【創価大学】第99回箱根駅伝2023振り返りと、次年度へ向けて

2月・3月上旬は、箱根駅伝出場チームの振り返りや、次年度への簡単な分析をしていきたいと思います。

続いて、
主力万全ではなくも、総合力で見せ場多し!
創価大学です

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【創価大学】第99回箱根駅伝2023振り返りと、次年度へ向けて

 創価大の大学駅伝の歴史として、年間通して一番見せ場を作れたのではないでしょうか。2大会前の箱根駅伝準優勝はありますが、春のトラックに、初の三大駅伝出場、シード権も獲得しています。

 春は、4月の日本学生個人選手権で、4年葛西・嶋津選手がワンツーフィニッシュで、ユニバ代表の座を射止めました。苦手だった6月全日本予選は、ようやく突破しました。

 出雲駅伝では、3区ムルワ選手が区間新での2年連続区間賞で流れに乗ると、アンカー嶋津選手がきわどく5位争いをしての6位。前年より戦いました。

 初出場の全日本大学駅伝は、2区葛西5区嶋津7区ムルワ選手と、エース選手を分ける采配。1区横山選手が好位で繋ぐと、2区葛西選手が区間新!一時先頭に躍り出る見せ場!その後も主力の活躍もあり、初出場初シード権を獲得しました。

 箱根駅伝も、まずは主力選手で流れを…と思われましたが、嶋津・葛西選手とも12月に故障があって万全ではなかったそう。その中で、総合力で大きく見せ場を作りました。

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箱根駅伝2023振り返り

8位創価大学10時間55分55秒
往路10位5時間29分15秒・復路4位5時間26分40秒

区間 区間順位 名前学年 区間タイム 通過順位 トップ差
1区(21.3㎞) 5位 横山魁哉④ 63分02秒 5位 0:18
2区(23.1㎞) 6位 フィリップ ムルワ④ 67分29秒 5位 1:07
3区(21.4㎞) 14位 山森龍暁③ 62分58秒 6位 2:14
4区(20.9㎞) 8位 嶋津雄大④ 62分20秒 7位 3:24
5区(20.8㎞) 13位 野沢悠真① 73分26秒 10位 6:05
6区(20.8㎞) 4位 濱野将基④ 59分12秒 6位 6:55
7区(21.3㎞) 🥇位 葛西 潤④ 62分43秒 5位 6:20
8区(21.4㎞) 9位 桑田大輔③ 65分07秒 6位 6:50
9区(23.1㎞) 🥈位 緒方貴典④ 68分23秒 4位 6:47
10区(23.0㎞) 15位 石丸惇那① 71分15秒 8位 8:44

1区横山選手…創価大は、1区からエース選手をつぎ込んで先手を取る駅伝をしています。そんな中で、全日本駅伝では、最短の1区に、初出走の4年横山選手を投入。区間5位と好走を見せ、20㎞を超える箱根でも1区有力候補に。葛西選手の故障もありましたが、箱根出走に。

 レースは、連合が飛び出したが以外は、スローの牽制。その中でしっかりと脚を溜めます。六郷橋の上りで後方となるも、ここは無理せずに上り終わってからもう一度前を追います。最後の叩き合いでも集団内、強豪校と差のない区間5位と結果を出します。

2区ムルワ選手…3年連続エース区間2区を走ることになったムルワ選手。主要大会でずっとトップに近い位置で走り続ける、非常に高い安定感があります。今季も、故障明け一発目となった全日本予選で本戦出場に導く好走。秋は出雲駅伝3区区間新、全日本駅伝7区は区間3位になりますが、シード権を決定づけています。

 ほぼ同時に、山学大の留学生の選手もタスキを受けていて、一緒に競り合いながらペースアップ。じわじわと順位を上げていき、10㎞過ぎにトップと20秒差の3位争いにまで浮上します。ここから青学大に逆転を許し、最後山学大に競り負けるなど、やや調子上がらずでしたが、67分半ばの区間6位。総合5位と上位で襷リレーをします。

3区山森選手…主力の故障もあり、3区も柱以外の選手に。選ばれたのは、全日本駅伝アンカーに抜擢されていた3年山森選手。今年になって1万m28分台を出すなど成長。全日本駅伝は、前のランナーに付かなかったことを悔いていましたが、どういう状況でも崩れないとも自信を持っていました。

 序盤は、すぐに山学大と並走、実力者の國學院大や順大の選手が抜いた時に無理に付かなかったのが功を奏します。茅ヶ崎で後方と僅差の接戦になりますが、後半に脚が残っていました。終盤に早大に捉えられるも、順大を抜き返して総合6位でリレー。区間14位ですが63分以内にまとめ、見事に崩れずにつなぎます。

4区嶋津選手…3大会前、10区区間新で逆転の初シード権、2大会前4区でトップに立ち往路優勝に貢献した”箱根男”。前回区間賞で卒業…と思いきや、もう一年チームに残留。チームとして、初の三大駅伝フル出場にも貢献、本人も出場しました。

 タスキをもらった直後は勢いよく飛び出して、早大を交わします。東国大の留学生には抜かれますが、前を追いかけています。でしたが、中盤からいつもの伸びがあります。12月に入り故障で調整不足、故障部位の痛みが強くなっていました。

 失速しかけたところ、小田原本町あたりで、再び追いついてきた早大に食らいつく形で、懸命にペースをキープ。3年連続4区も”すべて違う景色だた”。総合7位で山区間に突入した。

5区野沢選手…5区山登りは、主将の新家選手が候補に挙がっていましたが、故障などもあり、早くからロードに対応していた1年野沢選手に。激坂王でもチームトップでゴールしていて、満を持して出走しました。

 序盤は、経験者の早大の選手とやり合い、区間一桁のペース。小涌園までは快調なペースを刻みましたが、13㎞付近から足取りが鈍ります。下りに入っても切り替えられず、後続に捉えられます。それでも何とか区間13位で凌いで、往路10位フィニッシュ。まずはシード権確保の戦いとなります。

6区濱野選手…迎えた復路。山下りは、3年連続となる4年濱野選手が控えていました。上りは無理せず、下りで切り替えていくのは昨年同様。城西大・東国大と、スピードに乗れないランナーを次々に捉えていきます。

 多くの選手の脚がきつくなる大平台~函嶺洞門定点間では、全選手トップの通過!全体的にタイムが伸び悩む中、区間4位59分12秒好走。終盤に、順大・青学も捉えて、総合6位。4人抜きで、とてもいい流れを作ります。

7区葛西選手…前哨戦の全日本大学駅伝2区では、区間新で区間賞。それだけ、走力が高い、チームのエース格の葛西選手が、12月中旬に疲労骨折。本当にギリギリ間に合わせた状況でした。

 序盤は、それを感じさせない走り。見えていた法大をすぐに交わすと、二宮定点では、中継所で1分半以上前にいた早大と國學院大の背後に迫ります。この時点では、区間新記録を上回る走りでした。

 脚が万全ではないからこそ、序盤脚が動くうちに飛ばしていく作戦だったそうですが、やはりスピードに乗った走りは物凄かった!終盤は苦戦して前は捉えられませんでしたが、見事区間賞を獲得。3位を狙える総合5位でリレーします。

8区桑田選手…前年度伸びてきて、1万m28分30秒台を記録。箱根では3区抜擢されていました。今年度の活躍も期待されていましたが、出雲・全日本駅伝は出走叶わず、箱根駅伝のみとなりました。

 中盤までは、前の國學院・早大を追いかける走り。遊行寺坂で秒差にまで迫ります。ただ、そこから少しペースが鈍り、追いつけず。逆に、区間賞ペースで追い上げていた法大と順大に捉えられ、総合6位で中継。とはいえ、区間9位だったので、まだ大混戦でした。

9区緒方選手…ここで主役になったのが、4年緒方選手。2大会前、準優勝の時に16人メンバー入り。その後、ハーフマラソンで好走し、ずっと主力候補と言われていました。大学駅伝は3年時の出雲駅伝1区のみも、最後の箱根駅伝に向けて備えていました。

 3.8㎞付近で、集団になった3位争いに追いつくと、権太坂過ぎ区間記録を超えるペースで走る青学大の選手に交わされた際には、追走する動き。中盤以降も走りは衰えず、他の大学を競り落として単独4位。なんだか、2大会前の当時の4年生の出走者を思い出すような勢いでした。

 最終的に、68分23秒の好タイムで区間2位。総合3位が目の前に見える総合4位でのリレー。ポイントポイントで4年生の活躍があり、2高い前以来の表彰台を狙えるポジションに浮上しました。

10区石丸選手…託されたのは、1年生石丸選手。大学に入ってからすぐ5千m13分台を出すなど勢いあり。出雲駅伝・全日本大学駅伝も出走し、早くも三大駅伝出走を果たしました。

 序盤は、前の選手を追いかける形で、区間一桁ペースで走っていましたが、1年生にはやや難しい23㎞コース。中盤以降は、苦しい走りになり、激しかった4位争いには、最後付いていく余力はありませんでした。区間15位の悔しい走りでしたが、総合8位。連続シード権を4年に延ばしました。

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 4年生選手に主力が揃い、総合優勝を狙っていく勢いが、全日本駅伝終了後にはありましたが、12月に入ってその4年生が相次いで故障。嶋津選手・葛西選手が故障明け、ムルワ選手も状態上がり切らず、新家選手は出場を断念…、

 一時はシード権獲得危ぶまれましたが、1区横山選手がいい滑り出し、2区ムルワ4区嶋津7区葛西選手も精いっぱい走り、6区濱野9区緒方選手らが大きく樹いいアップ。榎木監督が就任した時に1年生だった選手ら、現4年生の好走で表彰台争いを終盤まで繰り広げました。

 結果的に、5区と10区を担った1年生が区間二けたとなり、上位争いから落ちる場面もありましたが、上級生がカバー。その1年生も将来的にエース候補の選手、次年度に注目の選手です。第100回大会に向けて、繋がっていきます。

次年度へ向けて

とはいえ、例年以上に卒業生の主力は多いですね。

残る今年の箱根メンバー
山森龍暁③28分35秒17
≪23箱3区14位、22全8区11位≫
桑田大輔③28分38秒46
≪23箱8区9位、22箱3区17位、21:出5区7位≫
石丸惇那①28分46秒37
≪23箱10区15位、22全4区11位、出4区7位≫
野沢悠真①29分23秒82
≪23箱5区13位、22全予3組10位≫

残る補欠メンバー
リーキー カミナ②28分12秒89
≪22関東IC5千5位≫
吉田 凌②28分41秒28
≪22全3区12位、箱8区8位≫
小暮栄輝②28分50秒73
≪22関東IC1500m≫
山下 蓮①29分13秒72

その他有力選手
志村健太③29分10秒63
≪22:全予1組27位、関東IC1万m16位≫
若狭凛太郎②29分11秒27
藤ノ木丈②29分11秒29
溝口泰良③29分12秒16≪22:関東IC3障6位≫
家入勇翔①29分12秒47
石井大揮③29分15秒38≪22出5区5位≫
吉田悠良③29分16秒15
上杉祥大③29分18秒60
大岩 準(愛知)≪22IH3障14位≫
篠原一希(山梨学院)≪22高校2区26位≫
池邊康太郎(熊本工)≪22高校5区13位≫
細田峰生(鯖江)≪23全国1区38位≫

 基本的に育成で上がってくるのでは、まずは現3年生。今年箱根3区8区を担った山森・桑田選手が中心ですが、他にもいますね。箱根16人に入りませんでしたが、ハーフマラソンに強い志村選手に、出雲駅伝に出走している石井選手がいますね。三大駅伝でも、合間の区間を担ってくれそう。

 現2年生は、今年箱根を走れませんでしたが、往路のスーパーサブだった小暮選手、復路のスーパーサブだった吉田選手と、長い距離にはある程度自信がある選手がいますね。大会でも好走があります。

 現1年生に有力ランナーが多くて、三大駅伝全てに出走した石丸選手に、長い距離に早くから適性を見せている野沢選手が中心。新留学生もすでにいて、リーキー選手が関東ICやそれ以外のレースにも多く出走して、経験を積んでいっています。他にも山下・家入選手が伸びてきています。

 育成の力自体は、創価大は優れていますし、4年間かけて強くなるのは、今年の4年生の世代をみても、実証済み。次の世代の上位挑戦も楽しみです。

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まとめ

・ムルワ嶋津葛西選手が本調子ではなくても
・横山濱野緒方選手ら他4年生が大活躍
・3区山森選手が往路の穴埋める
・9区終了時で総合3位が狙える位置でバトル
・5区と10区起用の1年生は次につながるか
・卒業生の穴はかなり大きい方

 4年生に主力が揃い嶋津選手も残っていて、総合優勝も視野に入れようかとした創価大。それ自体は、12月に入って故障者不調者が相次いだことで、厳しくなりましたが、箱根本番は総合力を見せました。

 1区起用の横山選手が区間上位の走りで好スタート、3年連続2区ムルワ選手が67分半ばで繋ぎます。3区山森選手も63分以内でまとめて上位キープ。12月に故障があった嶋津選手も粘ります。

 5区山登りで10位に下がりますがシード権内キープ。3年連続6区濱野選手と、故障明けギリギリで7区に回った葛西選手が、大きく順位を上げて5位へ。葛西選手は全日本駅伝に続いて連続区間賞

 さらに9区緒方選手が攻めの走りで区間2位。9区終了時で総合4位と実力あるところをみせました。最終的に総合8位となりましたが、榎木監督になってから4年連続シード権継続です。

 結果的に、ムルワ・嶋津・葛西選手が本調子ではなかった中、横山・濱野・緒方選手といった別の4年生が、好走。順位を上げていきます。この流れにムルワ選手たちも乗っかることができたのかなと思います。

 次年度は、彼ら4年生6名が卒業しますので、穴は大きい方となるかなぁ。その中で、往路を凌いだ山森選手や、早くに1万m28分半ばを出していた桑田選手ら現3年生、

 11番手12番手として控えていた小暮・吉田選手らロードで結果を出しつつある現2年生、野沢・石丸選手が早くも箱根駅伝出走し、台頭が早い現1年生がまとめ。

 既に昨年入部している新留学生リーキー選手も、各大会で高いポテンシャルを発揮し、早くも初駅伝が楽しみになってきています。正念場とはなりますが、育成力の高い創価大。次年度も、見せ場を作って来そうな気配もあります。


hakonankit

箱根駅伝の魅力に3歳の頃から取りつかれ、今や全日本大学駅伝や出雲駅伝を含めた大学駅伝、その予選会。大学長距離界がとても大好きな人間です。ブログでは10年以上にわたり、追いかけています。