2月中は、箱根駅伝出場チームの振り返りや、次年度への簡単な分析をしていきたいと思います。
順番は総合順位順から変えます。
続いて、
世代集大成のはずが…悔しい調整難
早稲田大学です
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中谷選手ら4年生に主力選手が多かった今シーズン、大学駅伝は三冠を目指していました。それが出雲駅伝では、トラックシーズンから大活躍していた菖蒲選手が1区で好スタート、4区で1年生石塚選手が活躍し、この時点で2位でした。でしたが、そこから伸びきれず6位消化不良に終わります。
全日本大学駅伝は、4年生の主力選手を2人欠くという布陣。前半に主力を固めて、5区終了時点でトップに立つ場面を作るも、その後失速する区間もあり総合6位。何か釈然としない成績で終わってしまいます。
箱根駅伝では、全日本駅伝で欠場した4年生も戦列に戻り、何とか総合優勝を目指していこうという布陣。それ以上に、4年生が笑って終えられたら、と意気込んでの箱根路でしたが…、厳しさを味わうことになりました。
13位早稲田大学11時間00分03秒
往路11位5時間29分15秒・復路12位5時間30分48秒
区間 | 区間順位 | 名前学年 | 区間タイム | 通過順位 | トップ差 |
1区(21.3㎞) | 16位 | 井川龍人③ | 62分23秒 | 16位 | 1分43秒 |
2区(23.1㎞) | 14位 | 中谷雄飛④ | 68分45秒 | 13位 | 3分36秒 |
3区(21.4㎞) | 6位 | 太田直希④ | 62分23秒 | 13位 | 3分57秒 |
4区(20.9㎞) | 6位 | 石塚陽士① | 62分20秒 | 10位 | 4分31秒 |
5区(20.8㎞) | 11位 | 伊藤大志① | 73分24秒 | 11位 | 7分09秒 |
6区(20.8㎞) | 19位 | 桝本匡哉② | 60分13秒 | 14位 | 8分19秒 |
7区(21.3㎞) | 5位 | 鈴木創士③ | 63分48秒 | 12位 | 9分28秒 |
8区(21.4㎞) | 5位 | 千明龍之佑④ | 65分23秒 | 11位 | 10分02秒 |
9区(23.1㎞) | 14位 | 佐藤航希② | 70分42秒 | 12位 | 13分29秒 |
10区(23.0㎞) | 13位 | 山口賢助④ | 70分42秒 | 13位 | 16分21秒 |
1区井川選手…春先に1万m27分台到達!チーム内3人は史上初だったのですよね。その後は不調の時期もありましたが、全日本駅伝は2区で先頭集団で主導権を握りながら区間2位、確実に力がついている印象でした。
2年連続となった1区では、中大の選手の仕掛けに食らいつく姿勢もありましたが、その後ついていくのが精いっぱいの状況に。16㎞過ぎの仕掛けについていけずまさかの16位スタート。
実は12月に入ってから、絶不調に陥ってしまい、練習を飛ばさざるを得なかったとか。一時は、7区か10区出走も健闘された中、直前で調子が上がり1区でしたが…。この高速化には厳しい状態でした。
2区中谷選手…早大を4年間引っ張ってきたエース選手。トラック志向ということもあり、これまでは前半のスピード区間の起用が多かった。ですが、出雲駅伝ではアンカーを走るなど、起用方法が変わっていました。
最後の学年で華の2区へ。下位で襷をもらったこともあり、沿道で厳しい声をかけられたこともありました。思ったより下の順位となり、少し動きが硬かった面もあったそう。
その中で、何とか粘って、3つ順位を上げて総合13位で通過。まずは一桁順位が狙える位置に引き上げました。
3区太田選手…前回華の2区を走った太田選手が3区へ。全日本前に故障して、上がってきている最中でした。チームとしては1万m27分台を3名並べていたのですよね。
一人抜かれましたが、一人抜き返して総合13位のまま。でしたが、個人としては区間6位62分23秒。中盤以降は単独走の場面が多かったことも踏まえれば、この時点で精いっぱいの走りはできたでしょうか。
4区石塚選手…今シーズンの大学駅伝で一番の収穫株でした。出雲駅伝4区起用され区間賞を獲得、全日本駅伝では5区を走りチームをトップに引き上げる活躍でした。1年生ながら上りと単独走が得意と言うことで、自信を持って4区起用となりました。
後半勝負と監督から言われながらも、前半から区間10位以内をキープ。アップダウンの多いこの4区もあっていたとか。酒匂橋以降を3番目にいいタイムでまとめて区間6位62分20秒。最後に東洋大らを交わして総合10位に浮上、この時点で少しずつ流れに乗ってきていました。
5区伊藤選手…ここで早大が鬼門となりつつある山区間。特に山登りは3年連続区間二けたと苦しんでいました。佐久長聖ルーキー伊藤選手が、上りに自信があると名乗りを上げました。チーム内では、走力のある上級生が上った方がいいのではないかという意見もありましたが、最終的に伊藤選手に。
最初の平地はゆったり、登りに入ってからペースアップと立てていた作戦はある程度実行した模様。東洋大力のある選手に交わされたあと、終盤の下りは東海大と神大で激しいバトルに。最中、落ちてきた法大を交わして、東海大と1秒差の11位に。
73分24秒で区間11位。区間タイムは本人の想定よりも良かった。区間順位は思ったより悪かったとのこと。山登りのレベルも確実に上がってきています。
6区栁本選手…11位スタート。この6区が重要でしたが、早大は前回好走の北村選手が貧血で調子上がらず、経験者の半澤選手も外れてしまいました。最終的にスピードのある栁本選手に決定しました。
苦手と言う上りで、東海大を交わして10位に浮上。ですが、下りでじわじわ順位ダウン。抜かれるたびに焦ってしまい、身体が硬くなってしまったそうです。最終的に総合14位、シード権と1分20秒差となりました。
とはいえ、山に関しては、今回はあまり準備する期間がなかったので、相楽監督は、最低限は走ったとの評でした。
7区鈴木選手…次期主将が決まっている3年鈴木選手が、2年ぶり7区に回りました。1年時は、似たような状況で襷をもらい、1年生記録の区間2位好走でチームをシード権内に引き上げていました。
序盤で国士大、中盤に神大を捉えて総合12位へ。区間5位63分48秒の走りで追い上げますが、シード権とはまだ1分03秒差。また2大会前の自身のタイムよりも1分近く及ばず。プレッシャーと焦りで、後半が思うように伸びなかったとのことでした。
8区千明選手…主将の千明選手。前半戦は5千m13分31秒好記録をマーク、関東ICも5千m3位表彰台の活躍でした。ですが、出雲直前に仙骨を疲労骨折。復帰が長引いて、最終的に何とか2年連続8区で間に合った状態でした。
それでも、自信があったという遊行寺坂以降で大きく追い上げます。中継所直前で法大を交わして11位浮上。シード権とは44秒差と追い上げムード。個人としては、区間5位65分23秒と精いっぱいの走りでした。
9区佐藤選手…全日本駅伝6区でデビュー。この時は腹痛のアクシデントで大きく失速、ですが関東ICハーフでは6位入賞しており、長い距離には自信があった選手です。
実績ある法大の選手と並走して前を追っていきますが、勝負どころの15㎞過ぎで脚が止まってしまいました。区間14位の走りで総合12位へ。シード権とは1分48秒差と厳しくなってきました。
10区山口選手…2年連続アンカーの山口選手。なお全日本大学駅伝でも2年連続アンカーのため、4度の大学駅伝全てアンカーを走ったということになりますね。なお、井川選手が調子が上がらなければ1区もあったそうです。
追うしかない状況で突っ込み気味でいきますが、中盤以降は苦しくなったようですね。神大ら後続に捉えられ、明大・連合を合わせての12位争いの最中、総合13位となりました。残念ながら3年連続シード権獲得はなりませんでした。
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後々のインタビューを見ていると、12月になってぐっと調子が落ち込んでいる選手が多かったようで。集中練習をしっかりこなせたのも、石塚選手を初め数名だったとか。中々、チーム調子が整ってこない中、優勝を目指していたようですが…もしかすると必然の結果だったかもしれません。
早大は、スカウトの制度もあり、選手層は毎年ギリギリ。インカレも手を抜けない中、タイトなスケジュールも影響したでしょうか。今回、主力菖蒲選手が疲労骨折をしましたが、その菖蒲選手を起用するかどうか、ギリギリまで悩んだようで…、苦しい台所事情だったようです。
箱根予選を経由することになった早大。とはいえ、近年の箱根予選のレベルは非常に上がっています。3年前の予選で9位(10校通過)と冷や汗をかいたこともあります。次年度は…エースは強いですが、選手層は薄いチームです。
新4年は2人柱がいるのですよね。スピードある井川選手と、スタミナがある鈴木選手の、それぞれタイプが違う両エースが引っ張ります。これに、怪我で出場できませんでしたが、新3年菖蒲選手が、本格化の兆しが見えてきていました。佐藤選手も長い距離中心に少しずつ強化が進んでいます。
新2年では、石塚・伊藤選手が、練習がしっかり継続できていたということで、往路を早くも経験。4区5区リレーで他校の主力選手と戦い抜いています。このあたりが在校生の主力となっていきますかね。
このほか、怪我が多いですが、一度好走経験のある小指・辻選手、スピードのある北村・栁本・諸冨選手が、うまく練習継続できてあがっていけるかどうかですね。彼らはインカレも戦っていくと思いますが、秋シーズンどう仕上げていくかですかね。
新入生も、非常に高いレベルの選手が今年も入部。高校駅伝1区上位で戦った山口・間瀬田選手が即戦力としてやってきます。彼らがいい意味で突き上げて、チーム活性化してくれればと思います。
4年生主力が多く、集大成の年でしたが、無念の箱根駅伝となりました。故障者や不調者が多く、何とかオーダーを組む状態でした。その一人、井川選手が出遅れ、2区中谷選手もうまく追い上げとはいかず。
3区太田4区石塚選手が追い上げムードを作りますが、鬼門となりつつある山で順位ダウン。7区鈴木8区千明選手が連続区間5位で追撃しますが、シード権には手が届きませんでいた。
やはり、年間通して故障者が多かったり、12月直前でうまく練習がいかなかったりした中、今の高速化の流れについていくのは、厳しかったのかなと思います。
次年度は、一気に選手層が薄くなりますが、鈴木・井川選手の新4年、新3年は菖蒲選手ら多くのスピードランナー、新2年は石塚・伊藤選手、新1年山口・間瀬田選手と、それぞれ柱になる選手がいるのが救いですね。
近年の箱根予選はレベルが上がっています。3大会前は9位ギリギリの通過。早大だから通る時代ではなくなってきています。インカレの兼ね合いもありますが、全力強化の体制がとっていければと思いますね。
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