2月中は、箱根駅伝出場チームの振り返りや、次年度への簡単な分析をしていきたいと思います。
順番は総合順位順から変えます。
続いて、
ついに…10年ぶりシード権獲得!
中央大学です。
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いい意味でいつもと違う予感は、前哨戦からあった。全日本予選は途中までトップをひた走り5位通過。実に9年ぶり出場だった。箱根予選は、トップ明大には大差をつけられるも、3位以降を全く寄せ付けず2位通過。
圧巻は全日本大学駅伝。1区吉居選手が区間2位スタートダッシュ、一時シード権外にも落ちるも5区三浦選手が流れを作り直し、最終的に8位ギリギリながらシード権獲得。実に10年ぶりシード権獲得だった。
それも箱根予選・全日本駅伝連戦で、全日本駅伝の方に調整に重きを置く。メンバーも入れ替えるという徹底ぶりだった。箱根本戦は、戦前から1区エース吉居選手で主導権を握る作戦だった。本番、予想以上の出足となった。
6位中央大学10時間55分44秒
往路6位5時間26分25秒・復路8位5時間29分19秒
区間 | 区間順位 | 名前学年 | 区間タイム | 通過順位 | トップ差 |
1区(21.3㎞) | 🥇位 | 吉居大和② | 60分40秒新 | 1位 | -39秒 |
2区(23.1㎞) | 15位 | 手島 駿④ | 68分52秒 | 11位 | 2分00秒 |
3区(21.4㎞) | 7位 | 三浦拓朗④ | 62分38秒 | 7位 | 2分36秒 |
4区(20.9㎞) | 5位 | 中野翔太② | 62分17秒 | 8位 | 3分07秒 |
5区(20.8㎞) | 6位 | 阿部陽樹① | 71分58秒 | 6位 | 4分19秒 |
6区(20.8㎞) | 5位 | 若林陽大③ | 58分48秒 | 5位 | 4分04秒 |
7区(21.3㎞) | 18位 | 居田優太② | 65分49秒 | 7位 | 7分14秒 |
8区(21.4㎞) | 🥉位 | 中澤雄大③ | 65分02秒 | 3位 | 7分27秒 |
9区(23.1㎞) | 🥉位 | 湯浅 仁② | 68分31秒 | 3位 | 8分43秒 |
10区(23.0㎞) | 17位 | 井上大輝④ | 71分09秒 | 6位 | 12分02秒 |
1区吉居選手…スタートして150mほどすると一気に牽制ムードとなった第1集団。スローペースになるかと思われたが、300mほどからペースが一気に上がった。吉居選手が引っ張り出したからだ。このまま5㎞14分07秒で通過。区間記録並のペースだったが、それでも遅いと感じた吉居選手はさらにペースアップ。
5㎞過ぎから独走状態に。これには藤原監督もびっくりした場面だったそう。10㎞27分58秒と吉居選手も時計を二度見するペースだったが、手綱は緩めない。区間記録を大幅に更新するペースで走り続け、最後まで貫いた。
60分40秒、15年前の区間記録を26秒更新するスーパー区間新記録を樹立した。春先は不調で苦しむも夏から継続した練習ができていた。12月頭の記録会で1万m28分03秒を出していたとはいえ、恐るべき走力だった。また、2位とは39秒差、戦いとしても中央大が大きく先手を取った。
2区手島選手…中央大はある作戦を立てていた。それは順位を落としてもいい区間を作ること。2区間あり、2区がその一つだった。前回9区で区間一桁、全日本駅伝ではアンカーを走り、シード権争いを勝ち切った長い距離に強い選手。とはいえ、スピードがある方ではなかったのだ。
7.2㎞で首位を明け渡すと、11.3㎞で3位、15㎞権太坂で5位へ。以降中位集団に捕まってしまった。最終的に11位リレーも、前とは秒差。個人タイム68分52秒は、目標68分台は達成。また、往路で苦しんでいた中央大としては、ここ数年で最高順位での襷リレーとなった。
3区三浦選手…
この3区で4年生エース三浦選手を投入。2大会前も走っていて、かつスピードが高い選手でこの区間に適性ありと判断された模様だ。また2区を走ってくれた同学年の手島選手の想いもあった。
前半の遊行寺坂以降も高いスピードを維持し、東洋・国士・山学・創価を交わして7位浮上。終盤に、東洋大に抜き返されるも法大を捉えて7位キープ。4人抜き、まだ混戦とはいえ一気にチームを流れに乗せる快走だった。
4区中野選手…2年生中野選手がその流れを引き継ぎます。創価・法大・順大、さらに前から落ちてきた駒大や東洋大まで含めた大混戦となります。単独走や競り合いになる場面など、レース変動が激しい中、区間一桁のタイムをキープ。
最終的に62分17秒の区間5位の、初の箱根駅伝で好レース。5千m13分45秒のスピードがありますが、タフな4区でもやってみせました。総合順位は8位ですが、4位まで17秒差の好位置でもありました。
5区阿部選手…前任者が卒業した5区山登りは、将来エースの候補1年生阿部選手が担当。初のハーフマラソンとなった箱根予選で、チーム2番手。MARCH対抗戦で1万m28分37秒を記録して伸び盛りでした。
大平台までに、順大と創価大を交わして6位に浮上。さらに東国大も交わして5位に上がる健闘を見せます。中盤以降に力のある順大に抜き返されますが、堂々の往路6位でゴールします。
個人としても、区間6位71分58秒の好記録。夏合宿中に、上り適性は見せていたものの、箱根予選・全日本駅伝もあり、準備期間は長くなかった。1年生3番手に悔しさをにじませるも、往路6位、藤原監督120点の往路だった。
6区若林選手…若林選手は3年連続6区山下りを担当。前回は58分台の区間5位好走していた。今年度は、平地の走力も1万m28分台に突入し、関東IC・全日本予選でも他校の主力と戦う力をつけて挑んだ。
結果的に、氷点下の気温も影響したか、前回と同じくらいのタイムとなったものの2年連続区間5位。國學院大を交わして、総合5位に浮上した。前回復路3位の中央大、今年も復路の出だし若林選手が波に乗せた。
7区居田選手…ですが、次の区間で失速区間が出てしまった。7区居田選手は2年生、関東IC1部1500m3位のスピードがあり、箱根直前に1万m28分台を出していた。とはいえ、箱根予選・全日本にはエントリーしていなかったのでびっくりの起用だった。
中盤まではまずまずのペースを刻むも、16㎞で脚が痙攣。創価・東国大に交わされたものの、藤原監督は無理をせず次の中継所までタスキを運ばせた。次の区間に自信があった。
8区中澤選手…8区は中澤選手。2年連続箱根予選で二けた順位の好走、前回の箱根は7区5位と前を追い上げる走り、全日本駅伝では7区でシード権内にチームを導いた。もっと主要区間に来るかと思われましたが、長い距離に強い中澤選手を8区に温存した。
序盤から区間上位の走り、落ちてきた帝京大を捉えると、遊行寺坂までに創価・東国大を捉えて一気に4位まで浮上!さらに中継所直前で駒大を交わして総合3位へ。個人としても区間3位。10年ぶりのシード権どころか、上の争いへチームの順位を引き上げました。
9区湯浅選手…総合3位で受け継いだ2年湯浅選手。長い距離を中心に力をつけてきていましたが、実績は箱根予選74位とMARCH対抗戦28分47秒91。復路のエース区間の中で、とびぬけて実績があったわけではありませんでした。
序盤は東国大や創価大と3位争いを展開。そこから、横浜駅前手前14㎞過ぎに自ら仕掛けて単独で総合3位に浮上!追ってきた駒大ら後続を突き放したのは、びっくりしました。68分31秒区間3位の成績!一気に中大の主力に、そして今後の可能性を感じました。
10区井上選手…10年ぶりシード権内、それどころか77回大会以来21年ぶり表彰台がかかる3位で襷を受けたのは、主将の井上選手。これが最初で最後の箱根路。実は、戦略上順位を落としてもいいというもう一つの区間だった。とはいえ、落とすつもりは毛頭ない。
後方駒大の選手がじわじわ追い上げてきて、17㎞で捉えられました。しかし、直後の17.3㎞一度抜き返したのは、今大会中大(木)一つのハイライトでした。もう一度抜き返された直後に、両足が痙攣してしまい、これ以降は後続の追い上げは許したものの、
総合6位でフィニッシュ。史上最多出場・史上最多優勝を誇る中央大が、10年ぶりシード権獲得。数々の栄光がある中央大も、近年の強化チームの多さに、苦戦が続いていました。が…ようやく長かったトンネルを抜け出しましたね。
思えば、藤原監督体制になってから6年目。1年生主将、予選落ち…色々なことがありましが、スカウト面が含め、ようやく藤原監督がやりたい指導ができるようになってきたのかなと思います。まずは、一つ報われる形になって良かったです。
この調子で上げていきたいですよ。
残る今年の箱根メンバー
吉居大和②28分03秒90
≪22:箱1区1位、21:全1区2位、箱予13位、箱3区15位、20:日本5千3位、予10位、日本IC5千1位≫
阿部陽樹①28分37秒35
≪22:箱5区6位、21:全2区12位、箱予32位、全予2組2位≫
若林陽大③28分42秒02
≪22:箱6区5位、21:全予2組4位、箱6区5位、20:箱6区10位≫
居田優太②28分46秒35≪22:箱7区18位、21:関東IC1部1500m3位≫
湯浅 仁②28分47秒81≪22:箱9区3位、21:予74位、20:予179位≫
中野翔太②28分58秒90≪22:箱4区5位、21:全3区9位、箱予82位、全予3組11位≫
中澤雄大③29分00秒40
≪22:箱8区3位、21:全7区8位、箱予40位、箱7区5位、20:予58位≫
残る補欠メンバー
助川拓海③28分49秒58≪21:全4区13位、箱予78位、全予1組6位≫
園木大斗②29分03秒33≪21:全予4組17位、20:予131位≫
東海林宏一①29分24秒19≪21:予76位≫
田井野悠介③29分34秒90≪21:予61位≫
その他有力選手
吉居駿恭(新)28分11秒96≪21:高1区3位≫
千守倫央③28分15秒40
≪21:箱1区17位、20:箱1区16位、19:予224位≫
伊東大翔②28分59秒59
大澤健人②29分14秒67
山平怜生①29分21秒22
山田俊輝②29分26秒30
山口大輔①29分33秒39≪21:全6区11位≫
梶山林太郎③29分38秒30
溜池一太5千m13分55秒97≪21:高1区5位≫
伊東夢翔5千m13分56秒30≪21:高1区23位≫
次回の99回大会で表彰台、100回記念大会で総合優勝の目標を掲げた中央大藤原監督。とはいえ、リップサービスではなく、本気でしょう。スカウトを含めて、それだけの戦力を有しています。
1区区間記録保持者となった吉居選手、基本的にトラックで日本トップ、そして世界に向けて挑戦していくと思いますが、ハーフマラソンも練習を詰めれば相当走れることが分かりました。(このまま連続して1区に来ると…他校の戦略も変わるかもですよ?)
その吉居選手を筆頭に、現2年生以下に楽しみなランナーが多いですね。箱根4区9区の主要区間で好走した2年中野・湯浅選手に、5区山登りの1年阿部選手は、今回卒業する往路2区3区でも十分通用するポテンシャルを秘めています。
また、前半戦で主力になりかけた2年園木選手も復活の道を歩んでいます。1年生では、箱根予選力走の東海林選手、全日本駅伝出走の山口選手、さらに高校時代実力者山平選手も、学内10㎞TTで上向き傾向でした。2年1年は今後期待の選手多い。
新入生もレベルが高く、吉居選手の弟さんの吉居駿恭選手も入学予定ですね。既に1万m28分11秒を持っていますが、首脳陣はロード向きとの見方。早くも箱根1区2区での兄弟リレーも示唆しています。
さすがにリップサービスと、他の選手を奮起を促す意味もあると思いますが、それだけ期待が高いのでしょう。他にも高校駅伝1区5位溜池選手、同23位の伊東選手が入部予定。いきなりレギュラー争いに参戦できそうです。
ここまで話題に上がっていない新4年もいるのですよね。長い距離で活躍している中澤・田井野選手、全日本駅伝を走っている助川選手、そして…2年連続1区を走り1万m28分15秒を出したことのある千守選手も、少しずつ復帰の道をたどっています。
順調に推移出来れば、十分に今年度から強豪校として、渡り合っていく力のある選手が揃っています。次年度、注目校の1校となっていくような気がします。
10年ぶりシード権獲得、成績が良かったのもありますが、収穫が非常に多かった箱根駅伝があります。トラックで世界を目指しながらも、ロードの長距離も、爆発力を発揮した吉居選手だけでなく、
4区中野選手、5区阿部選手、9区湯浅選手と、主要区間を走った、もしくは走ってもおかしくなかった8区中澤選手と、エース候補の選手たちが続々と好走。来年度の2区3区の争いがレベルの高い中で行われそうです。
勿論、今回出走した4年生の働きも見逃せません。2区エース区間耐え抜いた手島選手に、持ち味を発揮してチームの流れに乗せた3区三浦選手。アンカーの攻防を繰り広げた井上選手は、走り以上の貢献があったと思います。
次年度以降は、今のところ楽しみが非常に多いですね。先の好走メンバー以外にも、園木選手ら主力候補の選手がいますし、新入生のレベルも、全大学の中でもかなり高くなりそうです。
99回大会総合3位、100回記念大会総合優勝の大目標、思い切って狙っていける戦力、整っていく土壌はあるように思います。
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