【立教大学】第99回箱根駅伝2023振り返りと、次年度へ向けて

2月・3月上旬は、箱根駅伝出場チームの振り返りや、次年度への簡単な分析をしていきたいと思います。

続いて、
55年ぶりは、往路から勝負できず
立教大学です

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【立教大学】第99回箱根駅伝2023振り返りと、次年度へ向けて

 2024年に大学設立150周年となる立教大。その年の箱根駅伝復帰を目指して、2018年の11月、上野裕一郎監督(当時DeNA選手)を迎え入れて強化を図っていました。実質の強化生がちょうど4学年揃うということで、目標としていた年度でした。

 それが、1年前倒しの今年復帰を果たしたのは大いに話題になりましたね。3年生まで、高校時代の実力者が揃い、まずは全日本予選を本気で狙いましたが、出場できず。上野監督「このままでは箱根も無理だ」との言葉で、夏合宿の士気が上がりました。

 ここ数年の箱根予選のレースを見て、前半から攻めて粘った方がいいとみていた上野監督。15㎞まで1㎞3分ペースの45分以内で走って、そこから粘り倒す作戦に。

 それはコースが変更(正確には元に戻る、15㎞から昭和記念公園のアップダウン)になっても、当日の気象条件が悪くなっても変わらず。実際のレースでは、15㎞地点で総合5位につけ、その後も大きな失速はなく、6位で通過。55年ぶり出場に沸きました。

 本戦16人エントリーは、強化生の3年生以下のみ。それでも、直前のMARCH対抗戦では、箱根常連校と台頭に渡り合っていた。出場するだけのチームではないだけに、何とか流れを掴みにかかりましたが、箱根駅伝本戦のレベルは思った以上でした。

箱根駅伝2023振り返り

18位立教大学11時間10分38秒
往路20位5時間38分51秒・復路16位5時間31分47秒

区間 区間順位 名前学年 区間タイム 通過順位 トップ差
1区(21.3㎞) 18位 林虎太朗② 64分05秒 18位 1:21
2区(23.1㎞) 18位 國安広人① 69分37秒 18位 4:18
3区(21.4㎞) 16位 関口絢太③ 64分01秒 19位 6:28
4区(20.9㎞) 16位 馬場賢人① 64分08秒 18位 9:26
5区(20.8㎞) 20位 相澤拓摩① 77分00秒 20位 15:41
6区(20.8㎞) 14位 内田賢利③ 60分30秒 20位 17:49
7区(21.3㎞) 14位 服部凱杏③ 64分28秒 19位 18:59
8区(21.4㎞) 15位 山本羅生② 65分50秒 19位 20:12
9区(23.1㎞) 12位 中山凛斗③ 69分44秒 18位 21:30
10区(23.0㎞) 15位 安藤圭佑② 71分15秒 18位 23:27

1区林選手…55年ぶりの継走、最初の走者に選ばれたのは2年林選手。関東IC・全日本予選など各大会安定した走りを披露していた。夏前には、5千mでチームトップとなる13分49秒をマークしていました。ただ、初物に弱いのが上野監督の気がかりだったとか。

 スローとなった大集団、終盤に向けてじわじわペースが上がっていく中、16.3㎞地点で集団に付けないくなり、単独で総合19位に。その後、落ちてきた東海大を中継所直前で交わすも、前と差が離れた総合18位でのリレーになります。

2区國安選手…エース区間2区に抜擢されたのは、1年生の國安選手。入学直後から1万m28分台を出した逸材。箱根予選では、15㎞以降に順位を上げていって、チームトップでゴールして、新しい時代を予感させた選手だ。

 とはいえ、位置としては苦しい位置。ほぼ同時スタートの東海大が強く、一気に行ってしまい単独19位へ。中盤からは、落ちてきた東洋大と上がってきた専大と最下位争いに。終盤、大東大を交わして17位争いの中、総合18位でリレー。懸命に粘ったものの、区間18位で69分台は、もう少しというタイムだった。

3区関口選手…立大のエース格の3年生関口選手が3区へ。MARCH対抗戦で青学大勢に割って入って1万m28分29秒を出していたのは記憶に新しいところ。1区でも良かったのですが、前回の学生連合を走った先輩に憧れ、3区に強い希望を持っていました。

 追い上げたいところ、序盤は東洋大の選手と競り合い区間一桁のペース。62分台は出せそうな雰囲気でしたが、気負いもあってか中盤で動きが止まってしまいました。一旦抜いた専大交わされ総合19位へ。個人16位の64分01秒の成績は、不完全燃焼だった。

4区馬場選手…往路に2人目の1年生となる馬場選手。箱根予選には登場していませんでしたが、高校時代から1万m29分前半の
タイムを出していて、将来のエース候補の選手です。

 途中で専大を交わして総合18位へ。その後は、全く前が見えない単独走となりますが、ある程度ペースはキープ。64分08秒の区間16位で走り切ります。

5区相澤選手…山のノウハウに関しては、上野監督の中にはあまりなかったようで、苦戦は免れないと戦前から話していましたね。選ばれたのは1年相澤選手。1万m30分台ですが、激坂王などで、登りの感触は確かめていました。

 でしたが、本格的な登りに入ってから、全くリズムが掴めず、ズルズル後退。77分かかり断トツの区間最下位。総合でも最下位に落としてのゴール。走力の高い選手を、夏頃から準備させる必要を感じたみたいです。

6区内田選手…一斉スタートの復路の出足、大切にしたい山下りは、3年内田選手が出走。3障で日本選手権で戦う脚力がありながら、箱根予選も3年連続で出走し、長い距離も対応していた選手でした。

 どこまでやれるか未知数でしたが、一斉スタート組の上位陣とやり合い、小涌園地点で区間6位の走り。その後は少しペースが落ちましたが、609分30秒の区間14位とここまでで一番の区間順位。前が点々とする位置でのリレーとなりました。

7区服部選手…この7区に名の知れた選手が入りました。3年服部選手、中学時代から有名で、佐久長聖高校でも活躍していました。ただ、大学に入ってからは怪我不調の時期が長く、この箱根も11月の時点では16人に入る予定ではなかったそうです。

 でしたが、直前の合宿で急激に調子が上向いてきて、出場へ。序盤は抑え気味でしたが、中盤からじわじわと区間順位をあげていく走りで区間14位64分28秒。見た目で帝京・専大を交わして17番目に浮上、総合も専大を交わして19位に浮上しました。

8区山本選手…MARCH対抗戦で1万m28分45秒を叩き出した、活きの良い2年山本選手を8区に投入。もし、シード権が狙える位置であれば、8区からの3区間には、密かに自信があったそうです。

 でしたが、レースはすぐ後方にいた帝京大山中選手が区間記録ペースで突っ込み、やり合う展開に。これには遊行寺坂手前にはペースダウン。何とか66分以内の区間15位にはまとめ、見た目18番目でリレーします。この時点で、トップと見た目は14分31秒差でした。

9区中山選手…復路のエース区間9区に、唯一の箱根経験者3年中山選手を投入。前々回に、連合で4区を走りましたが、区間18位相当と力負け。その時のリベンジを果たしたいという強い気持ちで挑みました。

 序盤は、前見えていた東海大らを追いかけて区間一桁のペース。中盤、やや区間順位は落としますが、大きくペースダウンはせず。終盤に、落ちてきた山学大を捉えて17番目に浮上します。

 実は、箱根予選が終わった後に故障。箱根駅伝出場できる目途が立ったのは、本戦の10日前だったそう。その中でも力強く駆け抜けて、今回の立大最高となる区間12位。多くの声援の中、かなり余裕を持っての繰り上げ回避でした。

10区安藤選手…アンカーは2年安藤選手。トラックではまだ目立っていないものの、箱根予選で2年連続二けた順位と安定した走りを見せている選手だ。

 前が4チームほど点々と見えている状況。区間一桁のペースで追っていき、中盤に秒差まで迫った場面もありました。でしたが、さらに早いペースで山学大が抜き去った後にペースダウン。アクシデントがあった東海大を交わして見た目17番でゴール。総合は18位。個人としては、区間15位でした。

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 往路が、全体的に力負けしてしまいましたね。1区で後手踏んでから、流れを戻していく力もなかったと思います。概ね大会で安定していた3区関口選手が、少し調子が下降気味の中、追い上げる展開になったのも、痛かったのかもしれません。

 心配された山区間は、5区山登りは通用せず。上野監督も、「有力新人も入る、走力が上がらない限りは最後の箱根になる」と厳しい言葉も。

 一方、少し自信があったという復路。6区内田選手が、一斉スタート組に大きく後れを取らなかったところ、7区以降は前が見えていたり、他校と競り合い場面も多くみられました。

 それでも、他校と絡むにはあともう少しという位置でのゴール。1万mトラックの走力面は、ほぼ追い付いてきていますが、戦えそうで戦えなかった、第100回大会に向けて、追いかけていくところになるのでしょう。

次年度へ向けて

 さて、箱根出走者はおろか、16人エントリーが3年生以下となっていますので、全員が残っているのですね。

残る今年の箱根メンバー
関口絢太③28分29秒24
≪23箱3区16位、22:予69位、全予4組15位、関東IC5千14位、21:予87位≫
山本羅生②28分45秒06
≪23箱8区15位、22:予143位、全予2組23位、21:予257位≫
中山凛斗③28分50秒52
≪23箱9区12位、22:予45位、21:予34位、箱根4区18位相当、20:予90位≫
國安広人①28分53秒80
≪23箱2区18位、22:予21位、全予4組30位≫
林虎太朗②28分55秒09
≪23箱1区18位、22:予55位、全予3組7位、21:予253位≫
馬場賢人①29分01秒69≪23箱4区16位、22:全予3組24位≫
安藤圭佑②29分13秒26
≪23箱10区15位、22:予53位、21:予77位≫
服部凱杏③29分22秒88
≪23箱7区14位、22:予202位≫
内田賢利③29分46秒38
≪23箱6区14位、22:予177位、日本3障8位、関東IC3障7位、21:予250位、20:予262位≫
相澤拓摩①30分17秒95≪23箱5区20位≫

残る補欠メンバー
後藤謙晶②29分13秒30
≪22:予290位、21:予281位≫
永井 駿①29分22秒65
≪22:予97位、全予1組15位≫
山口史朗②29分35秒36
≪22:全予2組27位、21:予365位≫
岸本健太郎③29分43秒62
≪22:全予1組22位、21:予194位、20:予234位≫
稲塚大祐②29分46秒64
中田紫音②30分08秒41

その他有力選手
忠内侑士③29分34秒78
≪22関東IC1万half、21:予210位、20:予362位≫
稲塚大祐②29分46秒64
白瀬賢也③30分05秒18≪20:予326位≫
中田紫音②30分08秒41
小倉史也①30分11秒88
青木龍翔(大牟田)≪22IH1500m3位≫
木代博也(水城)≪22高校2区17位≫
髙田遥斗(仙台育英)≪23高5区5位≫
野口颯汰(学法石川)≪23高7区5位≫

 強化世代が4年生に。1万m持ちタイムトップの関口選手は、勿論リベンジを期するでしょう。こんなものでなく、往路で通用する実力者のはずです。復路でひとまず流れに乗れた中山・服部・内田選手の最後の伸びも楽しみにしています。

 現2年生は、1区を務めた林選手が2度目で結果をしていくはず。復路を担った山本・安藤選手もまだまだ伸び盛りです。また、この学年は、高校時代に1万m29分13秒の後藤選手もいるのですよね。結果が中々出ませんが試合には出るようになっています。今後が楽しみです。

 そして現1年生ですよね。國安選手が、目覚ましい活躍。箱根2区は、まだもう少し通用しなかったですが、伝統を作り始めた立教大のエースになっていくか。

 同じく往路を担った馬場選手もやはり楽しみですし、本戦は走らなかったですが、予選で97位好走している永井選手もいます。相澤選手も早速宮古島駅伝で、他校にに食らいつく結果を残しています。

 新入生も迎えて、もっと選手層が厚くなってきます。まだ他の常連校程の選手層ではありませんが、チーム内の競争が激しくなり、今回箱根駅伝を走った選手のレギュラーも安泰でないくらいまで上がってくると、箱根駅伝でも戦えるチームになるはずです。

まとめ

・55年ぶり出場は、往路はホロ苦最下位
・2区國安4区馬場選手1年生奮闘も
・復路は区間15位前後を刻むも、戦うにもう少し
・エントリー全選手残る来期、勝負を駆けられるか

 55年ぶり出場に沸きました。トラックの1万m平均はぐっと上がってきて、100%うまくいけばシード権ラインも狙っていく…そんな体勢でしたが、やはり甘くありませんでした。

 1区林選手が、六郷橋手前から遅れると、総合18位付近の争いに終始。3区最も持ちタイムの良い関口選手でも追い上げられず、2区4区に入った1年生國安・馬場選手も、もう少しだった。

 不安だった山は、5区山登りがブレーキになった一方、6区山下りは内田選手が何とか区間14位で踏ん張る健闘。7区以降は服部・中山選手ら有力3年生が、前を追い上げる走りを見せて、繰り上げは余裕で回避して見せた。

 全体的に、少しずつ通用せず、常連校との競り合いに手が届きそうで届かなかった、そんな印象です。今回走った10名のランナーは、全員残りますが、それぞれ何が足りないと感じたか。

 次の年度は、強化世代が4年揃いますので、勝負の年。全日本予選の突破、そして本戦でのシード権以上を目標として、臨んでいける戦力です。


hakonankit

箱根駅伝の魅力に3歳の頃から取りつかれ、今や全日本大学駅伝や出雲駅伝を含めた大学駅伝、その予選会。大学長距離界がとても大好きな人間です。ブログでは10年以上にわたり、追いかけています。