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【東洋大学】第99回箱根駅伝2023振り返りと、次年度へ向けて

2月・3月上旬は、箱根駅伝出場チームの振り返りや、次年度への簡単な分析をしていきたいと思います。

続いて、
安堵と悔しさが入り混じった!
東洋大学です

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【東洋大学】第99回箱根駅伝2023振り返りと、次年度へ向けて

 上位常連校の東洋大も、高速化していく駅伝の対応に懸命だ。前年度は全日本駅伝でシード権落ち。箱根駅伝は、途中シード権争いに落ちる場面がありながら、最後総合4位まで巻き返していた。

 今年度、東洋大は大会に積極的に出場。トラックのタイムも追求し始めた。春は調子よく関東ICでは入賞者が続出、ややピークずれした全日本予選は、2位通過となったが、積極的に攻めた場面も多かった。何より主力選手が元気で、駅伝でも期待が高まった。

 でしたが、8月末にエース松山選手が故障。そこから歯車がかみ合わない。出雲駅伝は1区で出遅れて、戦えず総合9位に。全日本大学駅伝は、前田・梅崎選手、さらに柏選手らロードで強かなところを見せる選手らでシード権は獲得するも歯がゆい成績だった。

 箱根駅伝こそ、東洋大の力を発揮したいところでしたが、今年は調整に苦戦。2年連続箱根2区を好走していた松山選手が、16人のエントリーに入れず。その後も、不調者や故障者が相次いだ。それでも、鉄紺のプライドを胸に駆け抜けた箱根路だった。

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箱根駅伝2023振り返り

10位東洋大学10時間58分26秒
往路11位5時間30分42秒・復路6位5時間27分44秒

区間 区間順位 名前学年 区間タイム 通過順位 トップ差
1区(21.3㎞) 17位 児玉悠輔④ 63分40秒 17位 0:56
2区(23.1㎞) 19位 石田洸介② 70分04秒 19位 4:20
3区(21.4㎞) 9位 小林亮太② 62分33秒 16位 5:02
4区(20.9㎞) 13位 柏 優吾④ 63分04秒 14位 6:56
5区(20.8㎞) 5位 前田義弘④ 71分21秒 11位 7:32
6区(20.8㎞) 13位 西村真周① 60分13秒 11位 9:23
7区(21.3㎞) 15位 佐藤真優③ 64分35秒 12位 10:40
8区(21.4㎞) 🥇位 木本大地④ 64分16秒 11位 10:19
9区(23.1㎞) 4位 梅崎 蓮② 68分36秒 9位 10:29
10区(23.0㎞) 9位 清野太雅④ 70分04秒 10位 11:15

1区児玉選手…3年連続箱根駅伝1区に登場した4年児玉選手。他の大学駅伝も含めて、1区以外は1度だけでした。スターターとして、定着していましたが、今シーズンは記録会良くても、駅伝でうまくいっていないのが気がかりでした。

 連合以外が牽制の集団となった今回の展開、基本的に最後方付近に付けるのはいつものこと。でしたが、徐々にペースアップしていく中、余裕なく。六郷橋手前の17.4㎞で集団から後退。区間17位、トップと56秒差と出遅れるスタートとなりました。

2区石田選手…石田選手は未完の大器。前年度は故障明けながら出雲・全日本ともに区間賞の成績を残したのは鮮烈。今年は、夏から継続した練習ができていたということで、出雲3区・全日本2区の主要区間を経験。無難走りとなったものの、箱根2区起用のめども立っていた。

 一旦は、前にいた帝京大に追いついたものの、横浜駅前に引き離される。この時点で区間最下位。その後も、立大や専大ら後続の追撃を許してしまい、一時単独最下位に転落。

 箱根駅伝10日前に、体調不良に陥ってしまい、それでも他に箱根2区を走れる選手がいないという事で、出走に踏み切ったが…。個人タイムは70分オーバー、終盤に失速した大東大を交わして、19位でタスキを渡すのがやっとでした。

3区小林選手…選手層は比較的厚い…とはいえ、勿論巻き返していくのにも限界はあります。91回大会、これに近い状況で、シード権を獲得した山学大の例はありますが、早く追い上げていく流れを作りたいところ。

 うまく走ったのが、大学駅伝初出場となった2年小林選手。ここのところ伸びてきた若手…という印象でしたが、スピードエース区間化している往路3区はびっくりな采配に見えました。

 でしたが、非常に落ち着いた走り。序盤に立大らを振り切ると、区間一桁のペースで走りながら、帝京大ら前を追っていきます。最終的に、3つ順位を上げる好走。62分半ばの区間9位は、反撃の口火になりました。

4区柏選手…4区には、復路9区ではと思われていた4年柏選手。夏の北海道マラソンでMGC出場権を獲得するなど、ロードで堅調な選手。チーム事情もあって、最初で最後の箱根駅伝は往路4区となりました。

 区間上位とまではいかずとも、イーブンペースで押していく走り。波に乗れなかった国士大と日体大を交わして総合14位、前に城西大が見えるところまで追い上げました。とはいえ、シード権とのタイム差で見ると、約3分ほどありました。

5区前田選手…注目だった5区山登りの人選。というのも、区間記録をマークした前任者が卒業。箱根直前になっても、あまり情報が出てこなかったので誰になるかと思いきやびっくり!大学駅伝で、”チームの顔”とも言える前田選手がエントリー。

 1年時から大学駅伝登場し、序盤・中盤・終盤とありとあらゆる区間を走りながらも、すべて区間一桁でまとめている、ユーティリティプレイヤー。走力も確かですが、いやはや…。

 2週間前に決まったそうですが、最初の平地を区間トップで突っ込む気迫の走り。登りに入って、一旦追いついた城西大に引き離されたのはヒヤッとしましたが、相手が区間新ペース。前田選手も、区間上位の走りをキープします。

 最終的に71分21秒の区間5位の好走。ここ高い安定感を吐き。チームとしても、ペースの上がらない明治大・東海大を交わして総合11位に浮上。シード権との差は、1分半。まだ見える差ではないですが、主将が走りで、チームを鼓舞しました。

6区西村選手…2年連続山下りの九嶋選手の予定でしたが、直前に故障。もう一人、準備していた1年生西村選手が出走します。序盤突っ込んでいき、どんどん総合10位との差を縮めていき、一時は30秒台の差に!でしたが、大平台以降は脚色が鈍り、10位と1分15秒差に。それでも、この区間例年以上にうまくいかなかった選手が多い中、60分少しでまとめました。

7区佐藤選手…この区間は、直前の記録会で1万m28分30秒台のベストを出した熊崎選手の予定でしたが、ここも直前の故障で出場できず。前回3区で好走している佐藤選手が入りました。とはいえ、今シーズンはちょっと苦戦していました。

 序盤、明大の選手と並走する場面がありましたが、区間賞ペースで追い上げる相手に付けず、総合12位に。単独で踏ん張りますが、少しずつ引き離されました。区間15位ながら何とか64分半ばにまとめ、シード権とは1分45秒差。とはいえ、浮上のきっかけがなかなかつかめません。

8区木本選手…この流れを変えたのが8区木本選手。前回調子の良さを買われて往路4区に抜擢されるも失速。その後、関東ICハーフ入賞など、長距離ロードに磨きをかけ、再びエントリー。箱根5区候補にも挙がった中の8区でした。

 入りからまずまずでしたが、中盤に鍛えたスピード持久力が爆発!茅ヶ崎~遊行寺坂定点間トップのタイムで、区間賞争いのペースで追いかけます。失速した東国大を交わすと、最終盤に、9位争いの明大・城西大を視界にとらえるほどに!

 最終的に10位城西大と33秒差!そして木本選手個人も見事に区間賞!大学4年間8度疲労骨折を起こしたそうですが、苦労を超えた先に、栄光が待っていました。

9区梅崎選手…一気に、シード権内に突入したい東洋大。ここに、往路候補にも挙がる実力者2年梅崎選手を残していました。全日本駅伝7区では、他校スピードランナーに食い下がり、シード権内をキープ。今回は長丁場の区間で、シード権を追いかける展開でした。

 序盤から区間上位のペースで入ると、権太坂を超えてから、ペースが落ちてきた明大との差を一気に詰めます。13.1㎞で捉えると、そのまま突き放し、ついに総合10位浮上!

 終盤には、城西大も捉えて9位争いへ。プレッシャーのかかる場面で、68分36秒の区間4位の好走。ついに、往路序盤の出遅れから、シード権内に入ってきました。

10区清野選手…最後に待っていたのは4年清野選手。3年連続でアンカー区間、特に前回は区間2位の激走を覚えている方は多かったでしょう。とはいえ、まずはシード権内で無事ゴールするのが先決でした。

 ほぼ同時スタートの城西大の選手と並走、一旦前に出られますが、10㎞過ぎにまた追いつきます。後方、1分20秒近い差があった東国大が、30秒台まで詰めてきますが、ここでは慌てず。

 16㎞あたりから、お互い競い合いながらロングスパート。18-20㎞の間は全選手トップの走り。自然に突き放してシード権はほぼ確実に。たたき合いの末、総合10位になりましたが、長かった2日間、18年連続シード権のフィニッシュとなりました。

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 上位争いが常の東洋大としては、今年度の三大駅伝、9位、8位、10位は全て苦戦。悔しいですし、良かった結果とは言えない。

 とはいえ、2区終了時で最下位付近、その後も予定の選手が起用できないなど、苦しい代所事情だったにも関わらず、シード権ラインを超えてくるところは、やっぱり一定の強さはありますし、安堵するところです。

 新戦力3区小林選手が流れに左右されず追い上げる走り、5区前田・8区木本選手の4年生の粘りはとても素晴らしかったです。9区梅崎選手も、駅伝での強さが付きつつあります。

 今回は走れなかった松山選手に、代役2区を任された石田選手らも黙ってはいないでしょう。今回もシード校に食い込んだのは、次年度に大きくつながります。

次年度へ向けて

 新しいチーム引き続き、高い総合力を誇ると思います。

残る今年の箱根メンバー
石田洸介②28分36秒36
≪23箱2区19位、22全2区9位、出3区9位、21全4区1位、出5区1位≫
梅崎 蓮②29分18秒70
≪23箱9区4位、22全7区7位、関東IChalf2位、箱7区11位、21全5区4位≫
佐藤真優③28分49秒54
≪23箱7区15位、22出4区11位、関東IC1万m7位、箱3区8位、21:全1区12位≫
西村真周①29分03秒95
≪23箱6区13位、22関東IC5千決勝、21高1区16位≫
小林亮太②29分27秒22≪23箱3区9位≫

残る補欠メンバー
九嶋恵舜③28分45秒60
≪22全5区5位、関東IC5千4位、箱6区10位、全3区9位、21箱6区14位≫
村上太一③29分07秒76≪22全6区5位≫
熊崎貴哉③28分36秒36≪22全予2組2位≫
網本佳悟①29分03秒08≪21高1区30位≫
十文字優一③29分13秒51

その他有力選手
緒方澪那斗①28分36秒67≪22:全予4組20位、関東IC5千m15位≫
松山和希③28分42秒17
≪22:全予4組4位、関東IC1万m6位、箱2区5位、21:全7区13位、関東IC1部5千18位、箱2区4位≫
奥山 輝③29分05秒45≪21:出2区9位≫
梶野稜太郎③29分08秒48
菅野大輝③29分35秒81≪21:全6区13位≫
吉田 周②30分02秒41≪22出6区8位≫
甲木康博②14分01秒09≪22:出2区7位、関東IC1500m≫
濱中 尊(西武台千葉)≪22IH3障11位≫
藤本駿世(秋田工)≪22国体5千m19位≫
田中 純(城西大城西)≪23全国5区6位、22高校1区29位≫
久保田琉月(埼玉栄)≪23全国4区2位、22高校3区11位≫
薄根大河(学法石川)≪23全国4区26位、22高校4区13位≫
高橋康之介(学法石川)≪22高校6区1位≫
倉本晃羽(伊賀白鳳)≪22高校6区10位≫
馬場大翔(仙台育英)≪22高校6区14位≫
藤本駿世(秋田工)≪22高校7区34位≫

 4年生が5名が箱根駅伝を走っていて、一見穴埋めが大変ですが、今回は予定の選手が起用できなかった区間がいくつかあります。引き続き、高い総合力を、保持できると思います。

 現3年生は選手層が厚いですね。全国駅伝出場など、ようやく走れるようになってきたエース松山選手に、6区7区でチームの稼ぎ頭になる予定だった九嶋・熊崎選手、駅伝で好走経験のある佐藤・村上選手と、主力選手と言える選手がこれだけいます。

 さらに、大学駅伝経験者で奥山・菅野選手が、先日の宮古島駅伝で結果を残していますし、持ちタイムを着実に縮めている十文字・梶野選手らもいます。これだけでも十分上位候補にあがるでしょう。

 現2年生には元気な選手が多く、本来エース候補と言える石田選手は、次年度こそやってくれるでしょうし、箱根3区で追い上げムードを作った小林選手、9区で総合10位以内に食い込んだ梅崎選手と、今後ますます駅伝で期待できそうな走りをしていました。

 これに前哨戦の、出雲駅伝を出走している吉田選手はロードで結果を残しつつありますし、甲木選手ようなトラックのスピードランナーもいますので、個性豊かな選手がぐんぐん伸びています。

 現1年は、これからですが、唯一大学駅伝を経験した西村選手に、箱根メンバーに食い込んだ網本選手がいます。また、ここのところレースに出れていませんが、全日本予選最終組を経験したエース候補の緒方選手が上がってくると、一気に活気づくでしょうか。

 新入生は、高校駅伝経験者だけでも7人の選手の入学が確認できます。主要区間で戦っている久保田選手や田中選手、高校駅伝6区で区間賞の高橋選手ら、数多くの有力ランナーが今回も入部しそうです。

 東洋大のここの所の歴史としてもそうですし、ずらりと並ぶ選手の顔ぶれを見ても、やはりシード権争い上…は、あまりにも惜しいと感じます。

まとめ

・不調で出遅れも、2区大役を石田選手務める
・3区初駅伝小林選手が追撃の流れを作る
・5区前田8区木本選手、4年生が一気に差を詰める
・9区梅崎選手、手堅さに力強さ、シード権内へ突入
・5人卒業も、松山九嶋選手ら走れなかった主力多し
・十分、表彰台争いへ勝負をかけられる陣容

 酒井監督が長かったと総括した2日間、直前で不調者も相次いだことで、オーダー編成も苦戦。体調不良明けでも2区起用に踏み切った石田選手で、一時最下位に落ちますが、これで悪い流れになるチームではありませんでした。

 3区起用となった初駅伝2年小林選手が区間一桁の好走で、早い段階で追い上げムードを作ると、最後は山登り起用となったユーティリティープレイヤーの前田選手が、ガッツある走りで往路11位にポジションを上げます。

 予定の選手を起用できなかった6区7区でもたつきますが、8区苦労人木本選手が激走。区間賞の走りで、シード権との差を約1分以上も差を詰めて、射程圏内に捉えます。

 9区を任された梅崎選手が、プレッシャーがかかる場面で非常に高レベルで安定した走り、一気にシード権内に突入すると、3年連続10区清野選手が、無事に襷を大手町に運んできました。悔しさもありますが、次回の上位進出へ、最低限の土壌ともいえるシード権内で無事にゴールしました。

 次年度は、箱根メンバーで見ると卒業生が5人で非常に多いですが、現3年生で松山選手ら走れなかった実力者も結構多いです。小林選手ら楽しみな若手も出てきています。故障が癒えれば、すぐに上位を狙う態勢に整えていけそうな予感がします。逆襲の鉄紺の戦いは、もう始まっています。