分47秒[11]62分52秒(11)1:45
10位順大・浅井皓貴④17分47秒[12]62分52秒(12)1:45
12位中学・堀田晟礼④17分48秒[13]62分53秒(13)1:46
13位東国・木村海斗④17分50秒[14]62分55秒(14)1:48
13位法大・武田和馬④17分50秒[15]62分55秒(15)1:48
15位立大・吉屋佑晟③17分51秒[16]62分56秒(16)1:49
20位亜大・片川祐大④18分33秒[OP]62分56秒(OP)1:49
16位創価・齊藤大空②17分57秒[17]63分02秒(17)1:55
18位日大・安藤風羽④18分12秒[18]63分17秒(18)2:10
19位専大・新井友裕③18分27秒[19]63分32秒(19)2:25
21位神大・大岩 蓮②18分46秒[20]63分51秒(20)2:44

突き抜けた中大吉居選手!区間記録まで27秒!2位以下に1分半以上貯金!
 吉居駿の足取りは最後まで衰えず。むしろ、途中でペースを落とした分、六郷橋以降も一定のペースをキープし、終盤はまたじりじり区間記録に詰め寄った。61分07秒は堂々の歴代4位、やっぱりロードに自信がついた1万m27分台のスピードランナーはずば抜けて早かった。けん制もあった2位集団には1分半以上の差はキープ、中大は藤原監督「前で走ると本当に楽」と、非常にいい展開になっていく。

順当に強かった駒大帰山選手と、日体平島・早大間瀬田選手の1区巧者

 2番手にいた亜大片川選手は、15㎞付近からは歯を食いしばる表情となっていて、ペースダウン。残り1㎞で捉えられると抵抗できずに下がっていった。並んでいたのは全日本1区区間賞日体平島選手と、昨年全日本1区2位の早大間瀬田選手と、駒大上尾ハーフ61分台の帰山選手の3人。そこから帰山選手が最終的に抜け出して区間2位。やはりここは強かった。強いて言えば、勝負をかけてほしかったが、おそらく強いマークも受けたし、指示も出ていただろう。青学宇田川選手の脚がギリギリだったのは後から知ったことだ。

 続いて20秒程まで、かなりのチームが固まってきた。やはり62分中盤くらいのタイムでは、今の1区のランナーはついてくる。僅差ではあるが、実力者やスピードに長けた選手がやってくる。帝京島田・國學野中選手もスピードランナー、山学大はチームの日本人エース平八重選手、大東大濱選手は、前哨戦から期待の高ったルーキーだ。続いて城西4年久保出選手。前回の箱根一般入試で箱根を走ったことでも話題になったが、今年も堂々の1区。残り1㎞で仕掛けて勝負に出ていての場面、この後の競技人生にもつながるだろう。ここまで9人が通過した。

ヒヤリとした青学大宇田川選手が区間10位で凌ぐ

 その久保出選手と、ほぼ同時にやってきたランナーにびっくりした。青学大宇田川選手が区間10位、思ったより遅れた…のではなく、思ったより上がってきていたのだ。六郷橋を過ぎたあたりで3チーム遅れたところ、20km地点で4チーム目遅れたのが青学宇田川選手だった。その直前で、躓いた影響もあったというが、その時点で総合17位だった。

 Youtubeに上がっていたカメラ映像では、残り500m地点でもまだ総合17位だった。宇田川選手もギリギリのところだったが、「青学大で選ばれた以上、この順位で渡すわけにはいかない」と、ここから意地の追い上げの区間10位だった。その後、東洋小林、順大浅井選手ら強い4年生も続き、最後垂れた亜大片川選手も、16番目ながら総合2位と18秒差と、ギリギリ流れに乗れる位置、ここから創価大齋藤選手が5秒遅れて17位も、次が大エースのチームで、見ている方としては面白い位置だった。

 続いて、18位に日大安藤選手。六郷橋前までは非常に余裕があり、六郷橋の上りでは自ら仕掛けていた。ここで専大新井・神大大岩選手が苦しくなり後退して、19位と20位となった。その後、六郷橋の下りで下がると、安藤選手も遅れてしまった。上りはあまり得意ではないというのもチラリと聞いた。それまで18㎞走っていたダメージは確実にあったか。全体、1位中大が抜けて、2位から17位あたりが20秒少しの塊、18位以降も僅差で続く、一部のチームを覗いて、2区でヨーイドンという展開となった。


hakonankit

箱根駅伝の魅力に3歳の頃から取りつかれ、今や全日本大学駅伝や出雲駅伝を含めた大学駅伝、その予選会。大学長距離界がとても大好きな人間です。ブログでは10年以上にわたり、追いかけています。

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