2月・3月上旬は、箱根駅伝出場チームの振り返りや、次年度への簡単な分析をしていきたいと思います。
続いて、
三大駅伝とも見事なレース!表彰台確保!
城西大学です
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第100回箱根駅伝での総合3位の目標、これは前年度の箱根予選を、通過した際に櫛部監督が立てた目標だ。当時の3年生以下が主体となっていたこともありましたが、箱根駅伝での過去最高は6位、少し高い目標にも思われました。
そんな中、前回の箱根駅伝を総合9位と、5年ぶりにシード権を獲得。しかも1年生を5人起用して繋ぎながら、山本唯選手が5区山登りで区間新記録を樹立して”山の妖精”として一躍時の人になりました。
当時のメンバーは全員残っている中、飛躍のチャンスとなった今季、前半戦の全日本予選をトップ通過をして、久々に三大駅伝フル出場を決めると、山本唯選手とともに2年齋藤・キムタイ選手ら3本柱で、駅伝シーズン楽しみな存在になりました。
出雲駅伝では、1区アクシデントで遅れるも、2区山中選手が好走し流れを作ると、3区キムタイ選手が駅伝でついに好走し順位アップ、4区5区で3位を確実にすると、アンカー山本選手が安定してゴール。目標にはしていたものの、本当に達成した3位。過去最高8位から大きく順位を上げました。
全日本大学駅伝も、やや出遅れましたが、3区4区に配置したキムタイ・齋藤選手のエースが激走!連続区間賞で一気に単独2位まで浮上する爆発力を見せました。その後も安定したレースで、総合5位確保。ここも過去最高が8位だったので、大きく更新する順位となりました。
直後に、キムタイ・齋藤選手が1万m27分台の一線級のタイムを出し、さらに秋好調の山中選手に、今季故障が多かった野村選手が間に合って自己ベスト、課題だった選手層も少しずつ改善され、山本選手は山籠もり。非常に不気味な存在になりました。
3位城西大学10時間52分26秒
区間 | 区間順位 | 名前学年 | 区間タイム | 通過順位 | トップ差 |
1区(21.3㎞) | 3位 | 野村颯斗④ | 61分26秒 | 3位 | 24秒差 |
2区(23.1㎞) | 8位 | 斎藤将也② | 67分15秒 | 5位 | 1分19秒差 |
3区(21.4㎞) | 3位 | ヴィクター キムタイ② | 61分29秒 | 3位 | 2分39秒差 |
4区(20.9㎞) | 5位 | 山中秀真④ | 62分06秒 | 3位 | 3分35秒差 |
5区(20.8㎞) | 1位 | 山本唯翔④ | 69分14秒 | 3位 | 3分17秒差 |
6区(20.8㎞) | 13位 | 久保出雄大③ | 59分55秒 | 3位 | 4分58秒差 |
7区(21.3㎞) | 5位 | 林 晃燿③ | 63分24秒 | 3位 | 5分36秒差 |
8区(21.4㎞) | 17位 | 小田伊織① | 66分25秒 | 3位 | 8分01秒差 |
9区(23.1㎞) | 10位 | 平林 樹③ | 70分20秒 | 3位 | 9分30秒差 |
10区(23.0㎞) | 18位 | 中田侑希④ | 70分52秒 | 3位 | 11分01秒差 |
1区野村選手…2年連続先陣を切った4年野村選手。今年は故障が多かったです。その中で、全日予選3組1位でトップ通過に貢献、夏にも故障し、出雲は飛ばすも、全日本に間に合わせ、その後1万m28分台ベスト、状態が上向いた中での1区でした。
先頭4人には付かずとも、区間記録に近いペースで進む中団には、しっかりとついていきます。勝負どころの六郷橋以降一気に2位争いの中心となり、区間3位で中継。2区3区にエースを配した中、最高の位置での中継となりました。
2区齋藤選手…2年連続2区となった将来のエース2年齋藤選手。昨年は、まだまだ長い距離の連取が不足している中、68分台ではまとめ切っていました。今年は27分台を事前に出して、満を持しての2区出走となりました。
混戦の中、2位と4位のチームが留学生起用で、すぐに単独4位走行。中盤に入り、後方の集団に追いつかれますが、権太坂以降は昨年より脚が溜まっていました。青学や早大には先行されますが、日大を抜いて総合4位で中継所へ。全体的にタイムが出る中、区間8位ながら67分15秒の走り。昨年より1分半短縮して、上位の流れにチームを乗せました。
3区キムタイ選手…城西大初の留学生ランナーですが、今年になって一気に逞しくなりましたね。初駅伝となった前回の箱根では、序盤を抑えすぎてしまい、終盤に大幅に伸びるも区間中位に。駅伝独特の走りに戸惑っていました。それが、出雲駅伝3区・全日本駅伝3区で区間賞を獲得、その後記録会で1万m27分台を出して、自信を持って箱根駅伝に挑みました。
後方から國學院大が突っ込んで追いついてきますが、早大と創価大を交わして、3位争いに浮上。茅ヶ崎を過ぎて國學院大を突き放すと、そのまま総合3位を確保していく走り。トップの青学駒大があまりにも強すぎましたが、61分29秒の区間3位。4位以下のチームは1分近い差を付けました。
4区山中選手…タスキを受けたのは4年山中選手。前回の箱根は10区、シード権がかかる中で見事に総合9位のゴールテープを切りました。今年の出雲・全日本はともに2区、ともに1区が出遅れる形だった中、流れを作り直す走りをしていて、力がついているところを見せていました。
区間一桁で狙える走りを続ける中、東洋大らの猛追に合い、酒匂橋までに秒差に迫られます。でしたが、ここから粘りを見せて、後方を突き放します。酒匂橋以降は、全体トップタイのタイムで走り切り、総合3位をキープ。62分06秒の区間5位の好走で、非常にいい形で山登りに入ります。
5区山本唯選手…大注目が集まった5区山登り区間記録保持者の山本選手の走り。本当は、最終学年で華の2区を熱望していましたが、2年生2人のスピードが非常に高いことで、最終的に3度目の5区山登りに。全日本以降は、スタミナ面の強化が必要と考え、大会には出ずに強化練習。前年は、小涌園以降脚の痙攣でペースを落とさざるを得なかったことを考えると、区間記録は勿論、山の神条件・旧コースでの今井正人さんの記録69分12秒も狙っていました。
雨の中の単独走となりましたが、走りは熱く。上りに入ってから、一人格の違う走りを見せて、区間記録ペースで走行。下りに入ってから苦しくなりますが、遠くに2位駒大が視界に入る位置にまで追い上げ、自身の昨年よりずっと早いペースをキープ。最後は、旧記録に2秒及ばなかったものの、69分14秒の区間新。最高の走りをして、城西大市場過去最高となる往路3位でゴール。
櫛部監督は、旧記録よりも今の記録の方が僅かに距離が長いので、山の神相当の走りをしたと評価。山本選手も、実業団進んでから挑戦予定のマラソンにも繋がったでしょうか。チームとしては、4位に4分近い差をつけて、さらに前を狙っていけるところにいました。
6区久保出選手…復路スタートとなる6区山下り。城西大はここが課題で、シード権を獲得した前回も区間二けたで順位を下げていました。選ばれたのは3年久保出選手。非常に異例の選手で、大学入学時には走力が足りないということで、同好会からスタート。10月に昇格すると、2年時に箱根予選を走るまでに成長していました。また、箱根前日に地震で被災した石川県出身唯一の出走者でもありました。
前駒大が見えそうで見えない位置での単独走でしたが、60分を切るタイムを維持。櫛部監督は「6区は運営管理車が付くのが17㎞、一人でも練習できるのが活きる」というところ、その走りを体現。区間13位でしたが、59分55秒とまずまずの走り。まだ総合2位も狙っていける位置でのリレーとなりました。
7区林選手…2年連続7区となった3年林選手。前回メンバーが多いとはいえ、1区2区3区5区、そして7区も同選手がいて、みな自己ベストを更新してきているのですよね。林選手は出雲4区で区間賞争いをして3位になった走りが印象的。初めて前半区間となった全日本1区は失速。スタミナ不足ということで、記録会には出ずにこの大会に挑みました。
前、駒大がスピードランナーで飛ばしていく中、それに負けない走り。昨年の区間8位より一回り以上成長の、区間5位63分24秒の結果。この区間までは、総合2位も狙えるほどの勢いを保持しました。
8区小田選手…8区を担ったのはルーキーの小田選手。1年生は2人選ばれていましたが、1年目からの出走がかなったのはこの小田選手になりました。1万m29分55秒ベストで、長距離ロードはこれが初めてとなりました。さすがに上位2校とは水を開けられ区間17位。66分少しではまとめたので、今後に繋がる結果でした。ただ、チームとしてはここで完全に単独走となりました。
9区平林選手…9区も2年連続出走となる3年平林選手。経験者が残っているのはいいですね。夏前までは非常に勢いがありましたが、夏に故障、全日本7区を経て何とか間に合わせた形でした。中盤になってややペースが落ち込んだ面もあり、70分20秒の区間10位。何とか復路のエース区間を繋ぎました。
10区中田選手…最後に滑り込んだのは、たたき上げの一人4年中田選手。箱根予選出走はありますが、大学駅伝は未出走。直前の上尾ハーフでチームトップの63分前半を出すなど、懸命の走力アップで、最後の最後でチャンスを掴みました。
それでも箱根駅伝のレベルは高くて、途中まで区間20位付近のタイム。さらにかなり離れていたはずの総合4位東洋大の選手が区間賞のタイムで猛追。射程圏内に入るところまで来ましたが、全員で繋いできた3位は絶対に守りたいと懸命の走り。21秒差まで詰め寄られましたが、逃げ切って見事に目標通り総合3位!三大駅伝全てで、過去最高の成績を収めました。
ここ2年で箱根予選落ちから、一気に箱根駅伝表彰台まで躍進。色んな要因がありましたが、櫛部監督は学内に”低酸素室ルーム”も結構挙げられていますね。心肺機能の評価には結構役立っているとか。山本選手も、大きな試合前にはここで泊まり込んで寝泊りしていたそうで…そうすると説得力は出てきますかね。
また、”楽しくをモットー”というのは、今の指導にも合っているのかもしれません。第80回大会初出場、86回大会にシード権を獲得していましたが、そこからシード権ラインを行ったり来たり、一旦出場が1年ごとになったこともありましたが、ここにきての急上昇。ついに色々と噛み合ってきているのかもしれません。
残る今年の箱根メンバー
ヴィクター キムタイ②27分41秒04≪24箱3区3位、23全3区1位、出3区1位、箱3区11位≫
斎藤将也②27分59秒69≪24箱2区8位、23全4区1位、箱2区15位≫
平林 樹③28分49秒64≪24箱9区10位、23全7区10位、箱9区8位≫
久保出雄大③29分06秒79≪24箱6区13位≫
林 晃燿③29分26秒31≪24箱7区5位、23全1区18位、出4区3位、箱7区9位≫
小田伊織①29分55秒10≪24箱8区17位≫
残る補欠メンバー
桜井優我②28分57秒38/64分59秒≪23全6区10位、出5区6位、箱8区14位≫
磯西健志②29分34秒02
中島巨翔①29分34秒03
小早川凌真②29分49秒51≪23関東IC3障7位≫
浅井晴大郎②30分07秒36
その他有力選手
鈴木健真②29分05秒64≪23箱4区18位≫
山中達貴②29分37秒65
古橋空弥②29分49秒33
玉井正紘②29分51秒35
水越蒼生①29分52秒37
岩田真之②29分52秒77
大沼良太郎②30分18秒54≪23箱6区15位≫
片渕大晴③5千13分59秒02
今年の箱根駅伝3位のメンバーから抜けるのは5人。少し多いですかね。しかも1区3位野村選手、4区5位山中選手、5区1位山本唯選手と、5区区間記録保持者を初め、往路の躍進を支えた選手が結構いなくなるのは、痛手ですね。この2年間の躍進は、彼らの世代の躍進も非常に大きかったです。1年目の箱根予選でかなりの人数が走りましたが、そこから成長した選手が多かったです。
その中で、どうしていくか。現時点では往路の残りの2人、新3年になる齋藤・キムタイ選手がどんどん成長していますよね。箱根前1万m27分台出して、2区3区好走。とはいえ、齋藤選手は同学年区間賞の青学黒田選手には1分差、キムタイ選手も、区間賞には1分半ほど差をつけられています。そのことからもまだまだ伸びしろがありますね。彼らがいるだけで、出雲駅伝は表彰台候補ですし、箱根駅伝は往路序盤は先頭で走ることはありえるかもしれません。
これ以降がどこまで上がってくるかですね。新4年生では、平林・林選手が2年連続復路を走っています。区間一桁の好走もある中、彼らが箱根往路でも区間一桁で走れる力をつけてくれると、出雲駅伝は優勝候補の一角にまであがってくるのではないでしょうか。さらに、たたき上げの久保出選手がいいカンフル剤になってくると思います。また5千m14分切の片渕選手が復活してくると層が厚くなってきますが…。
新3年生では、駅伝経験ということでは桜井・鈴木選手がいますね。桜井選手は前回8区を走り、その後もロードで粘り強い走りを続けていながら、1万m28分57秒を出した11月までは順調でした。同じく鈴木選手は前回往路4区を担当、ケガがありつつも11月に1万m29分05秒を出していましたので、素質はこの世代でも屈指なのですよね。彼が怪我無く練習を継続できるようになると、往路向きなだけに一気に底力が上がってきます。
この世代は、他にも選手が出てきていて、同じく箱根駅伝16人のメンバーには磯西・浅井選手が入っていますし、3000m障害が専門種目の小早川・大沼選手も長い距離ひとまず対応。大沼選手は前回の山下りを担当していますね。また、スピードは高校時代ずば抜けている山中選手も、1万m29分37秒まで自己ベストを伸ばしていて、今後の動向が気になる選手です。
新2年は、城西大の育成らしくじっくりというところですが、小田選手が一足お先に箱根デビューを果たしました。これに1万m持ちタイム上は上回る29分34秒を持っている中島選手は、ポイントになりそうな選手。他、水越・福嶋選手などハーフ65分台で走っている選手は出てきていますので、そのあたりどうか。エースはますます強くなっていきますので、中堅どころがどれだけ台頭してくるかになりそうです。
前回総合9位のメンバーが全員残っているという、毎年選手が入れ替わる大学駅伝界では珍しい状況。大きな飛躍のチャンスでしたが、それでも、その箱根前に掲げていた総合3位の目標は高いかなと思われました。
でしたが選手の成長が凄かったですね。2年齋藤・キムタイ選手が11月に1万m27分台を出したように、高い爆発力をつけてきました。全日本駅伝は3区4区圧巻の連続区間賞でした。5区山登りで名を上げた山本選手は、さらに成長していましたし、同世代野村・山中選手は往路で区間上位を獲れる力をつけてきていました。戦前から評価の高った駒大と青学以外は、往路で圧倒していくくらいでした。
復路は単独走の場面も多くなってしまい、7区林選手以外はやや伸び悩んでしまいましたが、東洋大の猛追を振り切り総合3位をキープしたことは、城西大史上の歴史に残る快挙となりましたね。
次年度は、支えた4年生世代が抜けてしまいますが、爆発力のある齋藤・キムタイ選手らはまだ残っていますし、林・平林選手ら他主力選手の対応次第では、さらなる突進も期待できるチームになるかもしれませんね。
箱根駅伝ファンのための情報集
【箱根駅伝ファンのためのリンク集】
【【結果も!】2022年度箱根駅伝ファンのための競技会日程】
姉妹サイトより
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