2月・3月上旬は、箱根駅伝出場チームの振り返りや、次年度への簡単な分析をしていきたいと思います。
続いて、
狙い通り!山登り起点に5年ぶりシード権
城西大学
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ここ数年は高速化の対応に苦しんでいた。箱根駅伝のシード権は、5年前の94回大会以来遠ざかっていた。それどころか、出場と予選落ちを繰り返してしまっていました。前回は前半抑えて、そこから上げきれませんでした。
それでも懸命の強化を重ねてきました。2大会前出場した選手が3年生になってぐんと成長。また、城西大初の留学生を導入して、上位校相手に戦いを挑みます。
全日本予選は惜しくも次点になりますが、1年生が最終組を走った中でした。その後の、ホクレンで5千m自己ベスト続出。箱根予選は、全体的に前半から攻めていき、見事に3位通過!
その後の記録会でも1万mで主力が自己ベスト、また激坂王では城西大の選手がワンツー。山登りを起点に爆発力を兼ね添えている、”意外性”は発揮できるかも…??という評価の中迎えた99回箱根駅伝でした。
9位城西大学10時間58分22秒
往路9位5時間29分08秒・復路10位5時間29分14秒
区間 | 区間順位 | 名前学年 | 区間タイム | 通過順位 | トップ差 |
1区(21.3㎞) | 11位 | 野村颯斗③ | 63分13秒 | 11位 | 0:29 |
2区(23.1㎞) | 15位 | 斎藤将也① | 68分46秒 | 15位 | 2:35 |
3区(21.4㎞) | 11位 | ヴィクター キムタイ① | 62分41秒 | 13位 | 3:25 |
4区(20.9㎞) | 18位 | 鈴木健真① | 64分24秒 | 13位 | 6:39 |
5区(20.8㎞) | 🥇位 | 山本唯翔③ | 70分04秒 | 9位 | 5:58 |
6区(20.8㎞) | 15位 | 大沼良太郎① | 60分32秒 | 10位 | 8:08 |
7区(21.3㎞) | 9位 | 林 晃燿② | 63分58秒 | 9位 | 8:48 |
8区(21.4㎞) | 14位 | 桜井優我① | 65分35秒 | 10位 | 9:46 |
9区(23.1㎞) | 8位 | 平林 樹② | 69分11秒 | 10位 | 10:31 |
10区(23.0㎞) | 6位 | 山中秀真③ | 69分58秒 | 9位 | 11:11 |
1区野村選手…城西大3年生主力選手の一人、野村選手が1区に入りました。2大会前は、6区山下りで好走していた選手ですが、往路のスピード勝負に魅力を感じていました。
スローな展開から徐々にペースが上がっていく大集団の中で走っていき、六郷橋以降の仕掛けにも集団内で対応します。残り1㎞手前まで集団についていて、トップと29秒差の区間11位。選手が前後する流れの中でのリレーで、1区の役目を果たします。
2区斎藤選手…往路で1年生3人リレーとなりましたが、口火を切ったのが斎藤選手。箱根予選ではチーム内2番手、激坂王で全体のトップなど、評価がうなぎのぼりの選手。往路序盤を強く希望していて、その通りの2区になりました。
序盤から激しい順位変動に揉まれる中、日体大や東国大の実力ある4年生と、中盤まで並走するなど対等に渡り合えます。権太坂以降はやや苦しい走りになり、少し順位を落とし総合15位で中継。
とはいえ、68分44秒の区間15位。設定タイムの68分半からはそれほど差は付かず。夏合宿も全て走りこめたわけではなかったそうですので、大器の片鱗は充分見せたレースでした。
3区ヴィクター選手…城西大初の留学生ランナーとなるヴィクター選手。箱根予選で、日本人トップより早いタイムで走り切り、長い距離の目途が立っていました。ただ、初駅伝ということが懸念材料でした。
最初の定点藤沢で区間最下位のタイム。元々慎重な性格だそうですが、ちょっと抑え過ぎましたかね。終盤は区間賞選手をも上回る走りで、国士大山学大を抜き、総合13位に浮上。62分41秒区間11位は次年度の伸び代に期待です。
4区鈴木選手…もう一人1年生の選手が続きました。こちらも高校時代からの実力者。全日本予選1組での好走もありました。その後試合に出ませんでしたが、上尾ハーフで64分台。その後調子を上げてきて、往路抜擢となりました。
序盤はまずまず。ペースの上がらない日体大を交わして総合12位に浮上しますが、酒匂橋前で山学大に交わされたあたりで、両脚が痙攣。区間18位と苦戦となりました。総合13位ですが、前と1分20秒以上離れた状況での襷リレーとなります。
5区山本選手…やや離された中、山登りでの快走が必須でした。2大会前当時1年生ながら区間6位で好走していたのがこの山本選手。3年生になって1万m28分25秒とチームトップの成績、激坂王も練習シューズで好タイムを出して、自信をつけていました。
本格的にな上りに入ってから、一気にエンジン全開。区間木を苦を上回るペースで前を追っていき、山学大・明大・東海大とかなり前方だったチームを捉えていきます。櫛部監督の「”山の妖精になれ”の檄も、かなり有名になりましたね。
実は15㎞付近から、脚の痙攣があったそうですが、チームのシード権のため、そして区間記録ペースという事も知り、懸命に粘り倒しました。最終盤で創価大も交わして、往路9位!タイムも70分04秒の区間新記録!このパフォーマンスで、一気にシード権内までチームを浮上させました。
6区大沼選手…復路スタート、大事な山下りの区間には、4人目の1年生となる大沼選手。3000m障害を得意とする選手ですが、箱根予選にも登場して、長距離ロードにも対応していた選手です。
序盤から中盤は、区間下位のタイム。創価大に交わされ総合10位に後退。一時は11位東洋大にも30秒程の差に詰め寄られる場面もありました。でしたが、前方から落ちてきた東国大と競り合い粘りを見せます。最終的に総合10位、11位と1分15秒差でのリレーとなりました。
7区林選手…城西大の秘密兵器的存在の2年生でした。箱根予選は走っていませんでしたが、上尾ハーフ63分22秒好走。関東IC1500mで戦うスピードを併せ持つ選手でした。
序盤から、東国大の選手と9位争いを展開。区間一桁が狙うタイムで推移しますが、明大が区間賞ペースで猛追してきます。終盤は、東国大を突き放し単独9位走行。明大にも追いつかれず襷リレー。63分58秒の区間9位で、シード権内で流れを継続させます。
8区桜井選手…8区に5人目の1年生となる桜井選手を投入。中々珍しい采配ですね。箱根予選は走っていて、65分03秒のチーム9番手でフィニッシュしています。彼をMVPに上げる駅伝ファンが多いですね。
すぐに明大の選手が追いついてきて食らいつく形になりました。この明大の選手は箱根2区の経験もある4年生だったのですが、それは詳しく知らなかったとか。食らいつくうちに、11位東国大が失速し、シード権が近づいていきます。
遊行寺坂以降はつけなくなり、単独10位に。終盤は苦しい走りになりますが、65分35秒のタイムの区間14位。東洋大が猛追してきますが、凌ぎ切って総合10位で襷リレー。シード権内で耐え抜きました。
9区平林選手…復路のエース区間に、活きのいい2年生平林選手を残していました。箱根予選を79位で走り切った後、1万m28分台をマーク。ぐっと成長してきていました。
序盤は早めのペースで入り、7㎞で明大に追いつき9位争いを展開します。11㎞付近で突き放し単独9位へ。終盤は今度は東洋大が追いついてきて、激しい9位争い。最後に競り負けますが、区間8位69分11秒の好走。11位との差を1分以上に開けました。
10区山中選手…アンカーには、城西大3年生の主力の一角、山中選手が控えていました。1万m28分台のスピードもあり、箱根予選も2年連続二けた順位の安定感もありました。
すぐ前にいた東洋大と9位争いをここも展開。一旦抜け出す動きもありましたが、10㎞過ぎからはまた併走となります。後方、東国大が猛追してきていますが、しっかりとしたリズムを刻み続けます。
脚を溜めて、16㎞以降に併走しながらペースアップ。定点間トップのタイムで駆け抜けて、一気にシード権争いの決着を付けます。そのままラストスパート争いで、東洋大を競り落として、総合9位!見事5年ぶりシード権獲得となりました。
往路2区3区4区に1年生を並べるなど、大胆な采配もありましたが、自信を持っていた山登りを中心に、いい流れを作りましたね。1区野村選手が、実力者が揃った中で、区間中位で流れを作ると、
2区斎藤4区鈴木選手は終盤苦しくなるも、3区ヴィクター選手が駅伝の経験不足が出た場面がありましたが、最低限の走りで、総合13位で山登りに繋ぎました。
その山登りで山本選手が、狙っていた区間新記録を見事に出して、一気に往路9位。シード権内に浮上します。復路は、11位のチームに迫られる場面もありましたが、最終的に一度もシード権外に弾かれることはありませんでした。
終盤に長い距離に自信をつけていた平林・山中選手といった選手を残していたのも良かったと思います。5区山登りだけでなく、全区間まとめたことで、シード権を手繰り寄せることに成功しました。
そして、実は今回4年生が走っていないのですね。今回のシード権のメンバーが全員残って、第100回大会に向けて強化していくことになります。
残る今年の箱根メンバー
山本唯翔③28分25秒21
≪23箱5区1位、22予65位、21予81位、箱5区6位、20:全7区13位、予115位≫
V.キムタイ①28分35秒74
≪23箱3区11位、22予6位、全予4組14位、関東IC5千2位≫
斎藤将也①28分37秒90
≪23箱2区15位、22予27位、全予4組26位≫
野村颯斗③28分54秒48
≪23箱1区11位、22予59位、21予108位、箱6区11位、20:予159位≫
平林 樹②28分57秒48
≪23箱9区8位、22予79位、21:予198位≫
山中秀真③28分57秒70
≪23箱10区6位、22予75位、全予1組10位、関東IC5千18位、21:予102位、20:予221位≫
林 晃燿②29分26秒31
≪23箱7区9位、22:全予2組17位≫
桜井優我①29分38秒20
≪23箱8区14位、22予129位≫
鈴木健真①29分57秒99
≪23箱4区18位、22全予1組18位、21高1区6位≫
大沼良太郎①30分18秒54
≪23箱6区15位、22予128位、関東IC3障、21IH3障6位≫
残る補欠メンバー
中田侑希③29分40秒36
≪22予249位、21:予193位≫
久保出雄大②29分48秒75
≪22予139位≫
山本 樹③29分54秒16
≪20:全6区16位、予125位≫
その他有力選手
小島大輝③29分45秒62
新井颯人③29分49秒19≪21:箱8区19位≫
小早川凌真①29分49秒51
岡崎文太①29分56秒94
成田龍之介③29分57秒61≪21:予284位≫
片渕大晴②5千m13分59秒02
浅井晴大郎①half64分35秒
柴田 侑(滋賀学園)≪22高校1区32位≫
小田伊織(西脇工)≪22高校2区8位≫
中島巨翔(藤蔭)≪22高校5区30位≫
現3年生がまずは引っ張っていきますね。5区区間新で”山登りの妖精”となった山本唯選手ですが、都道府県対抗駅伝など、平地も大活躍を見せていて、次年度はエース区間2区を狙っています。実際、その力もありそうです。
そして、箱根駅伝で1区を務めた野村選手に、アンカー勝負を見事に制するなど勝負強い面を見せる山中選手が脇を固めていく形ですかね。この学年は下級生時に主力になりかけた中田・山本樹・新井・成田選手などもいて、さらに選手層が厚くなる可能性あり。
現2年生は、今回復路で2名出走。実力は平林選手がぐんぐんつけてきている形。復路9区で通用したのは楽しみ。7区を出走した林選手も、まだまだ伸びしろ十分といった印象がありますね。他、箱根予選出走の久保出選手に、大学で5千m13分台を出した片渕選手がいますので、この学年も伸びてきています。
現1年生が楽しみ多い。特にいきなり往路を担ったヴィクター・斎藤・鈴木選手は、今後楽しみが本当に多いですね。斎藤選手は、特にエース区間2区で今後戦っていける素質があると思います。鈴木選手も、急ピッチで仕上げたかなと言う中での走りでしたし、今後エースとなるはず。
ヴィクター選手は、箱根予選で長距離ロードしっかり走り切っていますし、駅伝での走り方が分かってくれば、今後柱となっていくでしょう。
復路を走った大沼・桜井選手もこれから、他に上尾ハーフで64分台で走った浅井選手あたりもいますかね。下級生に有望な選手が多く、ここ2年3年は勝負の年になっていきそうな予感です。
山登り5区区間新記録の山本選手が大きく取り上げられています。勿論、それだけ価値のある記録ですし、往路で引き離されつつあるところ、一気にシード権内に引き上げました。
とはいえ、10区間を見ると、随所随所で粘りがあったのも感じました。1区野村選手が集団内でしっかりとリレー。将来のエース候補として期待される斎藤・ヴィクター・鈴木選手が、往路で区間二けたながら、小差で凌いでいたことも大きかったと思います。
復路も、6区大沼8区桜井選手が区間二けたも大きく崩れずに凌いで、11位のチームに追いつかれませんでした。その間の区間の7区林9区平林選手が、持ち前のスピードでもう一度差を広げる。最後に勝負強い山中選手が総合9位に引き上げてという見事な継走でした。
来年度は、総合3位の目標を掲げていますが、実際それくらいの目標を立ててもいいように感じます。実は今回4年生が出走しておらず、シード権獲得のメンバー全員が残るのですよね。
しかも、山登りの山本選手は、平地もチームトップレベル。斎藤・ヴィクター選手らもどんどん成長していますし、往路序盤を担える選手が、複数人もいることになっていくでしょうか。
復路も今回出走者は、全員伸びてきているところですね。選手層がもう少しですので、いい意味で、今回の出走者のレギュラーを脅かすような選手が出てきてくれれば、チームが活性化し、目標に近づくでしょう。それほどの勢いを感じます。
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