2022年6月30日に、箱根駅伝界にビッグニュースが流れました。
参加資格について 公益社団法人日本学生陸上競技連合男子登録者
とあります。
これまでは、関東学生陸上競技連合男子登録者、つまり関東地区の大学のみに出場権があった箱根駅伝が、
全国化しますよ、全国の大学に予選への参加資格を設けるということになります。
第100回まで約1年半となったこのタイミングでの発表、喜びの声はそこそこ、戸惑いの声も多くみられました。
主も”今更?”という感じがします。
その理由、そして今後全国化していくにあたって、思うことをまとめます。
ページコンテンツ
そもそもなぜ箱根駅伝が関東地区のみだったのか、ここにきて全国化する理由、意外と冷ややかな反応が多いのか、どうやって盛り上げていけばいいのか、まとめます。
そもそも、熱烈な箱根駅伝ファンの方以外は、箱根駅伝の出場権が、関東地区のみだったことを知らない方も多いのではないでしょうか。
箱根駅伝が創設されたのは大正時代となりますが、その頃、日本学生競技連盟がなく、関東学生競技連盟しかありませんでした。そのため、当時は出場できるチームは関東地区に限られていました。
勿論、箱根駅伝を広めていくにあたり、他地区の大学や選手を招待したことはありました。第9回・第12回・第13回箱根駅伝で関西大が出場しています。
第40回記念大会では、福岡大と立命館大が招待されています。第80回記念大会では、日本学生選抜が編成され、徳山大・京都産業大・立命館大・岡山大・北海道教育大のランナーが、それぞれ箱根路を駆けました。
とはいえ、関東地区以外のチームや選手の出場は、100年以上の歴史がある中で、これくらいです。日本学生陸上競技連盟は、箱根駅伝での長距離強化を反対していたのが大きかったようです。
第100回記念大会を盛り上げていくため…なのは勿論ですが、青学大陸上部の原監督の、陸上長距離強化の理念が大きく上げられます。
原監督は、少子高齢化が進む中、将来的な人材確保をずっと懸念されています。競技としての魅力では、サッカーや野球に中々かなわないため、陸上長距離は、駅伝を利用しての強化を推進を提唱していました。
特にマラソンを強化するうえで、箱根駅伝というコンテンツをさらに大きくしていこうと、常々考えておられます。以前から全国化していきたいと言われていました。
それが第100回記念大会というところを機にして、さらに盛り上げていこうという側面があります。
関東以外の有力長距離チームの反応は様々。大経大・皇學館大は、現時点では比較的挑戦していく姿勢を見せています。ですが、「実力的に無理がある」「スケジュールが組めない」といった意見もあり、びわ学のように「目指しません」とはっきり宣言した大学も…
関東地区とそれ以外の地区の大学駅伝チームが交わる機会と言えば、毎年10月に行われる出雲駅伝や、11月に行われる全日本大学駅伝の時になります。特に8区間ある全日本大学駅伝が比較しやすいと思います。
前回の全日本大学駅伝では、15チーム参加した関東地区が上位15位を独占。16位に関西学院大が入りましたが、15位の日体大と3分差、14位拓殖大とは8分半、13位以降とは10分以上の差をつけられています。
なお、拓殖大は10月の箱根駅伝予選会で敗退するなど調子が下降していた時、日体大はエースが故障欠場、チーム全体としても箱根予選明けで調整がうまくいっていませんでした。他の関東チームも、箱根駅伝に100%となるように練習しているので、全日本駅伝は完全には仕上げていません。
一方、他地区のチームは、全日本大学駅伝が全国駅伝の頂点の大会ということで、ある程度ピークを持って行っています。それでも、大きな差を付けられているのですから、現状箱根駅伝予選会で戦うほどの戦力は持ち合わせていないんですよね。
立命館大がスケジュール的に厳しいと発言をしていますが、本当にタイトなスケジュールになります。
仮に、箱根駅伝予選会に挑戦して、本戦出場した場合のスケジュールがこちらです。10月以降主要ロード大会駅伝が目白押しとなるのです。出雲駅伝を戦った次の週に、箱根駅伝予選会があり、中2週間ほどで全日本大学駅伝となります。箱根予選⇒全日本駅伝の日程は、関東地区の大学も苦労している日程です。
この上、関西地区・東海地区・九州地区あたりは、地区駅伝をその後走っています。箱根駅伝も関東の地区駅伝であることに変わりまありません。他地区の大学駅伝チームも、同じように走っているわけです。
ハーフマラソン級の距離を2本バッチリまとめながら、各駅伝を走っていかないとなりません。日程上、かなり厳しい状況です。ずっと箱根駅伝を戦っている関東地区よりも、大変な日程になるのが、よくわかると思います。
これが最も大きい問題かもしれません。大きな流れとして、箱根駅伝を目指す選手は関東地区の大学へ、そうでない選手はそれ以外の地区(地元など)に進んでいます。そして、有力ランナーのほとんどは、箱根駅伝が走れる関東地区の大学に進みます。
そういう中で、他地区の大学駅伝チームが、いきなり箱根駅伝に向けて強化体制を整えることができるかというと無理があります。5㎞~10㎞で戦う6人の出雲駅伝、10㎞前後6名と20㎞弱2名の合わせて8名の全日本大学駅伝、このあたりをターゲットにしての体制になっています。
それを、20㎞以上を走れるランナー10名上揃える必要が出てきますので、現状の強化体制から大きく変わって来ます。スカウト・スポーツ推薦などの制度の充実、寮や練習環境、夏合宿など強化メニュー大幅に変える必要が出てきます。
大学は4年間ありますので、強化し始めて3年~4年は少なくともかかるというわけになります。それをいきなり、1年半で進めて予選通過できるチームに仕上げていくのは、現実的ではないんですよね。しかも、現状第100回大会のみ、その後は未定とのこと。これだけのために、いきなり箱根を目指すのは、ちょっと現実的ではないのは確かなんです。なんでこんなタイミングで発表になったのかはよく分かりません。
とはいえ、原監督も”厳しく言えば茶番”と認めています。
記事にある通り、現高校3年生の進路は、有力選手は春頃には決まっていますので、本格的に強化するとしても、来年以降なので、実質的に参加するのは不可能に近いのですよね。
100回記念大会ギリギリのタイミングになってしまったのは、外部からは分かりませんが、ただとにかく進めていくということになったのが、このタイミングだったのかなと思います。
一応自分の意見も少し書いておきます。私的には全国化は反対気味でした。陸上長距離で、大学に進む場合、箱根駅伝を経由する以外の道が合った方がいいと思っているからです。
トラック(5000m・10000m・3000m障害)をメインにやりたい、だけど将来的に大学にも進みたい…という場合、選択肢が狭まってしまうのではないかと思います。ロードは出雲・全日本くらいの距離くらいに留める、箱根駅伝の20㎞超えは、トラックに繋がるかは微妙。また、その距離に対応するのにも、またトラックに戻すにも少し時間がかかってしまいます。トラックメインの大学長距離のラインは残したいなと。
また、800mや1500mの中距離の選手が、どうしても長距離に人材とられている感じがします。中距離をメインにやれる大学がもっとあってもいいと思っているのですよね。環太平洋大が、昨年800m日本記録保持者を輩出しましたが、こういうチームが増えてもいいなと思っていました。
(まあ、箱根駅伝を全国化しても、あくまで参加は自由ですが…)
とはいえ、全国化していく方向に舵を切っていくので、どうしたらいいか考えます。
100回記念大会だけだと、関東地区以外の現場の戸惑いのみで終わってしまうのではないでしょうか。継続して、全国化をし続けることで、本腰入れて目指そうというチームが増えてくると思います。
現在地方で強い大学以外でも、大学側が興味を持つ場合もあるかもしれません。関東地区なんて、まだまだ強化しようという大学が増えてきているのですから、
全国の大学でも、本腰を入れるとなると、強化に乗り出す大学、必ず出てくるはずです。
そしてもう一つ(これが一番言いたかった)、まずは全日本学生選抜を、100回記念大会に設けるというのが、現実的な強化になってくるのではないでしょうか。
チームとしていきなりの強化は難しい。そうなると、言辞的に100回記念大会で関東地区以外の選手が出場となると、選抜チームになってくると思います。
100回記念大会の要項に”関東学生連合は組まない”とありますが、私的には”全日本学生連合は組む可能性がある”と読み取っています。
能力のある個人なら、今大学で長距離をやっているランナー、1年半かけて対応できるランナーは必ずいるはずです。早く箱根駅伝の凄みをチームに持ち帰ることはできると思います。
良き100回記念大会になればと思います。
箱根駅伝ファンのための情報集
【箱根駅伝ファンのためのリンク集】
【【結果も!】2022年度箱根駅伝ファンのための競技会日程】
姉妹サイトより
【箱根駅伝アニメ:風が強く吹いている完走】
ウマ娘【競走馬元ネタ解説シリーズ】