そろそろ箱根駅伝2021の余韻が冷めつつありますかね。
レース内容をもう一度じっくりと振り返ってみたいと思います。
まずは、超スローペースから、複数回にわたる激しいペースの上げ下げの繰り返しが大いに話題になった1区!
当ブログで毎年行っている通り、
定点間ごとの分析をしていきます。
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まずは出走者を持ちタイムと、過去の実績とともに見てみます。
青学大・吉田圭太④28分27秒40≪20:全8区11位、箱1区7位≫
東海大・塩澤稀夕④28分08秒83≪20:全3区2位、箱2区7位、19:全3区3位≫
國學院・藤木宏太③28分24秒79≪20:全7区7位、箱1区2位、19:全3区12位≫
帝京大・小野寺悠④28分30秒17≪20:全2区9位、箱1区8位、19:出5区1位≫
東国大・丹所 健②28分39秒63≪20:全2区8位、箱1区13位、19:予50位≫
明治大・児玉真輝①28分22秒27≪20:全1区5位、都5区9位、19:高1区9位≫
早大・井川龍人②28分12秒13≪20:全2区5位、箱3区14位、19:全1区16位≫
駒澤大・白鳥哲汰①28分14秒86≪20:都1区11位、19:高1区16位≫
創価大・福田悠一④28分19秒26≪20:箱4区4位、19:予52位、17:予190位≫
東洋大・児玉悠輔②29分56秒20≪20:全1区9位≫
順大・三浦龍司①5千13分51秒97≪20:全1区1位、予5位、日本IC3障1位≫
中央大・千守倫央②28分15秒40≪20:箱1区16位、19:予224位≫
城西大・砂岡拓磨③28分24秒48≪20:全1区2位、予13位≫
神大・呑村大樹③29分02秒58≪20:予17位≫
国士大・山本龍神①29分20秒49≪20:予77位、都1区28位、19:体5千17位≫
日体大・藤本珠輝②30分14秒18≪20:全3区12位、予22位、箱5区16位≫
山学大・新本 駿①29分17秒59≪20:全4区10位、予138位≫
法政大・鎌田航生③28分33秒25≪20:予15位、箱2区18位、19:全2区8位≫
拓殖大・合田 椋③28分58秒72
専修大・高瀬 桂②29分45秒82≪20:予61位≫
(連合)麗澤大・難波 天④29分10秒41≪20:予11位、19:予107位≫
戦前より、今年の1区は超高速化する…そんな予想があふれかえっていました。シューズなど練習環境がここ数年で飛躍的に向上、実際前年多くのランナーが区間記録に迫るペースで走り切っていました。そして今大会直前の記録会でも好タイムが続出し、1区は区間記録ペースで進むのではないか、そんな予想もありました。
29日の区間オーダーの段階で、青学大はスピード-エースの吉田選手を2年連続で投入、帝京大が小野寺選手、創価大が福田選手と実力者を配置し先手必勝の態勢、城西大も28分18秒を持つ砂岡選手の名前がありました。
さらに、箱根予選日本人トップで全日本駅伝1区で爆発的なスパートを見せた順天堂大のスピードルーキー三浦選手も1区。元々マスコミから注目が高かった選手、高速論に拍車がかかりました。
そして、当日の最終変更で、東海大が前年エース区間2区を出走している塩澤選手を投入、また前回の1区で区間2位の好成績を収めている國學院大藤木選手、早大のスピードエース井川選手、法政大もエース鎌田選手を投入といった流れ。
最終的に実力者が相当揃いました。さてどんなレースになるかと注目が集まりましたが、一つこういう時によく起こるレース展開があります。実力者が揃いすぎると、けん制し合って誰も引っ張りたがらないということ。
スタート、大手町最初の角を東洋大児玉選手が切りましたが、その直後に一気にガクンとペースが落ちるのが分かるくらい選手スローに。動きがゆったり
として、ストライドが縮まり、どんどん横広がりになりました。
実況アナウンサーや解説者も、そしてなにより走ってる21名のランナーが、戸惑っている様子が顔色から伺えるほどだった。とはいえ、ペースが上がったときに準備しなければならず、異様な緊張感も漂っていた。
スタートしてから1分・2分経過してもスローのまま。そして3分18秒が経過し所、一気に加速を始めたのが、東海大塩澤選手。日本選手権1万mにも出場できるほどの高い走力の持ち主、そして稼ぐ役割を担っての1区起用だった。
これに青学吉田・帝京小野寺・明大児玉選手らが呼応し始めた3分33秒でようやく1㎞通過。前回が2分45秒の入りなので、48秒も遅い1㎞の入りだった。
とはいえ、塩澤選手のペースアップで、さすがにやや縦長になり、国学藤木・東洋児玉・神大呑村選手が一瞬数m離れる場面もあった。ここから塩澤選手が引っ張る展開が続き5㎞は15分07秒で通過。前回の14分22秒よりは遅いが、1㎞2分50秒前半のペースでは、2㎞以降推移している計算だ。
ただ、このペースは、1㎞28分台の走力を有している選手としてはちょうどいいペースで、東海大塩澤選手はペースメーカーとして利用されているとも言えます。
塩澤選手もそれを嫌ってか、このあたりからじわじわペースダウン。新八ッ山橋で動きが無かったあたりから、集団の後方に下がった。引っ張る選手がいなくなった集団は、一気に横広がりになり、誰が引っ張っているでもない展開に。このあたりで10㎞通過したが30分40秒、この5㎞は15分33秒かかってりう。
実際の1㎞のタイム推移だ。
※中継表記、非公式
0-1㎞3分33秒
1-2㎞2分53秒
2-3㎞2分50秒
3-4㎞2分54秒
4-5㎞2分57秒 15分07秒
5-6km3分02秒
6-7km3分04秒
7-8㎞3分02秒
8-9km3分13秒
9-10km3分12秒 30分40秒(15分33秒)
やはり最初の1㎞は非常に遅く、次の1㎞が40秒もそれよりも速いペース。しばらく1㎞3分切りも、5㎞からペースが下がり再びスローペースになる様相だ。
スローだけど、上げ下げがあるとペース以上に消耗してしまう。ここまでくると、毎年勝負所となる18㎞付近の六郷橋までレースが動かないのではないかと思われた。
ところがそうならないのが、今回の1区。11.3㎞今度は國學院大の実力者の藤木選手が引っ張り始める。11-12㎞がまた2分50秒までペースアップする。また20秒ほどペースアップそいた。國學院大はエースを投入しているので抜け出したい意図があるはず。
とはいえ、区間賞を取るにはちょっと早いのではないかというのが解説者の話。やはりペースメーカーとして使われてしまうのではということですが…。
それでも集団は縦長になり、苦しそうな表情の選手が出てきたのも事実。ここまでペースが上がったり下がったりすると、身体がボディーブローを受ける感じになる。普段からどのくらい練習しているかどうかが大事になってくる話。
13㎞を過ぎてきて、国士大山本選手と山学大新本選手が集団の最後方に下がってきた。ともに1年生でまだ大学駅伝のレース経験が少ない選手で心配になってきた。
そして14㎞を過ぎたあたり、山学大新本選手が少しずつ下がり始める。最初の先頭集団の脱落者だ。14.5㎞を過ぎると、今度は国士山本選手が後退。さらに14.8㎞過ぎで専大高瀬選手が後退。選抜を含めて先頭集団は18名と変わった。
蒲田のポイントでは急激に横広がりに、國學院藤木選手が先頭で、横に帝京大小野寺選手がつく展開ですが、少し休みを入れてきている形だ。遅れた選手では、国士山本選手が粘って専大高瀬選手をかわして18位に浮上しています。
16㎞を過ぎてもうすぐ勝負どころの六郷橋に差し掛かる。このあたり1㎞は2分55秒ほど。國學院藤木選手先頭ですが、それほど引っ張ている様子はない。青学駒大順大帝京早大らも前の方にいていつでも臨戦態勢だ。18位国士山本選手が粘っていて、専大高瀬選手は19位へ。後ろ20位山学新本選手に詰められている印象だ。
実況・解説者の注目はルーキー三浦選手に対して、青学吉田・東海塩澤・帝京小野寺選手がら4年生が意地を見せるかということをポイントとして語っていましたが…
さて、17.8㎞六郷橋の上りで前に出たのは東洋児玉選手だった。使われているという言葉が入りましたが、集団後方からスルスルと前に出てきて勝負を仕掛けた形だ。これに城西砂岡・東国丹所・中大千守選手、さらに先ほどまで引っ張っていた国学藤木選手がつけない。やはり苦しいのか。
東洋児玉選手、横に青学吉田選手、東海塩澤・帝京小野寺・連合の麗澤大難波選手も非常にいい位置だ。後方さらに脱落者が増えて、駒大白鳥・明大児玉選手の1年生が後退。城西砂岡選手が粘って交わしていった。
先頭はさらに変化が出て、18.8㎞六郷橋下りでは法大エース鎌田選手が一気に仕掛けて先頭へ。呼応するのは東海塩澤・早大井川・青学吉田・創価福田選手ら実力者ばかりで先頭集団は5名に一気に絞られる。6位集団は、神大呑村選手・日体藤本・連合難波・東洋児玉選手らが見え隠れする。
20㎞さらに絞られて法大鎌田&東海塩澤選手のマッチレース。3位集団に創価福田・青学吉田・早大井川選手、これに神大呑村選手が大健闘浮上してきて3位集団に食い込んでくる。ここは予想外か。
鎌田・塩澤選手がお互い表情をみあいますが、20.4㎞満を持してスパートをかけたのは、法大鎌田選手。コロナ禍でチームとして合宿が組めなかったチーム、予選8位の辛勝でしたが、エースは強い。
東海塩澤選手も顎が上がった中、懸命に追いかけてくるも、明らかに表情は鎌田選手が余裕があった。21.1㎞と中継所が見えてからもう一つギアチェンジする。そして法政大がトップ中継、チームとしては21年ぶりのことだった。
5秒差で2位東海大。エースを起用したとはいえ、他強豪校よりは一歩前だ。さて3位からが大変だ。こちらもエース起用の創価大福田選手が3位で10秒差、その1秒差で予想外大健闘の神大呑村選手が4位。
さらに5位争いは早大井川選手が制して17秒差、1秒差で青学吉田選手が6位まずまず。その後方は六郷橋上りで遅れ始めたはずの城西砂岡選手が7位まで浮上し21秒差、直後に日体藤本選手に、見せ場を作った東洋児玉選手が続き、大健闘連合の麗澤大難波選手が10位相当。ここまでで26秒差。
続いてきたのが、区間賞候補筆頭と言われた順大三浦選手が区間10位で31秒差。この展開ではラストの爆発力を活かす前に足を使ってしまったか。ほぼ同時に拓大合田選手が31秒差。続いて主力投入も上位に行けなかった帝京小野寺・国学藤木選手が12位13位。とはいえトップとは35秒差はまだいけるか。
僅かに間があいて、14位東国丹所選手が45秒差、15位で遅れた駒大白鳥選手が47秒差。とはいえ、2区は期待の大エース。ここからどこまで上がっていくかは非常に楽しみなランナーがスタート。
ここで差が開いて、16位明大児玉選手。タイム差も1分06秒差。エース級は多いがエース不在のチームとしてはやや痛い展開か。17位中大千守選手も1分17秒差だが似たような感じだ。
1分34秒差の18位できたのは国士大山本選手。最初に遅れた中ではやはり粘った。下位ではあるが、2区は安定のエース選手、前回よりは前が見えている展開だ。
最下位争いは専大高瀬選手が何とか制して1分59秒差19位、直後2分04秒差で山学新本選手。精魂尽き果てた形だった。両校とも出遅れた中、難しい展開となった。
昨年のようなハイペース展開とはならず。昨年の場合、序盤から突っ込む方がリズムに乗る早大中谷選手が1区にきたことが非常に大きかったということと思います。
そしてスローペース牽制ともちょっと違う展開でした。確かに最初の1㎞3分33秒でしたが、東海塩澤選手が一気に2分50秒台のペースにあがりました。
一旦、3分10秒台にペースが落ちるも、今度は國學院藤木選手が2分50秒台までペースアップ。牽制1区とも違い、ここまで上げ下げが何度もあるのは中々ない展開でした。
これに苦しくなったのが1年生陣でした
有力ルーキー言われた三浦選手でも10位、そのほかの選手は15位以下と苦しみました。今年は化け物世代と言われ、他区間では1年生の健闘は光りました。ただ、この激しいペースの上げ下げがあった1区だけは厳しかったようです。
制したのは、力のある上級生の中で法大鎌田選手。さらにレースを引っ張ることもあった東海塩澤選手が2位。ともにエース区間2区が有力視されるほど強いランナーですが、このあたりはさすがですね。鎌田選手はレースを見返したらうまいレースをしています。
他の強豪校は青学大・早大が好スタート、創価大や神大もいいレースでした。先の1年生駒大・明大はスタミナが間に合わなかったかなぁという形。まだ多くのチームが1分強で収まっていますが…チームによっては最終的に大きく左右されたところもありました。