もうすぐ新年度になりますね。
大学生駅伝は新しいチームになっていきますが、
その代わり、卒業して、大学駅伝チームを去っていくランナーもいます。
今年度を持って卒業していくランナーを大学別に振り返っていきます。題して、卒業生特集です。
なお、入学直前の箱根駅伝の成績順で振り返ります。
箱根駅伝2019(第95回)の1位~4位、
東海大・青山学院大・東洋大・駒澤大になります。
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多くの選手がスポーツ推薦で入学しています。だいたい高校3年の春~秋あたりに内定となります(一般受験性などは除く)。つまり、箱根駅伝の成績としては高校2年生時の大会が軸になります。そのため、今の4年生が、高校2年生時の成績から見比べていきます。
今の4年生の、入学直前の箱根駅伝の順番に変えたら…、当時の優勝校は東海大!その前の年も、東海大は黄金世代への期待で、大学駅伝で優勝候補に挙がっていました。その東海大に入学、
下級生時には、激しいレギュラー争いにに揉まれ、上級生になってからは、黄金世代の卒業の影響での、戦力ダウンに大きく翻弄…。最後の箱根予選で多くの4年生が出場しましたが、その後の箱根駅伝は苦しい結果になりました。
最初に頭角を現したのが、松崎選手になりますね。箱根駅伝連覇を目指す中、上尾ハーフで62分少し、当時のジュニア記録上位のタイムを出して、連覇の期待が高まりました。結果的に、総合2位となりますが、松崎選手本人は7区3位の好走で、3位から2位に浮上。前を追い上げる快走。この直後に、黄金世代卒業ということもあり、新チームのエースとして、期待が高まりました。
ただ、その後松崎選手は故障などで長らく苦しむことに…。それでも、2年時のチーム状況は、まだ優勝を狙える戦力。出雲駅伝はコロナ禍で中止になりましたが、連覇を狙った全日本駅伝では、最後まで駒大と争って総合2位。箱根駅伝は、3区で一時トップになるなど見せ場を作ってい総合5位。ここに6区山下りで川上選手が、長い距離に定評があった竹村選手が10区で区間一桁で好走。他、1万m28分台で当時メンバーだった濱地選手も8区を走っています。
3年時になって、主力選手が増えてきます。一方で、卒業生の穴が大きく、かなりの戦力ダウンが囁かれていました。それでも、全日本大学駅伝には松崎選手が、ついに復帰。何とか体制を整えてました。でしたが、松崎選手がエース区間2区で対応できず苦戦。それでも5区山登りで上位へ。2年連続6区山下り川上選手、9区となった竹村選手がシード権内で粘りましたが、最終10区で僅かに届かず。予選に回ることになりました。
そして最終学年、主要となったのは宇留田選手。ここまで大学駅伝など出走は無かったですが、期待値はもともと高かった選手。焼津ハーフで好走するなど、長い距離で引っ張ります。箱根駅伝予選会では、彼ら含む6人の同学年選手が出走。竹村選手が欠場しましたが、松崎・川上選手に、佐藤・宇留田・金澤・杉本選手が上位通過に挑みました。
失速した選手もいて、予選は9位通過。それでも、松崎選手はさすが上位、佐藤・宇留田選手の健闘もありました。全日本駅伝は、4区川上選手、5区佐藤選手、6区宇留田選手、7区松崎選手、8区竹村選手と5人の4年生リレー。4区までに遅れてシード権獲得はなりませんでしたが、5区以降は区間8位から11位にまとめていて、長い距離や単独走に手応えを掴んでいました。
また、箱根駅伝エントリー前に、5区山登りの予定だった下級生が体調不良に。関東IC3障入賞経験があり、前回の箱根も5区補欠だった杉本選手の起用も濃厚になりました。29日には5区杉本6区川上7区松崎8区佐藤9区竹村10区宇留田選手と、6人の4年生がズラリ。秋以降の実績から、ほぼそのまま…かと思われました。
でしたが、実は松崎選手ら体調不良に見舞われた選手もいて、最終的に走ったのは杉本・川上・竹村選手のみに…。往路4区までは頑張ってシード権内も、代役5区杉本選手が失速、復路経験者の川上・竹村選手が懸命に前を追う走りをするも、総合15位。中々もう少し思い通りにいかないことも多かったですね…。
そんな中、中距離戦線に進んでいた飯澤選手が素晴らしい活躍。毎年インカレで優勝争いを繰り広げていましたが、4年目に大きく躍進!3分40秒のベストを出すと、関東ICや日本選手権で優勝!個人のやりたいことを重視する住友電工でさらなる飛躍を目指します。他にも、実業団で続ける選手も多い、ここからさらに伸ばしていけるか注目です。
まさに青山学院大が黄金時代を築いている最中に入学してきたのが、青学大の今の4年生になってくるのですね。とはいえ、ちょうど第95回大会に連覇が「4」で途切れたのが、入学直前の時。チームとして、新たに歴史を作り直すタイミングでの入学になりました。原監督は、”持ちタイムはあるけど、実績は少ない”という評だったと記憶しています。
その中で、一番最初に頭角を現してきたのは、岸本選手でしたね。夏前の記録会で、気象条件が悪い中で、終盤に独走になって、原監督”強い選手”と評価されました。秋になって、三大駅伝全てで出走。出雲2区区間賞鮮烈デビューを飾ると、全日本・箱根も2区。箱根2区は、先頭集団で脚を溜めると、最後の上り坂で末脚を爆発!トップで襷リレー。ここから青学大が勢いを経て、復活の総合優勝!間違いなく、エース格になっていくと思われました。
でしたが、その中岸本選手は故障で長期の離脱。次の大学駅伝は、3年の全日本駅伝になるのですから…かなり耐え忍ぶ期間が続きましたね…。その間に、他の同級生がぐんぐんあがってきました。秋の記録会で、近藤・中村選手らが自己ベストを出して、優勝候補として全日本大学駅伝に挑みます。
その全日本では、2区近藤3区中村選手のリレー。気負った近藤選手が区間二けたで失速、それを中村選手が獲り返すレース。一番最初の駅伝は近藤選手失速していたのですよね。箱根駅伝では、岸本選手が空いた2区を、中村選手が出走。でしたが、不得手な登りもあり、今度は中村選手が区間二けたに。その後、往路は二けた順位のゴールになりあmす。
逆に、復路7区起用となった近藤選手が、シード権争いの最中に区間3位の好走。チームの順位を引き上げます。また、10区にはここから3年連続同区間を走ることになる中倉選手が出走。懸命の追い上げで、一旦3位争いまでチームを浮上させて、4位でゴール。区間4位とまずまずの走りでした。
そして、ここから一気に突き抜けてきたのが近藤選手。9月日本IC5千mで優勝すると、出雲駅伝で1区起用。貫録の区間賞を獲得、そのあとからエース区間への投入になりますね。また終盤の区間には、5区目片6区横田選手が初出場。目片選手はやや苦しい走りになりますが、スタミナ自慢の横田選手が粘りの走り。熾烈な2位争いを制して、一躍名を上げましたね!あの独特の卓球風の腕振りも印象に残りました。
全日本大学駅伝では、復調してきた中村・岸本選手が2区3区へ。岸本選手が復活の区間3位の走りでチームを流れに乗せます。その後浮き沈みあり、主要区間7区に入った近藤選手がタスキを受けたのは、連覇を狙う駒大と全く同じ位置。格上相手に厳しいと思われましたが、中盤まで食いついて、20秒差に留める激走!一気に近藤選手の評価が上がった大会でしたね。
箱根駅伝では、エース区間に配置された2区近藤選手が、トップと1分ほどの差にとどめる好走。その後チームが逆転して往路優勝します!総合優勝に向けた復路で、同級生が3人出走。全日本後、再び怪我していた岸本選手が7区区間賞。
そして、復路スタート時に、9区10区で区間新が出るかもしれないと語っていた原監督。配置されたのが中村・中倉選手選手。下りが得意なのでコースがあっているという中村選手が67分15秒、2年連続の中倉選手が67分50秒!過去の区間記録よりも、30秒以上早いタイムで駆け抜け、また一つ箱根駅伝のレベルが上がったことを印象付けました。
この世代が最終学年になる今年は、青学大圧勝になるのでは…そんな予想も立ちましたが、そう簡単にいかないのが学生駅伝。いや、個人として飛躍した選手は多くいます。日本IC5千連覇のエース近藤選手以外にも、4年春になって自己ベストの更新が続いた目片選手や、岸本選手も関東ICで上位。中村・横田選手も自信を深めていました。
また、ここまで大学駅伝未出場の選手でも、別府大分毎日マラソンで、主将となった宮坂選手が好走。関東ICハーフでは西久保選手が2年連続健闘、畦地・関口選手らも長い距離で安定、西川選手が関東IC1500mでまずまずの成績を収めるなど、上がってきていました。
出雲駅伝前に故障者が出て少し編成を変えました。1区に目片選手抜擢、2区スピード区間に横田選手、3区エース近藤選手で先手を取りに行きます。この時点で2位に付けますが、その後後退6区中村選手が懸命に追い上げますが4位に終わります。
岸本選手らメンバーが復調した全日本駅伝は、1区目片選手が飛び出していく展開で好スタートを切るも、2区で大きく後退します。3区から懸命の反撃、4年生選手も4区横田選手が区間2位でゴボウ抜き、5区岸本6区中村選手選手田繋ぎ、7区近藤選手が区間2位ながら区間新で一旦総合2位浮上。初駅伝となったアンカー宮坂選手が、総合3位でゴール。
中々、総合優勝に手が届かないな中、MARCH対抗戦では、28分20秒付近に近藤・岸本・横田・目片選手ら、主力の4年生がずらり。多くの選手に高い走力が備わっていることを示しました。それから9区10区ホルダー中村・中倉選手は勿論、2年時から山登り候補に挙がっていた脇田選手や、山下り候補として西川選手、関東ICハーフ覇者経験のある西久保選手と、レベルの高い4年生が9名エントリー、連覇を狙っていきます。
その戦いは途中まで順調でした。1区目片選手がしっかり上位集団内でまとめて前が見える位置で中継、2年連続2区となった近藤選手が、66分半ば区間2位好走で追い上げ。駒大・中大の選手との大接戦で中継所に飛び込んだのは、箱根駅伝の名シーンに数えられます。3区横田選手が、区間8位となりますが、4区で再び首位争いに浮上します。
そして、原監督が戦前から自信があると話していた山。5区脇田選手が当日変更で配置へ。とはいえ、実は6区山下りの予定だったのですが、前日に5区出走予定の選手が発熱。急遽5区へ。準備不足は否めない中、区間9位。とはいえ、2分以上トップとの差になります。さらに、一旦は補欠となってから急に出走となった西川選手が、全く自分の走りができず区間最下位。初出場の4年生で懸命の奮闘も、まさかの結果となってしまいました。、
そのあとの区間も苦戦が続き、苦しかった中救ったのは9区当日変更の岸本選手。前回の中村選手が走れなかったですが、もう一人の柱が躍動。この時点で総合8位でしたが、区間記録を上回るペースで一気に総合3位に浮上!1年時に箱根2区を好走した選手が、最後に裏区間で意地を見せました。10区中倉選手も故障上がりながら、総合3位をキープ。平地区間では、優勝校と渡り合う結果でした。
とはいえ、最強世代。箱根駅伝だけで終わりません。2年連続で別府大分毎日マラソンに参加した横田選手が、2時間7分47秒の日本学生新記録で、MGC出場権を獲得!スタミナに自信がある選手と言う印象でしたが、これは、本当にびっくりしましたよね。他にも、近藤選手らエース選手は勿論、箱根出場ならなかった西久保・関口選手らも続けます。卒業しても、ずっと注目の世代になりそうです。
90回大会から優勝こそできていなかったとはいえ、ずっと箱根駅伝で表彰台に入り続けていた東洋大。その中で、今の4年生が、高校生の時に、往路で2連覇。相澤・西山選手らエース選手の大活躍もありました。大学駅伝の優勝と言うのも意識して入学した選手は少なくなかったと思います。
でしたが、ちょうど高速化が一気に進んだ大学駅伝界。上位に入ることもあれば、シード権争いになることもあり、上位常連の東洋大でもここ数年は、懸命に上位に食らいついていた形でした。最後の学年も、万全の体制ではなく、楽な戦いではありませんでした。そんな中、懸命にチームを引っ張りました。
4年間活躍した選手がいますね。最終学年では主将を務めていた前田選手。全日本大学駅伝で登場し、6区で粘る走り。箱根駅伝でも抜擢され、終盤登りがある8区で区間6位、ある程度まとめていました。これは東洋大らしいロードに長けた選手が出てきたのではないかと、この年選手層の薄さで総合10位苦しんでいた東洋大の中、注目を集めました。
また、直前に主力選手の故障もあり、6区の控えとしてエントリーしていた及川選手が10区で出走。区間19位でしたが、何とかシード権内でゴールしました。その後はトラック1500mを中心に活躍、関東ICでの入賞もありmす。駅伝の出場争いには中々かないませんでしたが、4年時に全日本駅伝予選会にて出場。3組で抜擢されるなど、トラックでの信頼は高かったです。
2年時からは徐々に主力として台頭する選手が増えてくるところ。高校時代から有力ランナーだった児玉選手が徐々に波に乗ってきて、1区のスペシャリストとして呼ばれ始めたのもこの時。全日本1区、さらに箱根駅伝1区でも上位と差がない区間9位とまとめ、復活の総合3位に向けて好スタートを切っています。
その後も、往路起用となった前田選手が、スピード区間の3区で頑張り区間8位。そのあと、当時の上級生の選手の活躍もあり、往路2位ターン。復路も総合3位争いのままアンカーへ。任されたのが、その後3年間10区を走ることになる清野選手でした。中盤まで区間下位争い、後方青学大がどんどん追い上げてきて、一旦交わされます。それでも、ここまできて総合3位から落とせないと、気合で復活。接戦を制して総合3位をもぎ取るのですね。これは熱い展開でした。
さらに上位に畳みかけたい3年時。出雲駅伝が主力落ちながら、大健闘。これに1区児玉3区前田6区柏選手と主要区間にこの世代の選手が走っていいるのですよね。酷暑の中、児玉選手と前田選手が粘り、4区5区で順位を上げ、6区初出場の柏選手で2位争いとなります。柏選手は、この年に一気に台頭してきていて、関東IC本番で1万m28分台を出すなど、注目が高くなっていました。青学と国学の接戦の中、区間7位で総合3位でゴール。長い距離への期待も高くなりましたね。
ところが、全日本大学駅伝で落とし穴。児玉・柏選手が、新型コロナの予防接種時の副作用の影響で、欠場。結果的に、この世代では2区前田選手のみ出場。スピード区間無難にまとめますが、中盤以降でアクシデントもあり、まさかのシード権落ち。箱根のシード権だけでなく、全日本も長く続いていましたから、苦しい結果でした。
そんな中、箱根駅伝は底力を見せます。1区児玉選手が区間12位の滑り出し、2区3区後輩が頑張り順位浮上。4区には、初出場の木本選手が大抜擢。調子の良さで起用されますが、力不足で18位。一旦、シード権争いに落ちます。それでも、復路徐々に浮上。復路終盤までに、後方を引き離します。
9区に前田選手が入り、序盤から積極的な入りで68分台の区間5位。総合7位に浮上すると、アンカーに絶好調だった清野選手。東国大らの選手と激しい競り合いを制して、一気に順位アップ。残り200mで駒大に追いついて3位争いにまで浮上。最後競り負けて4位でしたが、区間2位の好走。高いチーム力を見せていきます。
しっかりと結果を残したい最終学年。関東ICでは各選手が上位入賞。前年長距離が無得点だったこともあり力を入れていました。児玉選手や、ロードで力を付けた木本選手、1500mの及川選手など奮闘が目立ちました。全日本予選は、前田選手を欠く誤算がありましたが、児玉選手らがカバーして2位通過。しっかりと、三大駅伝を戦う姿勢でした。
夏には、柏・清野選手が北海道マラソンで好走し、健闘。柏選手は、MGC出場権を獲得し一躍時の人になりました。そこから、秋口の記録会もまずまず。ただ、エース選手が故障して、切り札不在の状況で戦わざるを得ませんでした。出雲駅伝は、ずっと1区を務めている児玉選手が区間二けたに沈んでしまい、そのまま置いていかれる形に。出雲駅伝は9位になります。
全日本大学駅伝は、初めて1区以外となった3区児玉選手4区前田選手で何とかシード権争いということでした。とはいえ、総合力は高いものがあった東洋大、そのまま8位以内をキープ。マラソンの疲れが癒えた柏選手がアンカー、8位ギリギリでしたが前が見える位置でのゴール。箱根駅伝に向けて士気を高めていました。
でしたが、今年は調整に苦しみます。エース選手が間に合わず、代役2区の選手も体調不良明け、その他の区間も少し変更がありました。まず1区でしっかり上位に付けたかったですが、児玉選手が離れてしまう誤算。最終学年は苦しみましたね…。
2区で戦前通り苦戦。最下位争いに落ちた場面もあり、シード権獲得も危ぶまれる場面もありました。それでも4区初の箱根となった柏選手が何とか粘り総合14位で、5区山登りとなった前田選手へリレー。
この5区山登りは区間記録を出した前任者が卒業、誰になるのか直前になっても予想が分からない状況でした。まさかの4年生エース格前田選手は、駅伝ファン話題になりました。確かに、前半・後半あらゆる区間に対応していたユーティリティープレーヤーとして有名でしたが、まさかの山登りでした。
シード権を追いかける展開で、序盤の平地から思い切り突っ込んでいく展開ながら、71分21秒の区間5位で走り切り、シード権と約1分半差となる総合11位まで浮上。復路逆転へ望みをつなぎました。
復路は、6区7区もたつき、シード権と約2分差の12位に。そんな中、猛追したのが8区木本選手。区間賞の快走で、総合11位、10位も視界に入る差にまで追い上げます!大学に入ってから8度の疲労骨折、前回の箱根4区の失速もありました。それでもめげずに仕上げての走り凄まじかった。勢いを得たチームは、9区でシード権内に上がると、3年連続10区清野選手が、逃げ切りました。苦労も多かったですが、何とか意地を見せましたね。
今後は、MGCをもう獲得した柏選手にやっぱりまずは注目ですかね。児玉・前田選手らも実業団に進みますね。その他、最後の箱根駅伝直前に1万m28分台を出して、メンバー争いを繰り広げた荒生選手など、この世代も忘れられないですね。
この4年間は駒澤大でしたよね。全日本大学駅伝は3連覇、箱根駅伝は今年と一昨年と優勝。勿論ですが、まもなく卒業する4年生の選手たちの活躍は、欠かせません。駅伝で活躍、それを超えた領域まで伸びて、今後も成長しそうな選手たちばかりです。
面白いのが、彼らが勧誘を受けている時だろう駒澤大は、必ずしも強かった時の駒大ではない。なんなら、進路を決めはじめる高校2年の箱根駅伝時は予選落ち。大八木監督も、自分の指導は、もう通用しないのでは…と言われていたときです。
そんな大八木監督が、惚れ込んだのが田澤選手。もうモノが違う、指導者として、絶対に世界の舞台に立たせないといけないと、もう一度情熱を取り戻すキッカケになったのですよね。年齢が上がり、一時辞めていた朝練を自転車で追うのを再開したり、一方通行のコミュニケーションから、選手に寄り添う指導にも変えました。
まずは、田澤選手本人がやはり凄かった。高校時代の実績から、トラックが得意な選手かなという印象。その印象は違いなく、どんどん記録が伸びていき、大学3年生の日本選手権で27分39秒21の当時の日本人学生歴代2位の好タイムで2位、東京五輪にあと一歩まで近づきました。
その後、3年生冬前に27分23秒44の、日本人学生新&日本歴代2位&オレゴン世界陸上標準突破記録!!4年生になってから、体調不良等に苦しむ時期がありましたが、オレゴン世界陸上には出場。その世界の早さを体感しました。
また、卒業直前にも海外遠征をおこない、途中まで日本記録を狙えるペースで走り27分28秒04の記録。今後、どのような練習をすればいいか、道筋が見えたと言います。この後、まずはトラックから、日本の陸上界の新たな歴史を作っていく選手になると思います。そして、これ当然ながら大学駅伝を史上最高レベルの走りをしながら、こなしているのですよね。
出雲駅伝でいきなり主要区間3区抜擢。トラックのイメージなのでどうなのだろう?と思ったのが、とても失礼。他校上級生のエース選手相手に激しいつばぜり合い。そして残り500mから、規格外のスパートで先頭へ躍り出してそのままリレー。こうなったら、駅伝ファンも、今後に大いに期待せざるを得なくなりました。
全日本大学駅伝は、1年生ながら長距離区間の7区を担当。田澤選手本人も少し戸惑いはあったそうですが、それでも区間賞激走、8位から4位へチームを引き上げます。箱根駅伝は3区で、最初の1㎞3分00秒で大八木監督から「攻めろ!」と檄。ペースを上げると61分25秒の区間3位好走。13位から6位へ順位を上げる好走。2年時から完全にエースとなっていきます。
2年時はコロナ禍の中になりますが、田澤選手本人も、同世代の選手たちも着々と力をつけていきます。全日本大学駅伝では、序盤から大混戦に。その中で、5区酒井6区山野8区田澤選手と、終盤区間を2年生が任されました。酒井選手が区間2位好走。山野選手も区間4位で繋ぎ、優勝戦線で戦い抜きます。
7区終了時で、青学大東海大が見える3位。タスキを受けた田澤選手が、中盤までに青学大を突き放すと、終盤まで東海大とがっぷり四つ。終盤の上りでも脚を溜めると、残り2㎞を切ってから、火の出るようなスパート!見事に優勝のゴールテープを切りました。駒澤大久々の大学駅伝制覇に、とても湧きました。
箱根駅伝では、優勝候補の一角。1区が出遅れて、2区エース区間に入った田澤選手は追い上げるも区間7位。田澤選手としては、大学駅伝で唯一区間3位以内を外したレースに。とはいえ、順位はあげ、4区酒井選手と9区山野選手も懸命の力走。その後、10区で3分以上の差を大逆転で優勝!優勝メンバーになります。
その後、酒井選手が残念ながら退部してしまいましたが、下級生の勢いもあり、チームとしてはどんどんレベルが上がっていくことになります。また、田澤選手が3年生ながら主将に。大八木監督からは、ここで視野を広げてもらって、4年生の時に競技専念できるようにと配慮もあったそうです。
この年は、当時の2年生以下を中心に、トラックで5千m13分台を出すランナーが続出。1万m28分台も急激に増えていましたね。先述の田澤選手の27分39秒以外にも、27分41秒、28分02秒を出す後輩が出ていました。当然、大学駅伝が楽しみになってきていましたね。
ただ、夏に練習を上げ過ぎてしまった影響で、故障者が続出。山野選手もいない状態。ギリギリの中で組んだ出雲駅伝は、酷暑と強風で力を発揮できない選手が多く、アンカー田澤選手の前には優勝圏外へ。8位から3人抜いて5位に上がるのが精一杯でした。
後半型にオーダーを組み替えた全日本大学駅伝は采配的中!4区あたりから徐々に乗っていくと、5区出走を射止めた東山選手が区間8位とまずまず走って終盤に繋ぎます。そして一つ前の7区となった田澤選手が、区間賞の怒涛の追い上げ。8区での青学大決戦を制して、見事に連覇!大エースの田澤選手をうまく生かした展開でした。
田澤選手が27分23秒の記録を出したあとの、箱根駅伝。田澤選手は華の2区で、そのダメージを感じさせない走り。先頭に立つと、単独走が多かった中、66分13秒の日本人歴代2位のタイム、さらに留学生を含めての区間賞獲得!素晴らしい走りでした。その後チームは順位を落としますが、箱根に間に合わせて密かに区間記録も狙っていた9区山野選手が区間4位好走の見せ場も。ただ、連覇ならず総合3位となったのは悔しかった。
山野選手はその後、新チームの主将に任命。直後、実業団ハーフで60分40秒の当時の日本学生記録で、その走力を発揮。完全に駒大のエースの柱の一人にまで上がりました。
ここまで、田澤・山野選手がこの学年目立っていましたが、同級生大坪選手が5区山登り候補として箱根エントリー。さらに4年になって、関東IC1万mで小野選手が、同ハーフで円選手がまずまず好走。5千m13分台を藤本選手が出すなど、4年生の懸命の練習が、成果に表れ始めました。
このあたりからでしょうか。チーム内から自然に”大学駅伝三冠”の声が上がり始めます。いつも”目標は3位以内”と答える大八木監督も、大学三冠を宣言します。そして、この時には田澤・山野・円選手だけにでしたが、今シーズンを持っての大学駅伝監督の勇退を表明します。
全体に三冠を獲ると引き締まって臨んだ出雲駅伝。下級生の頑張りで、3区に入った田澤選手に先頭で襷リレー!実は1週間前に急性胃腸炎に罹っていたという田澤選手、万全には程遠い中でも、後方を寄せ付けずリレー。4区襷を受けた山野選手が、優勝への流れを決定づけて、9年ぶり優勝!そして、まずは1冠目を獲得しました。
全日本大学駅伝は、1区で円選手がデビュー!夏に一番練習を積めていたといい、10月の記録会でも大幅に自己ベストを出してました。終盤の仕掛けについていくと、区間4位好発進!流れを作ると、3区に入った山野選手が単独先頭へ。一気に流れを作ると、7区田澤選手に約2分もの貯金をつくって襷リレー。田澤選手は狙っていたという留学生が盛っていた区間記録を大幅に更新!全日本駅伝3連覇に華を添えました。田澤選手は、全日本駅伝で4年連続区間賞でしたね。
そして、三冠がかかっていた箱根駅伝。1区は全日本駅伝に引き続き円選手。上尾ハーフで61分台を出していて、その走力は本物。スローの大集団で脚を溜め、六郷橋の下り直後の動きで飛び出して区間2位好走!最初で最後の箱根で大仕事をします。先日のNYCハーフで現役引退があまりにも惜しく感じます。
2区田澤選手が、10㎞過ぎで単独先頭に立ち、一気に抜け出していくと思いきや…、どうも昨年より苦しい走り。実は箱根1ヵ月前に新型コロナに感染。一番大事な時期に練習を積めず、それでも駒大のエースとして、三冠を獲るための出場でした。最後に首位は明け渡したものの、予定の67分半ばより大幅に上回る意地を見せました。
その後チームは5区で単独先頭に。復路も単独先頭をキープし、総合優勝が近づきますが、2位中央大が8区終了時でまだ約1分差でした。ここから優勝を決定づけたのが、3年連続9区となった山野選手。序盤、区間記録ペースで突っ込んだことで、一気に視界から見えない差に。貫録の区間2位で、優勝を決定付けました。主力の人数は多くありませんでしたが、1区2区9区バッチリと主要区間で4年生が決め手の、大学駅伝初の三冠でした。
田澤選手は1万mで世界で戦う準備を着々と進めますし、山野選手は先日のハイペースとなった東京マラソンで勝負しに行っての2時間15分台と今後が楽しみな結果。さらに全日本大学駅伝で一度走っている東山選手も、北信越地元で頑張ります。彼らの活躍も今後楽しみですね。
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ウマ娘【競走馬元ネタ解説シリーズ】