2月中は、箱根駅伝出場チームの振り返りや、次年度への簡単な分析をしていきたいと思います。
順番は総合順位順から変えます。
続いて、
シード権争いからラスト表彰台争い!
東洋大学です。
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今年度は、苦難から始まったのですよね。関東ICで1500m以上の長距離種目で得点なし。実は21世紀になってからは初ということだったので、思ったよりチーム内外の衝撃が大きい出来事でした。エース選手に不調の選手がやや多かった形でした。
それでもじわじわ整えてくるのが東洋大。出雲駅伝は、3区まで中位で粘ると、4区から上昇。5区黄金ルーキー石田選手が断トツ区間賞の快走!総合3位の立役者になりました。
一転、全日本駅伝は、コロナ副作用で主力欠場、6区の選手が脚の痙攣、復調途上の7区8区エース選手に負担がかかるという、悪い流れで久しぶりのシード権落ちとなってしまいました。
少し不安定さを気にする声もありましたが、東洋大の箱根力は、今年も健在でした。
4位東洋大学10時間54分59秒
往路9位5時間28分34秒・復路🥈位5時間26分25秒
区間 | 区間順位 | 名前学年 | 区間タイム | 通過順位 | トップ差 |
1区(21.3㎞) | 12位 | 児玉悠輔③ | 62分07秒 | 12位 | 1分27秒 |
2区(23.1㎞) | 5位 | 松山和希② | 67分02秒 | 8位 | 1分37秒 |
3区(21.4㎞) | 8位 | 佐藤真優② | 62分46秒 | 6位 | 2分21秒 |
4区(20.9㎞) | 18位 | 木本大地③ | 64分17秒 | 12位 | 4分52秒 |
5区(20.8㎞) | 8位 | 宮下隼人④ | 72分22秒 | 9位 | 6分28秒 |
6区(20.8㎞) | 10位 | 九嶋恵舜② | 59分19秒 | 9位 | 6分44秒 |
7区(21.3㎞) | 11位 | 梅崎 蓮① | 64分13秒 | 9位 | 8分18秒 |
8区(21.4㎞) | 4位 | 蝦夷森章太④ | 65分04秒 | 8位 | 8分33秒 |
9区(23.1㎞) | 5位 | 前田義弘③ | 68分59秒 | 7位 | 10分17秒 |
10区(23.0㎞) | 🥈位 | 清野太雅③ | 68分50秒 | 4位 | 11分17秒 |
1区児玉選手…東洋大1区専属となりつつある児玉選手。大学駅伝4度目の1区となりました。とはいえ、区間記録に近いペースになったこともあり、12位と初めて区間二けたでのリレーになったのは、少し悔しいところでしょうか。
とはいえ、遅れ始めたから粘って、前が点々と見える位置には踏みとどまって、次につながる位置に留まりました。
2区松山選手…エース候補期待の松山選手。前回も1年時ながら華の2区を任され、区間4位の走りでチームの順位を引き上げたのは大いに駅伝ファン沸いたシーンです。
ただ、今年は順調ではありませんでした。関東ICでも伸びきらず、怪我で出雲はエントリー漏れ。全日本駅伝は6割の状態で7区出走も、突っ込む展開で失速していました。
それでも2年連続任された華の2区は別人になった陽に強かった。序盤から突っ込んで8位集団へ、その後いったん離されるも、最後の坂で猛追し、前が見える8位。個人でも日本人2番手の区間5位67分02秒。やはり未完の大器ですね。
3区佐藤選手…3区4区は驚きの采配となりました。前田or石田選手と思われましたが、当日変更で往路には入らず。入ったのは、大学駅伝3度目、箱根路は初の佐藤選手。過去2度は全日本駅伝で区間中位でした。
その中の3区でしたが、見事な追い上げ。終盤に、中大の主力格の選手などを追い抜いて6位浮上していたのは、インパクト強い走りでした。ついに、駅伝で持っているもの出せたのかなという印象でした。
4区木本選手…でしたが、この区間が厳しかった。予定していた石田選手の状態が上向かず、直前調子の良さで木本選手が抜擢されていました。
中盤まで、見えていた駒大を追いかけるまずまずの走りでしたが、それ以降は大きくペースを落としてしまいまいた。混戦の中、12位まで順位を落としていまい、山区間の前にいい順位では襷はわたりませんでした。
5区宮下選手…山登りを担うのは、3年連続で宮下選手。そして区間記録保持者でもあります。今年は怪我の時期が長引き、初出走が全日本駅伝アンカー。それも6割ほどの状態ながら、シード権を追いかける展開でした。懸命の奮闘も届かず号泣。何とか宮下選手に最後の箱根路を飾ってもらいたいと思う駅伝ファン多かったでしょう。
それでも簡単には好走させてもらえないのが箱根路。序盤から身体が重たい感覚で大平台で区間12位苦戦。宮ノ下付近から何とか動きだして、懸命の追走。往路9位でのゴールでした。
自己ベストより約2分遅い72分22秒区間8位は、本人としては到底納得できる成績ではなかったと思います。その中で、懸命に粘っていった姿が復路に繋がりました。
6区九嶋選手…2年連続6区山下りを担当することになった九嶋選手。今年は、出雲4区・全日本3区と、平地区間での活躍があり、走力が非常に上がってきている選手でした。
全体的に寒さで苦戦が多かった中、前回より1分近くタイムを縮める力走。59分19秒の区間10位で一時10位11位に迫られますが、ラストの平地で一気に9位争いから抜け出して、単独9位キープ。最低限にまとめてました。
7区梅崎選手…ルーキーでもう一人注目されていた選手です。全日本大学駅伝5区に抜擢され、区間4位と健闘していた選手です。長い距離はまだもう少しと言うことで、比較的慎重に入り、東海大を見送り、法大と10位シード権争いを展開。
後ろに控えて力を溜めると、19.3㎞地点でスパート。11位に12秒の差をつけて中継。実は、往路が予定通りいかなかったことで、酒井監督は”ラストスパートを大事にしろ”と指示を出していたそうです。流れが少しずつ変わっていきます。
8区蝦夷森選手…ここから流れ上向きます。8区は4年生蝦夷森選手。東洋大屈指の実力者ですが、怪我が多く、今年度も関東IC以降に怪我。全体練習の復帰は11月中旬だった。ギリギリのところですが、同級生5区宮下選手の走りに火がついていました。
走り出して、前にいた國學院大を捉えて9位に浮上すると、遊行寺坂から、力を振り絞ります。帝京大東海大を秒差まで追い上げたところで中継所。区間4位の好走で、チームを上位に近づけます。
9区前田選手…東洋大の”ミスター駅伝”と勝手に名付けてしまいたくなる前田選手。前半中盤終盤区間あらゆる区間で区間一桁で流れを繋いできている選手です。今回は、復路のエース区間を担当しました。
序盤から、区間記録を上回るペースで攻めていきます。東海大・帝京大を突き放すと、横浜駅前で落ちてきた創価大も抜いて6位に浮上します。
終盤息切れしたところで國學院大に捉えられるも、東国大に大きく迫りながら7位中継。5位も眼前に見る位置。個人成績は、68分59秒の区間5位。今回も見事に東洋大を上位に導きます。
10区清野選手…そして最大のハイライトがアンカー区間で訪れました。2年連続アンカーの清野選手、とはいえ怪我が長引き、前回の箱根後の試合出場は、11月の5千mの1度のみ。混戦の中、どのような展開になるのか、といったところでした。
すぐ前にいた國學院大を突き放すと、東国大の選手と並走し5位争い。牽制することなく、ハイペースで前を追っていきます。20㎞手前で並走に決着を付けると、さらに前の選手が見えてきます。
残り3㎞を切ってから中央大を交わして4位へ、さらに残り1㎞を切ってから3位駒大との差もみるみる詰まっていきます。魂のこもったスパートで、残り300m地点で一瞬3位になったのは、多くの駅伝ファンが沸いたシーンです。
さすがに相手も抵抗して、2秒差の4位に屈しますが、東洋大の襷を見事上位争いに引き上げる走り。8区までシード権争いだったのですから、物凄い巻き返した。個人としても、区間2位68分50秒、大激走でした。
ここのところ、順位の安定感が不安という声が戦前ありました。前々回の箱根10位は強化の失敗かもしれませんが、全体的にレベル高い接戦が増え、僅かなミスで順位が大きく下がることが増えてきたように思います。
全日本駅伝が予選会からになりますが、その中で箱根駅伝では4位にまで巻き返してきている。やっぱり、東洋大は強豪校の一つであり続けていると思います。さて、次年度はまだまだ上位、優勝のチャンスは続いています。
残る今年の箱根メンバー
前田義弘③28分57秒80
≪22:箱9区5位、21:全2区8位、出3区6位、箱3区8位、20:全4区4位、箱8区6位、19:全6区9位≫
清野太雅③29分03秒59≪22:箱10区2位、21:箱10区9位≫
九嶋恵舜②29分05秒71≪22:箱6区10位、21:全3区8位、出4区2位、箱6区14位≫
木本大地③29分06秒85≪22:箱4区18位≫
佐藤真優②29分24秒06≪22:箱3区8位、21:全1区12位、関東IC1部half10位、20:全3区9位≫
松山和希②5千13分48秒80
≪22:箱2区5位、21:全7区13位、関東IC1部5千18位、箱2区4位≫
児玉悠輔③5千13分55秒22
≪22:箱1区12位、21:出1区7位、箱1区9位、20:全1区9位≫
梅崎 蓮①5千14分14秒95≪22:箱7区11位、21:全5区4位≫
残る補欠メンバー
石田洸介①28分37秒50≪21:全4区1位、出5区1位≫
柏 優吾③28分49秒72≪21:出6区7位、日本IC1万m11位≫
及川瑠音③28分55秒52≪20:箱10区19位≫
奥山 輝②29分05秒45≪21:出2区9位≫
村上太一②29分07秒76
大沼 翼③29分32秒48
吉田 周①30分02秒41
その他有力選手
緒方澪那斗28分36秒67
町 桟吾③29分04秒89
熊崎貴哉②29分24秒18
小林亮太①29分27秒22
荒生実慧③29分32秒12
菅野大輝②29分35秒81≪21:全6区13位≫
長尾大輝③29分35秒89
兼原尚也②29分59秒63
吉村聡介5千13分53秒90≪21:高1区46位≫
西村真周5千13分55秒92≪21:高1区16位≫
1区を走り続けている児玉選手や、駅伝で高い安定感を誇る前田選手が最終学年、エース松山選手も新3年になって、順調ならますます逞しくなっていくと思います。同じ新3年では、平地も下りも走れる九嶋選手に、本格化が見える佐藤選手もいますね。駅伝実績がある梅崎・清野選手も、まだまだ伸びるはず。
さらに、今回欠場した主力選手もいて、ルーキー石田選手はその一人。秋から本格的に練習をして出雲・全日本で高い出力を出したため、調整できなかったとのこと。彼が順調に練習を詰めれば、前を追う駅伝走りができるだけに、一気に東洋大の戦力があがります。
また、出雲駅伝を走っている奥山・柏選手も十分レギュラークラスの力があります。長い距離で台頭した村上選手、トラックのスピードのある及川選手とタレント豊富です。
さらに新入生は、今年も即戦力レベルの選手が入ってきます。高校駅伝1区エース区間を任されて、5千m13分50秒台を持つ吉村・西村選手は勿論、トラック1万mで28分36秒67の大学レベルの記録をだしている緒方選手も、注目の選手です。
三大駅伝で、上位争いができる戦力は、次年度も整っているように見えます。
1区児玉選手が高速化の中何とか繋いで、2区松山選手が2年連続で素晴らしい走り。本当に2区にかけているというのが伝わるような走りでチームを浮上させました。3区佐藤選手もいい走りでしたが、予定の選手を置けなかった4区で暗転。シード権争いに転落します。
それでも懸命に粘って上がってくるのが強豪校東洋大。5区宮下選手が、思うように走れないながらも、懸命に浮上し往路9位ゴール。6区九嶋7区梅崎選手ラストスパートで流れを作ると、宮下選手と同学年の8区蝦夷森選手が奮起。シード権より前のチームが見える位置に引き上げます。
安定感高い9区前田選手が上位争いに割って入ると、アンカー清野選手が区間2位の大激走!最後の最後、表彰台争いにまで浮上してきた。鉄紺の襷は、何やら不屈の魂を感じるような…
5区山登りが抜けますが、基本的には次年度はさらに期待できる年。今年走れなかった実力者石田選手や柏選手がいますし、新入生は今年も走力が高いランナーが入部予定となっています。少なくとも、次年度も上位校であり続ける予感は漂っています。
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