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【ほっとした!?】箱根駅伝の全国参加は、茶番に終わりそうなこと

 ようやく、2024年正月に行われる第100回箱根駅伝記念大会の概要が見えてきましたね。

 100回記念大会は、23校が参加。予選には、関東地区のみの参加だったのが、今回に関しては全国の大学が参加可能。選抜チームは組まないというものでした。

 これについて、様々な声が飛び交っています。

「100回記念大会なのに、盛り上がりが欠ける」「全国化は茶番だ」などなど。

 この意見もわかりつつも、個人的にホッとした面もありました。

 そのことについて私見を述べようと思います。

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【ほっとした!?】箱根駅伝の全国参加は、茶番に終わりそうなこと

関東学生陸上競技連盟

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昨年の全国化発表から、これまでの流れ

まず流れをまとめます。

 昨年の6月末、第100回大会は、全国化するという発表がなされました。

>参加資格について 公益社団法人日本学生陸上競技連合男子登録者で、本予選会並びに箱根駅伝本大会 出場回数が通算4回未満である者に限る。
>関東学生連合チームは編成しない

参照:https://www.kgrr.org/event/2023/kgrr/100hakone/100yosen_eligibility.pdf

 箱根駅伝は、関東学生陸上競技連合男子登録者、つまり関東地区の大学のみに出場権がありました。

 その中、100回記念大会は、”全国化する”ということでした。100回記念大会を盛り上げようとする意図はありました。

 でしたが、関東地区以外の大学駅伝チーム、さらには駅伝ファンから賛否の声がありました。

「日程がきつい」「直前に言われても強化が間に合わない」
などなどの声(本文で詳しくまとめます)

その中気になったのが、
101回大会以降も、ずっと全国化するのかどうか。

このあたりは、関東地区以外の大学駅伝チームの、強化の方向性もかかわってくるので、
みんな気になっていた部分です。

その話がようやくまとまったきた模様。

>このたび3校の増枠を行うこととなりました
>昨年6月にリリースした通り連合 チームは編成いたしません
※第101回以降の、参加資格については言及されず

参照:https://www.kgrr.org/files/competition/23/10/100hakone_frame.pdf

 いつもの記念大会通り、3枠の増枠。23チームが出場できるということ。そして、連合チームは、関東も全国も組まない。101回大会以降の参加資格こそ言及はなかったですが、現時点で、関東地区以外のチームや選手の参戦は、チームで予選を突破するしかない状態となりました。

学生三大駅伝における格差

 大学駅伝というと、10月出雲駅伝・11月全日本大学駅伝・1月箱根駅伝が大変有名で、この3つの大学駅伝をまとめて『学生三大駅伝』と呼びます。その中で一番有名なのは、正月に放送される箱根駅伝でしょう。

 正月に家族で見やすい時間帯に放映されていることもありますが、2日間10区間に分けて行われ、さらに箱根の山など見どころ満載。逆転劇が起きたり、目が離せないドラマ性が相まって、毎年30%近い高視聴率を保持。お正月の風物詩と言われています。

 ところで、この3つの駅伝。全国の大学が参加できるものと、関東地区のみが参加できるものがあります。出雲駅伝と全日本大学駅伝が全国大会に対して、箱根駅伝が関東ローカル大会なのです。もともと、関東学連が主催であったため、このようになったのですが、

 箱根駅伝が大変有名で人気が出ました。そのため、学生長距離選手が、関東地区の大学に一極集中。出雲駅伝・全日本大学駅伝も、上位勢はほとんど関東地区が独占。全日本大学駅伝では、関東地区以外のチームは繰り上げスタートに遭う程、差が広がっています。

 このため、青山学院大原監督など一部の陸上関係者が、箱根駅伝を全国化し、全国で大学長距離を盛り上げようという動きがありました。第100回記念大会からなら、それを機運にして、進みやすいように思いました。

 でしたが、結局は100回記念大会のみの全国参加の方向になりつつあります。選抜も編成しないとのこと。記念大会分の増枠はありますが、先ほど述べたように、関東地区とそれ以外の戦力の差は非常に大きく、今回だけとなると関東地区以外のチームや選手の参戦は、実質難しくなりました。

 これに、青学大原監督は、全国化は『茶番』と憤慨。日大OBで箱根出走経験のある俳優・和田正人さんは、戦力差がある中、記念大会のみとなった経緯を知りたい、とツイートされていました。

 個人的には100回記念大会として盛り上がりに欠けるかなぁという気持ちはありますが…。箱根駅伝を全国化することは、反対だったので、ホッとしている部分もあります。個人的に思う理由を書いてみます。

①他地区には、箱根駅伝以外の文化が根付いている

 関東地区の大学は、春から

関東インカレなどトラックシーズン→(全日本大学駅伝予選会)→夏合宿→出雲駅伝or箱根駅伝予選会→全日本大学駅伝→箱根駅伝

の過程を毎年続けていっています。その中で、特に箱根駅伝を重視しています。

 出雲駅伝出場校は、その年の箱根のシード校から選ばれるので、出雲駅伝→全日本大学駅伝or箱根駅伝予選会→全日本大学駅伝に分かれます。

 他の地区はどうかというと、

秋の出雲駅伝→全日本大学駅伝→その地区の大学駅伝(関西・東海・九州地区など)

となります。要は関東地区でいう箱根駅伝のような存在が、他の地区にもあるということなのです。なので、他の地区は、他の地区で、年間通しての流れができているということなのです。

②箱根予選を兼ねると非常に厳しい日程に

 その中で全国した場合の、日程を見てみましょう。

 10月出雲駅伝→10月箱根駅伝予選会→11月全日本大学駅伝→11月連合選考→11~12月各地区駅伝→1月箱根駅伝

 素人目に見ても、非常に過密日程になるのがよくわかると思います。しかも出雲駅伝から箱根駅伝予選会は中5日ほど、また3週間ほどで全日本大学駅伝と、とても高いレベルで走らないとなりません。ですが、疲労や故障も考えると難しいと思います。それにあくまでも、全国駅伝は、出雲・全日本駅伝、こちらに合わせていく必要があるでしょう。

 このあたりは、山梨学院大の優勝メンバーで、現広島経済大監督の尾方剛氏が話されています。

箱根駅伝の全国化 青学・原監督「厳しく言えば、茶番」のワケ 地方の大学に聞くと…

動画:RCC NEWS DIG Powered by JNN

 また、仮に連合チームがあった場合、11月下旬にどこかの記録会で、結果を残す必要もあります。連戦が続いた中、箱根駅伝本戦へ臨むことになるということを考えると、やはりピークを持っていくことや、維持するのが難しいと思います。

③800m・1500mなど、中距離種目の強化も進める土壌も

 これはまた別の視点になります。800mや1500mなど中距離種目や、そのスピードを活かして、5000mなどに繋げようという流れが、一定数あります。例えば、中四国地区の環太平洋大の選手が、昨年800m日本記録タイの成績を残しました。

 日本インカレを見ると、800mや1500m(3000m障害も少し)に関しては、関東地区以外の選手の上位入賞も目立ちます。このあたり、20km超えの箱根駅伝がなかったり、個人種目に専念しやすいのも、あるのかなと思います。

 箱根駅伝を目指すとなると、ある程度大人数で長距離の練習メニューをこなして、雰囲気を整えていく必要があります。個人種目に割く時間が短くなりますし、中距離種目の選手も、箱根駅伝を目指すためのマンパワーになる面も出てくるでしょう。

 箱根駅伝出場がある関東地区の大学は、東海大など一部を除いて、陸上部といっても、ほとんどが長距離選手のみのところが多いです。中距離などほかの種目はなかったり、あってもスポーツ推薦などではなく、一般入試の部員のみという状況です。中距離をやりたい選手の選択肢を残したい・増やしたいということもあり、個人的には反対側の人間でした。

 なので、一応予選会が全国参加可能くらいに留まったのは、ほっとしました。

100回記念大会の盛り上がりのことだけは、ちょっと残念

 最も、箱根駅伝の100回記念大会の盛り上がりに欠けそうだということは、ちょっとだけ残念な気持ちもあったりします。勿論、例年の記念大会同様、3枠の増枠はありましたが、いつもの記念大会になりました。全国枠とはいえ、関東地区とそれ以外のチームの格差も非常に大きいので、実質関東地区の大学23チームの参加になりそうです。

 また、80回記念大会の時のように組んだ、日本学生による選抜チームもないので、地方の選手の参加は実質なくなっています。こういうことも影響してかどうか、一時は参戦を表明していた福岡大や関西大が、参戦の取りやめを表明しています。実際に、秋が近づいてきて、日程上の厳しさの現実に直面したところもあるかもしれません(現時点で、参加表明チームは、立命館大・皇學館大・愛知工業大のみ)

 だからこそ、日本学生連合くらいは、何とか編成する気概は見せてほしかったかなぁと思います。80回記念大会は、関東地区の選手数名と、他地区の選手の組み合わせで実現、本戦でも6位相当の記録を残していました。今回編成したとして、そこまでいくかはともかく、個人で強い全国の選手が、100回記念大会を走る姿は見たかった…。

 それくらいですかね。ひとまずは、今の形で101回大会以降も継続していってもらればというが本音です。


コメント

  1. kt より:

    自分は地方創生の観点から箱根駅伝は101回大会以降も全国化を続けるべきだと思います。この点は青山学院大学の原監督も同様のことを言っていますね。
    報道を見ると101回大会は通常通りということですが、102回大会以降は言及されていないので、102回大会以降の全国化を期待したいです。

    • hakonankit より:

      >ktさん
      全国参加にし続けるのはいいのかもしれませんね。現状の日程で、色々ときついのは確かですが、それでも参加したいという大学が出てくるのを待つ方がいいでしょうかね。

  2. 坂巻圭一 より:

    私もまったく同じ考え方でした。
    もともと関東ローカルの大会が全国的に有名になったということ。
    地方から関東に一極集中するとが悪のように言われますが、学生数がさらに減ってくるなかで、有望な人材が関東に集まって切磋琢磨しレベルアップできる面は評価できます。
    逆に人材が全国に散ることで、全体的なレベル低下が心配です。
    私もそうでしたが、箱根駅伝を走りたいから関東の大学を選びました。
    いま在学中の地方の大学生は、もともと箱根駅伝を目指していません。
    本気で全国化するなら、10年後に全国化くらいのアナウンスじゃないと、地方の大学の強化も自力での出場も不可能だと思います。
    と言う意味では、100回大会への1年前の解放も意味がなく、連合チームを全国化するのが最適だったと私も思っております。
    また、全国招待大学対抗男女混合駅伝はまだ3回大会で盛り上がりに欠けますが、このような大会によって、全国的なレベルアップを図ろうとしている意図が伝わります。
    歴史と伝統と人気のあるものにすぐ飛びつくより、こういった新しい試みの大会を盛り上げる努力が先決だと思っております。
    私見の長文失礼しました。

    • hakonankit より:

      >坂巻圭一さん
      100回記念大会を盛り上げるということで、日本学生選抜は、今回限りでも組む必要があったかなぁと思います。箱根予選に参加不参加関係なく、80回大会記念の時は選抜していましたし…。
      全国化に関しては、やるならずっと、参加資格は、全国にしておく形でいいのかなと思っています。これなら考える大学チームも出てくるかなと思います。

      基本的には、関東地区は箱根駅伝は目指すしていく、それ以外の地区もしくは実業団に進む選手は、目指していくわけではない。ということで、流れができていると思いますので、そこを敢えて変える必要があるのかは、ちょっと疑問に思いますね。

  3. 半世紀以上前の長距離ランナー より:

    原監督が箱根駅伝の全国化を言い出したときに、その理由を明確に語っています。
    100回記念大会を盛り上げるとか地方の長距離を盛り上げるなどという目先の狭隘な考えではなく、陸上競技全体のことを考えてのことです。
    つまり、
    陸上は野球やサッカーに比べて人気がなく、最大のコンテンツである日本選手権さえ1日に5万人の観客が入ったことがない。
    そのため有能な少年たちが野球やサッカーに目を向け陸上に目を向けてくれない。
    幸い、箱根駅伝という全国的なコンテンツがあり、少なくともその時期には陸上に目を向けてくれる。
    その際、地元の大学が出場していれば、少年たちの目を野球やサッカーから少しでも陸上に向けさせることができる。
    そのためには、継続的に箱根駅伝の全国化を進めるべきだ。
    他の駅伝との日程の調整などは、その気になればさほど困難ではない。
    地方の駅伝は、その地方の陸上関係者だけのコンテンツにとどまっており、関係者以外の一般人とは無縁の大会となっている。

    今回の関東学連の決定は、箱根駅伝というコンテンツやTV放送料などを地方の学連と分割したくないというのが本心です。
    そのため、原監督や和田氏が立腹しているんです。

    全国化でレベルが低下するのでは?との意見があったので、付言しますと、50年前の長距離種目の日本ランキング100位のタイムはシューズやトラックが改良されたおかげもあって驚くほど短縮されています。
    しかし、トップクラスのタイムの短縮は微々たるもので、高速シューズや高速トラックがなければ、ほとんど短縮されていないのが現状であり、全国化でレベルが低下する可能性があるのは一般的な選手層だけだと思われます。

    • hakonankit より:

      >半世紀以上前の長距離ランナーさん
      たくさんのご意見お言葉ありがとうございます。
      最近の原監督が使われた言葉「地域振興」というのがピンときませんでしたが、元々のサッカーや野球への対抗心ということで、繋がりました。やるなら、選抜云々はともかく、常に全国化くらいは必要がありますね。

      日程に関しては、出雲駅伝や全日本大学駅伝、どちらかを廃止するくらいは行う必要があるかなと思っています。選手層は、最終的にしっかりと全国化できれば大丈夫なはずでしょうか。今回の全国化への投石が、よりよい方向に進めばいいですよね。

  4. 駅伝ファン より:

    第100回限定の全国化は仕方ないとは思いますが、そうなるとほとんど意味がないと思うのですよね… せめて日本学生連合ぐらいはやってほしかったです。
    全国化と連合チームなし以外は、95回大会と同じなのはがっかりです。
    第100回なので、出場チームを25チームぐらいに増やして盛大にやって欲しかったです。

    • hakonankit より:

      >駅伝ファンさん
      第100回の盛り上げということでは、いつもと同じになってしまったのがうーん的なところありますかね^^; 出場枠の交渉は難しかったのかなと思いますが、もう少しやりようなかったかなぁとは思ってしまいます