そろそろ箱根駅伝2021の余韻が冷めつつありますかね。
レース内容をもう一度じっくりと振り返ってみたいと思います。
続いて、エース区間2区!
区間記録を出した東国ヴィンセント選手は勿論、ここにきて話題になっている駒大田澤選手の単独走の追い上げを振り返るのもいいかも!
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トップ法大河田選手が走り出しますが、僅差で強豪校のエース選手が続々リレー。その中で東海名取選手や創価ムルワ選手がすぐにでも追いつける位置で出走し追い上げが注目されました。
また20秒前後のところには日本選手権1万mで活躍した早大太田・日体池田選手といった1万m27分台のランナーがおり、このあたりの混戦を抜け出してくるか、またこれに青学中村・東洋松山選手といった若い選手がどう動くかもポイントでした。
留学生は4名いて、先の創価ムルワ選手以外は追い上げる側。一番上位は11位リレー拓大ラジニ選が31秒差。前回区間2位の経験がある選手。
後方で前回3区区間記録保持者の東国ヴィンセント選手が45秒差、駒大2区抜擢された田澤選手がその僅か2秒差で続く展開。逃げる他校にとっても追い上げる方にとっても微妙な差だった。
かなり後方ではライモイ選手が18位1分34秒差。前年同様後方も昨年より前が見える位置でゴボウ抜きが楽しみでした。
レース展開
法大河田選手の最初の1㎞は2分51秒。落ち着いた入りでしたが、1.3㎞で東海名取選手が追いつき並走になりました。
3位争いは創価ムルワ選手がゆったり入り、後方の早大太田・日体池田・青学中村・城西菊地・東洋松山選手と早い段階で集団に。
神大井手選手が飛び出して一時単独3位になりますが、時期に集団に吸収され、7校による3位争いになりました。
先頭争いは4㎞付近で徐々に東海名取選手が単独トップに。法大河田選手もしばらく粘っていますが、名取選手が5㎞14分12秒で通過するあたりから少しずつ後退。6.5㎞付近で集団に吸収されました。
後方の追い上げは早くも始まっていて、やはり東国ヴィンセント選手が速い。駒大田澤選手を突き放すと、帝京大ら次々と交わしていき、6.8㎞地点で一気に2位集団に襲い掛かります。
長いストライドで加速しながら追い抜いていくのはある意味2区最大のハイライトシーンだったでしょうか。創価大ムルワ選手が唯一食らいつき、2人でトップを追っていきます。
後方の移動中継車は、序盤は国士ヴィンセント選手に注目。2.3㎞で中大森選手を捉えると、5㎞で明大加藤選手、7.3㎞で急落の連合亜大河村選手を捉えていき、順位を上げていっています。
定点間分析:鶴見中継所~横浜駅前(8.2㎞)のタイム
凄まじい勢いで15番目から順位を上げていっていた東国ヴィンセント選手が22分42秒のタイムでトップ。前回の区間記録より大幅に早いタイムで既に秒差にトップに迫っています。これに創価ムルワ選手がどこまでつけるか。
4位集団はスタート位置ええそれぞれ区間タイムが違いますが、ルーキー東洋松山選手が結果的に一番突っ込んでいます。ただ、追いついてからはうまく先輩たちの力を利用していた模様です。
その集団後方見え隠れするのが、拓大ラジニ選手ですが、4位集団と同じペースでほぼ推移してこの時点ではまだ追い上げられていない模様。
注目の駒大田澤選手は、東国ヴィンセント選手に巻き込まれないように慎重に入ったとのことでしたが、この時点では区間12番なのはちょっと意外ですね。
後々聞いた話では、12月4日日本選手権1万mののち、腰を痛めた時期もあったとかで、調子のピークはあっていなかったそうですね。それでも、國學中西・帝京星・順大野村選手との差を詰め始めてきて、ここからというところでした。
ここから少し差が空いてから、追い上げている国士ヴィンセント選手。5区予定の選手を急遽回した連合河村選手がかなり後退。中大・明大も、早くも上位の流れからは取り残されそうな、そんな様相になっています。
レース展開
9.2㎞東国ヴィンセント選手が創価ムルワ選手を引き連れて早くもトップ東海名取選手の前に出ます。名取選手も食いつきますが、9.8㎞で後退。東国創価と留学生ランナーがトップ2になります。
なお、ヴィンセント選手は10㎞27分45秒で通過、向かい風も吹いていたという情報もありますので、やはりかなりのタイムということになります。
3位集団もいよいよ動きが出てきて、10.6㎞地点で日体池田選手が仕掛けます。集団が縦長になり、法大河田選手が後退し、青学中村選手も苦しくなります。
池田選手も徐々に抜け出していきます。城西菊地選手が呼応しようとしますが、最終的に単独4位、3位東海名取選手を追いかけていきます。
駒大田澤選手は、10.2㎞で國學中西・順大野村・帝京星選手を次々ととらえてついに順位浮上。帝京星選手が食らいつき、何とか追い上げを図ります。
さて権太坂で動きがさらに出てきます。12.7㎞で創価ムルワ選手が東国ヴィンセント選手のペースについていくことが出来ず後退。ヴィンセント選手が単独トップに立ちます。ただ、上り坂は少し表情が曇りましたが、区間記録ペースからはどうか。
3位東海名取選手には、日体池田選手が追いつき3位争い並走。5位集団はまさかに権太坂定点で、東洋松山・神大井手選手が前、城西菊地・早大太田選手を突き放した場面。松山選手が勢いよく、逆に菊地太田選手が苦戦はびっくり。
さらに拓大ラジニ選手が拾っていて、青学中村選手らをかわしていったところ。後方追い上げてきた駒大田澤選手が迫ってくる状況でした。
定点間分析:横浜駅前~権太坂(7.0㎞)のタイム
※参考:相澤(東洋)20分08秒<1>43分15秒
大志田監督は、ヴィンセント選手は「上りが少し苦手」とのこと。ここは実際少し動きがブレている場面もあり、監督も「久々に苦しいヴィンセントを見た」とい話。この定点間は、区間記録保持者とほぼ同等のペースとなっています。
とはいえ、気象条件が明らかによくなかったというところ、一人だけとびぬけて早いのがうかがえますかね。そして創価ムルワ選手に続き、この定点間では3番目なのが「過小評価」で話題の田澤選手。モタついた序盤とは違い、ここは素晴らしいペースでの快走を見せていましたね。
10㎞地点で國學院・帝京・順大のエース選手をかわしていきますが、ここはペースを乱したランナーもいました。國學中西選手は10㎞28分45秒通過後の1㎞が2分50秒に跳ね上がってオーバーペースで失速します。
帝京星選手は粘ってついていきますが、権太坂定点では息切れし、先に離れた順大野村選手に捉えられています。前回好走者もうまくいかず。逆に野村選手が冷静に対処していた形ですかね。
後方は、国士ヴィンセント選手が13番と意外なペース。前もなかなか見えてこなかったこともあるのか、上がり切らず。その後ろは全員ペースが上がらず、前回好走者の明大加藤選手も上がってこないので流れは恐ろしいなと思い知らされますね。
レース展開
1位東国ヴィンセント選手、2位創価ムルワ選手の差は徐々に開いていき、第一移動車から捉えにくくなっていく。逆に3位東海名取日体池田選手が競り合いながら、ムルワ選手との差を詰めていきます。
権太坂定点で21秒あった差が、17㎞地点で15秒、20㎞地点で10秒とアナウンス。ムルワ選手も権太坂以降やや苦しんでいるようだった。
ヴィンセント選手は20㎞56分50秒と下り坂で息を吹き返し、再び区間記録ペースをキープ。最後の上り坂も、強い脚の蹴りは衰えず中継所へ。65分49秒と、東洋相澤選手の区間記録を8秒更新!前年の3区に続き、2区間の区間記録保持者へ。
そこから約1分遅れて創価ムルワ選手、ほぼ追いついた東海名取・日体池田選手が3位4位。さらに東洋松山選手が素晴らしい走りで直後に5位。少しずつ上がってきた拓大ラジニ選手に、粘った神大井手選手7位まで僅差。
そこから少しあいて、駒大田澤選手が8位へ、トップからは1分40秒差。上位集団から落ちてきた選手を拾ってきていた。ラストの坂は壁に感じたそうですが、さすがの走りでした。
伸びきらなかった城西菊地・早大太田選手が9位10位、それに追いつきかけたのが順大野村・国士ヴィンセント選手が11位12位、その直後に交わされた青学中村・帝京星選手が13位14位で2分17秒差。
ここから55秒遅れて15位國學中西選手。その後方、苦しい足取りになった法大河田選手が16位でやってきた。途中で手を地面に付くほどになったが、何とか襷を繋いだ。
続いて、出遅れた名門校明大加藤・中大森選手が相次いでリレーし4分21秒差。ペースを上げられなかった学連河村・山学森山・専大茅野選手が単独で19番~21番で中継著所に到達、トップとの差は6分55秒でした。
定点間分析:権太坂~戸塚中継所間7.9㎞
参考:相澤(東洋)22分42秒<1>65分57秒
東国ヴィンセント選手はさすがでしたね。今回は前回よりは気象条件が悪かった中ですが、区間記録を上回っています。大志田監督も65分前半と未知なる領域のタイムを想定していたくらいのポテンシャルの高さです。まだ2年、順調なら次年度以降も、また世界レベルの走りを箱根路で見せてくれそうです。
なお、最後の定点間でみると23分02秒は、実は東国相澤選手や20年以上前のレジェンド順大三代選手よりは伸びていなかったりします。最後の不動坂はやはり本当に各ランナー苦しめるということなのでしょう。
2番目は国士大のヴィンセント選手。権太坂から再び息を吹き返して、それ以降で法大・國學・帝京・青学を抜いて12位。国士大全体の闘いとしては次の区間が大事になります。
東海名取・日体池田選手の4年生エースが激しい競り合いをしながら創価ムルワ選手を追い詰めていたのはテレビ通り。最後は名取選手が意地を見せる格好で総合3位。日体池田選手は総合区間順位で3位と日本人トップ!それぞれ素晴らしい走りでした。
それを、さらにラストで追い込んだ東洋松山選手がなんと定点間3番目のタイム!先輩についていったとはいえ、序盤も突っ込んでます。ポテンシャルの塊と言われていますが、最初の箱根路でいきなり見せてきたのは素晴らしいですね。
また、この箱根路がラストランの神大井手選手が67分33秒素晴らしい走りで区間9位の粘り。結局大学駅伝全て区間一桁、最後の定点間は6番目と前を追い上げています。惜しまれる引退です。
そして駒大田澤選手。権太坂以降は調整不良だった中やはり8番目と伸びきってはないのですね。それでも、青学・早大らをかわして8位まであげて、2位あたりまで視界に入るところまであげたのは優勝を考える上で非常に大事でした。次年度以降もっと万全の状態でのリベンジを見たい。
このほか、トラック1万mで好記録を連発した城西菊地・早大太田・帝京星選手が伸びず、青学中村選手も全日本のようにいかず苦しみました。ここはうまく調整できなかったかな??
遅れてしまった中では、國學院大がトップと3分12秒差の15位。ここが最終的にシード権を獲得したチームの中で、最も遅かった往路戸塚中継所の通過です。逆にいけばギリギリ上位の流れに戻れるラインに踏みとどまっていた…ということでしょうか。あとからみると面白いことがわかってきますね。
色んな動きがありますね。ヴィンセント選手の記録推移を見ていると、権太坂以降は区間記録と差は詰まっていて、最後の坂の難しさを感じざるを得ませんでした。
日本人は日体大池田選手と東海名取選手のバトルがテレビで非常に注目されていましたが、定点間でみると東洋大のルーキー松山選手が序盤と終盤どちらも日本人最速で走り切っていて、未完の大器の末恐ろしさを感じました。
不発と思われていた駒大田澤選手も中盤の定点間で日本人トップの走りをしていて、調子が上がらない向かい風単独走でもしっかりと走っていることが分かりました!
エース区間を終えても、まだまだ大混戦の中、3区へ突入します。